監督:アスハル 自動/優水/めかぶ

本編ログ|雑談ログ

目次




プリプレイ

GM:それでは、6名のステラナイツ、2名のエクリプスの集結を確認しました。
GM:これより銀剣のステラナイツのセッションを開始していきます。
GM:まずは、各ペアの自己紹介からやっていきましょう

GM:ではまず一人目。柳真尋&桜葉こはね!
GM:紹介はブリンガー → シースの順でお願いします

【キャラシート】
柳 真尋:「柳真尋リウ・ヂェンシンだ。会話は上手くないが、代わりに一つ、ウチのパンを食べてくれ」
柳 真尋:柳真尋。アーセルトレイの高校生にして、購買部に搬入しているパン屋「やなぎブレッド」の跡取り息子。
柳 真尋:師匠にしていた母親を事故で失い、今は伯父が経営を引き継いでくれている。
柳 真尋:職人タイプで、日々勉強の毎日。
柳 真尋:一方で、母親が無くなった事故にロアテラが関連していることをステラナイトになって知り、
柳 真尋:その真実を知るため、毎日の美味しいパンを食べられる日常を維持する為にステラナイトとして戦っています。
柳 真尋:ステラナイトとしては、安定したアタッカー能力を持つ。持っていた。
柳 真尋:精一杯戦うのでよろしく頼む。やなぎブレッドは学食にて最強だ。
GM:学生にして……パン屋!
GM:なお、ブーケトスはこの時点から行っております。カウンターリモコンをメモのとおりに編集して、1クリックで気軽に投げ込んでね。
GM:ではシースの方どうぞ!
桜葉こはね:はーい!
桜葉こはね:「桜葉こはねです!やなぎブレットの看板常連客…なんちゃって、えへへ」
桜葉こはね:さくらば・こはね。中流家庭で育った、至って普通の女の子。
桜葉こはね:ある日ふらりと立ち寄った「やなぎブレッド」で、職人になりたてだった柳くんが作ったパンを気に入り、
桜葉こはね:そのことが縁で彼と仲良くなりました。
桜葉こはね:特筆するほどの特技もないことを少し気にしている、平々凡々な女の子ですが、
桜葉こはね:柳くんに特別な感情を抱いており、彼の隣にいるのにふさわしい人間になりたいと思っています。
桜葉こはね:精一杯応援するのでよろしくお願いします!やなぎブレッドは学食にて最強だね!
桜葉こはね:以上です!
GM:パン屋さんと常連客ペア! ありがとうございました。最強のパン屋になって。

GM:では次!
GM:リュディガー・シューマッハ&アウラ!

【キャラシート】
GM:リュディガーさんからどうぞ
リュディガー:はい。
リュディガー:「……リュディガー・シューマッハ。音楽家だ。……他に何か必要か?なければおれは戻るぞ」
リュディガー:もう何もかんもを音楽に捧げた音楽狂いの音楽家です。
リュディガー:作曲・チェロ・歌唱を自分でやる。
リュディガー:かなり不摂生ながらそれでも今日も生きてます。
リュディガー:シースのアウラをミューズとして囲っており
リュディガー:つまり、芸術の力がそのまま人の形をとった象徴的なものとして扱っています。
リュディガー:キャラシにもあるように肉体関係も持っていますが「霊感を得るため」だとか「高次との交わりだとか」
リュディガー:そういうスピリチュアーな感じであれしてる感じです。
リュディガー:全て音楽のために戦います。おー。
リュディガー:いじょう!
GM:スピリチュアルな芸術家!
GM:耽美になってきましたね ではシースのアウラさんどうぞ
アウラ:「アウラだよ。ごめんね、あんまり話すと怒られるの。またね?」
アウラ:はい、彼のシースであるアウラです。美少女です。
アウラ:虹色の瞳と清澄な歌声を持つ謎めいた少女。出自もよくわからない。
アウラ:ただ気づいたら彼の手元にいて、求められるがままにおうちで飼われて暮らしています。
アウラ:歌も歌えます。ただ耳は聞こえないので、彼の歌は聞こえていなくて、振動や仕草で動いています。
アウラ:なのでリュディガーにはばれていないし、これからも悟られるつもりはありません
アウラ:リュディガーが求めるのなら、そのように戦います。
アウラ:そういうわけでがんばっていきますよ!音楽のために…たぶんために!
アウラ:以上です!
GM:半狂気の音楽家と耳の聞こえない耽美少女!
GM:温度差で風邪引く
GM:頑張ってください。たぶん音楽のために

GM:では3ペア目。
GM:ルーナ・ヘリアル&サン・ヘリアル

【キャラシート】
GM:ルーナさんからどうぞ
ルーナ・ヘリアル:「ンンーーフフフ…わたくしが死と悪霊を統べる闇の魔法使い、《新月》……」
ルーナ・ヘリアル:「我が真名を知りたい? ンフフフ、ならば頭を垂れて私に媚びてごらんなさい」
ルーナ・ヘリアル:というわけで、本名はルーナ・ヘリアルです。
ルーナ・ヘリアル:魔法の世界からやってきた、異世界出身者。
ルーナ・ヘリアル:現在は似たような異世界出身者との「魔法使い連合」のようなものを組み、活動しているようです。
ルーナ・ヘリアル:死の世界から力を引き出し、闇の魔法を使うので、元の世界では忌み嫌われていました。
ルーナ・ヘリアル:またその昔、亡くなった人間の魂を蘇らせようとし、失敗。罪に問われ投獄されていたことがあります。
ルーナ・ヘリアル:基本的には何を言われてもいつもニヤニヤと笑っていますが、義兄にだけは嫌悪の感情を剥き出しにしています。
ルーナ・ヘリアル:以上です。最高魔法「不老不死になる魔法」を獲得するためがんばるぞ!
GM:悪の魔法使い……いや悪ではないのだが
GM:いや悪の魔法使いでしょその願い! ではサンお義兄さまお願いします!
サン・ヘリアル:「サン・へリアル。最優の魔法使いとは私の事さ」
サン・ヘリアル:「何、此度の騒動も簡単に解決して御覧に入れる。少し手伝ってもらうかもしれないけどね」
サン・ヘリアル:真名を隠そうともしない魔法使い。だって最優だからね!
サン・ヘリアル:ルーナの義兄です。なんだか嫌われてるようだけど、参ったね。
サン・ヘリアル:かつての世界でも最優だったし、今の世界でもこの系統では最優。
サン・ヘリアル:ありとあらゆる生あるものから力を引き出すことができます。
サン・ヘリアル:その優秀さから統治政府のもとで働いています。治安維持機構とは言いますが、アドバイザーみたいなやつですね。
サン・ヘリアル:困ったことがあったらすぐに解決しちゃいます。なんでもね。
サン・ヘリアル:それで。まあ。ルーナの実力は他の誰よりも認めている、というか
サン・ヘリアル:サンが唯一認める魔法使いがルーナなわけですね。
サン・ヘリアル:それでも私が最優なのに変わりはないけどね!
サン・ヘリアル:以上。よろしくお願いします。
GM:仲のよさそうな兄弟でよかったですね~!
GM:よかないわ 重力魔法使いの間違いでは?

GM:というわけで最後のペア、オスカー・オーエンス&キリエ・ノインフィールド

【キャラシート】
GM:オスカーさんどうぞ
オスカー・オーエンス:「おれこそがオスカー・オーエンス! この都市の真実を暴く男だ。覚えておくがいい!」
オスカー・オーエンス:美貌と才覚を併せ持ち資産も手にいれたスーパーな男です。
オスカー・オーエンス:今回のブリンガーで唯一の希望のブリンガーです。輝いております。
オスカー・オーエンス:基幹世界の下層から自力で成り上がった資産家。あらゆる層を駆けずり回って稼いだ経験から、アーセルトレイの成り立ち、および世界の構造に深い関心を持っています。
オスカー・オーエンス:そのため実業家でありながら冒険家でもあります。毎日いろんなところで調べたりお仕事したり忙しいのだ。
オスカー・オーエンス:ステラナイツになろうと決意したのも、この世界の真実を知るためです。
オスカー・オーエンス:自分にふさわしいシースは、もちろん自分で選びましたよ!
オスカー・オーエンス:具体的には競り落としました。
オスカー・オーエンス:というわけで、競り落としたシースのキリエとともに、いつも通りの全力でがんばらせていただきます。
GM:自信満々の冒険家! キラキラしていますね! 後ろ暗いところが何もなさそう!
GM:ではシースのキリエさんどうぞ。
キリエ・ノインフィールド:「はい、オークションで競り落とされました。キリエといいます。……マスター、妄言はそのあたりにして、お仕事が山積みです」
キリエ・ノインフィールド:キリエ・ノインフィールド。首の後ろから水晶質の異形が生えたメイドです。
キリエ・ノインフィールド:この水晶は超圧縮エネルギー物質であり、前の世界では最悪の人間兵器として様々な悪人に使われていました。
キリエ・ノインフィールド:ですが、世界が滅び、エネルギーを利用する外装がなくなった結果、
キリエ・ノインフィールド:ほぼ無能力の少女となり、「最悪の人間兵器」という肩書だけがある状態で下層で売りに出されていたところを買われました。
キリエ・ノインフィールド:オスカーに対しては辛辣な態度ですが、自信満々に連れ回されているのを嫌がることはありません。
キリエ・ノインフィールド:願いは、女神に接触し、ただの人間に戻ること。らしい。
キリエ・ノインフィールド:マスター。何も考えず突っ込まないで下さいね。マスター、マスター!
キリエ・ノインフィールド:そんな感じです。よろしくお願いします。
GM:資産家と元人間兵器のメイド! ありがとうございます!
GM:では、今回はこの4チームでステラバトルをやっていきます。誰がエクリプスするか皆には分かるかな?
GM:テレビのリモコンから予想を送って豪華賞品を当てよう
GM:では、簡単にシーンについて説明を。
GM:今回のステラナイツは、各ペアシーン×2周の8シーン→変身シーン→ステラバトル→ED、という構成になっております。
GM:ご協力お願いします。

【第一幕】

黒のアネモネ 美味しいパン屋さん

GM:【アーセルトレイ公立大学付属高校  校舎1F  昼休み】
GM:数多の人種、様々な生徒が集まる学校でも、昼休みの、そして購買部の光景は大きくは変わらない。
柳 真尋:「ほら、クリームパンだ! ……食パン、ピザパン! 逸るな、押すな、駆けるな!」
柳 真尋:「商品は逃げん! 止まれ! 狙いのものが無くなった? 他のを買え、美味いぞ!」
柳 真尋:戦場めいた購買部の、店員側に立つ学生が一人。襲い来る生徒たちから硬貨を受け取り、包装されたパンを渡していく。
柳 真尋:声を張り上げ、汗が浮かぶ。購買部といっても、数多いる出入りの小業者であるやなぎブレッドのスペースは多くはない。
柳 真尋:ものの十数分で、陳列台の中は空になったのを確認すると、三角巾を外した。
桜葉こはね:そんな様子を見守る、一人の少女がいる。
柳 真尋:「ふう……」 一息つく。
柳 真尋:目の前に生徒に気付き、「む。悪いが今日はもう売り切れ……」
桜葉こはね:「うぇーっ!ほんと?」
桜葉こはね:ガビーン!と文字が浮かんでいそうな分かりやすい表情を浮かべる。
柳 真尋:「桜葉さん。いや、すまないな……」
柳 真尋:仏頂面を僅かに緩める。
桜葉こはね:「きょ、今日は1時間目からずっと、ピザパンの口だったのに…」
桜葉こはね:「すっかり人気者なんだから、やなぎブレッドのパンってば」
柳 真尋:「そうだったか。分かっていればピザパンも首を長くして待っていただろうに、残念だ」
桜葉こはね:「ふふふ、まあいいのです」気を取り直して笑う。
柳 真尋:「……少し出来は悪いが、ぼくが食べる用の小品ならいくつかある」
柳 真尋:「君が良ければ融通するが」
桜葉こはね:「お弁当なら持ってきてるし……って、ふえっ」目を丸くする。
桜葉こはね:「良いの? あっそしたら、わたしのお弁当と交換こしようよ」
桜葉こはね:「もしお口に合うようならですが……」おずおずと見上げる。両手で、お弁当の入ってるらしいミニバックを持っている。
柳 真尋:「それは……」
柳 真尋:「それなら、有りがたく、ご相伴にあずかる」
桜葉こはね:「わあ、決まりね!」パッと顔が華やぐ。
柳 真尋:首元のエプロン紐をほどきながら。「では、取ってくる。少し待っていてくれ」
桜葉こはね:「はあい」ニコニコと微笑んで、お行儀よく隅に立って彼を待つ。
柳 真尋:スペースの奥から、どこかファンシーなパンかごを持って出てくる。
柳 真尋:「どこで食べる? 外がいいか?」
桜葉こはね:「あっあのね、中庭に行きたいなと思ってて」
桜葉こはね:「晴れてて、お日様がポカポカして気持ち良いから…。どうでしょう?」
柳 真尋:「良い着眼点だ。そうしよう」
桜葉こはね:「はあい!」そうして、彼についていく。
柳 真尋:購買スペースから外へ出て、少し歩いて、中庭まで。
桜葉こはね:中庭に出た途端ぱたぱたと走ると、髪に結わえたリボンが揺れる。
桜葉こはね:「こっち、お気に入りのベンチなの!ここで食べよう」手招きします。
柳 真尋:揺れるリボンを見ていたが、すぐ我に帰る。「ああ」
桜葉こはね:「良かったあ、あのね、今日は唐揚げ弁当なの。こないだね、初めてお母さんと一緒に作って」
桜葉こはね:「自信作だからね、真尋くんにおすそ分けしても恥ずかしくないかなって……あ、なんてね!」
柳 真尋:「唐揚げか。それはいいな。冷めても味が続く」
桜葉こはね:「わぁ、発想がプロだねえ」
柳 真尋:「総菜パンの一つに……じゃないな」
柳 真尋:「どうぞ。好きなものを取ってくれ」 布を外すと、様々な種類のパンが雑に詰められている。
桜葉こはね:「ふふふ」くすくす笑う。
桜葉こはね:「わあ、いいの? えぇっとえぇっと……」
柳 真尋:クリームパン、総菜パン、フレンチトーストに、不格好なキャラもののパン。
柳 真尋:少し焦げがあったり、クリームが偏っていたりする。
桜葉こはね:「真尋くんにとっては、お店に並べられないパンなのかな?」目がうろうろしている。無意識に顔がニコニコしている。
柳 真尋:「そうだな。試作品と練習品で、うまく行かなくてな……」
柳 真尋:「食べられないのは可哀想だから、頑張って自分で消費している」
桜葉こはね:「ご協力させてください!」
桜葉こはね:そう言って、クリームパンと、目の場所がずれたキャラもののパンを手に取る。
柳 真尋:「こちらこそ、いつもご好評いただいております」 軽く笑い、ちょっと目線を逸らす。
柳 真尋:失敗作を見られるのは恥ずかしいものだ
桜葉こはね:「うふふ、わたしってば、休みの日だってやなぎブレッドに通ってるのにね」
柳 真尋:「では、ぼくも貰っていいか」
桜葉こはね:「もちろん! 好きなだけ持っていってくださいな」
桜葉こはね:そういって、パステルカラーのランチョンマットで包んだお弁当箱を開く。大きい。
桜葉こはね:レタスの上に、ピックが刺さった唐揚げが、たくさん詰まっている。
柳 真尋:大きなものを一つ摘まんで、ぱくりと一口。
桜葉こはね:女子生徒の食べるお弁当としてはだいぶ豪快かつ量が多い。作った人の性格と胃袋が発揮されている。
桜葉こはね:瞬きして、どきどきと真尋くんを見上げる。
柳 真尋:「……」 もぐもぐもぐもぐ。ごくん。
柳 真尋:「ふぁふい」
桜葉こはね:「ふぁふ……?」
柳 真尋:口を抑える。「思ったより、熱い……!肉汁が!」
柳 真尋:はふはふ、と口を開閉させる。
桜葉こはね:「えぇっ、えぇぇぇ」リボンがびっくりしたように跳ねる。
桜葉こはね:「ごっ、ごめんね、火傷した? えっとえっと、お茶飲む…?」あたふたあたふたしている。
柳 真尋:「だ、大丈夫。大丈夫だ……」手を上げつつ、
柳 真尋:「だが、うん……美味しい」
桜葉こはね:「!」
桜葉こはね:ぽーーーっと彼の顔を見る。
柳 真尋:「味付けが、いいな。こういうのは好きだ」
柳 真尋:「これは衣に……ああいや、余所のレシピを推測するのは無礼か」
桜葉こはね:「すっ、す……好き?」
柳 真尋:「ん。ああ、好きだ。」
桜葉こはね:「!」
桜葉こはね:顔が赤くなっている。「あっ…か…唐揚げがね!気に入ってくれて嬉しいなあ!」
柳 真尋:「む……あ、ああ」
桜葉こはね:「ほんとにうれしいな、えっと、こちらもいただきます!」
桜葉こはね:せわしなく、柳くんにもらったクリームパンをもぐもぐと食べる。
柳 真尋:こちらもなんとなく視線を逸らす。二本目をはふはふしながら食べる。
柳 真尋:※猫舌
柳 真尋:「その……どうだろう。ぼくのパンは」
桜葉こはね:「んっ、…美味しいー」うっとりとした声。
柳 真尋:「そ、そうか?」
桜葉こはね:「あのねえ、クリームのバニラビーンズが効いてて、生地ももちもちふわふわで美味しくて…」
桜葉こはね:「やっぱりねえ、いつ食べても、美味しいなあ…真尋くんのパン」
柳 真尋:「そうか」 ぱ、と顔が明るくなる。
桜葉こはね:「うん」ニコニコと笑う。
柳 真尋:「食べて貰えて嬉しい」
柳 真尋:「あ、いや、その。……パンが。パンがな!」
桜葉こはね:「いつも、そう言ってくれる」笑う。
桜葉こはね:「パンが? そっか、パンも喜んでくれてるんだねえ」
桜葉こはね:素直にうなずいている。
柳 真尋:「ぼくのは、ほんとは、まだまだなんだ。母さんのものに比べれば」
桜葉こはね:「……」真尋くんの横顔を見る。
柳 真尋:普段は硬質な口調が、少しだけ幼くなる。
柳 真尋:「きっと、もっとずっと、今より美味しくなるから」
柳 真尋:「もっと美味しいものも作れるようになるんだ。だから、その……」
桜葉こはね:「……うん」
柳 真尋:「その時まで、美味しく食べてくれていると」
柳 真尋:「とても、助かる。君に」
柳 真尋:軽く指を組んで呟く。
桜葉こはね:「………」瞬きして。
桜葉こはね:「……うん。わたしで良ければ…」
柳 真尋:「はは、なんだか、……」
柳 真尋:「…………いや、なんでもない」
柳 真尋:何か言いかけて、目を逸らす。
桜葉こはね:「な、なに……」顔を赤くして、こっちも目を逸らす。
柳 真尋:「いや、その……あまり良くない表現をしかけたので」
柳 真尋:「自粛した。気にしないでくれ」
桜葉こはね:「き、気になるのになあー……」言いながら、やり場を失った手でパンをむぐむぐ食べている。
柳 真尋:「自粛である。自粛パンをどうぞ」
柳 真尋:よくわからない言葉とともに菓子パンの端を持って差し出す
桜葉こはね:「はぁい」差し出されると受け取っちゃう。
桜葉こはね:「ねぇ真尋くん、そういえば」
柳 真尋:「む?」
柳 真尋:唐揚げの味が染み込んだレタスを頬張りながら
桜葉こはね:「こんな時にする話じゃないかもなんだけど……」
桜葉こはね:「また、あるみたい。その」言いよどむ。
柳 真尋:「ああ。ステラ……何某か」
桜葉こはね:「それです」フンフンと頷く。
柳 真尋:「……本当に、申し訳ない」
桜葉こはね:「えっ、どうして」
柳 真尋:「こればかりは、君を巻き込んだ形になっていると思う」
桜葉こはね:「ううん。わたし、すごく嬉しいんだよ」
桜葉こはね:「こんなわたしでも、真尋くんの願いを叶える協力ができるってこと。すごく嬉しいの」
柳 真尋:「……、君は……」
柳 真尋:「桜葉さんは、少し優しすぎると思うが」
桜葉こはね:「えっえっ、そうかな?」
柳 真尋:「悪いやつに騙されないか心配だ」
桜葉こはね:「だ、騙されないもん!」
桜葉こはね:「真尋くんは悪いやつじゃないし!」
柳 真尋:「……実は、君がいま口にしたパン、ロシアンルーレット用でからし入りなんだ」
桜葉こはね:「!!」
桜葉こはね:顔が青くなったり赤くなったりする。
柳 真尋:「すまない、虚言だ」
桜葉こはね:「!?!」
桜葉こはね:「も…もーっ!もーー!」
柳 真尋:「心配だ……」 お茶を渡しつつ。
桜葉こはね:「ううう……」恥ずかしそうに首をすくめた。
柳 真尋:「とにかく、またステラバトルというわけか」
桜葉こはね:「うん」お茶を両手で飲みつつ頷く。
柳 真尋:「近く、ぼくの方にも知らせが来るな。いつも感知は君の方が早いから」
桜葉こはね:「そうだったっけ?」
柳 真尋:「うん。ペアごとに個人差があるらしい」
桜葉こはね:「そうなんだぁ……」
桜葉こはね:「……今回も、頑張ろうね」
柳 真尋:「……ああ」
柳 真尋:隣に座る桜庭さんの手首を、そっと握る。
桜葉こはね:「ひゃ」アワワと目を丸くする。
柳 真尋:武器と化した彼女を、このように握ることを思い出す。
柳 真尋:「……ぼくの願いはもちろん、ある。母の死の真相を知りたい。同じ災害が二度と起こらないようにする」
柳 真尋:「けれど、それは君を蔑にしてやることじゃない」
桜葉こはね:「……うん」
柳 真尋:「君は、絶対にぼくが護るから」
柳 真尋:「どうか、今回もよろしく頼む」
桜葉こはね:「……うん」はにかむ。
桜葉こはね:「こちらこそ、よろしくお願いします」
桜葉こはね:「願いを叶えるために、一緒に戦おうね」

白のアマランサス 音楽家と少女

GM:【シーン2 リュディガー・シューマッハ&アウラ】
リュディガー:「………」声もなく、玄関のドアが開く。
リュディガー:くたびれた格好の男は帰宅の挨拶もなく荷物を乱雑にリビングの椅子の上に置いた。
アウラ:「おかえり」涼やかな声。
アウラ:夜の中、ぼうと浮かび上がるような白い肌。
リュディガー:「………アウラ」
アウラ:さらさら揺れる黒髪からのぞく瞳は、あらゆる色彩をうつろう色。どこか現実味のない少女が立って、微笑んでいる。
リュディガー:「曲を、作る。お前も準備をしろ」
アウラ:「はあい。ただいまくらい言ってもいいのに」揶揄うように言う。
リュディガー:「必要か?」
リュディガー:「純粋な、音と霊感だけあればいい。おれには」
リュディガー:そう言いながら部屋の隅にあるチェロを引っ張り出す。
アウラ:「わたしには暇つぶしが必要なの」
アウラ:「あなたがいない間、いつも死にそうなくらい退屈なんだから」
リュディガー:「死なれては困るな」
リュディガー:「………本を買ってやっただろう。もう読んだのか」
アウラ:「途中まで。ずっと読んでられないわ、飽きちゃった」
リュディガー:「お前はいつも注文が多い」
アウラ:「あら、わたしほど従順な鳥はいないでしょ?」
リュディガー:「………さて。鳥を他に飼ったことがないおれにはわからん」
アウラ:「あなたはきっとすぐに殺してしまうと思うな」
アウラ:「わたしくらいしか、飼えないよ。リュディガーには」
リュディガー:「…………」
リュディガー:「欲しいものがあったら言え。何でも買ってやる」
リュディガー:「おれには、お前が必要だ」
アウラ:「あはは、その場しのぎって感じの優しさ」微笑んで、彼のベッド脇へ座る。
アウラ:「いいよ。あなたがわたしを必要だという限り、いるから」
リュディガー:チェロの上に弓を走らせる。低く、通る音。
リュディガー:「そうしてくれ」
リュディガー:礼のひとつすらない。それが、この男だ。
リュディガー:「さあ、うたえ。アウラ。お前の魂を響かせてくれ」
アウラ:「ええ、かわいそうなひと。あなたのためだけに」
アウラ:音は聞こえない。
アウラ:弓を走らせる所作と、空気の振動で、おおよそわかる。ただ、彼が望むそれだけが。
アウラ:音を出す。
アウラ:咽喉を震わせ、おそらくそうであろう、という動きをする。
アウラ:リュディガーの表情を見て、成功しているかを判別する。
リュディガー:「………」
リュディガー:目を閉じる。暗闇に集中する。その旋律を、逃さないように。
リュディガー:聴こえるものに、更に音を重ねて。自分も声を出す。音楽が生まれる。
リュディガー:アウラは、自らの試みが上手く行っていることがわかるだろう。
リュディガー:ただ、静かに集中した表情。
リュディガー:それはあなたが知る限り最も穏やかなリュディガーの表情だ。
アウラ:自分だけの静寂の中を、綱渡りのように。
リュディガー:手繰っていく。見える、音の糸を。
アウラ:音を移ろい、踊るように、彼の腕から振り落とされてしまわぬように。
リュディガー:踊る彼女の手をとって。導くように弦を奏でる。
アウラ:ふ、とその歌をやめる。「……」
リュディガー:それと同時に。
リュディガー:最後の音を弾き終わる。
アウラ:「……疲れた」
リュディガー:「……ああ」
リュディガー:「やはりお前は素晴らしい」
アウラ:「そう? よくわからないけど。あなたがいいなら、いいんじゃない」
リュディガー:よろ、というように立ち上がり、ベッドに座るアウラのもとに歩いていく。
リュディガー:その頬に手を当て。
リュディガー:「お前にお前の価値がわからなくとも、おれは知っている」
リュディガー:「お前は何よりもとうとい存在だ」
リュディガー:「穢されるな。輝きのままでいろ」
アウラ:「……最低」咽喉を鳴らすように笑う。
リュディガー:「ああ。女神には見下されてこそだ」
リュディガー:「その加護を、おれにくれ」そのまま。
リュディガー:彼女の小さな体をベッドの上に押し倒す。
アウラ:「ああ、本当に、しょうもない男」
アウラ:痩せた手を伸ばす。
アウラ:男の骨ばった背を撫でてやる。
リュディガー:その感触を味わいながら
リュディガー:少女の躰の骨を確かめる。メロディを、辿るように。
アウラ:くすくすと笑う声が零れる息になり、彼の鼓膜を揺らす。
リュディガー:奏でていく。交わっていく。魂と魂で触れ合っていく。
アウラ:(ああ、なんてさみしいんだろう)
アウラ:(なんて、……)一度過ぎった言葉を、男の手にかき消される。
アウラ:忘れていく。そして、傲慢に、非力に、か細い呻きをあげて見せた。
リュディガー:そして形ばかりの夜が過ぎれば。
リュディガー:男は立ち上がり、書斎に向かおうとする。
アウラ:「あれ、もう行っちゃうんだ」
リュディガー:「おれは人間だから、浮かんだ曲は書き残さないと忘れてしまう」
アウラ:貼りついた髪を細い指で触れながら、茫洋と天井を見ている。
アウラ:「めんどうね、人間だから」
リュディガー:「お前はいつも天上の音を連れてきてくれる。捕まえておかなくては」
リュディガー:「ああ。人間だから」
アウラ:「家からは出してよ。暇なの」
リュディガー:「ダメだ」
アウラ:「また汚れるだのなんだのでしょ?」
リュディガー:「わかっているなら言うな」
アウラ:「だってくだらないんだもん。あなたの女神は」
アウラ:「そんな容易く汚れてしまうようなものなの?」
アウラ:「信心が足りないんじゃないの?」
リュディガー:「………」
リュディガー:「雑音を混ぜたくない」
リュディガー:「信じている。だが」
リュディガー:「それは穢れないということにはならない」
アウラ:「ふうん」興味なさげに言う。
アウラ:「まあ、おとなしくしてるよ」
リュディガー:「頼む」
アウラ:「ああ、でも今度、花を見に行こう」
アウラ:「行こう、じゃないか。見に行くよ」
アウラ:茫洋とした虹の眼が、天を見ている。
リュディガー:「……花」
リュディガー:「フラワーガーデンか」
アウラ:「うん」
アウラ:「あそこくらいしか行けないんだもん」
リュディガー:「……より、高みへ」
リュディガー:「見に行こう」
アウラ:「正直、もう見飽きちゃったけど」
リュディガー:「飽き性だな」
リュディガー:「……その移り気さも女神ゆえ、か」
アウラ:「そう?毎日おんなじ部屋にいて、おんなじ男と会うことに耐えるくらいには」
アウラ:「わたしは健気な女神でしょ?」
リュディガー:「……ああ。罰当たりな自覚はある」
リュディガー:「それでもおれにはお前が必要だ」
リュディガー:「……アウラ」
リュディガー:「どこにも、行ってくれるなよ」
リュディガー:それだけ言うと
リュディガー:書斎に入り、ドアを閉める。
アウラ:「放っておくなんて、零点だな」楽し気に小さく零す。
アウラ:この古びた壁と天井よりは、あの花々のほうがいくらかましな景色だろう。
アウラ:自分の手足で駆け回れはしないが。
アウラ:さんざん触れられた腕と、指を動かしてみる。
アウラ:リュディガーに与えられた本の、挿絵の女神と重ねてみる。
アウラ:「……バッカみたい」甘えるように、虚空に呟くと。
アウラ:ベッドの上で丸まって、静かに眠りに落ちた。

黒のヒガンバナ 黒き月、金色の太陽

GM:【シーン3  ルーナ・ヘリアル&サン・ヘリアル】
サン・ヘリアル:深夜。ヘリアル邸。
サン・ヘリアル:静かに玄関ホールの扉が開く。
サン・ヘリアル:「…ただいま」よく通る声を小さく抑えて、帰宅を告げる。
ルーナ・ヘリアル:「おやおやおや」ホールにある階段から、ねっとりとした声が響く。
ルーナ・ヘリアル:「遅いお帰りでございますなぁ、義兄殿?」暗闇に溶け込むような深い黒髪の男。
ルーナ・ヘリアル:三日月のように目を細め、ニヤニヤとした笑みを浮かべている。
サン・ヘリアル:「やあ。少しばかり多く頼られてしまってね。無碍にもできないだろう?」
ルーナ・ヘリアル:「多く!頼られてしまって!」
ルーナ・ヘリアル:「心優しき魔法使い殿は、下々のお声に耳をお傾けあそばされる訳ですなぁ」
ルーナ・ヘリアル:階段の手すりに頬杖をつくようにして、義兄を見下ろしている。
サン・ヘリアル:「そりゃ、仮にも最優にして万能だからねえ。そのぐらいはするさ」
サン・ヘリアル:「お前の方はどうなんだい、ルーナ」
ルーナ・ヘリアル:「はい?」
ルーナ・ヘリアル:長く伸びた爪でカリカリと手すりをかいている。
サン・ヘリアル:「学会だよ。調子はどうだい?」
サン・ヘリアル:「何か面白いことはあったかな」
ルーナ・ヘリアル:「ンン……ンンフフフフフ!ハッハッハ!」
ルーナ・ヘリアル:「えぇ、えぇ。それはもう、順調に」
ルーナ・ヘリアル:「今宵も悪霊共を召喚せしめ、あらんかぎりの暴虐の限りを尽くし」
ルーナ・ヘリアル:「全く持って、愉快極まる宴を開催いたしましたとも」
サン・ヘリアル:「そうか。それは、良かった」
サン・ヘリアル:こともなげに言う。
ルーナ・ヘリアル:「………」パキ、と、爪が欠ける音がする。
ルーナ・ヘリアル:「いやしかし、最優の魔法使い殿が玄関に棒立ちとは? 貴方を慕う者共にも見せたい光景ですなぁ」
サン・ヘリアル:「ああ、お前と話す時間が心地良くて忘れていたよ」
サン・ヘリアル:「リビングに行こう。いい香が手に入ってね」
ルーナ・ヘリアル:「心地良い? ンン!」
ルーナ・ヘリアル:「あいにく私は貴方の顔を見るたび嫌気が差すもので。香など興味のない…」
ルーナ・ヘリアル:そう言いながら、くるりと踵を返そうとする。
サン・ヘリアル:「まあそう言うな」
サン・ヘリアル:その言葉とともに、ルーナの足が止められる。
サン・ヘリアル:生体操作の魔。
ルーナ・ヘリアル:「んぬぅ!」自分の意志と反して足が止まる。
ルーナ・ヘリアル:「義兄殿……貴様……」憎々しげに顔が歪む。
サン・ヘリアル:「偶には義兄との茶飲み話にでも付き合ってくれよ」
サン・ヘリアル:ぐいぐい、と何かがルーナの背を押す。
サン・ヘリアル:小さな光のようなものが纏わりついている。
ルーナ・ヘリアル:「なァにが茶飲み話だッ、クソ……!」反抗できるものならしている。圧倒的な力で押さえられている。
ルーナ・ヘリアル:薄暗い屋敷の廊下を歩かされ、リビングまで連行される。
サン・ヘリアル:リビングにぽう、と暖かな灯がともる。
ルーナ・ヘリアル:「……」光に顔をしかめる。寝間着に分厚いローブをぐるぐると巻き付けたような格好。
サン・ヘリアル:荷物から取り出した香を香立てに置くと、火を付ける。
ルーナ・ヘリアル:ソファにどっかりと座り、ふてくされた表情で足を組んでいる。
サン・ヘリアル:「麦茶でいいかな」
ルーナ・ヘリアル:「お好きなように」
サン・ヘリアル:勝手にポットに水が溜まり。そこにティーバッグが飛び込み。
サン・ヘリアル:しばらくすれば、コトコトと沸き始める。
ルーナ・ヘリアル:「処女の血液でも良いのですよ? 義兄様に飲み下せるものならば」
サン・ヘリアル:いつの間にか二人の前に置かれていたティーカップにお茶が注がれる。
サン・ヘリアル:「お前には飲めるのかい?」
ルーナ・ヘリアル:「大好物ですとも」赤い舌が覗く。
サン・ヘリアル:「今のところ大量に失血した女性は見つかっていないのだけどね」
ルーナ・ヘリアル:「骨も残らずしゃぶり尽くしているのですよ」
ルーナ・ヘリアル:目の前に置かれたティーカップを見ながら言う。
ルーナ・ヘリアル:「驚きました?」
サン・ヘリアル:「ふうん?失踪者の記録と照らし合わせると……該当しそうなのは5年前だなあ」
ルーナ・ヘリアル:「…………」「チッ」舌打ち。
サン・ヘリアル:「ははは。そう悪ぶらずともいい」
サン・ヘリアル:「そのようなことをしていたなら真っ先に私が止めるのだから」
ルーナ・ヘリアル:「減らず口が好物のようですなあ…」苛々している。
サン・ヘリアル:対してこちらは楽しそうだ。
ルーナ・ヘリアル:「ええ、ええ。そうでしょう。私の身体をねじ伏せて」
ルーナ・ヘリアル:「最優の魔法を行使するのでしょうなぁ。力を引き出すことができる貴方であれば、その反対も容易でしょう」
ルーナ・ヘリアル:「それが貴方だ、義兄殿。人の優位に立ち、屈服させるのがお好きな偽善者」
ルーナ・ヘリアル:舌を覗かせる。「そうでしょう?」
サン・ヘリアル:「そうだよ。でもお前は抵抗するのだろうね。力のあらん限り」
サン・ヘリアル:「絶対に願いを諦めることのないお前ならば」
サン・ヘリアル:「私はね、ルーナ」
ルーナ・ヘリアル:「はい?」長い指でティーカップを持つ。
サン・ヘリアル:「お前が優秀なのが嬉しいんだよ」
ルーナ・ヘリアル:「……嫌味がお上手ですなあ」
サン・ヘリアル:「嫌味ではないさ。お前の力は誰よりも知っている」
ルーナ・ヘリアル:「………」
ルーナ・ヘリアル:「……貴方が私の何を知るというのです」
ルーナ・ヘリアル:「まったく忌々しい。何を分かったようなことを仰る?」
サン・ヘリアル:「何でも知ってる……と言いたいんだけどね」
サン・ヘリアル:「お前は素直じゃないから、簡単ではないなあ」
サン・ヘリアル:「……それでも」
サン・ヘリアル:「そこらの有象無象よりかはよっぽどよく知ってるさ」
ルーナ・ヘリアル:「私を」
ルーナ・ヘリアル:「渡すものか。貴方には」
サン・ヘリアル:目を丸くして、義弟を見つめる。
サン・ヘリアル:「……ふふ」
サン・ヘリアル:「いいね。私にそこまで言ってくれるのはお前ぐらいだ」
ルーナ・ヘリアル:「……チッ」再びの舌打ち。
サン・ヘリアル:(……それでも)
サン・ヘリアル:(お前は私のそばにいてくれるのだろう?)
サン・ヘリアル:麦茶を飲む。
ルーナ・ヘリアル:「えぇ、貴方の周りの者ときたら、貴方がもたらす甘い蜜を期待して目を輝かせているのでしょう?」
ルーナ・ヘリアル:「今宵の香だって、その一環。見返りのために貢がれる身というのもつらいものですなあ」
サン・ヘリアル:「うん。うん。解ってもらえて義兄は嬉しい」
サン・ヘリアル:「……疲れるね。ああ言うのは。もらえるものはありがたくもらうけれど」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフ!」
ルーナ・ヘリアル:「そうでしょう、そうでしょう! やはり貴方はそういう男だ」
ルーナ・ヘリアル:「貴方に焦がれる者など一切気に介さない男。ええ、おつらいでしょうねえ」
サン・ヘリアル:「偶に言われるよ、人でなしだとは」
サン・ヘリアル:「私も全くそう思う!ははは」
ルーナ・ヘリアル:「貴方のそのお醜いお心を、皆に知らしめてあげたいものですよ」
サン・ヘリアル:「そうできたら、幾ばくかは楽になるかなあ」
サン・ヘリアル:「お前、やっておいてくれないか?」
ルーナ・ヘリアル:「ええ、良いでしょうとも」
ルーナ・ヘリアル:「まずは香を送った方のお名前でも教えていただければ、私めが丁寧にお礼の手紙でもしたためましょう」
サン・ヘリアル:「………ああ、だけど」
サン・ヘリアル:「私のせいでお前にまた良くない噂が立つのは嫌だな」
ルーナ・ヘリアル:「私にとっては誉が増えるだけですが」
サン・ヘリアル:「………」
ルーナ・ヘリアル:「この卑近な身に、ひとつ傷が増えたところで!」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ、それはそれで、光栄の極み」
サン・ヘリアル:「相変わらず、己と言うものを軽んじる」
サン・ヘリアル:「莫迦者」
ルーナ・ヘリアル:「誰かと違って可愛がられることに慣れていないもので」
ルーナ・ヘリアル:ティーカップの麦茶をぐびりと飲む。
サン・ヘリアル:「なら慣らして欲しいか?」真面目くさった顔で。
ルーナ・ヘリアル:「……」その顔色を見て。「…気色悪い事を申しますな」
サン・ヘリアル:「………………」
サン・ヘリアル:「お前に自分を大切にして欲しいだけなのだけどね、私は」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ」
ルーナ・ヘリアル:「ならば、此度の戦いで、私が傷一つ付かないことを祈ればよろしい」
サン・ヘリアル:「ふふ、それなら大丈夫」
サン・ヘリアル:「私がお前の鎧になるんだ、傷一つつくわけがないだろう?」
ルーナ・ヘリアル:「光栄至極! ただ、まぁ、私がうっかりと武器と化した貴方を折ってしまっても…」
ルーナ・ヘリアル:「まったくもって仕方のないこと。そうでしょう、ンッフフフフ!」
ルーナ・ヘリアル:吐き捨てるように言って、猫のようにソファから立ち上がる。
サン・ヘリアル:「そうだね、もう遅い。休むのがいいだろう」
サン・ヘリアル:「あと」
ルーナ・ヘリアル:「何ですかな」
サン・ヘリアル:「お前はそんな『うっかり』はしないよ。そうだろう?」
サン・ヘリアル:微笑む。
ルーナ・ヘリアル:「無知な童女のようにそう思っていればよろしい」忌々しそうに言って。
ルーナ・ヘリアル:退室する間際、大柄な体から伸びる掌が、甘い香りを発する香を包み、その火をかき消す。
ルーナ・ヘリアル:「では、御機嫌よう。義兄殿」
サン・ヘリアル:「おやすみ」
サン・ヘリアル:その姿を見送って。
サン・ヘリアル:消えた香を見つめながら、呟く。
サン・ヘリアル:「……私には、お前が無垢過ぎて心配だよ、ルーナ」

赤のバラ あるメイドとあるマスター

GM:【シーン4  オスカー・オーエンス&キリエ・ノインフィールド】
GM:アーセルトレイは、ロアテラ世界によって滅んだ世界の残滓で作られた、積層都市だ。
GM:その層数は常に増え続けており、新しく追加された……滅んだ世界は、下に継ぎ足されていく。
GM:学園が存在する上層は治安もいいが、下層に従って管理の眼は届かなくなる。
GM:……ゆえに、こういったことも起きうる。
GM:『さあ、お集まりの皆さま。こちらにあるは、つい先日のこと最下層に現れた、最新の流物!』
GM:仮面を被ったオークションニアが叫ぶ。
GM:『見た目はただの子供でしょう。されど、確かな情報によれば彼女は、最強の人間兵器!』
GM:『単身で層すら破壊できる、人造の破壊兵器なのです!』
キリエ・ノインフィールド:(…………)
キリエ・ノインフィールド:檻に繋がれた、服とも装甲ともつかない襤褸に身を包んだ少女。
キリエ・ノインフィールド:何が起きたのか、何一つ分からない。確かなのは、自分がまた、売られようとしているということだ。
キリエ・ノインフィールド:世界が未知の怪物に滅ぼされても、なお変わらない自分の扱いに、笑ってしまう。
キリエ・ノインフィールド:(――ああ、でも、ほんとうに)
キリエ・ノインフィールド:(ばかな、ことだ)
キリエ・ノインフィールド:今の自分には外装がない。砲も、障壁も、飛翔も、なにひとつできない。世界が終わったそのときに、何の役にも立たずに、失われた。
GM:『500出ました! ――600! 650! おお、800! 800出ました! 他にはございませんか!』
キリエ・ノインフィールド:こちらの貨幣価値も、おおよそ把握した。馬鹿みたいな金をかけて、彼女を落そうとする、これまでの使用者でも、とびきりの馬鹿ども。
キリエ・ノインフィールド:「…………」 不意に、その中の一人に目が行った。
キリエ・ノインフィールド:背の高い、金髪の男。羽のついた派手なドミノマスク。最前列にいるのに、まだ一度もビットもしていない。
オスカー・オーエンス:そのマスクの向こうの目があなたを見た、気がした。
GM:『1000万! ほう、素晴らしい、素晴らしい慧眼! 他には--』
オスカー・オーエンス:「5億」
キリエ・ノインフィールド:(……?)
GM:しん、と場が静まり返った。
オスカー・オーエンス:高らかに言い、男が立ちあがる。
GM:オークショニアが問い返す。『……は?』
キリエ・ノインフィールド:「」
キリエ・ノインフィールド:「……は?」
オスカー・オーエンス:パチン、と右手の指を鳴らす。「もういいだろう。終わりだ」
GM:群衆がざわつき、ざわつき、静まりかえる。反論はない。
オスカー・オーエンス:そして周囲に気を留めず、檻へと足を運ぶ。悠々と。
キリエ・ノインフィールド:傷つき、汚れた身体。唖然と見上げている。金銭価値は、もう把握している。
オスカー・オーエンス:磨かれた革靴が、なにものかの体液で汚れた床を踏む。
オスカー・オーエンス:オークショニアから鍵を奪うように取り上げ、開錠。
キリエ・ノインフィールド:きい、と扉が開く。
オスカー・オーエンス:「まずは服を用意せねばならんな」
キリエ・ノインフィールド:目を細める。逆光のように感じたのだ。こんな、下層の屋内なのに。
オスカー・オーエンス:彼女に見えるように、仮面をはずす。プラチナブロンドが零れ、すみれ色の瞳がきらめく。
オスカー・オーエンス:平然と手を差し出す。踊りにいざなうように。
キリエ・ノインフィールド:「ぁ……」
オスカー・オーエンス:「来い、おれのシース」
キリエ・ノインフィールド:「あなた、は……?」
オスカー・オーエンス:「いや、名前を聞いていなかったな」
オスカー・オーエンス:「おれはオスカー・オーエンス」
オスカー・オーエンス:「おまえにもあるだろう?」
キリエ・ノインフィールド:前の世界まで含めて、間違いなく彼女を最高額で買った--よりによって、無力になった自分を!
キリエ・ノインフィールド:「……”第九の”……いえ」
キリエ・ノインフィールド:「キリエ。キリエ・ノインフィールド……です」
キリエ・ノインフィールド:――これが、最初の出会い。
キリエ・ノインフィールド:馬鹿か馬鹿でないかといえば、歴代で間違いなく、いちばんのおおばかもの。
キリエ・ノインフィールド:最後のマスター、オスカー・オーエンスに、私はこうして買われた。
キリエ・ノインフィールド:――――――
キリエ・ノインフィールド:――――
キリエ・ノインフィールド:―――

GM:【現代/アーセルトレイ  下層に近い、とある屋敷】
キリエ・ノインフィールド:大雨の中で、ばたばたばた、と水を蹴立てて走っている。
オスカー・オーエンス:冒険用の服だが、それにしても泥まみれでびしょぬれ。
オスカー・オーエンス:自慢のプラチナブロンドも汚れている。収穫はない。
キリエ・ノインフィールド:「ほんっとうに……もう! 馬鹿マスター!」 コートの下に収まっている。
オスカー・オーエンス:「承知の上だ!こういう噂はたいてい外れだぞ!」おさめつつドタドタ走っている。
オスカー・オーエンス:「しかしこういう地道な努力がだな、貴重な一歩でうんぬんかんぬん!」
キリエ・ノインフィールド:「なんで外れなのに向かうんですか!? 誤魔化されませんからね!」 大きな扉を軽々と開けて、エントランスに。
オスカー・オーエンス:「着いた!」キリエをそっと下す。
キリエ・ノインフィールド:「はあっ、はあっ……!」
オスカー・オーエンス:「外れとされていても、おれから見れば発見があるかもしれんだろう!」
オスカー・オーエンス:ぐしょぐしょの腕をバシっと広げる。
オスカー・オーエンス:「今回はなかったが!」
キリエ・ノインフィールド:「だからって……ああもう」
オスカー・オーエンス:「む、おまえも少し濡れたな。裾が長いからか」
オスカー・オーエンス:与えたメイド用の服は不便そうなことが最近気になるが、本人は隠れるのが良いらしいのでそのまま与えている・
キリエ・ノインフィールド:「……これくらい。それよりマスター、お風呂へどうぞ。来る途中、リモートで沸かしておいたので」
オスカー・オーエンス:「風邪をひくぞ。お前は入らんのか」上着をその場で脱ぎながら。
キリエ・ノインフィールド:壁の機器を確認する。オスカーの保有する屋敷の一つ。勝手はもう分かっている。
キリエ・ノインフィールド:「お陰さまで、濡れているのは足元くらいです。」
キリエ・ノインフィールド:首から生えた水晶が熱を発し、僅かに濡れた髪を乾かしている。
オスカー・オーエンス:ネクタイをその場で外し。なんならシャツもその場でボタンをはずして風呂場に向かっている。
キリエ・ノインフィールド:「ちょっ……」
キリエ・ノインフィールド:慌てて脱いだ服を拾う、ていで視線を逸らす。
オスカー・オーエンス:キリエの濡れた髪を指で触れる。「冷えるぞ」
キリエ・ノインフィールド:「ひゃっ」
オスカー・オーエンス:「おまえはどうも自分の健康に雑なところがある!おまえもシャワーは浴びろ!」むろん別のところでという意味だが、いまいち言葉にできていない。
キリエ・ノインフィールド:「な、は、う……」目を白黒させて。「私は良いんです! 頑丈なので!」
オスカー・オーエンス:「言うほど頑丈じゃないだろう! 今のお前はそこそこだそこそこ!」
キリエ・ノインフィールド:「そこそこですけども! マスターはそれこそ素の人間でしょう!」
オスカー・オーエンス:「言っておくがおれは健康優良児だぞ!」ぎゃーすか言いながら風呂場へ。
キリエ・ノインフィールド:「ああもう、いいから! 埒が明かない!」 ぐい、とオスカーの大柄な身体を、樽か何かのように持ち上げる。
オスカー・オーエンス:「ギャーーッ!!!」容姿に似合わぬ汚い悲鳴を上げる。
キリエ・ノインフィールド:首の水晶--超高圧縮エネルギー資源『蒸晶』が赤く輝く。外装がないが、このくらいの発揮はできる。
キリエ・ノインフィールド:「後で私も入りますから! お気遣いなく!」 ぽーいっと風呂場に投げ込む。
オスカー・オーエンス:「うわーーっ」風呂場に放り込まれる。
キリエ・ノインフィールド:「ふん! 洗濯もしておきますね!」 洗濯をしておく時の口調ではない。
オスカー・オーエンス:「ぐっ…フワフワの洗い立てにさせられてしまう…」
オスカー・オーエンス:諦めて脱ぎ捨て、風呂に入る。
オスカー・オーエンス:「おまえも入れよ! 本当にな! 適当に済ませるなよ!」
オスカー・オーエンス:ドアの向こうに声を張る。オークションの時より大きい声だ。
キリエ・ノインフィールド:それを見送ると、遅れて更衣室に入り、洗濯物を拾いつつ落ちた泥を拭く。
キリエ・ノインフィールド:「そう思うんなら、お得意の財産で、次から男女別の風呂にしておけばいいじゃないですか」
オスカー・オーエンス:「な、なるほど…!増設するか…!」
キリエ・ノインフィールド:「ええー……無駄遣い……」
オスカー・オーエンス:「無駄じゃないだろう! これからもこういうことがあるわけだからな」
オスカー・オーエンス:「次は三日後に発つからなー!」といいつつお湯のあたたかさに呑まれていく。
キリエ・ノインフィールド:「えええ……」
キリエ・ノインフィールド:呆れたバイタリティに肩を竦めながら、洗濯物を分け始める

キリエ・ノインフィールド:「ふう…………」
キリエ・ノインフィールド:オスカーの風呂が終わり、言いつけどおりに自分もしっかりと温まった。
キリエ・ノインフィールド:髪も乾かしてまとめている。メイド服よりも幾分かゆるい、けれど途方もなく上質の服が身を包む。
キリエ・ノインフィールド:扉をノックする。「マスター、入ります」
オスカー・オーエンス:「ああ」
キリエ・ノインフィールド:扉を開ける。ここの文明基準でも、なお古めかしい暖炉の火に目を細める。
オスカー・オーエンス:絹のバスローブを纏い、革張りの椅子に身を預けている。
キリエ・ノインフィールド:あの日から変わらない、陽光のような姿に、束の間見入る。
オスカー・オーエンス:「なんだ。見惚れたか?」
キリエ・ノインフィールド:はっ。「そ、んなわけない! でしょう!」
キリエ・ノインフィールド:「暢気そうだなって、思っただけです!」
キリエ・ノインフィールド:ずかずかと部屋を横断して、ティーセットを手に取る。
オスカー・オーエンス:「おい、なんだ、怒るな」キリエを見る。
オスカー・オーエンス:前よりひどく健康そうで、すっかり元気で、怒りさえする。
オスカー・オーエンス:そんな少女に、ふと笑みがこぼれる。
キリエ・ノインフィールド:「怒ってませんっ」
オスカー・オーエンス:「ああ、わかったわかった」
キリエ・ノインフィールド:言いながら、手際良く紅茶を淹れて行く。これも、元々は身につけていなかった。
キリエ・ノインフィールド:オスカーに仕えるにあたって、一から身に付けたもの。
オスカー・オーエンス:慣れた薫りに安らぎを覚える。彼女が淹れるこの時間と薫りがなかった時を思い出せないほどだ。
オスカー・オーエンス:渡されたティーカップに口をつけ、息を吐く。
キリエ・ノインフィールド:言葉も発さず、傍に立つ。主が寛いでいるときの、前の世界の頃の癖。
オスカー・オーエンス:「おい、そこに座ってくれ。落ち着かん」笑う。
オスカー・オーエンス:「それと、言ったろう。おれは一人で茶を飲むのは好かんのだ」
キリエ・ノインフィールド:「……あ」気付く。「ご、ごめんなさい」
キリエ・ノインフィールド:慌てて、おずおずと対面に座る。
オスカー・オーエンス:「紅茶を淹れるのはすっかり巧くなったんだがな」愉し気に。
キリエ・ノインフィールド:「……マスターがとびきり珍しいだけです」
オスカー・オーエンス:「とびきり優秀なんだ」
キリエ・ノインフィールド:「その優秀さを素直に活かせば、統治政府の幹部でもなんでも就けるでしょうに」
オスカー・オーエンス:「ハ、あんなもの女神の犬も同然だ。高級な檻に入って満足するおれじゃない」
オスカー・オーエンス:「臭い雨に降られても、こうして好きに出歩いてゴミを漁れるほうがよほど幸福だ」
キリエ・ノインフィールド:「……その酔狂で拾われた身としては、何も言いませんけど」
キリエ・ノインフィールド:す、と紅茶を呑みつつ。
キリエ・ノインフィールド:「気付いていますか? マスター。兆しが来てます」
オスカー・オーエンス:「ああ。まったく、どういう労働形態なんだこれは?」
キリエ・ノインフィールド:「世界を守るお仕事ですよ。労働法なんて無視されますよ」
オスカー・オーエンス:「酔狂でないと付き合いきれんぞ。世界を守れているのだか、目に見える形でもなし」
オスカー・オーエンス:「おれのような酔狂がいることをもっと尊ぶべきだな」にやりと。
キリエ・ノインフィールド:「それと。今回は、相手もまたステラナイトだそうです」
オスカー・オーエンス:「……」眉をひそめる。あたたかな紅茶を飲む。
オスカー・オーエンス:「腹立たしい」
キリエ・ノインフィールド:「……」 ロアテラに侵蝕を受け、願いを歪められた騎士。
キリエ・ノインフィールド:「そういうことが起きること自体、説明なんてされていない」
オスカー・オーエンス:「やはりおれは、この世界を、女神を、信じる気にはなれないな」
オスカー・オーエンス:「真実を知らせず人を摩耗させる神など、おれは認めない」
キリエ・ノインフィールド:「けれど、ロアテラに直接挑むわけにもいかないでしょう」
キリエ・ノインフィールド:「完全装備の私がクシャポイだったんですから、マスターなんてプチッですよ」
キリエ・ノインフィールド:親指と人差し指を摘まむように合わせる。
オスカー・オーエンス:「お、おまえ、おれだって傷つくことはあるぞ!」
オスカー・オーエンス:「事実だが!」
キリエ・ノインフィールド:「ええー、ほんとですか?」 傷つくことはあるぞ、に
キリエ・ノインフィールド:小さく落とすように笑う。
オスカー・オーエンス:「……む。だが、今はおれとおまえのふたりだ」
オスカー・オーエンス:「無論、それはただの2でしかないが。1よりはましだろう」
キリエ・ノインフィールド:「それは、そうですね。……本当に」
オスカー・オーエンス:「最強の兵器だったおまえと、天才のおれならば」
オスカー・オーエンス:「女神ですら出し抜いて、この世界を暴ける」
キリエ・ノインフィールド:「……。本当に」
オスカー・オーエンス:「馬鹿だと思うか?」幸せそうに微笑む。
キリエ・ノインフィールド:硬く言い切られる。この自信が、オスカー・オーエンスを彼たらしめるものだ。
キリエ・ノインフィールド:「……思いませんよ。それは」
キリエ・ノインフィールド:「最強の兵器の、兵器部分が丸ごとなくなった私を、大金を払って買った馬鹿なマスター」
キリエ・ノインフィールド:「それでも。私、その分の仕事はするつもりです」
オスカー・オーエンス:「馬鹿は否定しろ……!」
オスカー・オーエンス:「そういう流れだっただろ!」
キリエ・ノインフィールド:「馬鹿じゃなくなるとしたら、その時だけでしょう」
キリエ・ノインフィールド:「私が最強の兵器となって、あなたの手で世界を暴くその日まで」
キリエ・ノインフィールド:「その日までは、マスターはずっと世紀の馬鹿のままです」
キリエ・ノインフィールド:「この戦いも、その為の一歩と思えば、惜しくはないでしょう」
オスカー・オーエンス:「馬鹿は余計だが……まあ、いいさ。いつものような華麗な一歩で終わらせてやる」
オスカー・オーエンス:「それだけだ!」
キリエ・ノインフィールド:「はい。よろしくお願いします、マスター」

【第二幕】

黒**ネモ* **

GM:アーセルト*イ最上階
GM:その中*に位*置する**願ヰノ**決闘場(フ*ワー・ガ**デン)……
柳 真尋:『はあっ、はっ、はっ……!』
桜葉こはね:『真尋くん、真尋くん……!』
柳 真尋:『お前は……お前はっ!』
柳 真尋:眼前に広がる、嵐と雷鳴。アーセルトレイには、本来ありえないはずの空。
柳 真尋:それは、彼の母親を殺したものと同じ。
桜葉こはね:『もう止めて、戦わないで…!』そう叫ぶが、聞こえているかどうかは分からない。
桜葉こはね:『だめだよぉ、これ以上戦っちゃ、死んじゃうよぉ…!』しかし叫ぶ。
柳 真尋:『お前さえ、いなければっ……!』 武器を持っている。桜葉こはねが変じる武器。
柳 真尋:それと、少女が別個に存在している。その矛盾に。
柳 真尋:気付くこともなく、眼前の影へと。
桜葉こはね:泣きそうな顔で、彼の後方に立っている。やはり、その矛盾に何も気付いていない。
桜葉こはね:必死に彼に駆け寄り、追いすがろうとしている。しかし、動けすらしない。
GM:影は、男のようにも女のようにも、大人のようにも子供のようにも見える。
GM:ただ、薄気味悪い笑みを浮かべて、手にした武器を奮い----
GM:巻き起こった雷鳴と嵐が、貴方達を吹き飛ばした。
桜葉こはね:『真尋くん、真尋くん!真尋く───』
柳 真尋:『くそ、畜生、あああ――――!』

桜葉こはね:パチッと。目を開ける。
桜葉こはね:(…………あ)
桜葉こはね:(夢…………)
桜葉こはね:目覚まし時計のアラームが鳴っている。カーテンを向こうから、柔らかい陽光が差し込んでくる。
桜葉こはね:午前8時。休日の朝。
桜葉こはね:爽やかな一日の始まりで、あるはずだ。
桜葉こはね:なのに、こんなにも、全身はじっとりと汗をかいていて、心臓はどくどくと早鐘のように鳴っている。
桜葉こはね:(………)
桜葉こはね:洗面台で鏡をのぞけば、うさぎ柄の可愛いパジャマに反して、暗い顔の自分が映っている。
桜葉こはね:不安な気持ちが覚めやまず、だから、意を決して彼に電話をかけた。
柳 真尋:しばらくのコールの後、電話に応えた。
桜葉こはね:「……真尋くん? あのね、ごめんね、電話しちゃって……。その、用事ってわけじゃないんだけど……」
桜葉こはね:「その………」なんて言ったらいいか分からず、言葉に窮する。
柳 真尋:「……ああ。いや、……」
柳 真尋:口調は奇妙に平坦だ。
桜葉こはね:「真尋くん……?」
柳 真尋:「そうか。……すまない、桜葉、さん。会えるだろうか」
桜葉こはね:「えっ」「え……う、うん!はい!」
桜葉こはね:「会えます!」
柳 真尋:「こちらも、話したいことがある。それなら--」 と、場所を伝える。
桜葉こはね:寝ぐせを整えながら、慌てて家を飛び出した。

柳 真尋:場所は、店にほど近い、柳が個人で使える練習用の工房。以前にも、桜葉さんは訪れたことがある。
桜葉こはね:緊張と少しの不安に頬を染めて、おどおどと顔を覗かせる。
柳 真尋:「すまない。急に呼びつけた」 と、扉から顔を出し、中へと案内する。
桜葉こはね:「ううん、大丈夫です……」きょろきょろと見回しながら、案内されます。
柳 真尋:中は、どこか不安定だ。
柳 真尋:練りかけの生地や、使い終わった型などが放置されている。
柳 真尋:そのままでは乾燥して使い物にならなくなる。まるで、途中まで作って、投げ出したかのような。
桜葉こはね:「…………」
桜葉こはね:果たして、彼はそんな職人だっただろうか。
桜葉こはね:「真尋くん、あの……」
柳 真尋:「…………」 椅子を二つ出して、片方に、脱力するように座る。
桜葉こはね:「……」オロオロしながら、もう片方の椅子に座る。
柳 真尋:「夢を、見たか?」
桜葉こはね:「あ………」
桜葉こはね:「う、うん」頷きます。「…怖い夢を見たの」
柳 真尋:「ステラバトルの、夢だろう。」
桜葉こはね:「………うん」
柳 真尋:「ぼくが見ているものと、たぶん同じだ」
桜葉こはね:「………!」
柳 真尋:「君がいたのは、昨日が初めてだった」
桜葉こはね:「え……!」
柳 真尋:暗い目。僅かに隈が浮いている。
桜葉こはね:「ま、真尋くんは、初めてじゃないの?」
桜葉こはね:「あの夢……すごく怖い敵がいて、真尋くんが…その……敵に…」
柳 真尋:「ここ数日、毎日あの夢を見てる。夜だけじゃない、昼に転寝をしてしまうような時も」
桜葉こはね:「……!」
柳 真尋:「そんな顔しないでくれ……悪いことじゃない」 苦笑、しようとしたのだろう。
柳 真尋:唇の端が歪む。
桜葉こはね:「で、でも……わ、悪いことだよ」
桜葉こはね:「つらそうだもん、真尋くん……」
柳 真尋:「きっと、これは兆しなんだ。今まで、兆しが来る方じゃなかった」
柳 真尋:「そのぼくに、これだけ強いものが来るってことは……きっと」
柳 真尋:「母さんが死んだ、あの大嵐を起こした奴が来るんだ」
桜葉こはね:「え………」
柳 真尋:「そうに違いない。よくは知らないけど、そうだ」
柳 真尋:「ロアテラの力で、アーセルトレイに災害を起こす敵。その担い手が次の敵」
柳 真尋:「ぼくが、やらなきゃ」
桜葉こはね:真尋くんのお母さんが死んだ原因が、ロアテラによるものであると。
桜葉こはね:はっきり言われた訳じゃなかったけど、薄々察していた。
桜葉こはね:……彼に、直接そう尋ねることは、できなかったけど。
桜葉こはね:「ま、真尋くん…真尋くんの敵は……」
桜葉こはね:「お母さんの命を奪ったやつ……」
桜葉こはね:「わ、わたし達は、日常を守るために戦ってるんだもんね、だから」
桜葉こはね:「だから……」「戦わなくちゃいけないんだもんね…」
柳 真尋:「アーセルトレイの上層に、まず起きないはずの天候不良で、母さんは死んだ」
柳 真尋:「ずっと何でか分からなかった。ステラナイツになってその原因が分かった」
桜葉こはね:「………うん」
柳 真尋:「そうだ。二度と起こさせやしない。俺が、俺が倒さなきゃ--」
柳 真尋:「なのに」
柳 真尋:「かてないんだ。全然」
桜葉こはね:「夢…」
柳 真尋:「女神が、こんなに予習をさせてくれているのに」
柳 真尋:「これじゃ同じだ。何度やっても、何度やっても」
桜葉こはね:「……………」顔が青ざめている。
柳 真尋:「くそっ!」 腕を振る
桜葉こはね:「きゃ……」
柳 真尋:机の上の、すり棒や生地が払われ、床に落ちる。
桜葉こはね:「……」彼の夢の欠片が、乱暴に扱われている。
柳 真尋:「あ……」
柳 真尋:茫然と、それを見る。
桜葉こはね:「ま……真尋くん」
桜葉こはね:弱弱しい顔で、彼の顔を見ている。
桜葉こはね:「ごめんなさい」ポロリと声が零れる。
柳 真尋:「違う。そうだ。これで、こんなことしてる場合じゃないんだ」
柳 真尋:「桜葉さん?」
桜葉こはね:「ま…待って、待って。置いていかないで」
桜葉こはね:顔が青ざめている。
柳 真尋:「? 置いてなんていくものか」
柳 真尋:「きみはぼくのシースだ。きみがいなきゃぼくは戦えない」
桜葉こはね:「ほ…ほんとに? 他の人の方が、シースにふさわしかったり、しない……?」
桜葉こはね:「あ、あのね。わたし、今日、はじめて夢を見て…ごめんね、気付けなくて」
桜葉こはね:「もっとすごく強い武器になれる人だったら、もっと……もっと戦いやすいようにできたのに…」
柳 真尋:「君は、……手を、抜いているのか?」
桜葉こはね:「…!」
桜葉こはね:「ぬ、抜いてなんか……」ない、と。言い切れない。
柳 真尋:「…………」 口を抑える。
柳 真尋:「いや。違う。すまない。……」
柳 真尋:「すまない。今、ぼくは、何を……」
桜葉こはね:「ち、違うよ!真尋くんは悪くないよ!」
桜葉こはね:「わ、わたし…もっと必死にならないとだめだよね」
柳 真尋:「桜葉、さん」
桜葉こはね:「い、命を」
柳 真尋:ちがう。そうじゃない。どうして否定できない。喉が言葉を出せない。
桜葉こはね:「命を、失いかければ、も、もっと強くなれるかな」
柳 真尋:ちがう。ちがうんだ。桜葉さん
桜葉こはね:「必死になって…強い武器をつくれるように、なれるかな………」
柳 真尋:「それは、……違う」
柳 真尋:「かけるのはぼくだ。ぼくが命をかければ。あいつと刺し違えてでも」
柳 真尋:そうじゃない。そうじゃない。
柳 真尋:震える手を伸ばす
桜葉こはね:「そうだよね……」「わたし、いつも、何もできない……」
桜葉こはね:空笑いが浮かんでいる。手を近づけられて、小さな体が震える。
柳 真尋:「そうじゃない。君にはいつも、いつも……」
桜葉こはね:「…………」
柳 真尋:助けられているんだ。救われているんだ。
柳 真尋:どうして? どうやって? なんで?
柳 真尋:……シースとして、共に戦ってくれているから?
柳 真尋:「きみが一緒に戦ってくれてるだけで」ちがう「ぼくはつよくなれる」そうじゃない「だから」ちがう
桜葉こはね:「………うん」「だいじょうぶ」
柳 真尋:「最後まで、一緒に--」 ちがう、ちがう、ちがうちがうちがうちがうちがう
桜葉こはね:「何でも、真尋くんの言うとおりに、するから」微笑む。
柳 真尋:桜葉さんの手を、握ろうとした手を
柳 真尋:真横に振って、壁に叩きつける。
桜葉こはね:「!」ビクッと身体が跳ねる。
柳 真尋:「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……!!」
柳 真尋:過呼吸気味の、浅い息を繰り返す。
桜葉こはね:「ご、ごめんなさい、変なこと言って、ごめんなさい」
柳 真尋:今、ぼくは、何を言おうとした。
柳 真尋:「違う。違うんだ。桜葉、さん」
桜葉こはね:「で、でも……」
柳 真尋:赤くなった手を、そっと桜葉さんの頭に載せる。
桜葉こはね:「……真尋くん」
柳 真尋:「おちついて。息をして」
柳 真尋:「深呼吸。すう、はあ、すう、はあ」
桜葉こはね:「へ……す……う、はあ、すう、はあ」
柳 真尋:呼吸をする少女を、目を細めて見つめる。
柳 真尋:頭には、靄が掛かったままだ。
桜葉こはね:頭に載せられた手のひらの下、おどおどと見上げる瞳がある。
柳 真尋:「桜葉、こはね」
桜葉こはね:「は、はい」
柳 真尋:「……名前を」
柳 真尋:「ぼくは、誰だった」
桜葉こはね:「あ!」顔が赤くなる。
桜葉こはね:「柳、真尋くん、です!」
桜葉こはね:「あ、でもね、ほんとは」
桜葉こはね:「やなぎまひろくんなんだけど、りう、じぇんしん…じぇ…」
桜葉こはね:「んん……」顔が真っ赤になっている。
柳 真尋:「リウ・ヂェンシン」 呟く。彼の名前の、本来の発音。
柳 真尋:この世界では呼ばれ辛いし、その言語体系は失われて久しいから、あくまで存在するだけだ。
桜葉こはね:「そ、そ、それです!」
桜葉こはね:「ごご、ごめんね。ちゃんと発音できなくて…」
柳 真尋:「ありがとう。大丈夫。……君には、君が呼びやすい名前で、呼ばれたい」
桜葉こはね:「………じゃあ、まひろくん」
柳 真尋:「桜葉さん」
柳 真尋:「うん。そうだ……」
柳 真尋:「桜葉さん。朝食は、もう食べた?」
桜葉こはね:「えっ、あの」返事の代わりにお腹が鳴る。
桜葉こはね:「……まだです」
柳 真尋:「じゃあ、ごちそうするよ。本店の方、ちょうどこのくらいに、新しいのが焼き上げる時間だから」
桜葉こはね:「えっ、いいの? 嬉しいな……」
柳 真尋:「うん。いこう」
柳 真尋:部屋はそのままに、すっと手を取って、立ち上がる。
桜葉こはね:「うん…」その手に頬を赤らめ、彼に促されるがまま席を立つ。
柳 真尋:「すっかり忘れてた。まずは食べることだ。食べてなきゃ」
柳 真尋:よかった。よかった。これでだいじょうぶ。だいじょうぶだ。
柳 真尋:彼女の動揺も落ちついたようだし、これで
柳 真尋:「――戦うべきときに、全力を出せるはずさ」
柳 真尋:最後の一言は、小さく、誰にも聞こえないほどの。
柳 真尋:微かな呟きだった。

白のアマランサス 天国

リュディガー:テーブルの上に置かれたのは、その辺りの量販店で売っている惣菜パンだった。
アウラ:「またこれ?」
アウラ:「これ、パサパサしてるし野菜もしなしなで好きじゃないんだけど」
アウラ:「……こう、パンでも焼き立てとか、瑞々しいフルーツとかないの?」
アウラ:椅子に足をぶらぶらさせながら唇を尖らせる。
リュディガー:「時間が時間だ。焼き立てのものは売り切れている」
リュディガー:「フルーツは、そうそう買えん」
リュディガー:「たまになら、考えなくもないが」
アウラ:「なんで?」
リュディガー:「高い」
アウラ:「……じゃあ、今日をたまににしたら?」
リュディガー:「今から買いに行けと?新しい音を生む時間を削って?」
リュディガー:「明日まで待て、アウラ」
アウラ:「はいはい……心優しき女神さまは折れてあげますよ」
アウラ:パンを手に取ることなく、食卓を離れる。
リュディガー:「……」パンを二口ほどで平らげる。
リュディガー:「……世の中の奴らに聴く耳がないことぐらいは解っている」
アウラ:視線だけ寄こす。
リュディガー:「そのおかげで食事も切り詰めることになるし、女神には難癖をつけられる」
リュディガー:音楽家としての活動は、ほとんど利益を生んでいない。
リュディガー:偶に「当たり」が出ても、リュディガーはすぐに音楽のために全てを費やしてしまう。
アウラ:「聴く耳がない、ね」薄く笑う。
リュディガー:「そうだ。おれはこんなにも………音楽に敬虔であるのに!」
リュディガー:「誰も、本質に耳を傾けやしない」
リュディガー:「難解?もっとキャッチーなメロディーを書け?……美しさは!神が、そのどこにいる!」
アウラ:「あなたの言う本質ってなんなの?」静かに、疑問ではなくただの応答のように囁く。
リュディガー:「音楽という芸術そのものだ!!」吠える。
リュディガー:「そこに、確かに在る……在るものだ!ただうつくしく、気高いものだ!!」
リュディガー:「お前も……宿しているというのに……!」
アウラ:「……なのにあなたはわたしという女神を、ここに閉じ込めておくの」
アウラ:「ああ、責めてやしないよ、かわいそうなリュディガー」
アウラ:痩せた素足で歩み寄る。彼の胸を軽く叩く。
アウラ:倒れなさい、と瞳で言う。
リュディガー:視線を合わせ、
リュディガー:重心を後ろに傾ける。
リュディガー:ばたん。
リュディガー:強かに頭を打ち付ける。
アウラ:膝をついて馬乗りになる。
アウラ:「痛い?」
リュディガー:「……ああ」
アウラ:「苦しい?」
リュディガー:「内臓を吐き出しそうなぐらいな」
アウラ:細い指が男の喉笛を辿る。ナイフを入れるように。
アウラ:「いっそ天国にでも行けば、いい曲が書けたりして」
リュディガー:呻く。
リュディガー:「…天国」
リュディガー:「天国か」
リュディガー:「アウラ、おれは天国に行けると思うか」
アウラ:「あら、変なところで後ろ向き」
アウラ:「……どうかなあ」
アウラ:私が神様なら、あなたは地獄行きだけど。
リュディガー:「おれは音楽の、という意味では神の従順なしもべだ」
アウラ:「ええ」
リュディガー:「だが、天国や地獄を作った神には関係のないことかも知れん」
リュディガー:「そんな神など、おれには不要だが」
リュディガー:忌々しげに吐き捨てる。
アウラ:「あるいは、どこぞの神様ならこう言うかも」
アウラ:「あなたはステラナイトとして世界のために戦いました。だから天国に導かれます、なんて」
アウラ:「……あなたはどこへ行きたい?」
リュディガー:「は」
リュディガー:「それならおれは言うだろうさ。天国行きなどどうでもいい」
リュディガー:「音楽を。真なる音を。調べを」
リュディガー:「この世界に遺させろ、と」
アウラ:微笑む。
アウラ:それは嬉しがっているようにも、嘲っているようにも見える。
アウラ:男の頭を抱いて、歌うようにつぶやく。
アウラ:「わたし、天国なんて興味ないし」
アウラ:「遺すものだってどうでもいいわ」
リュディガー:「ああ」
リュディガー:「お前が女神だ」
リュディガー:「お前こそが女神だよ」
アウラ:「……つまんない人」
アウラ:ふと、右手でぺしんと、男の頬を打とうとする。
アウラ:力がなく、それはただのじゃれあいのようになる。
リュディガー:アウラの目を見ている。
アウラ:「……なあに」
リュディガー:彼女の右手に、自らの左手を重ねて。
リュディガー:「変わるな」
リュディガー:「永遠のものでいろ」
アウラ:「あは……」かさついた手。
アウラ:枯れた瞳。細い髪。
アウラ:「わたしにこれ以上の退屈を?」
リュディガー:「お前を」
リュディガー:「どこにも」
リュディガー:「やりはしない」
リュディガー:祈りのように呟く。
アウラ:「本当にかわいそうね」
アウラ:実のところ。
アウラ:男が出ている間に、外に出たことはある。
アウラ:バレたこともあったが、大概はうまくいく。
アウラ:外を見ない男が、外に気が付くはずもない。
アウラ:「うまく捕まえていてね」
リュディガー:「……捧げる供物を考えておく」
アウラ:「どんなものだって足りはしないけどね」
リュディガー:その華奢な頬を人差し指でなぞる。
リュディガー:「そうだな」
リュディガー:人の捧げるもので女神が満たされるはずもない。
リュディガー:だから
リュディガー:「……おれは、捕まえてみせる」
リュディガー:「音よ。女神よ。その魂を」
リュディガー:「必ず、永遠のものにする」
アウラ:その言葉を、唇から読む。永遠の静寂の中で。
リュディガー:男は気づかない。
リュディガー:男は永遠に知ることはない。
リュディガー:女神の、世界を。

黒のヒガンバナ 心臓

ルーナ・ヘリアル:屋敷のリビングに、男が二人。
ルーナ・ヘリアル:ワイングラスにとくとくと赤ワインを注ぎ、目の前の義兄の手元にすっと置く。
ルーナ・ヘリアル:「さぁさぁ、乾杯といたしましょうか?」ニヤリと三日月のような笑みを浮かべる。
サン・ヘリアル:「珍しいね、お前から晩酌に誘うなんて」
サン・ヘリアル:ふわりと陽光のような微笑みを湛えて
サン・ヘリアル:そっとグラスを取る。
ルーナ・ヘリアル:「えぇ。此度は義兄殿の愉快な話を聞いたもので」
ルーナ・ヘリアル:「酒の肴に丁度いいかと」
サン・ヘリアル:「おや、私の?」
サン・ヘリアル:「何かな」
ルーナ・ヘリアル:「なんでも、最優の魔法使い殿が、見合い話を持ち掛けられたとか!」
ルーナ・ヘリアル:「政府高官の娘とあらば、さぞかし見目麗しく心優しきご令嬢であらせられたのでしょうなぁ」
サン・ヘリアル:「………ああ。それか」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ!」ワイングラスを掲げる。
サン・ヘリアル:「気立ての良い人ではあったよ」
ルーナ・ヘリアル:「そうでしょうなぁ」
サン・ヘリアル:「お前のことだ。私がどうしたかも知っているのでしょう」
ルーナ・ヘリアル:「おやおや、自分からは言いづらいのでしょうかな?」
サン・ヘリアル:「言って欲しいのかい?」
サン・ヘリアル:「私はどこにも行かないと、私の口から確かめたいのかな」
ルーナ・ヘリアル:「義兄殿は口が達者でおられる」
サン・ヘリアル:「お前ほどではないと思うよ、ルーナ」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ! 私を口説く場合ではなかろうに。ああしかし愉快ですなぁ、本当に断ったとは」
ルーナ・ヘリアル:「どこにも行かない…フフフ」
ルーナ・ヘリアル:「どこにも行けないの間違いでは?」
サン・ヘリアル:「ああ、そうかも知れないね。私は、常人と共にあるには秀ですぎている」
ルーナ・ヘリアル:「そしてそれを平然と口にする傲慢さ!」
サン・ヘリアル:「事実だから仕方がない。共に暮らしてもうまく行かないのは目に見えてるだろう」
ルーナ・ヘリアル:「人を使う我が義兄殿には、いったい他者がどう見えてらっしゃるのか」
ルーナ・ヘリアル:「不出来な義弟にも教えていただきたいものですなぁ」
サン・ヘリアル:「……皆、同じいのちだよ。それだけだ」
サン・ヘリアル:「私の視点など、知っても仕方がないと思うけどね」
ルーナ・ヘリアル:「おやおや、我らは女神に選ばれし騎士であるというのに」
サン・ヘリアル:「……お前の視座の方が余程尊いよ」
サン・ヘリアル:「騎士たらんとするならばそれを大事に持っていなさい」
ルーナ・ヘリアル:「えぇ。女神には感謝しているのです」
ルーナ・ヘリアル:「時に投獄され、かの世界で最悪の名を冠した私ですらも、清き立場としていられるのですからな」
サン・ヘリアル:「………」
サン・ヘリアル:「彼女のことは」
サン・ヘリアル:「……もう、いいのか」
ルーナ・ヘリアル:「彼女?」
ルーナ・ヘリアル:「はてさて、何のことでしょう」
サン・ヘリアル:「3年前、お前が亡くした恋人のことだ。忘れたわけではないだろう」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ!」笑みが深くなる。
サン・ヘリアル:「取り戻したいのではなかったのか。禁忌に手を染めてでも」
ルーナ・ヘリアル:「そうですとも。私は命の再構築を試み、あっけなく失敗した道化」
ルーナ・ヘリアル:「ええ、彼女の微笑みも、彼女の体躯も、忘れたことなどありましょうか?」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ、フフフフフ! まさか、義兄殿にこの話題を触れられようとは。まさに酒の肴というわけですかな?」
サン・ヘリアル:「肴、とは人聞きの悪い。ただ」
サン・ヘリアル:「………」
サン・ヘリアル:「願わないのか」
ルーナ・ヘリアル:「ハハハハハ!」
ルーナ・ヘリアル:「ああ、これはこれは…お笑い種だ。フフフ!」口の端を吊り上げて笑う。
ルーナ・ヘリアル:「ええ、義兄殿ならそう仰ってくださると思っておりましたとも!」
サン・ヘリアル:「そうか。私はわかりやすいかな」
サン・ヘリアル:「他のことならば大抵見通せるつもりだが、心は───特にお前の心は、まるでわからない」
ルーナ・ヘリアル:「それは重畳」ニヤニヤと笑う。
ルーナ・ヘリアル:「時に義兄殿。貴方は、困難を前に困り果てた経験などありはしないでしょう?」
サン・ヘリアル:「今、困り果ててるかな」
ルーナ・ヘリアル:「ではそのまま困り果て続けるがよろしい」
サン・ヘリアル:「それは御免だなあ」
サン・ヘリアル:「……お前の望みは、願いはそこにはないんだね」
ルーナ・ヘリアル:「神に願えば叶うものならば」
ルーナ・ヘリアル:「今だって、私の前にいるのは彼女だったはずだ」
サン・ヘリアル:「…本当に、あれは『失敗』だったのか」
サン・ヘリアル:「お前には、出来たはずだ。才も、能力もあった」
ルーナ・ヘリアル:「………さて」
ルーナ・ヘリアル:死者の世界を開いた。彼女の眼差しを求めた。
ルーナ・ヘリアル:「死人に口なし。道化もまた、終わったジョークの説明などいたしません」
サン・ヘリアル:「…お前は」
サン・ヘリアル:「そうやって笑い者であろうとするけどね」
サン・ヘリアル:「私はお前を笑うことはない」
サン・ヘリアル:「決して」
ルーナ・ヘリアル:「………」義兄を見やる。
サン・ヘリアル:「お前が誰よりも努力しているのを知っている」
サン・ヘリアル:「持てる力を、出来る限り輝かせようとしているのを知っている」
ルーナ・ヘリアル:「努力、ねえ」
ルーナ・ヘリアル:「貴方にはほど遠い言葉でしょう」
ルーナ・ヘリアル:「フフ……フフフ」
サン・ヘリアル:「そうだよ。だから、羨ましい」
ルーナ・ヘリアル:「羨ましいですと?」
サン・ヘリアル:「私には、ないものだから」
ルーナ・ヘリアル:「ハハハ……ハハハハハ!」
ルーナ・ヘリアル:「愉快、愉快! 道化に焦がれるとは…笑えもしないジョークですなァ」
ルーナ・ヘリアル:「ああそうですか…ならば、哀れな義弟が教えてさしあげましょう」
ルーナ・ヘリアル:「私は『失敗』したのですよ」
ルーナ・ヘリアル:「死に愛された私が、生を造ることなどできなかった。それだけのこと」
サン・ヘリアル:「……だが、あの術式は───」
ルーナ・ヘリアル:「彼女の魂が、私を拒否したのです」
サン・ヘリアル:「───」
ルーナ・ヘリアル:「なんともまァ、可笑しい───招いた手を拒まれれば此方はもう何もできない」
ルーナ・ヘリアル:「術式の完成以前の問題ですなァ」
サン・ヘリアル:「……お前を、拒んだ?」
サン・ヘリアル:それは、理解の外だった。
サン・ヘリアル:ルーナならば可能だった。それは確信としてある。
ルーナ・ヘリアル:「そうとしか言い様のないことでしたとも」
サン・ヘリアル:「…心を寄せ合っていたのではなかったのか?」
ルーナ・ヘリアル:「フフ。言ったでしょう。『死人に口なし』と」
ルーナ・ヘリアル:「それに。その問いには」
ルーナ・ヘリアル:「私がどれだけ言葉を尽くそうが、果たして義兄殿に理解していただけるのか」
ルーナ・ヘリアル:「私には、まァったくもって!自信がないのですよ」
ルーナ・ヘリアル:「それに───こうも思いましょう。人の心を簡単に操ることのできる、貴方ならば」
ルーナ・ヘリアル:「私のような失敗は決してしないでしょう」
サン・ヘリアル:「……私では出来ないよ、ルーナ」
サン・ヘリアル:「私には、取り戻したいものもない。禁忌を犯してまで」
サン・ヘリアル:「それに、人の心を操れたところで」
サン・ヘリアル:「お前一人、どうにも出来ないのだから」
ルーナ・ヘリアル:「だから言ったでしょう」
ルーナ・ヘリアル:「私の心を、貴方などに渡すものかと」
サン・ヘリアル:眩しげに、目を細める。
ルーナ・ヘリアル:「…………ああ。しかし」
ルーナ・ヘリアル:「私に命を捧げてくれるというのなら、考えなくもないですな」
サン・ヘリアル:その言葉が終わるか、終わらないかのうち、
サン・ヘリアル:右手を自らの胸に当てる。やや左側。
サン・ヘリアル:その手が、胸に沈み込む。
サン・ヘリアル:「っ……」
ルーナ・ヘリアル:「……」怪訝な顔でそれを見ている。
サン・ヘリアル:引き出す。あかい───赤い、心の臓を。
サン・ヘリアル:「は……、はっ……」
ルーナ・ヘリアル:「…何を」
サン・ヘリアル:「これで、どう、だ」
サン・ヘリアル:「私の、いのち……だ」
ルーナ・ヘリアル:「……………」
ルーナ・ヘリアル:「…………馬鹿ですか?」
サン・ヘリアル:「ふ、ふふ、ふ」
サン・ヘリアル:「どうと、いう、こともない、この程度」
サン・ヘリアル:「お前、に、いの、ち、のひとつや、ふたつ」
サン・ヘリアル:「わたせ、ずに、…最優、なんて」
サン・ヘリアル:「……それこそ、莫迦だ」
ルーナ・ヘリアル:「……」目を細める。
ルーナ・ヘリアル:「貴方は………」「………いや」
ルーナ・ヘリアル:「フフフフ、ンンン…ッフフフフフ!」
ルーナ・ヘリアル:大笑いしながら席を立ち、義兄の前に行く。
ルーナ・ヘリアル:大柄な体で青年に覆い被さるようして、その顔を覗き込む。
サン・ヘリアル:青ざめ、息を小刻みに吐いている。
ルーナ・ヘリアル:「飲ませなさい」
ルーナ・ヘリアル:べろりと赤い舌が覗く。
サン・ヘリアル:体を動かすのは術で編んだ仮初の臓物だ。
サン・ヘリアル:震える手で、赤いいのちを義弟の口へと捧げる。
ルーナ・ヘリアル:がぶりと手ごと口に入れて、嚥下する。
サン・ヘリアル:「……はは」
ルーナ・ヘリアル:覚めるほどに熱く、酔わせるほどに冷たい。
ルーナ・ヘリアル:舌が血を舐めた。
サン・ヘリアル:「ははっ、ははははは」
サン・ヘリアル:息も絶え絶えの状態で、笑う。
ルーナ・ヘリアル:「なんとも───不味いですなァ」
ルーナ・ヘリアル:「しかしまァ」
ルーナ・ヘリアル:「斯様な有様の義兄様を見るのは、なんとも気分の良いものです」
サン・ヘリアル:「ああ、ああ……良い気分だよ、良い気分だとも!」
サン・ヘリアル:「お前に…私の一部を、飲ませたのだから!」
サン・ヘリアル:「ふふふふふ!ははははは!」
ルーナ・ヘリアル:「えぇ、えぇ」
ルーナ・ヘリアル:「申してさしあげましょうか、義兄殿」
ルーナ・ヘリアル:「私はどこにも行かない、とでも」
サン・ヘリアル:美しい、咲くように整った顔を、曇天のように歪ませ、わらう。
サン・ヘリアル:「ああ」
サン・ヘリアル:「どこにも行けないよ、ルーナ」
サン・ヘリアル:「私たちは、お互いから逃げられないんだ」
ルーナ・ヘリアル:「それは、それは」
ルーナ・ヘリアル:三日月のような笑みを浮かべると、血のように赤い舌が覗いた。

赤のバラ 舞踏

オスカー・オーエンス:金糸の刺繍、散りばめられた宝石、レースの海。
オスカー・オーエンス:贅の限りを尽くしたドレスやスーツが所狭しと並ぶ小さな洋品店。
オスカー・オーエンス:オスカーがなじみのこの洋品店に、彼女を連れてくるには骨が折れた。
オスカー・オーエンス:「いい加減覚悟を決めろ、キリエ!」
キリエ・ノインフィールド:「いやですっ!」 ぐぐぐぐぐ、と。必死に入口の扉の端に掴まって、逃げようとしている。
キリエ・ノインフィールド:「いいにおいする! きらきらしてる! 目がちかちかする! 嫌ぁ~」
オスカー・オーエンス:「なっ! おれだってきらきらしているが!?」
オスカー・オーエンス:店主の女はにこにこと見守っている。
キリエ・ノインフィールド:「知ったことかです!マスターはせいぜいここできらきら浸ってて下さい!」
キリエ・ノインフィールド:「私はあそこのマネキンの足元で座ってますから!」
オスカー・オーエンス:「おまえがいないと俺は舞踏会に一人だぞ! あんな古臭い趣味におれひとり置いていくな!」
オスカー・オーエンス:のしのしと近寄るキリエを抱え上げる。
オスカー・オーエンス:「風呂の恨み!」
キリエ・ノインフィールド:「ぎゃー!」
オスカー・オーエンス:ぽーいっと試着室へ放り込む!
オスカー・オーエンス:「ふん! せいぜいきらきらしてくることだな!!」
キリエ・ノインフィールド:「みゃー! ……あ、こんにちわ。良いお天気で……え? あの。なんですか店員さん、その素敵な微笑み」
キリエ・ノインフィールド:「あ、あ、駄目、そんな高そうな櫛、メジャーが、メジャーがたくさん~~~~」
キリエ・ノインフィールド:「あ~~~~~~~」
キリエ・ノインフィールド:(少女換装中……)
オスカー・オーエンス:「おい、どうしたキリエ…急に声がしないのもそれはそれで…」
キリエ・ノインフィールド:「…………………マスター」
オスカー・オーエンス:「ど、どうした」
キリエ・ノインフィールド:「ぜ……絶対笑わないで下さいよ……」
オスカー・オーエンス:「笑わない」わからないけど。
キリエ・ノインフィールド:「絶対に、絶対にで」 などと言ってる間ににこにこ顔の店員が、ざばーっとカーテンを空ける
キリエ・ノインフィールド:「――――」 シックな細身のワンピースドレス姿のキリエが、至近距離に。
オスカー・オーエンス:「……」目を見開いて。
オスカー・オーエンス:停止。
オスカー・オーエンス:「……」
キリエ・ノインフィールド:編み込まれた髪。最低限の化粧で、仄かに色づいた頬と唇。首元から背中は大胆に開かれ、水晶の輝きが店内の照明の光を湛えて輝く。
キリエ・ノインフィールド:瞳は仄かに潤んでいる。オスカーを見上げる姿勢のまま固まっているのは、慣れないハイヒールのせいもある。
オスカー・オーエンス:「……」
オスカー・オーエンス:「……」
オスカー・オーエンス:「……はっ」
キリエ・ノインフィールド:「…………な、何か言って下さいよ……!」
キリエ・ノインフィールド:「うう……そんなリアルに引くくらいならせめて腹抱えて笑ってほしい」
オスカー・オーエンス:「いや、……いや、驚いて」
オスカー・オーエンス:「あまりに綺麗なものだから…」
キリエ・ノインフィールド:「は」
オスカー・オーエンス:「ん? これでは普段が綺麗でないような言い回しだな。普段も綺麗だ!」
キリエ・ノインフィールド:「え。は。う」
オスカー・オーエンス:「ああ、やはりおれの見立ては正しい。正しすぎる」
キリエ・ノインフィールド:「うなあぇあ」
オスカー・オーエンス:「どうしたキリエ、おい、落ち着け」
キリエ・ノインフィールド:「ううなあーーーーー!」
オスカー・オーエンス:「キリエが壊れた!!」
キリエ・ノインフィールド:強引に逃げだそうとする! だが悲しきかな、慣れぬハイヒール!
キリエ・ノインフィールド:試着室を出て二歩目で派手にバランスを崩す!
オスカー・オーエンス:「ギャーー」なぜか自分が痛そうな声をあげつつキャッチしようとする!
キリエ・ノインフィールド:じゃあ、縋りつくみたいな姿勢で支えられて胸に飛び込む
オスカー・オーエンス:ぽすんとキャッチ!
オスカー・オーエンス:「おい、どうした……」
キリエ・ノインフィールド:耳先まで真っ赤。
キリエ・ノインフィールド:「へあう!」 両手でオスカーの顔を押す。
オスカー・オーエンス:「グワッ」
オスカー・オーエンス:「こ、このおれの顔を殴るだと……!?おもしろい…」
キリエ・ノインフィールド:「み、み、みないでください!」
キリエ・ノインフィールド:「わたしいまへんなかおしてますので」
キリエ・ノインフィールド:「ていうかそんな、き、き、綺麗とか……真正面から言わないでください!」
オスカー・オーエンス:「何故だ…」顔が回復していく。
オスカー・オーエンス:「まず、このおれの舞踏会の相手だぞ」
オスカー・オーエンス:「このオスカー・オーエンスが選んだダンスの相手だぞ!」
キリエ・ノインフィールド:「踊るんですか!?」
オスカー・オーエンス:「ほら、しゃんとして胸を張る!」抱っこしてゆっくり立たせる。「そうだ!」
キリエ・ノインフィールド:顔を上げる。はしばみ色の眼がオスカーを見上げる。
オスカー・オーエンス:「前に軽く一通り教えただろう」
キリエ・ノインフィールド:「は、はひ」
オスカー・オーエンス:すみれ色の瞳で見下ろす。
オスカー・オーエンス:「……おれはエスコートも完璧だ」
オスカー・オーエンス:「それに」
キリエ・ノインフィールド:「でも、わたし、メイドだし、そもそも人間兵器だし……」
オスカー・オーエンス:「おれが選んだことより意味があるか」
オスカー・オーエンス:「このおれが選んだおまえだ。おれにとってそれ以上の意味はない」
キリエ・ノインフィールド:「どこから沸いてくるんですか、その自信……!」
オスカー・オーエンス:「……あと、おまえを見せびらかしたくてしょうがないんだ、おれは」最後だけちょっと恥じるように。
キリエ・ノインフィールド:「!」
キリエ・ノインフィールド:しゅあ、と水晶から蒸気が昇る。
キリエ・ノインフィールド:「ぁ……」「う……」「ん……」
オスカー・オーエンス:「おれの自信にもう少し付き合ってはもらえないかね、ミス・ノインフィールド?」
キリエ・ノインフィールド:「……エスコート、してくれますか」
オスカー・オーエンス:手を差し出す。
キリエ・ノインフィールド:「は、恥ずかしくなったら、守ってくれますか」
キリエ・ノインフィールド:おずおずと、手を差しだし返す。
キリエ・ノインフィールド:「踊りが下手で、笑われたり。嫌な男の人に近づかれたりしたら」
オスカー・オーエンス:「ふ、おまえは自信がなさすぎるな」
オスカー・オーエンス:「ああ、なんとでも」
キリエ・ノインフィールド:「…………(もごもご)様、みたいに」
オスカー・オーエンス:「どうした」聞こうと屈む。
キリエ・ノインフィールド:「……おひめ、さま、みたいに」
キリエ・ノインフィールド:「して、くれますか……?」 恥ずかしくて、顔から火が出そうだ。
オスカー・オーエンス:まっかだな、と一瞬らしくもなく呆けて。
オスカー・オーエンス:「もちろんだとも」
オスカー・オーエンス:「姫君でも女王でも女神でも、なんとでも呼ぼう」
キリエ・ノインフィールド:武器商人に売られる前の、世界が終わる前の、人間兵器にされる前の、ずっとずっと前に抱いた、些細な夢。
キリエ・ノインフィールド:「…………それは、ちょっと」 目元を拭って、くすりと笑って。
キリエ・ノインフィールド:「名前で、呼んでください。いつものとおり、自信満々に」
オスカー・オーエンス:目を細める。自信満々にできているかはわからない。もっと柔らかに。
オスカー・オーエンス:愛おしむような顔つきしか、できないような気がしたが。それでも笑う。
オスカー・オーエンス:「ああ、キリエ」
オスカー・オーエンス:「いつも通り、おれについてこい」
キリエ・ノインフィールド:「はい……はい」
キリエ・ノインフィールド:あなたに呼ばれる時だけは
キリエ・ノインフィールド:自分の名前が、とてもとても、特別なもののように響く。
キリエ・ノインフィールド:「あなたのお傍に。……オスカー様」
キリエ・ノインフィールド:――――――
キリエ・ノインフィールド:――――
キリエ・ノインフィールド:―――
オスカー・オーエンス:ワルツに合わせて体を引き、ステップ。腕の中の少女を守るように。
キリエ・ノインフィールド:かつかつかつ、かつんっ
キリエ・ノインフィールド:引っかかったヒールが笑うような音を立てる。
オスカー・オーエンス:眼前を揺れる見慣れた髪はいつも以上に手入れされて。靴音もいつものものとはまるで違う。
キリエ・ノインフィールド:転倒する紙一重で姿勢を立ち直る、奇蹟のような危ういステップ。
キリエ・ノインフィールド:ほとんど男のリードに身を任せている。腰に回された腕に体重を掛けるのも、すっかり慣れてしまった
キリエ・ノインフィールド:髪が、瞳が、浮かぶ汗が、首の血管が。
キリエ・ノインフィールド:全て、光の粒をまとって輝いているように見える。
オスカー・オーエンス:「誰もがおれたちを見ている」くつくつと笑う。
オスカー・オーエンス:「ああ、あの時の連中に。おまえの故郷に見せてやりたいな」
キリエ・ノインフィールド:「そう……みたいですね」 まとめられた夜色の髪が揺れる。
オスカー・オーエンス:「……おまえにずいぶん恥ずかしがらせたから、ひとつおれも秘密を明かすか」
キリエ・ノインフィールド:ぐん、と音楽の節に合わせて、背中を反らす。
キリエ・ノインフィールド:取られた手が熱い。見下ろされる視線も。
キリエ・ノインフィールド:「……はえ?」 見蕩れていた。
オスカー・オーエンス:抱きとめる。長い裾が揺れる風景ごと見惚れる。
オスカー・オーエンス:「おれは最初におまえを見たときから」
オスカー・オーエンス:「綺麗だと思っていたさ」
オスカー・オーエンス:「……だから、いまとても愉快な気分だ」
キリエ・ノインフィールド:「…………」
オスカー・オーエンス:「そうだろう、キリエは美しい。だれも気付かないときから、ずっと」
キリエ・ノインフィールド:初めて会った時。外装の油も、錆も、戦闘の傷だってそのままだった。
キリエ・ノインフィールド:「~~~~」 だめだ。
キリエ・ノインフィールド:ダンスがまた崩れかける。オスカーに支えられる。
キリエ・ノインフィールド:奏でられる、どんな楽器よりも、
キリエ・ノインフィールド:自分の鼓動の音の方が大きい……!
キリエ・ノインフィールド:「わた、」
キリエ・ノインフィールド:「私、も。初めて、見たときから、……」
キリエ・ノインフィールド:「(そうですね。顔だけは良いやつだと、思っていました」)
キリエ・ノインフィールド:「すきでした」
オスカー・オーエンス:音がすべて、時がすべて。
オスカー・オーエンス:停止したような気がした。
キリエ・ノインフィールド:「……。……」
キリエ・ノインフィールド:思考と、言葉が食い違った。
オスカー・オーエンス:ぼう、と頬が紅潮する。
オスカー・オーエンス:このオスカー・オーエンスが? そんな顔を?
オスカー・オーエンス:「……いかん」
キリエ・ノインフィールド:「ちが、ぁ、その--いや、ちがく、は、ないんですけど」
オスカー・オーエンス:「キリエ、帰ろう。帰るぞ」その顔を覗き込む。
オスカー・オーエンス:赤い顔同士で。
キリエ・ノインフィールド:大衆を黙らせて、檻を壊して、自分の手を取った姿を。
キリエ・ノインフィールド:「え--え?」
オスカー・オーエンス:「見せびらかしたいと思っていたが、いまのおれたちは、いや」
オスカー・オーエンス:「いまのおまえを誰にも見せたくない」
オスカー・オーエンス:そのまま抱きしめる。
キリエ・ノインフィールド:「~~~~っ」
キリエ・ノインフィールド:胸に顔を埋めて。
キリエ・ノインフィールド:「はぃ…………」
キリエ・ノインフィールド:それだけ零すのが、精一杯だった。
オスカー・オーエンス:「……ああ、焦りすぎて言っていなかった…」
オスカー・オーエンス:「一目惚れだ。キリエ・ノインフィールド」
オスカー・オーエンス:「そんなおまえを手に入れられて、自身の持てない男がどこにいる」

【幕間】

白のアマランサス うた

リュディガー:いつものリビング。
リュディガー:男が、チェロを弾いている。
アウラ:少女が茫洋とどこかを見ている。
リュディガー:いつもと違うのは、そのチェロが奏でられるたび、空間から音が消えていくことだ。
リュディガー:風の音。家鳴り。呼吸の音。
リュディガー:ひとつひとつが消えて───
リュディガー:全ての音が消えると、そこには一輪の大きな花が咲いていた。
リュディガー:白のアマランサス。
リュディガー:それを手に取ると、恭しく少女に差し出し、口を開く。
リュディガー:『おれのミューズよ、どこまでも遠くへ羽ばたく翼よ』
リュディガー:『うたえ。おれの為に。星に届く為に』
アウラ:虹色の瞳が見下ろす。この世の色彩を詰めたようなその瞳に、男の顔と花が映っている。
アウラ:細い腕を伸ばす。指先が触れると、それは砕けるように零れてゆき。
アウラ:少女は微笑んで、そのまま、ぐしゃりと潰す、その欠片も、消えていく。
アウラ:少女は笑っている。
アウラ:「わたしの憐れな信徒」
アウラ:その指先からほどけていく。
アウラ:「どこまでも遠くをのぞむ辺獄の魂よ」
アウラ:白銀の霧に溶けてゆく。
アウラ:退屈な永遠に身を浸す。
アウラ:「あなたの為だけに歌ってあげる」
アウラ:「星の在処を映してあげる」
アウラ:「あなたを送り届けてあげる」
アウラ:静寂。
アウラ:『わたしのいない天上へ』
アウラ:『これが、女神わたしの福音』
アウラ:その声すら無くなってゆく。
リュディガー:『これは、アルケーはじまりに捧ぐうた』
リュディガー:白銀の霧を纏い、息を吐く。
リュディガー:見窄らしい服は、見事な燕尾服に。
リュディガー:手に持った弓は、美しいレイピアに。
リュディガー:「女神よ」
リュディガー:「俺だけの、そして世界の女神しんじつよ」
リュディガー:「星の音色を捧げよう」
リュディガー:そして、
リュディガー:誰もそこにはいなくなる。

GM:【白のアマランサス   ブリンガー:リュディガー・シューマッハ  シース:アウラ】
GM:【ブーケ 282  願いの決闘場へ】

黒のヒガンバナ 呪い

ルーナ・ヘリアル:屋敷の一室。
ルーナ・ヘリアル:室内では、魔法陣が淡い光を発し続けている。
ルーナ・ヘリアル:その中央に、椅子を一脚置いて、ニタリと笑った。
ルーナ・ヘリアル:「さぁて、義兄殿。今回は我らが義兄弟が契りを交わしてからの初戦となりますからな」
ルーナ・ヘリアル:「これまでと趣向を変えなければなりません」
サン・ヘリアル:「趣向を?」首を傾げる。
ルーナ・ヘリアル:「ええ」
ルーナ・ヘリアル:「まあ、お座りください」
サン・ヘリアル:「それじゃあ、遠慮なく」
サン・ヘリアル:椅子に腰を下ろす。
ルーナ・ヘリアル:「ンフフ」機嫌の良さそうな笑い声で、義兄の後ろに回っている。
ルーナ・ヘリアル:「今までのように、互いにまじないを言い合うだけでは味気ない」
ルーナ・ヘリアル:後ろから両手を伸ばして、義兄の視界に映るよう、ひらりと布を広げる。
ルーナ・ヘリアル:「更に」
ルーナ・ヘリアル:「深い繋がりを。義兄殿が、すべてを私に委ねられるよう」
ルーナ・ヘリアル:「そうお望みでしょう?」
サン・ヘリアル:「……それが、お前の望みならば」
ルーナ・ヘリアル:「ならばそのように」
ルーナ・ヘリアル:布が義兄の視界を覆う。
サン・ヘリアル:暗闇に身を委ねる。
ルーナ・ヘリアル:布の擦れる音がして、そのまま捕らえるように縛る。
ルーナ・ヘリアル:「さあ」囁く。
サン・ヘリアル:息を吸い、
サン・ヘリアル:呪いを口にする。
サン・ヘリアル:「ひとつ、光の裏の闇を知れ。」
ルーナ・ヘリアル:耳元で、喉元で笑うような声が聞こえる。
ルーナ・ヘリアル:「ひとつ、真実に至る灯であれ。」
サン・ヘリアル:口角がわずかに上がる。
サン・ヘリアル:「ひとつ、万物を毀す理たれ。」
ルーナ・ヘリアル:後ろから大きな体が覆う気配がする。首筋を撫でる。
ルーナ・ヘリアル:「ひとつ、万物を統べる礎であれ。」
サン・ヘリアル:高らかに、恍惚と、告げる。
サン・ヘリアル:「ひとつ、のろわれてあれ。」
ルーナ・ヘリアル:それを呑み込むように、あるいは、溶けあうように。
ルーナ・ヘリアル:「ひとつ、さいわいであれ。」
ルーナ・ヘリアル:告げる。
サン・ヘリアル:刹那。
サン・ヘリアル:一瞬の閃光。
ルーナ・ヘリアル:魔法陣から、数多の式神が、地より生まれた嵐のように、さかさまに吹き荒れた。
ルーナ・ヘリアル:義兄を包む。足元から頭の先まで、その美しい体を乱暴に呑み込んでいく。
ルーナ・ヘリアル:「ああ、なんて甘美な」目を細める。
ルーナ・ヘリアル:そこに手を伸ばせば、巨躯に見合うほどの、巨大な漆黒の鎌へと成り果てた義兄が顕現する。
ルーナ・ヘリアル:「ンンン」「ンンンフフフフフ!」
ルーナ・ヘリアル:「ああ───ああ。そんなに。胸ときめかせてはいけませんよ、義兄殿」
ルーナ・ヘリアル:甘美な声で、自らの臓腑にそう呟く。
ルーナ・ヘリアル:姿は既に変化している。
ルーナ・ヘリアル:口元を隠すフェイスベール、漆黒のローブ。
ルーナ・ヘリアル:それは、この世界では久しく着ていない、かの世界の伝統衣装。
ルーナ・ヘリアル:「では」
ルーナ・ヘリアル:「参りましょう」
ルーナ・ヘリアル:嘲笑うように呟いて、そして消えた。

GM:【黒のヒガンバナ  ブリンガー/《新月》ルーナ・ヘリアル   シース/《金輪》サン・ヘリアル】
GM:【ブーケ 309  願いの決闘場へ】

赤のバラ 口付

キリエ・ノインフィールド:――上層、とある郊外。
キリエ・ノインフィールド:斜めに傾いだ、硬質な素材の建物が、夜闇の中にひっそりと存在する。
キリエ・ノインフィールド:キリエの居た世界から流れ着いた、数少ない残留物の一つ。
キリエ・ノインフィールド:オスカーが買い取り、落ちてきたその時のまま、保全されている。
キリエ・ノインフィールド:その崩れた屋上で、少女が静かに、目の前の主にひざまずく。
オスカー・オーエンス:静かにそれを見ている。
キリエ・ノインフィールド:「――マスター登録を開始します」
キリエ・ノインフィールド:足元のビルよりも、遥かに無機質な声色。
キリエ・ノインフィールド:「血流確認。虹彩認証。声紋登録。……マスター、御身の名を」
オスカー・オーエンス:可笑しそうに、子供をなだめるように言う。「オスカー。オスカー・オーエンス」
キリエ・ノインフィールド:「承認。――私は、人造蒸晶兵器・九番目の憐憫。これより私は、ただの剣。ただ一振りの剣として、全てを--」
オスカー・オーエンス:笑って、キリエを見ている。急かさず、ただ待っている。らしくもなく静かに。
キリエ・ノインフィールド:全てを捧げる。それが、兵器としての、自分の契約の言葉で。シースとして戦う、決意の言葉……だった。
キリエ・ノインフィールド:「……いいえ」
キリエ・ノインフィールド:「私は、キリエ。キリエ・ノインフィールド」
キリエ・ノインフィールド:「マスターに買われた、一人のメイドで、」
キリエ・ノインフィールド:「オスカー・オーエンス。あなたのための、私は、世界でただ一人のシース」
キリエ・ノインフィールド:顔を上げて、まっすぐに立つ。
オスカー・オーエンス:「ああ」瞳を細める。
キリエ・ノインフィールド:「私の全てを捧げます。だから、あなたの全てを、私に下さい」
キリエ・ノインフィールド:少しだけ溜めて。「――へ、返答を。オスカー……様」
オスカー・オーエンス:思い出す。
オスカー・オーエンス:はじめて出会った、はじめてのステラバトルで。淡々と契約を交わした少女。
オスカー・オーエンス:それがいま、どんな顔でなにを言ったか!
オスカー・オーエンス:「やっとそれなりの自信がついたな、キリエ」
オスカー・オーエンス:「おれのシース。おれの使用人。おれが見つけたたったひとりのキリエ」
オスカー・オーエンス:「ああ、おれの心を、魂を…いや!」
オスカー・オーエンス:「違うな。おれが欲するすべてを、共にだ」
オスカー・オーエンス:「おまえの欲するすべてを共に」
キリエ・ノインフィールド:「すべてを、ともに」
オスカー・オーエンス:少女の手を引く。
キリエ・ノインフィールド:月光が、二人を囲うように照らす。
オスカー・オーエンス:長い夜色の髪が輝くのを掬う。
キリエ・ノインフィールド:指の感触に、目を細める。踊るように、距離が近づいて。
オスカー・オーエンス:額と額を軽くぶつけて笑う。
キリエ・ノインフィールド:「!」
オスカー・オーエンス:「……そうだな、まずおれが欲するものがわかるか?」
キリエ・ノインフィールド:「ふふ……っ」
キリエ・ノインフィールド:「……なんですか? わかりません」 試すような微笑みを浮かべて。
キリエ・ノインフィールド:「それも、私に教えて下さい」
オスカー・オーエンス:「……ふ、強欲になったな。それでいい」そしてすぐに唇を奪って。
オスカー・オーエンス:言葉も奪って、ああ、と思う。
オスカー・オーエンス:ステラナイトという運命に付き合わせることを、彼女を武器のままにすることを、実のところ、悔やんだことがある。
キリエ・ノインフィールド:「――!」 伝わる感触に、目を見開く。
キリエ・ノインフィールド:けれど、少しも嫌ではなくて。目を細めて、広い背中に手を回す。
オスカー・オーエンス:それでも。それでも、ああ、いまこの体の触れる彼女のすべてで。どうしたって。
オスカー・オーエンス:自分は正しいのだと、いつだって自惚れられてしまうのだ。
キリエ・ノインフィールド:……かしん。かしん、と。
キリエ・ノインフィールド:その爪先立ちになった足元が、
キリエ・ノインフィールド:ブロンズ色の歯車の群れへと変わっていく。
キリエ・ノインフィールド:爪先。足首。スカート。腰。それらはゆっくりと、より大きなシルエットを為しながら、
キリエ・ノインフィールド:自らを抱くオスカーの腕を覆うように、巨大な斧剣を構築していく。
キリエ・ノインフィールド:やがて変身は胸元へ及び、……少しだけ、勢いが鈍る。
キリエ・ノインフィールド:惜しむように。唇を離す。
キリエ・ノインフィールド:「……いきましょう。オスカー。すべてを、ともに」
オスカー・オーエンス:強く抱きしめて、耳元にぽつりと零す。「ああ。キリエ。おれたちの冒険を」
オスカー・オーエンス:「ともに」
キリエ・ノインフィールド:オスカーの答えに、にっこりと笑って。
キリエ・ノインフィールド:きぃん、と。残った部位は、ひときわ大きな、角柱型の水晶に代わる。
キリエ・ノインフィールド:片腕全体を覆うガントレットと、半ば一体化した斧剣。肩部から生えたエネルギー源たる水晶。
キリエ・ノインフィールド:それがキリエ・ノインフィールドの、シースとしてのすがた。
オスカー・オーエンス:(美しい)
オスカー・オーエンス:それはかつてある世界で用いられた技術──『蒸晶』と呼ばれる超高圧縮エネルギー資源。
キリエ・ノインフィールド:動きを補助する関節部の小歯車が、担い手を導くように、月光を受けて輝く。
オスカー・オーエンス:多くの地を荒野に変え、多くの命を無に帰した技術の粋は、月光を浴びて透き通る。
オスカー・オーエンス:そして男の衣服もまた。
オスカー・オーエンス:装飾過多で華やかな夜会服へと変貌する。それはまるで、幼い少女が夢に見る、おとぎばなしの王子のような。
オスカー・オーエンス:「とびきり強く、聡明で、素晴らしい男さ、おれは。そうだろう?」
オスカー・オーエンス:「おまえにくれてやるのだからな」
オスカー・オーエンス:そして月光に視線を映す。偽りの、どこぞのだれかが創りあげた空を。
オスカー・オーエンス:「待っていろ」
オスカー・オーエンス:高らかに指をパチン、と鳴らして。
オスカー・オーエンス:その姿は掻き消えた。

GM:【赤のバラ  ブリンガー/オスカー・オーエンス     シース/キリエ・ノインフィールド】
GM:【ブーケ 369    願いの決闘場へ】

黒のアネモネ ■■

柳 真尋:「…………ようやく」
柳 真尋:「ようやく、来た。この日が」
柳 真尋:静かに呟く。そこは、彼が働いている、「やなぎブレッド」の店内。
柳 真尋:だが、香ばしいパンの匂いも、竈の火の音も、なにもない。
柳 真尋:星灯りの差し込む深夜だからか。そうではない。どうしようもないほどに、店の空気は寒々しい。
桜葉こはね:「………うん」いつもなら。
桜葉こはね:いつもなら、店内に入って、まずは焼きたてのパンの匂いに心躍らせて。
桜葉こはね:目移りして、悩んで、苦笑されて。
桜葉こはね:そういう風に、過ごすのに。
柳 真尋:「行くぞ、桜葉。母さんの仇を取る」 その表情は、笑み。
柳 真尋:普段から、仏頂面で悩む彼にはあるまじき、不自然な微笑。
桜葉こはね:「…うん」頷く。
桜葉こはね:まるで頭に靄がかかっているようで、彼の表情を見ても思考が動かない。
柳 真尋:「大丈夫だ。君が力をくれれば、どんな敵だって怖いものか」
桜葉こはね:「わ、わたしも、がんばるから」
柳 真尋:桜葉の両手を取る。
柳 真尋:手錠のように、手首を掴んだ。
桜葉こはね:「強い武器にな……ん…っ」
桜葉こはね:手首を掴まれ、痛みに思わず声が漏れる。
柳 真尋:「……さあ。言ってくれ。なってくれ、僕の武器に」
柳 真尋:「早く。さあ。早く……!」
桜葉こはね:「あっ…、ご、ごめんね。ごめんなさい」
桜葉こはね:すう、と息を吸う。
桜葉こはね:それは、この空間の何にも似遣わない、童謡のようなメロディ。
桜葉こはね:「…美味しいパンを作ろう」
桜葉こはね:様子を窺うような視線で彼を見上げながら、歌い始める。
柳 真尋:「美味しいパンを、作ろう」
桜葉こはね:「クリームパン、あんぱん、メロンパン」
柳 真尋:「カレーパン、ホットドッグ、ベーコンエピ」
桜葉こはね:(……おかしいな)
桜葉こはね:(いつもなら、ここ。すごく、楽しいとこなのに………)
桜葉こはね:「焼き立ての香りを、街に、届けよう」
柳 真尋:空っぽの店内に、消えていく。
柳 真尋:「どんな味かは 食べてからのお楽しみ」
柳 真尋:「良い子にはお腹いっぱい食べさせよう」
桜葉こはね:(………え)
柳 真尋:「だけれど、悪い子には、ひと欠片もあげないよ」
桜葉こはね:(いつもと、歌詞が、ちがう───)
柳 真尋:緩やかなリズムが早まっていく。
柳 真尋:良い子も、悪い子も。お腹いっぱいめし上がれ
柳 真尋:そういう歌だった。少なくとも、前回までは。
柳 真尋:する、と柳の手が上がる。
柳 真尋:行く先は、目の前の少女の、細い首。
桜葉こはね:「真尋く───」
柳 真尋:握りしめる。遠慮も手加減もなく。
桜葉こはね:「ぅあっ、あっ」
柳 真尋:悪い子は、生地にしてしまえ
柳 真尋:「悪い子は、生地にしてしまえ」
柳 真尋:「一つ刻みにざくりと刻んで」
桜葉こはね:「うっ……ふっ…………」見開いた瞳に、果たして目の前の彼がきちんと映っているのか。
柳 真尋:「竈の中で こんがりさ」
柳 真尋:首を絞める力は緩まない。そのまま、静かに持ち上げる。
桜葉こはね:(……ああ、そっか)
柳 真尋:苦しむ桜葉を、むしろ楽しそうに見つめている。
桜葉こはね:(そうだね、真尋くん。あなたの隣に並べる、女の子になるには)
柳 真尋:憎しみではない。衝動でもない。
柳 真尋:ただ、早く、早く『なれ』と。
桜葉こはね:(あなたのお母さんみたいに、命を失うような、そんな『すごい』『こわい』体験をしなくちゃ)
柳 真尋:ぐり、と指が喰い込む
桜葉こはね:(だめだよね……じゃないと、強い武器にもなれない………)
桜葉こはね:視界が明滅している。
桜葉こはね:何か言おうとして、でも、口からは息すら漏れなかった。
桜葉こはね:彼に掴まれた首が、武骨な柄に変わっていた。
桜葉こはね:(真尋くん)(わたし)
桜葉こはね:(わたしは──────)
柳 真尋:目の前の少女が
柳 真尋:変わっていく。かつてそれは、羽を象った、童話めいた可憐な盾だった。
柳 真尋:がくり、と少女の全身から力が抜けて。
柳 真尋:首を基点に、その身体が、巨大な刃へと変わる。
柳 真尋:波打ち、ところどころ刃毀れした、鋸めいた巨大な片刃のパン斬り包丁。
柳 真尋:「――はは」
柳 真尋:「ははははははははは!」
柳 真尋:その刃を掲げ、星灯りに晒す。
柳 真尋:「すごいぞ! ありがとう、やっぱりきみは最高だ!」
柳 真尋:「僕のシース! 僕の刃……!」
柳 真尋:無造作に、床に振り下ろす。
柳 真尋:床板が壊れ、……床材とは違う、赤茶けた煉瓦の群れが立ち昇る。
柳 真尋:「待っていろ、僕の敵! 誰一人、残すものか!」
柳 真尋:「焼いてやる! 焼いて、斬って、喰い尽くしてやる!」
柳 真尋:「ハハハ、ハハハ――――ハハハハッハハハ!」
柳 真尋:煉瓦が嵐のようにその姿を覆い、……ばちりと、少年の姿を攫うように消えた。

GM:【黒のアネモネ   ブリンガー/柳真尋    シース/桜葉こはね】
GM:【ブーケ   262 → エクリプス化に伴い全て枯死】
GM:【舞台を形成  願いの決闘場へ】

【最終章】

『とうとう来たわね、ロアテラに支配されし者』
『そしてよく来てくれたわ、星の騎士たち』
『剣をもって示しなさい この世界はまだ戦えるのだと』
『――いざ開け、願いと可能性の舞台』
      <STELLAR  BATTLE>

GM:そして、騎士たちは降り立つ。
GM:アーセルトレイ最上階。その中央に位置する、願いの決闘場フラワーガーデンに。

GM:――赤く。
GM:赤く、紅く、赫く、熱されている。
GM:中央には、硝子細工の筒の中に大切に入れられた、巨大な、しかしどこか儚い白い花。
GM:それだけが、元のフラワーガーデンの面影を残すものだとするのなら。
GM:地面は、区分けされた巨大な煉瓦片。周囲には、何らかの工場めいた設備並び立つ。
GM:どれも破壊され、ときおり炎と煙を吐き出し、だというのに稼働している。
GM:その煉瓦と工場、炎は中枢へと侵蝕を続けており、侵蝕が中央の花を飲み込んだ時、この場所も崩れ去るだろう。
GM:<舞台 崩れ鳴く廃工房>

ルーナ・ヘリアル:灼熱の中で、闇夜が産声を上げる。
ルーナ・ヘリアル:漆黒の衣を纏った巨体の男が、姿を現した。
ルーナ・ヘリアル:「……おやおや」「一番乗りとは」
ルーナ・ヘリアル:「私も殊勝な聖騎士となったものですなァ…ンッフフフ」
リュディガー:かつ、かつ、かつ。
リュディガー:靴の音とともに礼装を着た男が降りてくる。
リュディガー:「…随分と歪な音だ」周りを指してか。
リュディガー:「今日の奏者は……」
ルーナ・ヘリアル:「これはご機嫌麗しゅう」目を細めて彼を迎える。
リュディガー:「世辞の類は必要ない。雑音だ」
リュディガー:「おれは真なる音を奏でに来た。その手伝いをお前にもしてもらう」
ルーナ・ヘリアル:「ふゥむ!真なる音! それは何とも興味深い」
オスカー・オーエンス:金属的な音が鳴る。
オスカー・オーエンス:歯車の音。旋風。刺繍が施された華やかな夜会服が揺れる。金髪が赤光を浴びてきらめく。
オスカー・オーエンス:「ずいぶんと華のない花園だな」楽しげに笑う。
リュディガー:「………」目を細めて煌びやかな男を見遣る。
リュディガー:「全く。演奏会はいつも苦手だ」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフ! 見事な衣装ですなァ」
オスカー・オーエンス:「ふん、そうだろうそうだろう」
ルーナ・ヘリアル:「えぇえぇ、そのような華美な衣服、私にはとても着られませんとも」
オスカー・オーエンス:「オスカー・オーエンスだ。音楽家にまじない師か、名は」
リュディガー:「……リュディガー・シューマッハ。裏方だ。そのように動かせてもらう」
ルーナ・ヘリアル:「私は《新月》と申します。ンフフ!お見知りおきを」
オスカー・オーエンス:(……なんとも葬儀みたいな連中だな)
ルーナ・ヘリアル:「さァて、此度の女神に呼ばれし騎士は我ら三人という訳ですかな」
リュディガー:「そのようだ。そして観客は」
リュディガー:中央の花に目をやる。
オスカー・オーエンス:「主役は遅れてくる、というが」にやりと微笑む。
ルーナ・ヘリアル:「ンフフ! 匂いたちますなァ」
オスカー・オーエンス:「花一輪、三人がかりで守れぬわけもあるまい」
GM:三人が花に目を向けた、そのとき。
GM:ごう、と。舞台の外縁を舐める炎が、大きく燃え上がり。
GM:埋め尽くす壊れかけの機械が、何らかの起動し始める。
柳 真尋:「……三人か」 機材の影から、炎を踏みしめて
柳 真尋:砕けた花の仮面を被った少年が、姿を現す。
柳 真尋:「平穏な世界を崩す、忌まわしき災厄どもめ」 制服の各部に、煉瓦状の装甲を纏い、片手には波打つ刃の巨大な包丁。
リュディガー:「……聴くに耐えんな」呟く。
ルーナ・ヘリアル:「そうでしょうか? たいへん良い匂いがいたします」目を細める。
ルーナ・ヘリアル:「かぐわしい絶望の匂いだ。ンフフ!」
オスカー・オーエンス:「おまえ、大丈夫か?」さすがにちょっと引く。
ルーナ・ヘリアル:「大丈夫でございますよ」ニッコリしている。
リュディガー:「……なるほど」
リュディガー:「癖のある音だが、悪くはない」
オスカー・オーエンス:「……」
リュディガー:「あいつも」
リュディガー:「《調律》してやれば、いい音になるだろう」砕けた花の少年を見る。
オスカー・オーエンス:「まともに話せる相手がいないかもしれんな、これは」
オスカー・オーエンス:「いや、いい。どこだろうがおれは最高だからな」
ルーナ・ヘリアル:「お望みならいくらでも話し相手になりますとも。ンッフフフフ」
柳 真尋:「三対一でも、無問題だ。ぼくには加護がある」
柳 真尋:「ずっと夢の中で備えさせられた。……女神の導きが」
柳 真尋:「偉大なる、女神の加護だ。お前たち全員、ここで焼き滅ぼしてやる……!」
オスカー・オーエンス:エクリプスは認識が歪められるのだという。
オスカー・オーエンス:歪められた灼熱の花園。おそらくは変化したであろうステラドレス。
オスカー・オーエンス:「どうも女神に愛されていそうな人間は、ここにはいないな」
リュディガー:「………」
リュディガー:「女神の寵愛なんぞ、望むものじゃない」
リュディガー:「女神は踏み荒らし、届かないところで笑う」
リュディガー:「だからこそ美しい」
ルーナ・ヘリアル:「音楽家殿は一途ですなァ」
ルーナ・ヘリアル:「女神に愛されず星喰に愛された少年を、ならば我らでついばむといたしましょうか?」
オスカー・オーエンス:「はん、上から降ってくる愛などそこらの灰にでもしておけ」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ! 同類の宴という訳ですかな? 私は一向にかまいませんが」
オスカー・オーエンス:「同類。なるほどそうかもしれん」
オスカー・オーエンス:「ならば騎士よ」
オスカー・オーエンス:「願え、戦え、そのうえでこのおれに負けろ」
オスカー・オーエンス:「それくらいしか、餞などないのだから」笑むことなく、悼むように。
柳 真尋:「…………戯言を!」 少年が奥歯を噛み締め、刃を構えた。

GM:ステラバトルを開始します。
GM:まずはラウンドの説明から。
GM:ラウンドは【セット】・【チャージ】・【アクション】・【カット】の順に進行します。
GM:このうち【セット】【チャージ】【カット】は共通で、【アクション】が、キャラクターごとの、いわゆる手番ということになります。
GM:まずは、順に行っていきましょう。
GM:【セット】① エネミーのコマをガーデンに設置する
GM:ラウンド1 のみの処理です。柳真尋のコマを、ガーデン6を選択し、セットします。
GM:【セット】② ステラナイトのコマをガーデンに設置する。
GM:同じくラウンド1のみの処理です。ステラナイトの皆さんは、宣言のうえ、自分のコマを任意のガーデンに設置してください。
GM:この際、注意すべきは、『アタック』は同じコマか、隣接したガーデンにいる相手にしか行えません。
自動:なるほど
GM:ただし、自分が攻撃できる位置は、エネミーからも攻撃されやすい位置ともいえます。
GM:自らの持つスキルの移動範囲なども考え、ガーデンを選択しましょう。
ルーナ・ヘリアル:では、ガーデン5にコマをセットします。
リュディガー:1番にセット。
ルーナ・ヘリアル:オスカー様も来てね
自動:五番にせっと~
オスカー・オーエンス:ついていく
ルーナ・ヘリアル:二人きり、だね…
GM:いちゃつくな
GM:【セット】③  ステラナイトの行動順を決める
GM:ステラナイトの行動順を、相談して決めて下さい(データに基づく強制はありません)。
GM:ちなみに、ラウンド最初に動くのはエネミーです。
リュディガー:最初に行きます!
ルーナ・ヘリアル:二番手になります!
オスカー・オーエンス:三番手で~
GM:はい!
GM:【セット】④  舞台のセットルーチンが発動する。
GM:『舞台』はエネミーの心象風景が反映されており、その種類によって様々な妨害効果が起きます。
GM:『セットルーチン』と『アクションルーチン』があり、この時点で、まず『セットルーチン』が起きます。
GM:ラウンド1:セットルーチン≪ようこそ、滅びの工房へ≫
GM:『竈マーカー』 がガーデン1にセットされます。
自動:竈!
GM:ステラナイトは、このマーカーがセットされたガーデンに入るたびに、『1+現在のラウンド数』のダメージを受けます。
オスカー・オーエンス:質問です!
GM:また、その場に留まっている場合でも、【カット】のタイミングでそのガーデンにいた場合も、『1+現在のラウンド数』のダメージを受けます。
オスカー・オーエンス:今いる人(リュディガーさん)はこの対象ですか‥ってnなるほど
GM:はい、なんでしょう
オスカー・オーエンス:カット時にいる場合は対象ってことですね
GM:リュディガーさんに関しては、セットルーチン以前にガーデンに入ったため、即座にダメージは受けないものとします。
GM:カット時まで留まっていた場合、他と同様にダメージを受けるとします。
オスカー・オーエンス:はあい、ありがとうございます。
リュディガー:ありがとうございます〜!
GM:ガーデン1の外縁に巨大な竈がせり上がり、まさしくマップギミックのように
GM:侵入してきたものを感知して、炎を噴き出すと思って下さい。
ルーナ・ヘリアル:怖いねえ
GM:これで【セット】は終わりです。
GM:続いて【チャージ】に入ります。
GM:これは、ステラナイトがキャラシで修得してきたスキルを、このラウンドで使えるよう『装填(チャージ)』するパートとなります。
GM:皆さんは、『現在のラウンド数+チャージダイス数』d6 のダイスを振ってください。
ルーナ・ヘリアル:4d6
StellarKnights : (4D6) → 10[1,2,3,4] → 10

オスカー・オーエンス:4d6
StellarKnights : (4D6) → 15[4,3,4,4] → 15

リュディガー:3d6
StellarKnights : (3D6) → 7[4,1,2] → 7

ルーナ・ヘリアル:お手本みたいな出目出た
柳 真尋:4d6
StellarKnights : (4D6) → 12[6,3,1,2] → 12

リュディガー:えーとブーケブーケ
GM:説明をすると、ここの出目が示したスキルが、あなたたちが使えるようになった手札です。
GM:柳の場合、【スキル6、スキル3、スキル1、スキル2】 を一回ずつ使えるようになりました。
GM:手札と言い換えても良いでしょう。そして、欲しいスキルが出なかった場合、
GM:ここでブーケを使用することができます。
GM:『プチラッキー』。ブーケを3つ消費して、ダイス一つの出目を、1増減させられます。
GM:これは一回の判定につき、一つのダイスにだけ使えます。ただし、出目の増減数自体は、ブーケがあるかぎり制約はありません。
ルーナ・ヘリアル:ではリュディガーさんにブーケ15個消費します
GM:使用したい方は宣言の後、背景にダイスシンボルを作成して置いておくと管理しやすいでしょう
リュディガー:わあ
ルーナ・ヘリアル:1の出目に対し、5増やしてもらいます~
リュディガー:いただきます!
リュディガー:これで2、4、6
ルーナ・ヘリアル:はぁい! 6にしてください~
めかぶ:ルーナ・ヘリアルのブーケを0減少 (369 → 369)
めかぶ:ルーナ・ヘリアルのブーケを15減少 (369 → 354)
GM:すみません、もう一つ。
オスカー・オーエンス:では自分も『プチラッキー』で4の出目ひとつを2に。ブーケ10個消費かな
ルーナ・ヘリアル:出目ひとつにつき3個消費だから
ルーナ・ヘリアル:6個で大丈夫よ~
オスカー・オーエンス:ああ、そうか。
GM:『リロール』。ブーケを5個使用することで、最初のXd6ダイスをまるごと振り直すこともできます。これはチャージでもアタックでも可能ですが、一回の判定につき一回まで。
GM:では、皆さんチャージはこれで確定でしょうか?
リュディガー:全体的に出目が悪い時とかに有効と言うわけ
リュディガー:私はOK!
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを1(→ 1)増加 (369 → 370)
オスカー・オーエンス:ちがう。
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを1(→ 1)増加 (370 → 371)
ルーナ・ヘリアル:あ、自分の出目変えたいです
ルーナ・ヘリアル:ブーケ3個消費して4⇒5にします~
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを6減少 (369 → 363)
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルのブーケを3減少 (354 → 351)
ルーナ・ヘリアル:以上!
オスカー・オーエンス:できた 以上
GM:はい、では【チャージ】終了。
GM:【アクション】 に入ります。最初の手番はエネミーからとなります。
GM:先に、行動傾向の説明をします。
GM:・エクリプスは狙える範囲内の中で一番耐久力の高いステラナイトを選んで攻撃します。
GM:・エクリプスのステータスは、エクリプスにダメージが入ったタイミングで公開されます。
GM:・エクリプス側のアタック判定は常にダイス数が1個増加します。
柳 真尋:これが僕とこはねの絆のパワーだ
柳 真尋:というわけで、行動を行います。
GM:ダイス目を変更しました。
柳 真尋:使えるスキルは1、2、3、6。
柳 真尋:使用していきます。
GM:スキルNo.6『希望は消えゆくもの』
柳 真尋:スキルNo.6『希望は消えゆくもの』
柳 真尋:選択したキャラクター全てに、アタック判定【(そのキャラクターのいるガーデン番号+1)ダイス】を行います。隣接していないガーデンのキャラクターにも攻撃可能。
柳 真尋:要するにエネミースキルの全体攻撃です。死ね! エクリプス!
オスカー・オーエンス:エーン
柳 真尋:通常、複数人への判定はまとめて行いますが
リュディガー:おのれエクリプス
柳 真尋:今回はダイスが変わるので二等分します。
ルーナ・ヘリアル:イヤ~ン
柳 真尋:まずリュディガーさんへ。2ダイス。
柳 真尋:2d6
StellarKnights : (2D6) → 9[6,3] → 9

柳 真尋:オスカーさん、ルーナさんに6ダイス
柳 真尋:6d6
StellarKnights : (6D6) → 27[5,3,6,6,3,4] → 27

リュディガー:出目高っ!
ルーナ・ヘリアル:ひどくない?
柳 真尋:良い出目だな・・・・
優水:リュディガーの耐久力を1減少 (16 → 15)
リュディガー:二人とも4ダメージか
GM:ダメージは、【防御力を上回った出目の数】 となります。
ルーナ・ヘリアル:ですね 4ダメージ
オスカー・オーエンス:4!
リュディガー:では、
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルの耐久力を2減少 (16 → 14)
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルの耐久力を2減少 (14 → 12)
リュディガー:ダイス6を取り除いて『生命の図書館』を使用します。
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスの耐久力を4減少 (11 → 7)
リュディガー:自分以外の誰かがダメージを受けた時に使用。
GM:タイミング「自分以外の誰かがダメージを受けた時」 のスキルですね。どうぞ
リュディガー:即座に【チャージ判定:[現在のラウンド数]ダイス】を行う。
GM:追加チャージ判定エフェクト! 強力だ
GM:誰に対して使いますか?
リュディガー:オスカーさんに!チャージ1どうぞ!
オスカー・オーエンス:ありがとー!
GM:では、オスカーさんはチャージ判定を1d6でお願いします
オスカー・オーエンス:1d6
StellarKnights : (1D6) → 2

GM:プチラッキーはしますか?
オスカー・オーエンス:このままでいいかな…!
GM:了解です。
柳 真尋:では続けて。スキルNo.3『薄れゆく希望に火を灯せ』
柳 真尋:キャラクター1体に、アタック判定【(自分が今いるガーデン番号+1)ダイス】を行う。 自分は与えたダメージの半分(端数切捨)を受ける。
リュディガー:うわー
ルーナ・ヘリアル:まあー
柳 真尋:移動はせず、対象は耐久力が一番残っているリュディガーさんへ。
柳 真尋:7d6
StellarKnights : (7D6) → 27[6,3,6,2,3,2,5] → 27

リュディガー:防御は4なので
リュディガー:3だな
優水:リュディガーの耐久力を3減少 (15 → 12)
柳 真尋:かたいなこいつ!?
リュディガー:そうなのだ
柳 真尋:半分の端数切り捨てで、1ダメージ受けます。
柳 真尋:ダメージを受けたのでHP公開。
GM:HP31→30
柳 真尋:三手目! スキル①、共通スキル『騎士のたしなみ』
柳 真尋:キャラクター一体に【アタック判定:3ダイス】  ・1マス移動する これを順番自由に行う。
柳 真尋:リュディガーさんに攻撃。
柳 真尋:3d6
StellarKnights : (3D6) → 14[6,4,4] → 14

リュディガー:ぐえー
リュディガー:3ダメージ
ルーナ・ヘリアル:ああ~~
柳 真尋:よし!
優水:リュディガーの耐久力を3減少 (12 → 9)
オスカー・オーエンス:ギャ
柳 真尋:これ、移動はしなきゃいけないんだな……。
柳 真尋:うーん
ルーナ・ヘリアル:1がおすすめです
オスカー・オーエンス:いっておいでー
柳 真尋:ガーデン5に移動します。
ルーナ・ヘリアル:きゃ~
リュディガー:んっみゃー
柳 真尋:みんな~
オスカー・オーエンス:こないで…
オスカー・オーエンス:5はもうぎゅうぎゅうよ!
柳 真尋:じゃあ演出いきますね

柳 真尋:「すごい……力が、力が溢れてくる!」
柳 真尋:「災厄をもたらす、お前達を倒すための……力だ!」
柳 真尋:がり、と。煉瓦の地面に、乱暴に刃を突き立てる。
柳 真尋:がりがりとなぞり、地面と共に刃が欠けて砕けて、
柳 真尋:その裂け目から、炎が噴き出す。
柳 真尋:燃える床材が、砕けた刃の欠片が、侵蝕した場から吹き出す炎が
柳 真尋:三人を一気に襲う。
リュディガー:「ぐ……」
リュディガー:炎に焼かれながら、
リュディガー:レイピアを指揮棒のように振る。
リュディガー:それは、与えられた攻撃を星の力に変える音楽だ。
リュディガー:煌びやかな男にそれを与える。
オスカー・オーエンス:「……届いたぞ」星の歌が聞こえる。
オスカー・オーエンス:炎の痛みと熱い呼吸の中、その音が。
オスカー・オーエンス:すう、と身を軽くするような心地がした。
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ!言動の割りに、健気な男のようですなァ」
柳 真尋:砕けた刃がふらつきながら少年の下に戻る。
柳 真尋:刃を確かめるように握り直しながら、より敵が多い方へと移動してくる。
ルーナ・ヘリアル:「しかして、かの少年の眼には我々はどう見えているのか…非常に気になりますなァ」
オスカー・オーエンス:「おまえから見ているように…いや。もっと歪に、こちらこそが欠けているように」
オスカー・オーエンス:「なのかね。でなければ、あんな目はしまい」

GM:では【アクション】。次はリュディガーさんの手番となります、が……
GM:ここで舞台のギミックその二、【アクションルーチン】が作動します。
リュディガー:予兆だ
GM:アクションルーチンは、各々の手番の最初に「予兆」としてその内容が予告され、
GM:手番が終わった後、その効果が発動します。
GM:要するに、手番の人は自分の攻撃だけでなく、予兆を見て、避けるように移動したり、しなかったりできるわけです
リュディガー:そういうこと!
リュディガー:移動できるようにしておくといいぞ
柳 真尋:予兆ダーイス
柳 真尋:ダイスじゃないわ
柳 真尋:No.1≪さあ、素材を切り分けよう≫
柳 真尋:ガーデン2、4、6にいるステラナイトに【アタック判定:5ダイス】
柳 真尋:…………。
柳 真尋:まあ分かってた
柳 真尋:これがリュディガーさんの行動後に発動します。
ルーナ・ヘリアル:たいへんこわい
オスカー・オーエンス:ということは奇数には行かないほうがいいのか
リュディガー:偶数ですね
オスカー・オーエンス:あ、そうだった
リュディガー:とりあえず安全!
GM:ではリュディガーさん、どうなさいますか
リュディガー:ええ
リュディガー:何もできないので
リュディガー:何もしません
GM:人生、そういうときもあります。
リュディガー:ありますね
GM:無理に何かせず、自分の周りをゆっくりと見てみましょう。
リュディガー:為になるアドバイスだ
GM:カットタイミングで貴方を焼こうとしている竈なんかが目に入ります
オスカー・オーエンス:ろくなもんがない
リュディガー:あー大変だなあ
ルーナ・ヘリアル:こわいねえ

GM:では次! ルーナさんのアクション!
柳 真尋:の前に予兆!
柳 真尋:≪さあ、生地を焼いていこう≫
柳 真尋:  ガーデン3、4、5にいるステラナイトに【アタック判定:4ダイス】
オスカー・オーエンス:なんだって~!?
柳 真尋:これが行動後に起きます。
柳 真尋:ガーデンの下半分をこんがり焼こうね
GM:ではルーナさんの行動をどうぞ
ルーナ・ヘリアル:はぁい
ルーナ・ヘリアル:使用可能スキルは1,2,3,5。
ルーナ・ヘリアル:まずスキルNo.3『黒刃のかきむしり』。
ルーナ・ヘリアル:ガーデン6に移動します。
ルーナ・ヘリアル:その後柳くんに対し、【アタック判定:2ダイス】を2回行います。
GM:ブーケは使いますか?
ルーナ・ヘリアル:使います!
ルーナ・ヘリアル:12個消費して3個増やす…が最大値でしたよね
GM:『ダイスブースト』。アタック判定のダイスを、1個につき4枚ブーケを消費することで増やせます。
GM:はい、一度の判定につき最大3個まで、ブーケ使用12枚ですね
ルーナ・ヘリアル:ではそのようにしまして
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルのブーケを12減少 (351 → 339)
ルーナ・ヘリアル:アタック判定いきます
ルーナ・ヘリアル:5d6
StellarKnights : (5D6) → 14[4,5,3,1,1] → 14

GM:今回、二度の判定があるので、仲間の支援も含めてブーケを24枚使用すればダイス5×2ができます
柳 真尋:防御は3!
ルーナ・ヘリアル:出目わる…
柳 真尋:3ダメージを受けます。 HP30→27
ルーナ・ヘリアル:では二度目の判定行きます。
リュディガー:ブーケ投げます!
リュディガー:4枚!
オスカー・オーエンス:じゃあルーナさんにブーケあげるね~
ルーナ・ヘリアル:オスカー様、8枚くれたら嬉しいな~
オスカー・オーエンス:八枚あげてもいい?
オスカー・オーエンス:あげちゃう!
ルーナ・ヘリアル:やった!もらいます
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを8減少 (363 → 355)
ルーナ・ヘリアル:では、ダイスブーストいただきまして
ルーナ・ヘリアル:5d6
StellarKnights : (5D6) → 16[1,2,3,5,5] → 16

優水:リュディガーのブーケを4減少 (282 → 278)
柳 真尋:また3ダメージ
柳 真尋:HP27→24
ルーナ・ヘリアル:じゃあ次のスキルいくね!
ルーナ・ヘリアル:スキルNo.1『騎士のたしなみ』を使用します。
ルーナ・ヘリアル:柳くんに【アタック判定:2ダイス】を行った後、1マス移動します。
ルーナ・ヘリアル:先にアタック判定から!今回は自分でブーケ使っちゃいますね
GM:はあい
ルーナ・ヘリアル:ブーケ12個消費してダイス3つ増やします。
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルのブーケを12減少 (339 → 327)
ルーナ・ヘリアル:5d6
StellarKnights : (5D6) → 12[2,1,2,3,4] → 12

ルーナ・ヘリアル:出目!
サン・ヘリアル:ルーナ…
柳 真尋:24→22
ルーナ・ヘリアル:では1マス移動してガーデン1に突入するぞい
GM:おや
ルーナ・ヘリアル:楽しいことが起こるはずぞい
柳 真尋:それでは【竈マーカー】が作動します。
柳 真尋:入ってきたルーナさんに2ダメージ!
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルの耐久力を2減少 (12 → 10)
ルーナ・ヘリアル:痛いぞい
オスカー・オーエンス:おれを置いていく…
ルーナ・ヘリアル:ではここでスキル№5『夜を駆けよ』。
柳 真尋:ふたりきりだね
リュディガー:わあ
ルーナ・ヘリアル:リュディガーさんと一緒にガーデン6へ移動してもよろしいですか?
リュディガー:よろしいです!
ルーナ・ヘリアル:ではそのようにします!
リュディガー:エスコートお願いします
オスカー・オーエンス:ヤベー男と二人きり二連(ヤバくない男がいないからな)
GM:では、アクションルーチンが作動します。
オスカー・オーエンス:ギャーーーー(汚い悲鳴)
GM:かな?
ルーナ・ヘリアル:です!
GM:はあい
柳 真尋:オスカーさんに向けて4ダイスのアタック
オスカー・オーエンス:ギャッ
柳 真尋:4d6
StellarKnights : (4D6) → 11[1,3,6,1] → 11

柳 真尋:2ダメージ!
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスの耐久力を2減少 (7 → 5)
オスカー・オーエンス:こうかっ
オスカー・オーエンス:へろへろ
GM:では演出どうぞ~
ルーナ・ヘリアル:はぁい

ルーナ・ヘリアル:迫りくる敵の攻撃をしのぎながら、横に居る青年に笑う。
ルーナ・ヘリアル:「おやおやオスカー殿、もしや私を悪鬼か何かと思ってはいませんかな」
オスカー・オーエンス:「いや? そうではないと思っているし、そう信じさせてもらいたい」
オスカー・オーエンス:「おまえもまたステラナイトなのだろう」
ルーナ・ヘリアル:「ンッククク! その通り!」
ルーナ・ヘリアル:愉快極まりないといった調子で哄笑すると、目の前の少年に向き合う。
ルーナ・ヘリアル:「ではご覧いただきましょうか、我が騎士道を…ンッフフフ!」
柳 真尋:「!」
ルーナ・ヘリアル:逆手に持っていた巨大な鎌を振り上げて、少年の身体を掠めるように切り払う。
ルーナ・ヘリアル:瞬時に手のひらを返し、追撃。弄ぶような斬撃を払いながら、
ルーナ・ヘリアル:灼熱の庭を闊歩する。
柳 真尋:「ぐあっ……!?」 防御に掲げた刃をすりぬけて、斬撃が身体を掠める。
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ!」「おやおや、まったく可哀想に」
柳 真尋:傷口からは熱された煉瓦土が火の粉と共に舞う。
柳 真尋:「……災厄、いや、死神か……!」
柳 真尋:「お前に与える命など、僕には一つも無い……!」
ルーナ・ヘリアル:「フフフフフ! そうとも、我が名は《新月》。死と惹かれ合う魔術師ですとも」
ルーナ・ヘリアル:「ですがねェ、残念至極」
ルーナ・ヘリアル:「この仮初の花園に、私の愛する死など何処にもないのですよ」
柳 真尋:「訳の分からないことを……!」
柳 真尋:「熱だ。もっと、温度を、熱を……!」
ルーナ・ヘリアル:「ええ、そうですよ。本当の死は、もっと熱く、冷たい」
ルーナ・ヘリアル:「フフ、それを知りたければ、早くまやかしの死などからは醒めて」
ルーナ・ヘリアル:「私の元へおいでなさると良い……ンッフフフフ!」
柳 真尋:「黙れっ!」 少年の怒りに呼応し、外周の半分で、無数の焼成窯が立ち昇る。
柳 真尋:ごう、と。少年に力を与えるように熱波が走り、
柳 真尋:傍にいたオスカーさんを巻き込んで焼く。
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ!」その熱波に、むしろ自ら飛び込むようにして。
ルーナ・ヘリアル:熱波に呑まれた体は、式神に分裂して無数に飛び散る。
オスカー・オーエンス:「っぐ……」体が焦げる幻視。「は、《新月》。見えていただろう…!」
ルーナ・ヘリアル:「さァて、如何でしょう」
ルーナ・ヘリアル:ニヤニヤと笑い、太い腕で音楽家の身体をぐいと引く。
オスカー・オーエンス:「っは、面白い男だ……!そちらは託したぞ!」
リュディガー:「っ」
ルーナ・ヘリアル:「こんな面白い炎を、貴方だけに独り占めさせるのは勿体ないですからなァ」
リュディガー:「…そうか。面白い、と言うのは同感だが」
リュディガー:「いい音にはならん。削ぎ落とすべきものだな」
リュディガー:「お前はいい腕をしている」
ルーナ・ヘリアル:「ハッハッハ! ならば貴殿の望む音を奏でてみせましょうぞ!」
リュディガー:「多少は、期待しておいてやる」
ルーナ・ヘリアル:「ンフフ!」

GM:では再度アクション!
GM:オスカーさんの手番……ですが
GM:そのまえに予兆!
柳 真尋:≪竈へと順に投げ込もう≫
オスカー・オーエンス:こわそう
柳 真尋:全てのステラナイトは1ダイスを振る。出目が4以上ならその場に留まる。出目が3以下のステラナイトは1に移動する。
リュディガー:うわあ
リュディガー:えげつない!
オスカー・オーエンス:うおお
ルーナ・ヘリアル:ヤバいって
リュディガー:1d6
StellarKnights : (1D6) → 4

ルーナ・ヘリアル:1d6
StellarKnights : (1D6) → 4

リュディガー:セーフ!
ルーナ・ヘリアル:よかったぁぁ
オスカー・オーエンス:1d6
StellarKnights : (1D6) → 1

リュディガー:オスカーっっ
オスカー・オーエンス:…
ルーナ・ヘリアル:オスカー様~~!
オスカー・オーエンス:キリエ……
オスカー・オーエンス:これは全部終わった後か
GM:えーっと
GM:そうなりますね……。
リュディガー:予兆だからね…
GM:というわけですので、通常通りの行動をお願いします。
オスカー・オーエンス:了解です!
オスカー・オーエンス:えっと、まずNo.2《咲き誇れ薔薇の花》しようかな。
オスカー・オーエンス:2d6
StellarKnights : (2D6) → 6[1,5] → 6

オスカー・オーエンス:これをもう一回か。
ルーナ・ヘリアル:あっブーケ投げれるからね
GM:そうそう
オスカー・オーエンス:あっそうだ。じゃあこっちは自分でブーケ使ってみよう。
ルーナ・ヘリアル:最大ブーケ12個消費でダイス3個増やせるよ!
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを12減少 (355 → 343)
リュディガー:次投げるね!
オスカー・オーエンス:さっきの無しで大丈夫かな?それはそのままでいいかしら
GM:プラス3個追加で振ってくださーい
オスカー・オーエンス:3d6
StellarKnights : (3D6) → 7[2,4,1] → 7

オスカー・オーエンス:こうかっ
GM:2点ダメ!
柳 真尋:22→20
ルーナ・ヘリアル:そしてもう1回判定だね~
GM:で、二撃目どうぞ
オスカー・オーエンス:はあい!ブーケほしいな~
リュディガー:あげる!
ルーナ・ヘリアル:じゃあこちら、ブーケ4個消費します!
リュディガー:じゃあ8個!
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルのブーケを4減少 (327 → 323)
優水:リュディガーのブーケを8減少 (278 → 270)
オスカー・オーエンス:ありがと~(ウインク)
オスカー・オーエンス:5d6
StellarKnights : (5D6) → 16[1,5,6,1,3] → 16

オスカー・オーエンス:3ダメ!
柳 真尋:20→17
オスカー・オーエンス:あ、で回復もできるんだった
ルーナ・ヘリアル:何点回復したかな~
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスの耐久力を2増加 (5 → 7)
オスカー・オーエンス:よし。なんとか。
オスカー・オーエンス:で、もう一回No.2《咲き誇れ薔薇の花》しようかな…回復できるだけしときたい
オスカー・オーエンス:ブーケ12こつかう
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを12減少 (343 → 331)
オスカー・オーエンス:5d6
StellarKnights : (5D6) → 12[3,2,2,4,1] → 12

オスカー・オーエンス:まず2ダメ!
柳 真尋:HP17→15
オスカー・オーエンス:二回目も。ブーケ自前でいいかな
ルーナ・ヘリアル:いいよ~
リュディガー:いいよ!
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを12減少 (331 → 319)
オスカー・オーエンス:5d6
StellarKnights : (5D6) → 21[5,6,2,2,6] → 21

ルーナ・ヘリアル:良い出目!
オスカー・オーエンス:おっ3ダメだ
GM:柳 真尋の耐久力を3減少 (15 → 12)
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスの耐久力を2増加 (7 → 9)
オスカー・オーエンス:おし チョトゲンキ
柳 真尋:おのれ……!
オスカー・オーエンス:続いてNo.3《掻きむしれ炎禍》
オスカー・オーエンス:まず自前ブーケで、これまた12こ使うか
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを12減少 (319 → 307)
柳 真尋:きませい!
オスカー・オーエンス:4d6
StellarKnights : (4D6) → 14[1,6,3,4] → 14

オスカー・オーエンス:おお、3ダメだ
GM:柳 真尋の耐久力を3減少 (12 → 9)
ルーナ・ヘリアル:いいぞいいぞ
オスカー・オーエンス:えーと次。ブーケなど頂きたい気分です
リュディガー:ブーケ12投げますー
優水:リュディガーのブーケを12減少 (270 → 258)
オスカー・オーエンス:キャ~
オスカー・オーエンス:4d6
StellarKnights : (4D6) → 7[1,2,2,2] → 7

ルーナ・ヘリアル:男前!
オスカー・オーエンス:ごめん…
オスカー・オーエンス:いきなり無力に
柳 真尋:ノーダメ!
オスカー・オーエンス:くーっ
オスカー・オーエンス:じゃあ次もういっかいだ
オスカー・オーエンス:ルーナくんブーケとかくれないかな~?
ルーナ・ヘリアル:12個あげちゃいますぞ♡
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルのブーケを12減少 (323 → 311)
オスカー・オーエンス:モテモテだぜ
オスカー・オーエンス:4d6
StellarKnights : (4D6) → 14[5,2,3,4] → 14

オスカー・オーエンス:おし3ダメ
GM:柳 真尋の耐久力を3減少 (9 → 6)
柳 真尋:うぐうう
オスカー・オーエンス:おっし、ではNo.4《赤熱鉄柱ぶん回しの刑》にいくぞ(なにこの名前)
オスカー・オーエンス:まず移動か。どうせ最後には1に行くんだよね。4にでも行くか
オスカー・オーエンス:んで攻撃に自前のブーケつかってブースト
オスカー・オーエンス:オスカー・オーエンスのブーケを12減少 (307 → 295)
オスカー・オーエンス:6d6
StellarKnights : (6D6) → 19[3,1,6,6,1,2] → 19

オスカー・オーエンス:3ダメ!
GM:柳 真尋の耐久力を3減少 (6 → 3)
オスカー・オーエンス:で、柳くんには移動してもらう。一マス分で6へ
GM:さらに当てた相手を移動させられます
柳 真尋:グワーッ
柳 真尋:ガーデン6が大渋滞
桜葉こはね:真尋くん!
オスカー・オーエンス:孤高だぜ
GM:これでダイスは……残り一つ!
オスカー・オーエンス:んで再度《赤熱鉄柱ぶん回しの刑》…やっちゃっていいかな
ルーナ・ヘリアル:ファイトよ~
リュディガー:いけいけー
柳 真尋:ファンブれ!
オスカー・オーエンス:おっし
オスカー・オーエンス:じゃあ移動。5に戻ります
オスカー・オーエンス:うろうろ
オスカー・オーエンス:でブーケをねだろうかな おにいさまがたに
リュディガー:じゃあ4
リュディガー:なげます
ルーナ・ヘリアル:8個投げます♡
優水:リュディガーのブーケを4減少 (258 → 254)
ルーナ・ヘリアル:ルーナ・ヘリアルのブーケを8減少 (311 → 303)
オスカー・オーエンス:センキュッ…!
オスカー・オーエンス:6d6
StellarKnights : (6D6) → 27[3,5,3,6,6,4] → 27

オスカー・オーエンス:wwww
ルーナ・ヘリアル:俺達の絆パワーってワケ
GM:リロールしませんか?
ルーナ・ヘリアル:え~どうしよっかな~
GM:ほら・・・・ブーケも余ってるしさ・・・・
GM:はい……
GM:柳 真尋の耐久力を6減少 (3 → -3)
柳 真尋:HP0! 復活手段……なし!
柳 真尋:戦闘終了です。演出どうぞ!

オスカー・オーエンス:火を浴びる。斧に組み込まれた水晶が赤く輝き、蒸気を放つ。
オスカー・オーエンス:「……生憎だが、熱で負ける気はまったくしないな」
オスカー・オーエンス:それはとある世界の技術の結晶。だれかを屠るため。だれかを殺してでも、理想を成し遂げるために生み出された。
オスカー・オーエンス:それはもう、使われることのない遺物だが、ただこの花園でだけは、そう在ったように再現される。
オスカー・オーエンス:「おれの熱は、なによりも残虐で、そして!」
オスカー・オーエンス:駆ける。ガントレット型の金属が腕を支える。こう戦うのだと教えてくれる。
オスカー・オーエンス:こう在ったのだと。屠られた、屠った、そんな歴史を奏でる。
柳 真尋:「!」
リュディガー:少し、離れた園で。
リュディガー:指揮棒を振るう男が一人。
リュディガー:「……いい音を奏でる男だ」
リュディガー:耳を傾け、紡ぎ出す。
リュディガー:紡ぎ出された音楽が、騎士に力を与える。
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ」
ルーナ・ヘリアル:煉瓦の隙間からじわりじわりと闇が這い出て、
ルーナ・ヘリアル:少年が逃れられないよう絡めとる。
柳 真尋:「っ……貴様ら……!」
柳 真尋:「連携だとっ。災厄の、使徒が……騎士のような真似を……!」
リュディガー:「耳を、すましてみろ」
リュディガー:「災厄の音色は、『本当は』どこにある」
リュディガー:「真実を聴け。それができぬのならば」
リュディガー:「終わりだ」
柳 真尋:「…………っ!?」
柳 真尋:「耳を……違う。貸すな、悪鬼の……」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフフ!」
柳 真尋:「僕は……母さんの、仇を……」
柳 真尋:自らの熱気よりも勝る蒸気が、男を守っている。
オスカー・オーエンス:毀れた包丁が視界に映る。
オスカー・オーエンス:おそらくは少年で、これはパンを切る、そのあたりの仕事をしているのかもしれない。
オスカー・オーエンス:(本当は、あんな花園よりも、こうであるほうが相応しいのだ)
オスカー・オーエンス:(奪われているのだから。奪い合う場なのだから)
オスカー・オーエンス:かつて滅んだ数多の世界と同じように。ここもまた、ただの戦場であるはずなのだから。
オスカー・オーエンス:斧剣を振りかぶる。
柳 真尋:「認めるか。負けるか……熱を、熱をくれ、僕のシース……!」
柳 真尋:「う、あああああっ!」
柳 真尋:耐えられず、こちらから斬りかかる。
オスカー・オーエンス:巨大な水晶の刃が食い止める。
オスカー・オーエンス:「熱をくれ、ああ」
オスカー・オーエンス:「これを終わらせる熱を」
オスカー・オーエンス:この熱を。この破壊を生み出すために、多くの血が流された。
オスカー・オーエンス:多くの人間の生と死が贄として積み重ねられた。それはキリエ・ノインフィールドであり、彼女を踏み躙ったものであり、彼女が使われたものでもある。
オスカー・オーエンス:そしてそこに、音の熱が。闇の熱が。絡まってゆく。
ルーナ・ヘリアル:「捧げましょうとも。我が力を」笑みが深まる。
ルーナ・ヘリアル:「今宵は、そういう宴なのでしょう」
柳 真尋:(耐えられる……耐えられる!)
柳 真尋:歯を食いしばる。三人の騎士を相手に回しても。耐えられる、と感覚的に直観する。
柳 真尋:(僕の、――彼女の、盾なら!)
柳 真尋:(盾、なら――)
柳 真尋:妖精の盾。戦いに臨む彼をずっと支えて来てくれた、大いなる守り。
柳 真尋:今は、そうではない。度重なる無謀な運用に、砕け、欠け、焼けつき、
柳 真尋:かろうじて戻ってきている、罅割れだらけの片刃包丁。
柳 真尋:「――ああ」
柳 真尋:力を抜く。腕を下げる。刃を、蒸気纏う水晶斧から逸らす。
オスカー・オーエンス:(……武器シースを、守るか)
柳 真尋:鍔競り合いが弾け、斧剣の一撃を、真正面からその身で受ける。
オスカー・オーエンス:重い一断が、降ろされる。「騎士の振る舞い、ではないが」
オスカー・オーエンス:「騎士よりずっと好ましいよ。料理人……か、わからなかったが」ゆっくりと、引き上げる。
オスカー・オーエンス:本来は血を引くであろうそれは、そうではなく。火の粉を纏って爆ぜた。
柳 真尋:力場が爆ぜる。吹き飛ばされ、跳ねて、……そびえ立っていた巨大な竈に、背中からぶつかる。
柳 真尋:「が……ふっ……」
柳 真尋:もう、その竈は燃え上がってはいない。外周を埋めていた機械達も、落ちつき。
柳 真尋:本来そうあるべき、落ちついた稼働を始める。
柳 真尋:「すまない。……ああ。そうだったか……僕が……」
柳 真尋:砕けた花の仮面が割れて。どこにでもいる、普通の少年が空を見上げる。
柳 真尋:「やなぎブレッドは、最高で、……それだけで、良かった、のに……」
柳 真尋:罅割れた刃を見て、「……すまない」
柳 真尋:そっと胸に抱え込んだ。
オスカー・オーエンス:「ブレッド…パン屋か。宴なら――料理が欲しいところだ」
オスカー・オーエンス:「おれはクロワッサンが好きなんだ。置いているか」
柳 真尋:「…………ああ。もちろんだ」
柳 真尋:「チョコレートから、ストロベリークリームまで……ある」
リュディガー:「…………」その会話を聞いている。
オスカー・オーエンス:「買いに行かせてくれ。最高なんだろう?」
柳 真尋:「…………おかしな、人だな」
柳 真尋:身を起こす。指先から、その姿は光になって消え始めている。
柳 真尋:「こんな場所で。今の今まで、敵だった相手に言うことか?」
オスカー・オーエンス:「…だとしたら、それはおれもまた最高の男だからかもしれんな」笑う。
オスカー・オーエンス:「また会おう、やなぎブレッドの少年」
柳 真尋:「……そうか」
柳 真尋:やや唖然としつつ。「……僕はともかく、店が最高なのは、本当だ」
柳 真尋:「店に来てくれれば、サービスしよう……」
リュディガー:「……調ったか」
リュディガー:「本来の音。それを忘れるな」
リュディガー:消えゆく少年に向け、告げる。
リュディガー:「世界を満たす正しい音であれ」
柳 真尋:「……。ああ……」
ルーナ・ヘリアル:「ンフフ」布で隠された口元に手をやりながら、ニヤニヤと目を細める。
柳 真尋:「そうする……うわっ」
ルーナ・ヘリアル:「如何です?本当の死後の世界を覗きたければ、私がご案内いたしますが」
ルーナ・ヘリアル:「もちろん、サァーーービスしますよ。ンフフ!」
柳 真尋:巨大な鎌を持った黒ずくめの死神に驚く。
柳 真尋:「あんたは……本当に死神なのか」
ルーナ・ヘリアル:「魂を刈り取りはしませんなァ。死の世界に触れることができるのみ」
柳 真尋:「そ……そうか。そんなやつも、いるんだな……」
柳 真尋:「だが、死後はまだ……待ってほしい」
柳 真尋:「その前に、謝らなければいけない相手が……いる」
柳 真尋:「その後なら、……必要に応じる」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフ!」
柳 真尋:手の内から一足先に消えてゆく武器を。
柳 真尋:その光の粒子を目で追う。
ルーナ・ヘリアル:「いつでも。黄泉の淵で、お待ちしておりますよ」
柳 真尋:「そうか。それは……頼もしい、な……」
柳 真尋:声が薄れる。とうとう、体が消えてゆく。
柳 真尋:「今回。本当に、迷惑を……かけ、ました」
柳 真尋:「けれど、その……知れて良かった」
柳 真尋:自分のように、惑い、狂ったステラナイトを。
柳 真尋:狩る、その為に存在するステラナイトが、いるのだということを。
柳 真尋:「勝手な頼みだが、これからも、どうか……世界を……」
柳 真尋:「守って、ください」
柳 真尋:消えかけた体で、最後に小さくお辞儀のような動きをして。
柳 真尋:少年の五体は、粒子に溶けた。
オスカー・オーエンス:「……」
リュディガー:「……まったく」
オスカー・オーエンス:「……こんな、明らかに妙な連中に頼むかね」苦笑する。
リュディガー:「そうだな。おれには相応しくない」
オスカー・オーエンス:「っは、素直だな」
リュディガー:「星の騎士など、やれているほうが不思議なくらいだ」
リュディガー:「この力を呉れた女共は自分たちへの信仰はどうでもいいらしい」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフ! おやおや、聞かれてるかもしれませんぞ」
リュディガー:「は。女神など、おれにはただのひとりでいい」
オスカー・オーエンス:「たしかに、おれもあの女神どもは……出し抜いてやると思っている」悪戯ぽく。
リュディガー:「なかなか、いい根性をしているな。面白い」
オスカー・オーエンス:「その際には協力でも願おうか。それくらい容易いと見たぞ、二人とも?」
オスカー・オーエンス:「……では、帰るか。俺は忙しいのでな」
オスカー・オーエンス:「シューマッハ。またぜひ曲を聞かせてくれ。《新月》。次は本当の名前を教えてくれ、あるんだろう?」
オスカー・オーエンス:そして指をパチンと。
オスカー・オーエンス:「では、《また》」旋風。
オスカー・オーエンス:掻き消える。
ルーナ・ヘリアル:「これはこれは…返事も聞かずに帰るとは。甚だ勝手極まりない」
ルーナ・ヘリアル:くつくつと笑う。
ルーナ・ヘリアル:「では、私もこれにて失礼いたしましょう。ンッフフフ!」
ルーナ・ヘリアル:「残虐と非道の音色に惹かれたならば、また会うこともあるでしょう」
ルーナ・ヘリアル:「では、さらば…ンッフフフフ!」
ルーナ・ヘリアル:その身体が、足元から式神と化し、
ルーナ・ヘリアル:吹き荒れて消える。
リュディガー:「……おれも、帰るか」
リュディガー:「ああいうのがもっと多ければ」
リュディガー:「多少はおれの音楽も売れるかもしれんな」
リュディガー:そうひとりごつと、首を横に振って
リュディガー:「………ばかばかしい」
リュディガー:バン、とピアノの蓋を乱暴に閉じるような音がして
リュディガー:その姿も消える。
リュディガー:あとには、音ひとつ残らない。
GM:――――――――――――――――
GM:―――――――――――――
GM:―――――――――――

勲章授与

GM:それでは、ステラバトル終了に伴い、勲章の授与を行います
自動:わあーい
GM:これは経験点のようなもので、集めることで願いを叶えられたり叶わなかったりします
めかぶ:イエ~イ
自動:皿とかもらえそう
GM:セッション中に様々な条件をクリアすることで、貰える勲章の種類が変わる。では一つずつ上げていきますね
優水:わいわい
GM:【勝利の騎士】  :ステラバトルに勝利したとき、全てのステラナイトに授与される。
GM:これは皆さんですね。
ルーナ・ヘリアル:勝利しましたぞ!
オスカー・オーエンス:そうだぞ
GM:【終撃の騎士】  :エネミーの耐久力を0にしたステラナイトに授与される
GM:これはオスカーさん!
オスカー・オーエンス:おれのことだ!
ルーナ・ヘリアル:オスカー様~!
リュディガー:おめでとうー
GM:【鉄壁の騎士】  :ステラバトル終了時、耐久力が減っていない、あるいは増えているステラナイトに授与される
GM:該当者なし。柳、がんばりました!
リュディガー:真尋くんの勝利
オスカー・オーエンス:えらい
ルーナ・ヘリアル:すご~い
柳 真尋:へへへっ 皆のお陰さ!
GM:【模範の騎士】  :自分以外にブーケの効果を使用したステラナイトに授与される。
GM:これも皆さんですね。
ルーナ・ヘリアル:やった~!
オスカー・オーエンス:模範的だからな~
リュディガー:模範だぜ
GM:【共闘の騎士】
GM:ステラバトル中、他のステラナイトと会話をした場合に授与される。
GM:これも皆さんですね。
ルーナ・ヘリアル:なかよし!
リュディガー:なかよしだ!
オスカー・オーエンス:絆です
GM:それじゃ皆さん、勲章はいくつになったかな~?
ルーナ・ヘリアル:3つ!
オスカー・オーエンス:4つ~
リュディガー:3つ!
GM:うんうん、勲章を集めて、君も素敵な願いをゲットだ!
ルーナ・ヘリアル:がんばるぞ~!
GM:では戦闘後処理はここまで。ここからEDに入ります~
リュディガー:はーい!
オスカー・オーエンス:はあい!
ルーナ・ヘリアル:イエ~イ

【カーテンコール】

白のアマランサス

リュディガー:紙袋の中には、ほかほかのパンがたくさん詰められている。
リュディガー:「………」
リュディガー:それを、椅子に座って腕を組み、睨むように見ている。
アウラ:「わっ」香ばしい匂いに気づいて、椅子の後ろから顔を出す。
アウラ:「どうしたの、これ」
リュディガー:「買って来た」
リュディガー:「やなぎブレッドとかいうパン屋のものだ」
アウラ:「……あら、どういう風の吹き回し」
リュディガー:「……たまには上等の供物を捧げたい時もある」
アウラ:ステラバトルでの会話は、聞こえていない。読唇がかなわないからだ。
アウラ:「いつもそういう気分でいてほしいものだけど」
アウラ:袋の中から適当に取り出す。
リュディガー:……アウラはいつもステラバトルで行われた会話のことを口にしない。
リュディガー:だから、シースには意識がないものだと、そう思っている。
リュディガー:「菓子パンと惣菜パン、両方取っていけ」
アウラ:「はあい。選べずに全部適当に買ってきたの?これ」
アウラ:甘いほうだけを取ろうとしていたので、違うものも取る。
リュディガー:「…………」答えない。と言うことは、その通りということ。
リュディガー:自分も菓子パンと惣菜パンをひとつずつ取り出す。
アウラ:「まったく」焼き菓子に近い、カラメルをかけたパンを口にする。
アウラ:「……あ、おいしい」
リュディガー:ベーコンの上に蜜がかけられたパンをひとくち。
リュディガー:「…………ふん」
リュディガー:「このぐらい純粋な音を出すやつがもっといればいいんだが」
アウラ:「零点の誉め言葉ね」
リュディガー:「おれに褒め言葉を期待するな」
リュディガー:「……そういう柄でないことぐらいは理解している」
リュディガー:甘く、香ばしい。
リュディガー:そこに込められた『想い』は、リュディガーの感知するところではない。
リュディガー:ただ、好ましいかどうか。
リュディガー:それだけだ。
アウラ:「どこかの世界では、パンは神の肉体を指すって書いてあったな、あなたが置いてた本に」
アウラ:「どれだったっけ…」ちらりと積まれた本を見るが思い出せない。
リュディガー:「どこの神かは知らないが」
リュディガー:「全ては糧だ。唯一の女神の為の」
リュディガー:「……ああ、食べ終わったら少し待っていろ」
リュディガー:「渡すものがあるからな」
アウラ:「いよいよ気でも狂ったの?」
アウラ:「……いえ、これ以上狂うこともないか」
リュディガー:「おれは誰よりもまともだ」
リュディガー:世にも珍しい暖かな晩餐を終え
リュディガー:リュディガーは書斎からひと抱えほどの箱を持ってくる。
リュディガー:「開けろ」
アウラ:椅子の上で足をぱたぱたと行儀悪く持て余していたが、そっと受け取る。
アウラ:箱を開く。
リュディガー:その中には真新しい、白い靴が入っている。
アウラ:「………」
アウラ:「……本当にどうしたの」
リュディガー:「お前を外に出すつもりはない」
リュディガー:「出すつもりはないが」
リュディガー:「靴ぐらいはいいものを履いていた方がいい」
アウラ:「今更気づいたの」ふふ、と、零すように笑う。
アウラ:虹色の瞳を細める。
アウラ:「じゃあ」
アウラ:片足を突き出す。「履かせて?」
リュディガー:「……じっとしていろよ」
リュディガー:その足に合う方の靴を取り出し、その華奢な足に被せていく。
アウラ:左右均一の端正な微笑みでそれを見下ろしている。
リュディガー:ひとつ履かせたならば、もう片方の足を引き出して。
リュディガー:白い足を、それよりも白い白で彩る。
アウラ:硬く冷たい感触と、男のかさついた指の温度。
アウラ:その差異が消えていくのをぼんやりと感じた。
リュディガー:「…これでいいだろう」
アウラ:黒いスカートから伸びる、痩せた白い脚に、白い靴。
アウラ:低めの踵が、それでも少しだけ彼女を地から離す。
アウラ:「……」両手を伸ばす。「立たせて」
リュディガー:恭しく手を取り、そっと立たせる。
アウラ:「あは、騎士みたい」立つ。くるりと回る。
アウラ:スカートが翻り、黒髪が揺れる。
リュディガー:「………」
リュディガー:「買って来て正解だった」
アウラ:「それだけ?」
アウラ:男を見ている。言葉一つ、音一つ、ただ一人を、そうしなければ手繰れないから。
リュディガー:「おれは音楽家だ」
リュディガー:「聴こえるものにしか興味はない」
アウラ:逸らすことなく見ている。いつだって。
アウラ:「ええ」
リュディガー:「お前は俺の信ずる音だ」
リュディガー:「これまでも、これからも」
リュディガー:どこまでも純粋な音。
アウラ:「……あなたが落っこちないのは、はじめから背いているからなのかもね」
アウラ:星の騎士、なのだという。この男が。ばかげた話だ。
リュディガー:「これ以上ないくらい従順だ、おれは」
アウラ:「かもね」蕩けるように笑う。
アウラ:アウラ。
アウラ:はるか過去に凋落した芸術たちの本質を、かつてどこかの世界の思想家はそう呼んだ。
アウラ:そんな言葉を、男は名付けた。
アウラ:失われた世界の、失われた芸術を象って。ばかげた男が、ばかげた世界を救っている。
アウラ:「わたしを呼んで」
リュディガー:「アウラ」
リュディガー:その名を呼ぶ。
リュディガー:何よりも貴い響きを。
アウラ:男が手渡す花に似た、白い靴で歩み寄る。
アウラ:「従順で愚かなわたしの信徒」
アウラ:「さあ、わたしを貪りなさい」
アウラ:「わたしを奏でなさい、リュディガー」
リュディガー:「……幾らでも」
リュディガー:「奏でてやる。世界おれの、ただ一人の女神」
リュディガー:「真実の音よ」
リュディガー:その手を取り
リュディガー:そっと、口付けた。

黒のヒガンバナ

ルーナ・ヘリアル:窓からは暖かい陽光が注ぐ。
ルーナ・ヘリアル:香ばしい匂いのする室内で、ソファに寝転びながら古い新聞記事を読んでいる。
サン・ヘリアル:そこに、新しい気配。
サン・ヘリアル:足音もなく、銀髪の男が入ってくる。
サン・ヘリアル:「……読みたい記事は見つかったかい」
ルーナ・ヘリアル:「ええ、見事に。未曾有の大災害で死者多数!」
ルーナ・ヘリアル:「最優の魔法使い殿を使って取り寄せていただいた甲斐がありましたとも。ンッフ」
サン・ヘリアル:「そうか、そうか」
サン・ヘリアル:「あれはアーセルトレイでは珍しい事態だったからね」
サン・ヘリアル:「犠牲になったものも、その遺族も多い」
サン・ヘリアル:「あのパン屋の少年のように」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフフ」
ルーナ・ヘリアル:「仇を取ろうなど、そんな事で死者が喜ぶと信じているとは、なんとも可愛らしい方でありましたなァ」
サン・ヘリアル:「純粋で無垢だったね」
サン・ヘリアル:お前のように、という言葉は隠して。
ルーナ・ヘリアル:「ああ、義兄殿」新聞記事から目を離す。
サン・ヘリアル:「ん?なにかな」
ルーナ・ヘリアル:「朝食であれば」つい、と長い爪が机の上を指す。
ルーナ・ヘリアル:テーブルの上に、香ばしい匂いを発する紙袋が置いてある。
サン・ヘリアル:「へえ」
サン・ヘリアル:「やたらといい匂いがすると思ったら」
サン・ヘリアル:「どういう風の吹き回しだ?」
ルーナ・ヘリアル:「勿論!名刺を渡し忘れておりましたのでな!」
ルーナ・ヘリアル:「何かあったら連絡するようにと申し添えておきましたとも。ンッフフフ」
サン・ヘリアル:「ふうん………それじゃあひとつ、頂こうか」
サン・ヘリアル:レタスとハムの挟まったベーグルを手に取る。
ルーナ・ヘリアル:「生クリームメロンパンとやらは私のですぞ」
サン・ヘリアル:「はいはい。相変わらず甘いのが好きだねえ」
サン・ヘリアル:もぐ。もぐ。
サン・ヘリアル:「……うん。いい生地にいい焼き具合だ」
サン・ヘリアル:「今度真似して作ってみようかな」
ルーナ・ヘリアル:「貴方の式神にかかれば、再現できないものはないでしょうからなァ」
サン・ヘリアル:「そうだよ」
サン・ヘリアル:もぐもぐ。
ルーナ・ヘリアル:「パン屋の少年も、長年の努力が一瞬で再現されたと喜んでくださいましょう」
サン・ヘリアル:「大量生産ラインの需要がないか聞いておいてくれ」
ルーナ・ヘリアル:「無いでしょうなァ」
サン・ヘリアル:「そうか………」少し残念そう
サン・ヘリアル:「この味ならアーセルトレイ全土に出店できそうなものなのだけど」
ルーナ・ヘリアル:「貴方の式神が働く工場を見たら、あの少年も喜んで貴方に店の経営を渡すでしょうとも」
サン・ヘリアル:「ふむ……ふむ」
ルーナ・ヘリアル:「嫌味ですぞ」
サン・ヘリアル:「………ああ」
サン・ヘリアル:「そうだったか………」
サン・ヘリアル:ちょっと検討していた。
ルーナ・ヘリアル:「いやァ、今日も変わらず、他人の心がご理解できない義兄殿だ」
サン・ヘリアル:「普通の感覚というのは難しいよ」
サン・ヘリアル:できるからやる。
サン・ヘリアル:ただそれだけでここまで上り詰めた男だ。
ルーナ・ヘリアル:「できぬことを増やせばよろしい」くつくつと笑う。
サン・ヘリアル:「じゃあ、理解できないままでいいかな」
サン・ヘリアル:「お前がそこは得意のようだし」
ルーナ・ヘリアル:「調子に乗っておられるようだ」
サン・ヘリアル:「それはね。お前とも多少仲良くなれたし」
サン・ヘリアル:「頼れるところは頼ろうかなと」
ルーナ・ヘリアル:「おやおや、今度は甘えてみせる」ソファに投げた足を組む。
ルーナ・ヘリアル:「随分と傲慢な魔法使い殿だ。なれど」
ルーナ・ヘリアル:「それ相応の見返りが必要だとは思いませぬか?」
サン・ヘリアル:「さて。今度は何が欲しいんだ?」
ルーナ・ヘリアル:「ええ、私、たいそう腹が減っておりましてな」
サン・ヘリアル:「パンがあるよ」
ルーナ・ヘリアル:「ンッフフ」
ルーナ・ヘリアル:ニヤニヤと笑って義兄を見ている。
サン・ヘリアル:「相変わらず焦らすね、お前は」
ルーナ・ヘリアル:「義兄殿の、最優たる所以を見せてもらおうかと」
サン・ヘリアル:「………」
サン・ヘリアル:窓の外。そよ風に揺れていた葉が止まる。
ルーナ・ヘリアル:「おやおや、まァまァ」
サン・ヘリアル:「こんなことができるのは私ぐらいだろうと思うが」
サン・ヘリアル:「不足かな?何が見たい?」
ルーナ・ヘリアル:「そうですなァ」
ルーナ・ヘリアル:ゆらりと立ち上がり、義兄の前に手をついて、顔を近づける。
ルーナ・ヘリアル:「全くもって、こちらの問いかけの意図を理解してくれぬ御方だ」
ルーナ・ヘリアル:「しかし、良いでしょう」
ルーナ・ヘリアル:「何が見たいか、など。ンッフフ!」
ルーナ・ヘリアル:長い爪が義兄の整った顎をなぞる。
ルーナ・ヘリアル:「貴方が、何もかも見えなくなったところですよ、義兄殿」
サン・ヘリアル:「なんだ」
サン・ヘリアル:「そういう事はちゃんと言いなさい」
ルーナ・ヘリアル:「察しの悪い貴方が悪い」
サン・ヘリアル:指を、自らの目に。
ルーナ・ヘリアル:「…………」
ルーナ・ヘリアル:「本当に察しの悪い御方だ」
サン・ヘリアル:手を止める。
サン・ヘリアル:「……できないことがあった方がいいのだろう?」
ルーナ・ヘリアル:「えぇ、そう言いましたとも」
ルーナ・ヘリアル:「言いましたが」
ルーナ・ヘリアル:「……………説明が面倒です。もう貴方は何もしなくて良い」
サン・ヘリアル:「………」
サン・ヘリアル:じっと、その漆黒の目を見つめる。
ルーナ・ヘリアル:「全く!興が覚めました」顎に添えていた指を離す。
サン・ヘリアル:「おや、もういいのか?」
ルーナ・ヘリアル:「ええ、これから寝るとします」
サン・ヘリアル:「歌でも歌わせようか」
ルーナ・ヘリアル:「無用!」
ルーナ・ヘリアル:そう言って、大股に部屋を出ていく。
サン・ヘリアル:それを見送りながら
サン・ヘリアル:頭を搔く。
サン・ヘリアル:「お前の欲しいものならば何でも差し出すのだが」
サン・ヘリアル:「難しいな………」

赤のバラ

オスカー・オーエンス:西日が赤々と照らす街。学生が多く過ごす賑やかな通り。
オスカー・オーエンス:買い物のバッグに、焼きあがったパンの袋を抱えた、身なりのいい男。
オスカー・オーエンス:「この辺りに来たのは、ずいぶんと久しぶりな気がする」
キリエ・ノインフィールド:「え、えと」 その横を、やや忙しない様子で歩く、少女。
キリエ・ノインフィールド:「学生だった頃の話、ですか」
オスカー・オーエンス:「どうした」横を見る。赤い光を浴びて、いつもと違う服を着て。
キリエ・ノインフィールド:ひざ丈のスカート。オープンショルダーのワンピース。
キリエ・ノインフィールド:大きめの鍔の帽子を被って、手持ち無沙汰に。
キリエ・ノインフィールド:「荷物、いいんですか。持って頂いて……」
オスカー・オーエンス:「それくらいしないとな。恋人に荷物を持たせる男だと見られるのは我慢ならん!」
キリエ・ノインフィールド:「こひ……」
キリエ・ノインフィールド:浮足立つ。
オスカー・オーエンス:「いまのお前を見て、メイドだと思う人間はいないものな。さっきも通り過ぎる男がお前を見ていた」
キリエ・ノインフィールド:「そ、そうなんですか」
オスカー・オーエンス:帽子の鍔を片手で軽く上げる。「誇らしいよ」嬉しそうに。
キリエ・ノインフィールド:「オスカー様だって。道行く女性が。目立っています」
オスカー・オーエンス:「それはそうだ!このおれだぞ!」
キリエ・ノインフィールド:「……ですよね。そういうところは変わらないですよね」
オスカー・オーエンス:「おれはおれだよ、ずっと。……ああ、学生時代、というか」
オスカー・オーエンス:「いや、おれは大学部からしか学校に行ったことはない」
キリエ・ノインフィールド:「そうなんですか?」
オスカー・オーエンス:「昔はそれどころではなかったし、学校にでも行くかと思って、試験を受けた。学園にしかない資料も多いからな」
キリエ・ノインフィールド:「自由ですね……」
オスカー・オーエンス:「おまえも」
オスカー・オーエンス:パンの袋を抱えなおす。あの少年は学生だった。学園都市で、今も学校に通っているのだという。
オスカー・オーエンス:「おまえも、学校にでも行ってみるか?」
キリエ・ノインフィールド:「……んー」考え込む。「憧れてた時も、あったんですけど」
キリエ・ノインフィールド:「今は、そこまでは」
オスカー・オーエンス:「ほう」じっと覗き込む。
キリエ・ノインフィールド:表情を緩ませるように笑う。「強がりとかじゃなくて、なんていうか……」
キリエ・ノインフィールド:「平穏の、日常の象徴、みたいなものだと思っていて。結局それは、その時の環境からの逃避で」
キリエ・ノインフィールド:「今は、ここから逃げたいとは、思いませんから」
オスカー・オーエンス:目を細める。琥珀色の瞳に夕焼けがきらめいているのを、掬うように見つめる。
オスカー・オーエンス:「……なら、いい」
キリエ・ノインフィールド:「それに、私が学校に行っていたら、誰がオスカー様のお世話するんですか?」
オスカー・オーエンス:「……お、おれは! いちおう身の回りのことはできるぞ!」
オスカー・オーエンス:「ただおまえにやってもらうのが好きなだけだ!」
キリエ・ノインフィールド:「ほんとですかー? 今更シャツとか畳めます?」
キリエ・ノインフィールド:「!」
キリエ・ノインフィールド:「そういう言い方するんですからっ」鍔で顔を隠す。
オスカー・オーエンス:「で、できるぞ……やっていないだけだ…ああ、もうほら」鍔を上げにかかる。
オスカー・オーエンス:「顔を見せろ!」
キリエ・ノインフィールド:「やーですっ」
キリエ・ノインフィールド:ぱたぱたと、走っていく。地区の自然公園の入り口。
オスカー・オーエンス:「なんだとっ!」追いかける。
オスカー・オーエンス:花が咲き、鳥が休んでいる。
キリエ・ノインフィールド:「ふふっ」
キリエ・ノインフィールド:笑い声を漏らして、追いかけてくるオスカーさんを振り返る。
キリエ・ノインフィールド:「あ」 その目が丸くなる。
オスカー・オーエンス:「うん?」
キリエ・ノインフィールド:「オスカー様、ふた! 紙袋の!」
オスカー・オーエンス:「んんっ!?」
キリエ・ノインフィールド:作りたてのパンが、開いたままの袋から香ばしい匂いを漂わせていて。
キリエ・ノインフィールド:それに引き寄せられた公園の鳥たちが、一斉に集まってくる。
オスカー・オーエンス:「あっ!おい!やめろ!!」
オスカー・オーエンス:咄嗟に閉じるが髪が光物なので狙われる!
キリエ・ノインフィールド:「オスカー!」
オスカー・オーエンス:「キリエーッ!」
キリエ・ノインフィールド:戻ってきて。「わーっ、わーっ」 なんとなくな仕草で追い払う。
オスカー・オーエンス:「はーっ、はーっ……鳥までも虜にするこのおれ…」
キリエ・ノインフィールド:ばたばたとオスカーさんの紙袋を受け取り、小さな欠片を遠くに放り投げる。
キリエ・ノインフィールド:「えいーっ」
オスカー・オーエンス:「おお…」髪とスーツを整えながらそれを見ている。
キリエ・ノインフィールド:鳥たちがそちらに引き寄せられた隙に、紙袋を閉じながら避難する。
オスカー・オーエンス:「おおお…」ついていく。
キリエ・ノインフィールド:安全なベンチまで避難して。「……ふふっ」
キリエ・ノインフィールド:「あ、あはっ、あはははっ……!」 お腹を抱えて、身を捻って笑う。
オスカー・オーエンス:「わ、笑うなー!」言いながら、自分でもだんだん笑えてくる。
オスカー・オーエンス:「ふ、ははは…!」
キリエ・ノインフィールド:「だって、オ、オスカー……! 鳥、鳥が……!」
オスカー・オーエンス:「おまえ、おれだってな…!気合を入れてきたというのに…!」
キリエ・ノインフィールド:「ふふふふ……」
オスカー・オーエンス:「……これからここに来るたびにおまえに言われそうだ」
キリエ・ノインフィールド:「そうかも、ですね。しばらくは、忘れられないです」
キリエ・ノインフィールド:「あはは……ふふ……」
キリエ・ノインフィールド:「しあわせ」
キリエ・ノインフィールド:ベンチに座って、零れる言葉。
オスカー・オーエンス:零れた言葉が、夕暮れに落ちるのを拾って。
オスカー・オーエンス:「……よかった」
オスカー・オーエンス:「おまえがしあわせなら、いい」
オスカー・オーエンス:「鳥にくらい毟られてやるさ」
キリエ・ノインフィールド:「今まで、色々なことが……いっぱい、たくさんありましたけど」
キリエ・ノインフィールド:両手を、前に広げる。
キリエ・ノインフィールド:この平和な景色も、何気ない公園も……自分たちが。自分たちが戦って、守っているもの。
キリエ・ノインフィールド:「生きてきて、よかったって、そう思えて」
キリエ・ノインフィールド:「あなたのお陰で、そう思えるんです。……本当に、ありがとうございます」
キリエ・ノインフィールド:目尻の端から、ひとすじ雫が零れる。
オスカー・オーエンス:親指でそれを拭う。
オスカー・オーエンス:「他ならぬおまえに、そう言われることが嬉しいよ」
オスカー・オーエンス:「おれはきっと、世界のために戦っているわけではない。おれはいつも欲しいもののためにしか動かない」
オスカー・オーエンス:「だが。今日、いま、この公園を。この景色を、壊されたくないと思った」
オスカー・オーエンス:「きっとこれからも増え続けるのだろう」
オスカー・オーエンス:「それは、おまえがおれに与えた視界だ」
オスカー・オーエンス:「…そして、おれはそういう自分が好きでね」抱きしめる。
オスカー・オーエンス:「これからもおれはおまえに、いくらでも笑わせてやれるから」
キリエ・ノインフィールド:「……!」 まだ、接触には慣れていない。小さく身体が跳ねて。
オスカー・オーエンス:「これからも、おれを自惚れさせてくれないか」その背を安心させるように撫でる。
キリエ・ノインフィールド:「……私も」 目を細めて、腕を回す。 「少しでも、あなたに多くのものを、返せるように」
キリエ・ノインフィールド:「はい。……はい、いくらでも」
オスカー・オーエンス:「おまえが幸福でいるだけで十分なんだがな。そんな謙虚は、おれらしくないか」
キリエ・ノインフィールド:「それなら、オスカー」
キリエ・ノインフィールド:「私ごと、この世界を丸ごと、守ってしまいましょう」
オスカー・オーエンス:目を見開く。「……っ、はは!!」
キリエ・ノインフィールド:「ロアテラから。他の災厄から。或いは、……女神からだって」
キリエ・ノインフィールド:「オスカーなら出来ます。私も、います」
キリエ・ノインフィールド:「あなただけの、最強の武器です」
オスカー・オーエンス:炎のような夕焼けの中、水晶をきらめかせ。
オスカー・オーエンス:兵器だった少女が、そう宣う。
オスカー・オーエンス:「ああ、やっぱりおまえが好きだよ、キリエ」
オスカー・オーエンス:額に唇を押し付けて、腕から逃す。その目を見るために。
オスカー・オーエンス:「ああ、おれたちならば、なんだって容易い」
キリエ・ノインフィールド:今までの自分なら、到底口に出来ないようなことも。
キリエ・ノインフィールド:今なら、いくらでも口に出せる。
キリエ・ノインフィールド:胸があつい。蒸晶や、外装がもたらしたものではない。
キリエ・ノインフィールド:そのどれよりも強い熱が、自分の裡側を満たしている。
キリエ・ノインフィールド:額の感触に、照れたように笑う。夕焼けを頬に浴びながら、目の前の麗しい青年を見つめ返して。
キリエ・ノインフィールド:「はい。なんだって」
キリエ・ノインフィールド:今度は、自分から。
キリエ・ノインフィールド:ゆっくりと、男の唇に、自分のそれを重ねた。

──────

柳 真尋:目を覚ました。
柳 真尋:その次に、自分の首を鷲掴みにした。
柳 真尋:「ハッ、は…………」 汗がどっと吹き出る。呼吸が荒れる。
柳 真尋:今すぐにでも、死んでしまいたいと。
柳 真尋:途方もない衝動を、……自らの首を絞める手と共に、緩める。
柳 真尋:「……まだ、だ」
柳 真尋:ただ自死するのなら。あの死神のステラナイツに頼めばよかった。
柳 真尋:そうではない。そうではないと、応えたはずだ。
柳 真尋:「…………    、さん」
柳 真尋:身支度もそこそこに、家を飛び出した。
柳 真尋:――――
柳 真尋:――――
柳 真尋:――――
柳 真尋:体が重い。川辺の、整えられた道路を歩く。
柳 真尋:日が昇るより、まだ早い。けれど。行かねばならない。道は覚えている。
柳 真尋:配達に行った。新作を食べて貰いに行った。風邪を引いた彼女に、学校の書類を届けに行ったことも。
柳 真尋:流石に消化に悪いからと、パンを持っていかなかったら、ちょっと落胆されたり。
柳 真尋:……覚えている。覚えている。今更。
柳 真尋:思い出せる。この数日間、ずっと思い出しもしなかったことばかり。
柳 真尋:「すまない。……こんな、こんな、すまない、すまない……」
柳 真尋:「ごめん……」
柳 真尋:――どの面下げて、だ。
柳 真尋:冷静な自分が言う。恥知らず。裏切り者。
柳 真尋:足が止まる。膝をつく。お前にもう、資格なんてあるものか
桜葉こはね:────そこに、君の身体に、影が落ちる。
桜葉こはね:はぁ、はぁ、と、荒い息を吐いて。
桜葉こはね:「まっ……」
桜葉こはね:「真尋くん……?」
柳 真尋:「…………え」
柳 真尋:手をついて、地面に倒れていた。顔を、上げる。
桜葉こはね:丸い瞳。荒い息を吐き、上下する華奢な肩。
桜葉こはね:心配そうに、あなたを見つめる。
柳 真尋:「さく、」 あいたくて。「らば、さん」 あえるはずのない。
柳 真尋:「なんで……」
桜葉こはね:「真尋くん」声を聞いて、安心したように微笑む。
桜葉こはね:「真尋くんこそ…こんなとこにいるの、びっくりしちゃった…」
桜葉こはね:「あ、あのね、わたし、さっき目が覚めて…あの……」
桜葉こはね:「どうしようって思って、まず、まずは真尋くんに会わなくちゃって思ったの」
桜葉こはね:「そしたらね」膝を曲げて、しゃがみ込む。
桜葉こはね:視線が合った。
桜葉こはね:「会えたの」
柳 真尋:「っ」
柳 真尋:顔を上げて、後ろ手について
柳 真尋:少女の声から溢れる感情から、逃れるように目を逸らす。
柳 真尋:「……僕。僕も、そうだ」
桜葉こはね:「え……」
柳 真尋:表情を、みっともなく歪めている。
柳 真尋:「きみに、会わなきゃ、いけないと」
柳 真尋:「謝らなくちゃ、いけないと、思って」
桜葉こはね:「……そっかぁ」
柳 真尋:「ごめん。すまない。……どんなに言葉を尽くしても、許されることじゃないけど」
桜葉こはね:「謝る、なんて」
桜葉こはね:そう呟く。唇を小さく噛んで、彼の言葉が自らに降るのを感じる。
柳 真尋:「ひどい、ひどいことを、した」
柳 真尋:顔を抑える。自分の感情を、強いて、覆い尽くす。
桜葉こはね:「ううん……。わたしもね、自分のことばっかり考えちゃってて」
桜葉こはね:「なんにも、できなかったから……」
柳 真尋:罪を犯した側の自分が動揺していてはいけない
柳 真尋:自分は沙汰を待つ身だ。
柳 真尋:「違う! 君は……君は!」
柳 真尋:……堪え切れなかった。声が溢れる。
柳 真尋:「僕は、許されてはならないことをしたんだ!」
桜葉こはね:目を丸くする。
柳 真尋:「僕の、この手が、君を傷つけた! 比喩でも何でもない、直接!」
桜葉こはね:「………」
柳 真尋:ロアテラに支配されていた時の記憶は、まるで悪夢の中のように、曖昧で、鮮烈で。
柳 真尋:「君が、君が優しいのは知ってる……」
柳 真尋:「だけど、どうか、」 頼む、などと。どうして言えるのか。
柳 真尋:「許さないでくれ……」
桜葉こはね:「……真尋くん」
桜葉こはね:「そんなこと、言わないで」
桜葉こはね:声が震えた。
桜葉こはね:「許さないなんて、できないよ、わたし…」
桜葉こはね:「今もね、わたし、ばかみたいに、真尋くんと話せてることが、嬉しいんだもん」
柳 真尋:「…………」
桜葉こはね:「優しいのは、真尋くんの方だよ」
柳 真尋:弱気な目で、こはねさんを見返す。
桜葉こはね:「あ、待って、だめ」
桜葉こはね:目を覆う。
桜葉こはね:「泣いちゃうの、ばれちゃうから……」
柳 真尋:「どうして、そんな」
柳 真尋:「こんな、僕なんかに……」
柳 真尋:こちらも声が潤む。
桜葉こはね:「だって」
桜葉こはね:「だって、ずっと…ずっと、真尋くんのことばっかり、見てたんだもん」
桜葉こはね:「すごいパン屋さんになってほしかったし、一緒に戦えたのも嬉しかったの」
柳 真尋:「…………僕」
柳 真尋:「僕だって、きみのことを、ずっと見ていた」
桜葉こはね:「………」鼻をすする。
柳 真尋:「たまたま出してた、子供の頃の僕の、下手なパンを食べて、美味しいって言ってくれた」
柳 真尋:「でも。それは、ただのきっかけで」
柳 真尋:「パンを食べているときの君の笑顔も。勉強に苦労している時も」
柳 真尋:「昼の購買で人の波に押し出されてるときはいつも心配だった」
桜葉こはね:「…うぅ…」
柳 真尋:「君の好きなものを。君よりも知りたいって、」
柳 真尋:「きみと喋るのが楽しみで。君の笑うかおが、すきだった」
桜葉こはね:「………」顔を上げて、目の前の彼の顔を見る。
桜葉こはね:「すき……」
桜葉こはね:目の前の、彼が。
柳 真尋:「不可分なんだ。君が」
桜葉こはね:いつも夢に向かって突き進んで、たくさんの試行錯誤を重ねて。
桜葉こはね:自分には手の届かないところで、戦っている彼が。
柳 真尋:「君がいたから、僕は、僕なんだ……」
桜葉こはね:ひとりの男の子が、切実にわたしにそう言う。
桜葉こはね:「……わたし」
桜葉こはね:「わたし、真尋くんの背中を見てるんだと、思ってた」
桜葉こはね:「でも、ちがうんだね」
桜葉こはね:「真尋くんの隣に、わたし、ちゃんと立ててたんだね」
柳 真尋:「何を馬鹿なことを」 思わず、と言った様子で。
桜葉こはね:「えへへ……」顔をほころばせて笑う。
柳 真尋:「そんなこと思っていたのか……?」
桜葉こはね:「…うん」
桜葉こはね:おずおずと表情を窺う。
柳 真尋:気が付かなかった。気が付かなかったことに、少し愕然としている。
柳 真尋:「……僕こそ」
柳 真尋:「自分のことばかりだな」
桜葉こはね:「そ、そんなこと……」「………」
桜葉こはね:「………じゃあ」
桜葉こはね:「あ、あの、もう大丈夫のおまじない、してもいい?」
柳 真尋:「……?」
柳 真尋:「いや……そうか」
桜葉こはね:「て、手を」
柳 真尋:「?」 差し出す。
桜葉こはね:その手を柔らかく包む。
桜葉こはね:「あのね、このままじゃ、二人とも、謝ってばっかりになっちゃうから…」
桜葉こはね:「もう大丈夫の、おまじない」
桜葉こはね:両手で包んだあなたの手を、自分の首筋に寄せる。
桜葉こはね:ふわふわとした髪があなたの手を撫でる。
柳 真尋:「………こ」鼓動が高鳴る。「これが」
柳 真尋:「そうなのか」
柳 真尋:嫌でも、思い出しそうになる。悪夢の中の記憶が
柳 真尋:栗色の髪の、柔らかな感触に。
柳 真尋:包みこむ、掌の温度に。
柳 真尋:…………手を、恐る恐る、握り返す。
桜葉こはね:「大丈夫だよ」
桜葉こはね:手を握り合う。
桜葉こはね:「あったかくて、大きな手だよ」
桜葉こはね:「私の大好きな、真尋くんの手のひらは」
柳 真尋:すん、と、
柳 真尋:小さく、鼻を啜る音がした。
柳 真尋:「ご、………」 口にしかけて。
柳 真尋:「……ありがとう。」
桜葉こはね:「うん!」花が咲いたように笑う。
柳 真尋:「ありがとう。桜葉さん……」
桜葉こはね:「ううん」引き寄せた手に頬を寄せる。
柳 真尋:「……今度。」
桜葉こはね:「こんど?」
柳 真尋:「今度、パンを作ろう。……二人で、一緒に」
桜葉こはね:「えっ」
桜葉こはね:「ほんとに? 良いの?」
柳 真尋:「うん。きみとなら、きっと、素敵なものが出来ると思うから」
柳 真尋:目元を赤くしながら、ふっと笑った。
桜葉こはね:その言葉に、なんだかふわふわとした喜びが沸いてくる。
桜葉こはね:握りあった手から伝わる温度は、優しくて安心できて。
桜葉こはね:彼がつくるパンの焼きたての匂いも、それを差し出す彼も、そうやって重ねてきた思い出も。
桜葉こはね:みんな、全部。
桜葉こはね:「うん、大好き」
桜葉こはね:そう言って笑った。

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GM:それではこれにて、銀剣のステラナイツ『シペ・トテックの晩餐』 全行程終了となります。
GM:参加してくれた皆さま、読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました!
優水:ありがとうございました!
自動:ありがとうございます!
めかぶ:ありがとうございました~!