本作品は「矢野俊策」「F.E.A.R」「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
©️矢野俊策/F.E.A.R/KADOKAWA
本編ログ|雑談ログ
PC1:”指龍”
PC2:”
PC3:”オッドボール”
PC4:”バニティ”
GM:今回は円滑な進行のため、事前に自己紹介文をPLの皆さんからいただいています。
GM:なのでPL各位に関しては、自由に野次とかを飛ばして行ったり補足したりしていってください。
GM:まずはPC1。龍神貴好くん。
【キャラシート】
龍神貴好:いえいっ〜!
『トラス4』人員管理システム:龍神貴好(りゅうじん・たかよし)大学3年生、21歳。 お人好しなところはあるものの、ちょっとばかり対人に壁を作りがちです。 まあ、所謂内向的な青年と言っていいでしょう。でも彼女はいるんだよな。
『トラス4』人員管理システム:平凡すぎる毎日に厭気がさしているところで、そんな時に今回オーヴァードに関わって覚醒してしまうわけですが……
『トラス4』人員管理システム:そうして変貌したのは触腕を絡ませたような化け物。
『トラス4』人員管理システム:以降、人間に擬態することで日常生活を送ります。
『トラス4』人員管理システム:「僕は『龍神貴好』」と何かと呟きますが、これは自分を失わないためのおまじない、だそうです。
『トラス4』人員管理システム:性能はピュア死招きの爪で殴ることしか考えてないマンです。足りないダイスはエンブレムで補う!
『トラス4』人員管理システム:以上です。よろしくお願いします!
GM:ということで……擬態系主人公の龍神くん!この線の細いイケメンが異形に変わるの、めちゃくちゃ興奮しますね。
龍神貴好:擬態しています。よろしく〜
GM:ピュア死招きもめちゃくちゃ火力的に怖い。覇者の証も強いんだよな~
GM:では、そんな龍神くんのハンドアウトはこちら!
GM:ということで……死から覚醒し、謎の美少女に助けられてもらう!!
龍神貴好:日常が……終わる!
荒崎怜:だから危ないことするなって言ったのに……
龍神貴好:死から覚醒して謎の美少女を怖がらせましょう!
龍神貴好:あっ彼女だ!
荒崎怜:フン……
GM:ということで彼女とイチャイチャしたりヴィジランテライフを送ったりして
GM:スタイリッシュ×アーバンな超能力者生活を送っていきましょう。よろしくお願いします!
龍神貴好:よろしくおねがいしまーす!!
GM:では、続いてPC2。エマ・カルナデスさん。
【キャラシート】
エマ・カルナデス:ん。ちゃっちゃとよろしく。
『トラス4』人員管理システム:"藁人形(ストローマン)"エマ・カルナデス/18/Female/Solaris-Exile-Balor/FH Children-C 元FHセル「トラス4」の実験体で、現在は「トラス4」残党のアナーキー達のリーダーとして動いています。 表の職業はビデオショップ『Chill to Shift』の店員。厭世的、浮世離れ、無愛想。
『トラス4』人員管理システム:「トラス4」壊滅時にあるセルメンバーによって離脱させられ、それ以来自分が生かされた意味を自問し続ける日々。
『トラス4』人員管理システム:自分の価値を認められず、さりとて残った面子や街の住人への負い目から、何処へも行けずに華訥町の現状維持を続けています。
『トラス4』人員管理システム:能力はオーソドックスなカウンター型、および「傷のストック」。
『トラス4』人員管理システム:
『トラス4』人員管理システム:データ的には濃縮体+異形の刻印で生残性の確保、リアクション不可の反撃やドッジ不可の範囲攻撃を利用します。
『トラス4』人員管理システム:Dロイス「復讐者」でシナリオ1回、HP残量に応じたダメージを叩きつけます!
『トラス4』人員管理システム:後は《ゼログラビティ》や《孤独の魔眼》で味方の機動性や防御をアシストしたりですかね〜。
『トラス4』人員管理システム:バロール系統の能力はセル凍結後に訓練して発展させていることもあり、前歴と繋がらないよう夜警活動で積極的に使っているようです。
『トラス4』人員管理システム:と言うわけで演じるPLは湊が務めさせていただきます。 よろしくお願いします!
GM:ということで我らトラス4の悩めるリーダー!エマさんの自己紹介でしたッ
GM:サバイバーズギルドに苦しむ少女のヴィジランテ統率者……コードネームもアーイイ
GM:儚げな容貌に際してとんでもないHPも確保しているので、ハンパな攻撃だと復讐者でワンパンされそうだ
GM:そんなエマさんのHOはこちら!
エマ・カルナデス:はぁ…火の粉は振り払うしかない、ね。
瑛・A・アヴァス:ということで町の調査だ!大体お前は『トラス4』のリーダーを拝命しているわりに積極性が足りん
瑛・A・アヴァス:別に自警活動を認めているわけではないがより克己心を持たなければ今後日常生活を送るうえで……
瑛・A・アヴァス:(スネ夫が自慢話をしている時のBGM)
エマ・カルナデス:またハナブサの説教が始まった……ヤナセー、代わってー
GM:ということで、短気かつ凶暴、こうるさいオペレーターと街の調査をしている途中に、龍神君を助けてもらいます。
柳瀬順吾:『現在、柳瀬順吾は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためお繋ぎできません』
GM:バックレてる!!
GM:サボってる場合じゃないぞ!次に紹介されるのはお前だ!
GM:PC3!柳瀬順吾くん!
【キャラシート】
柳瀬順吾:ウェカピポ!
『トラス4』人員管理システム:PC3、”オッドボール”柳瀬順吾、大学生に通うごく普通のオーヴァードです。
『トラス4』人員管理システム:大学では映画学科に所属しており、C級のアホ映画を撮ることに血道をあげている。
『トラス4』人員管理システム:当然、常に単位不足の貧困にあえいでおり、真面目に映画を勉強している人たちからはナメクジ並みのアホだと思われています。
『トラス4』人員管理システム:いつも寝不足でへらへらしており、何の真面目さも感じられません。
『トラス4』人員管理システム:だが、その正体は「トラス4」のアナーキーにして、ひたすら戦闘用に調整されたオーヴァードなのだ!
『トラス4』人員管理システム:オーヴァードとしての能力は、ブラックホールの生成と制御。
『トラス4』人員管理システム:こいつを敵にぶつけて…破壊する!
『トラス4』人員管理システム:能力的なスペックとしては、サイバーアーム&特殊義肢に、漆黒の波濤と漆黒の拳をくっつけることで、常時装甲無視範囲攻撃をするという身もふたもない仕様です。
『トラス4』人員管理システム:まさに戦闘一辺倒で、これ以外の社会的な能力は持ち合わせていません。お金もコネもない。
『トラス4』人員管理システム:それでも「トラス4」のみんなのことは心から大好きで、平和が一番だと思っています。
『トラス4』人員管理システム:以上、宜しくお願い致します。
GM:何だこいつ……戦うことしか能のないマシーンじゃねえか
GM:常時装甲無視範囲攻撃をするやつが平和が好きなんて二度と思い上がるんじゃねえ
柳瀬順吾:平和の礎だよ~
GM:誰かこいつを何とかできるやつはいないのか!? はっ このHOは!!
柳瀬順吾:俺の映画に出資する話じゃないんかい!
”ブラック・ブロック”:この間のゾンビが太極拳やる奴はなかなか良かったよ
GM:ということで、怪しいFHお姉さんに忠告されるところから始まるOPです。コワクナイヨ~
柳瀬順吾:そうかなあ~ がんばります!
GM:いい根性だ!ではラスツ!
GM:PC4!乃木清和さん!
【キャラシート】
乃木清和:きたね!私だよっ
『トラス4』人員管理システム:乃木清和(のぎ・せいわ)です。コードネームは《バニティ》。
『トラス4』人員管理システム:ジャズバー「Club Malebolge」のホールスタッフとして働くフリーター。
『トラス4』人員管理システム:年齢は20歳、キザっぽいふるまいをするのが好きな長身の女性。
『トラス4』人員管理システム:もともと野良のオーヴァードでしたが、この卓の前日譚シリーズ第6話あたりで、ジャズバーを巡る事件にて共闘したことをきっかけにトラス4に加入した追加戦士です。
『トラス4』人員管理システム:幼馴染の少女を失った過去を持ち、その一件による因縁からFHを追っていると表向きには話していますが……実は何やら秘密があるようですね。
『トラス4』人員管理システム:シンドロームはオルクス/ウロボロス。水晶の剣持ち単体射撃マンです。
『トラス4』人員管理システム:水晶の剣で強化した武器をオーバーロードしつつ、デメリットはエンブレムの効果で踏み倒しちゃうよ~。
『トラス4』人員管理システム:そのほか、師匠の技をコピーしたという設定で《原初の黒:時の棺》を所有してるので、隠し技的に使いたいな~と思っています!
『トラス4』人員管理システム:以上、どうぞよろしくお願いします!
GM:ということで……トラス4のイケメン王子様系追加戦士!乃木さんの登場だ!
乃木清和:王子だよ~
GM:メロい(直球)
乃木清和:フフ……一杯やってく?
GM:前日譚第6話も面白かったなあ……まさかこんな人が裏切り野郎だなんてあるわけ……はっ このHOは!?
GM:う……ウワァ~~~~ッ ま……まさか
GM:乃木さんがUGNのダブルクロスだったなんてェ~~~~~~ッ
乃木清和:この麗しき王子の正体が…UGNエージェントだってことを…やつらにバレるわけにはいかないッ
GM:血も涙もない野蛮なヴィジランテどもにバレたらどうなるか解りませんからね
乃木清和:しかも心は揺らいでいるところですからね 余計にバレるわけにはいかんぜよ
坂城只人:悪いが、君が頼りだ。危険な任務になってすまないが、よろしく頼む。
乃木清和:あっ 美形の上司
GM:七咲市の支部長、コードネームは”リセ”です。仲良くしてあげてね。
乃木清和:りせちーじゃん は~い!仲良くしま~す
GM:ということで……最後にトレーラーを貼り、セッションを開始していきましょう!
GM:それではセッションを開始します。よろしくお願いします!楽しんでいきましょう!
乃木清和:よろしくお願いしま~~す!!
エマ・カルナデス:よろしくお願いします!
龍神貴好:よろしくお願いします!
柳瀬順吾:宜しくお願い致します!
8月14日 10時19分 / 華吶町立寄咲大学 第二講堂
龍神貴好:「んー……っ」
龍神貴好:小さく目立たないように伸びをする。
GM:寄咲大学は、極めて珍しい「町立」の大学である。
GM:華吶町。人口と税収において、都心二位を誇る繁華街。
GM:地方からの人口流入が激しいこの町においては、以前から若者の受け皿となる学術機関が必要だ、と言う声が多く寄せられ、
GM:現在寄咲大学は、総生徒数2000人、学部数20を誇る大規模の大学と化している。
GM:よって当然、授業にも質のばらつきが多い。
ゲバ棒を持った大学講師:「良いかァ!今日は社会構造学の……
ゲバ棒を持った大学講師:「一言で言うと、無政府主義ってのは自由との契約だ。政府や組織を否定し、各個人が自由意思に基づいて己の統治をおこなう」
ゲバ棒を持った大学講師:「著名な思想家で言うとバクーニンとかクロポトフキンあたりがいるわけだが……」
龍神貴好:正直、あまり興味をそそられない内容だった。あくびを噛み殺し、とりあえずメモをする。
ゲバ棒を持った大学講師:「おい龍神ッ 眠そうにしてるのは解ってるからなッ」
GM:くすくす、と周りから忍び笑いが漏れる。
龍神貴好:「……ちゃんと聞いてますよ、ちゃんと」
龍神貴好:自由との契約。自分とはあまりに縁のない言葉だ。
ゲバ棒を持った大学講師:「大体お前からは覇気が感じられん!自由と言う言葉からは最も程遠いやつだ!」
ゲバ棒を持った大学講師:「やりたいことはないのか、やりたいことは!?」
西舘雅也:「は、始まった……おいタカくん。適当答えときゃいいからな」
西舘雅也:後ろの席。派手な髪色の男子生徒が、きみを小突く。
龍神貴好:少し口角を浮かべて西舘に大丈夫、と応える。
西舘雅也:「マジ? 思想が強すぎるんだよな、あの教授……名前なんだっけ?」
龍神貴好:「僕は、それなりに勉強して、彼女といられればそれでいいから」
龍神貴好:「……なんだっけ」名前を覚えられていない。それだけ、インパクトが強い。
西舘雅也:「ああ……荒パイな。正直あんな人と付き合えたら人生アガリって感じだよな~……」
龍神貴好:「まあー……だから」
龍神貴好:「やりたいこと、は。彼女と幸せになることかな」
龍神貴好:小っ恥ずかしいことを言っている自覚はある。
ゲバ棒を持った大学講師:「かァーーーーーーーッ」
ゲバ棒を持った大学講師:「たるい!たるんどる!何だッその……青春を謳歌してる学生みたいなぶったるんだ台詞は!」
ゲバ棒を持った大学講師:「良いか!大体私が学生の時はなァ!」
荒崎怜:す、と手が上がる。
荒崎怜:「先程から聞いていましたが」
荒崎怜:「教授の講義内容は、特定の思想に傾倒し、著しく公平性を欠いたものかと思います」
荒崎怜:「加えて、学生のプライベートをみだりに公衆の面前で詰問する行為は、教授会での審議対象になるかと思われますが」
龍神貴好:(……怜。助かる)
荒崎怜:「……そもそも、
龍神貴好:「僕も……」
龍神貴好:「必要がないのであれば、アナーキズムに飛び込んで行く気にはなれないです」
荒崎怜:じろりと横目できみを睨みながら。「今の時代は、すべてが
龍神貴好:「……これでも結構、やりたいこと言えるようになっただけ進歩だと思うんだけどな」
ゲバ棒を持った大学講師:「まあ……ウンッ 今の時代はそう言う考え方もあるよな!多様性だ、多様性!」
ゲバ棒を持った大学講師:「その……だから、教授会だけは……」
荒崎怜:「報告します。興味本位でしたが、これ以上この講義を受けることに合理性は感じません」
荒崎怜:そう言って、ちらりときみを一瞥し。振り返り、講堂から出ていく。
龍神貴好:(かっこいい……)
ゲバ棒を持った大学講師:しなしなと崩れ落ちている。
ゲバ棒を持った大学講師:「きょ……きょうの講義は……ここ……まで」
西舘雅也:「コワ~~」さっさと筆記用具とPCを片付けながら。
西舘雅也:「お前マジであの人と付き合ってるの?」
龍神貴好:さっと立ち上がる。
龍神貴好:「マジだよ。僕もちょっとだけ信じられなくなることあるけど」
龍神貴好:「じゃあ、追っかけるから……」
西舘雅也:「すげえ……まあ、タカってちょっと浮世離れしてるとこあるもんな」
龍神貴好:「はは。なんだよそれ」軽く手を振り、怜の後を追って講堂を出る。
西舘雅也:「お疲れ。今度ラーメンでも食い行くべ」手を振る声が小さくなっていく。
GM:大学のテラスに入ったきみの携帯に、メッセージアプリの通知が届く。
荒崎怜:『あれは何?』
荒崎怜:『もっと強く言い返してよかった』
荒崎怜:『毅然とした対応をしないといつまでも搾取される。タカのよくないところ』
龍神貴好:(相変わらず気が強いな……そう言うところ、好きだけどさ)
荒崎怜:『あと、皆の前で付き合っていることは言いふらさないで』
荒崎怜:『何のメリットも感じないし』
荒崎怜:『その』
荒崎怜:『照れるから』
龍神貴好:「えっと、なんて返すか……」
荒崎怜:(怒っているウサギのスタンプ)
龍神貴好:「……ふふっ」
龍神貴好:照れる、の文字とスタンプに笑みが溢れてしまう。
荒崎怜:『今日。約束。12時から一番街の前集合』
龍神貴好:『オッケー。色々ありがと』
龍神貴好:『なんかあったら連絡する』
龍神貴好:そして少し考えてから、
龍神貴好:「さっきかっこよかった、と……」
龍神貴好:そうやって文字を打っていたから、周りの様子に気を遣えなかった。
エマ・カルナデス:画面に視線を向けていた彼の視界の端に、突然黒と青が入り込んでくる。
龍神貴好:(あれ?)
エマ・カルナデス:衝撃。
GM:ぶつかると同時に、きみが感じたことがいくつかあった。
GM:「分厚い」。ゴム人形を束ねて重ねた質量に激突したような感触。
GM:跳ね返すことも、回避することもできなかった。横転する。
龍神貴好:「……?なにが」
龍神貴好:気がつくと床が見えている。
エマ・カルナデス:ぶつかったはずの相手が、よろけもせずにいた背を翻して振り向く。
エマ・カルナデス:「………」
龍神貴好:(女の子)
龍神貴好:(この子が?)
龍神貴好:ぶつかった感触と目で捉えた情報の矛盾をうまく処理できない。
エマ・カルナデス:あなたの目をじっと見る青い少女は、手を差し出す。
エマ・カルナデス:「大丈夫ですか?」
龍神貴好:「!……あ、うん」
龍神貴好:手を取って、起き上がる。幸いスマホには見えないほどの小さい傷がついただけのようだ。
龍神貴好:「ごめん、ぼーっとしてて」
エマ・カルナデス:「それ。危ないから、やめた方がいいですよ」
龍神貴好:「あ、はい……」
龍神貴好:反論できない。思いの外浮かれていた。
エマ・カルナデス:スマホを指差して、何事もなかったように振り返り、去り際に一言。
エマ・カルナデス:「この辺、治安悪いですから。……では」
龍神貴好:「えっ……?」
龍神貴好:治安が悪い?聞こえた言葉に自信が持てなかった。
龍神貴好:「……変な子だったな」
龍神貴好:呟くと、待ち合わせまで少しの時間を潰すために購買に足を伸ばした。
8月14日 23時17分/華吶町一番街 路地
GM:荒崎怜との「デート」に、決まって大きな変化はない。
GM:いつもと同じ喫茶店。いつもと同じゲームセンター。いつもと同じ飲み屋。
GM:翌日の予定によっては、互いの家への宿泊が重なる。
GM:たとえばきみの友人の西舘雅也に言わせれば、「面白みのない」ものだろう。
GM:だが荒崎怜は、そういった変化のない毎日こそを気に入っているのだという。
龍神貴好:そう、だから。
龍神貴好:怜は変化のない毎日の、見方を少し変えてくれる虹色の羽衣だった。
龍神貴好:平凡な変わり映えのない毎日に膿んでいたのはそうで。
龍神貴好:彼女との付き合いも、『変わり映えのない』毎日だとしても、
荒崎怜:「タカくん。……
龍神貴好:彼女との会話や、ゲームセンターでの勝負や、一緒に食べる食事は───
荒崎怜:きみの隣を歩く荒崎怜が、指を引っ張る。頬の血色で、少しだけ酔っていることがわかる。
龍神貴好:「あ、うん。ごめん、ぼーっとしてた?」
GM:深夜の華吶町一番街は、無軌道な若者のるつぼだ。
GM:道端で嘔吐するものや、外国人らしき集団に何かを受け渡しているもの、携帯を出して道端に座り込んでいるもの。
荒崎怜:「危機感が足りない」
龍神貴好:「そうか……」
柳瀬順吾:「……あ~~~~っ! 違う違う違う! そうじゃないんだって!」
柳瀬順吾:遠くから、大騒ぎする声が聞こえる。
龍神貴好:「?」
龍神貴好:「何やってるんだろ」
柳瀬順吾:「その演技だと、完全に本物になっちゃうじゃん! この映画のタイトルもう一回言うね!」
柳瀬順吾:「『戦うな!偽ストローマン!』だよ! きみがやったのは本物ストローマンの演技!」
柳瀬順吾:「偽ストローマンだから、もっとこう……テンションが高くて、ナンジャワレェみたいな感じで!」
柳瀬順吾:「もう一回いこ! 大丈夫! できるできる! ……ハイ!」
龍神貴好:「………なんだと思う?」よくわからないものを見たな、と隣の怜に呟く。
荒崎怜:「この辺りは治安が悪いし……ああいう」騒いでいるジャージの若者を指さす。「絶望的に愚かな若者も多いから」
龍神貴好:「ぜつぼうてきにおろか」
荒崎怜:「あんまり見ない!」顔をグキッとこちらの方に回す。
龍神貴好:「ぎゃっ」
荒崎怜:「絡まれたら何をされるか解らない。偽ストローマンにされるかも」
荒崎怜:瞳は真剣そのものだ。冗談を言っているわけではない。
龍神貴好:「いや、ていうかストローマンてなに」
荒崎怜:「Strawman。藁人形やカカシ、転じて看板として担ぎ出される人間の比喩……」不服そうにそらんじる。
龍神貴好:「ははー藁人形……」
荒崎怜:「……不毛。タカくんにそんなことに対する脳容量を使って欲しくない」
龍神貴好:「そうか……じゃあ、すこし急いで歩こうか」
荒崎怜:指がふたたび、くい、と引かれる。
龍神貴好:「うん?」
荒崎怜:「タカくんは、危機感が足りない」
荒崎怜:「周りへのことじゃない。自分への」
龍神貴好:「そうは言ってもなあ」
荒崎怜:「そのスマホの傷」顔を乗り出す。「どこかにぶつけたでしょう」
龍神貴好:「うっ……はい、ちょっと転んだ拍子に……」
荒崎怜:「誰かとぶつかったんだ」
龍神貴好:どきりとする。
龍神貴好:「ぶつかったけど……やましいことはなんもないぞ」
荒崎怜:「そういうことを気にしてるわけじゃない。人にぶつかったことを隠そうとする精神性の方を指摘してる」
荒崎怜:「あなたの性格上、何も言い返さずにその場を去ったんでしょう。そういう扱いを自分にしてたら、いつか立ち行かなくなる」
龍神貴好:「それは……」
荒崎怜:「皆自分のことだけを考えるのが精いっぱいなの。……私の大切な人なら、きみもそうして」
龍神貴好:「…………」
GM:荒崎怜の死んだ「父親」のことを、きみは交際前に聞いていた。
GM:駅の線路で眠る浮浪者を助けようとして、命を落としたのだという。
GM:母方の実家に引き取られた荒崎怜は、それから何不自由なく育った。
GM:だが今、実家での暮らしを断ってまで、荒崎怜は華吶町での就職を選んでいる。彼女の父が死んだ街での生活を。
龍神貴好:「僕は、別に自分を大切にしてないわけじゃない」
龍神貴好:嘘だ。少なくとも本当ではない。
龍神貴好:「ただ……人と関わるのはうまくないから」
龍神貴好:「少し、練習したいんだよ」
龍神貴好:「きみの……お前のためにも」
荒崎怜:「そう」
荒崎怜:指が絡められる。
荒崎怜:「そういう考えなら、私も言いすぎた。ごめんなさい」
龍神貴好:「ううん」絡められた指に胸が高鳴る。
龍神貴好:「心配してくれてんの、伝わってるし」
荒崎怜:「家に帰ったら……その。沢山”練習”に付き合ってあげるから」
龍神貴好:「………うん」
龍神貴好:「頼んだ」
GM:きみたちの足は自然に近くのコンビニエンスストアへ向いていた。
GM:人通りが少なく、食料品や生理用品が安い。互いの家に止まる前には、駅近くのコンビニで買い出しを済ませるのが暗黙の了解となっていた。
荒崎怜:「ちょっと、色々買うから。……明日、講義ないでしょう。タカくん」
龍神貴好:「うん。明日はオフだよ」
荒崎怜:「芸能人みたい」
荒崎怜:少し遅れて、口角が上がる。つまらない冗談を言ったのだとわかった。
龍神貴好:「僕は西舘とは似ても似つかないだろ」軽口で返す
GM:人通りは少なくなる。『Club Malbolge』と言う評判のジャズバーの看板がネオンを散らすが、それもすぐに見えなくなっていった。
GM:夜に四角いミニチュアの箱のような光が灯っている。荒崎怜はその前で立ち止まり、振り返る。
荒崎怜:「少し待ってて」
荒崎怜:「……二人での買い物見られるの、恥ずかしいから」
龍神貴好:「うん。わかってる」
龍神貴好:「行ってらっしゃい」
荒崎怜:頷き、『ローンマート』という看板の中へと消えていく。
荒崎怜:自動ドアが開く音。閉まる音。
GM:開く音。
GM:ぼちゃん、という水袋を投げ捨てたような音がした。
GM:ゴム手袋のような何かが、湿った音を立ててきみの目の前に落ちている。
龍神貴好:「?」
GM:夜の闇で良くは見えない。目を凝らしてもいいし、無視して店の中に入ってもいいだろう。
龍神貴好:しゃがんで、正体を確かめようと、手を伸ばす。
龍神貴好:……やっぱり、危機感は足りなかったのかもしれない。
GM:手袋の「手」にあたる部分から何かがことりと滑り落ちた。
GM:コンビニエンスストアによくあるような、バーコード読み取り機だ。
GM:読み取り機を握っていたものは手だった。人の手。
龍神貴好:「えっ」
龍神貴好:「うわっ……」少し触れた手を大急ぎで引き戻す。
龍神貴好:(やばいやばいやばい)
GM:肘の付け根あたりから寸断され、自動ドアへと投げ捨てるように放られたのだと、今のきみが気付けたかどうか。
龍神貴好:「……怜!!」
GM:――じりりりりりりりりりりりりりりりりりりり!!!!!!!!
GM:店内からけたたましい警報機の音が響く。
GM:だが、来ない。人が。
GM:――人通りが少なすぎる。
龍神貴好:「なんだって……なんだってんだよ!」
荒崎怜:「――あっ、あっ、た、たかっ、たかくん!タカ!!」
荒崎怜:店内から叫び声が聞こえる。
荒崎怜:「――
龍神貴好:弾かれたように走り出す。
龍神貴好:店の、方向へと。
龍神貴好:「ばっかやろ……」
怪物:ぐじゃ
怪物:その足が止まった。投げ出されたと言ってもいい。
龍神貴好:「え」
怪物:浮遊感。衝撃、鈍痛。
龍神貴好:「あ」
龍神貴好:「あっ。あ」
怪物:右足に燃えるような痛みがあった。
怪物:「ちりりりりり きゃりりりりりり」
怪物:喉からガラスのような声を響かせる、それは異形だった。
龍神貴好:「なん」
龍神貴好:痛みで目の前の光景が正しく認識できない。
龍神貴好:ああ、夢なのかな。
怪物:のっぺりとしたガラスのような皮膚に、人間大の姿かたち。体表には眼球じみた器官が泡のように浮かんでは消える。
怪物:そして腕には、きみの右足を持っていた。
龍神貴好:「あは」
龍神貴好:「はははは……」
荒崎怜:「――け、けいさつ……よんだっ、よんだ、からっ。ねえっ!!」
荒崎怜:ふらふらと、血まみれになった荒崎怜が。店から出てくる。
龍神貴好:れいだ。
龍神貴好:よかった、いきてる。
荒崎怜:「たかくんに近付くなッ!この化け物ッ!」
龍神貴好:「ばか……にげろよ」
龍神貴好:「いいから……」
荒崎怜:「や、やだ……パパ、たかくん、助け、助けっ」
荒崎怜:半狂乱になりながらも、きみを背負おうとする。
荒崎怜:「何言ってるの!!死んじゃうでしょう!!」
龍神貴好:「いい、から……」
荒崎怜:「警察、呼んだから!!絶対何とかしがぇッ」
怪物:再び衝撃が走った。今度は荒崎怜ごと。
龍神貴好:「れ」
荒崎怜:吹き飛ばされ、ガラスに激突する。ずるずると倒れ込む。
荒崎怜:白く染色された髪がみるみる赤い血で染まっていく。
GM:同時に突き飛ばされたきみの胸郭にも、ガラスの破片がとめどなく刺さっている。
龍神貴好:「れい………れい」
荒崎怜:「………た………ん」
荒崎怜:「い、い………ら………」
龍神貴好:目から勝手に 水が溢れおちてくる。
GM:最後の一言だけは、はっきりと聞こえる。
荒崎怜:自分のことを大切にして。
龍神貴好:燃えるように身体が熱い。
龍神貴好:溶ける。溶ける。足を失った部分からどろどろに。
龍神貴好:そう思ったら、溶けたところから足が……違う。
龍神貴好:
龍神貴好:両腕も、もう片方の足も、頭も熱くて、どろどろに溶けて、溶けていくのがわかって、
龍神貴好:さっきまであんなに朦朧としていたのにその感覚だけはあまりにも鮮明で。
龍神貴好:「ああ、あああ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
龍神貴好:自分が形を失っていくのが解る。全てが指になって伸びていく。それは、絡まって、絡まって
龍神貴好:───
龍神貴好:全身が、知覚している。全身に五感がある。思考もしっかりある。
龍神貴好:(鏡だけは、見たくないな)そう思う。
怪物:ガラスじみた肌に、その姿かたちはくっきりと反射していた。
龍神貴好:(うへ……)
龍神貴好:その姿は、もつれる触手の塊というのがふさわしかっただろう。
怪物:「きゃららら りりり らららららら」
怪物:後ずさる。恐れているかのように。
怪物:自らを上回る怪物を。
龍神貴好:指を伸ばして、叩きつける。
怪物:――ぎゃ しゃあああああああああん!!!!!!!!!!!!!!
怪物:ガラス板を粉々に纏めて叩き割るような爆発音が響いた。
怪物:全身の体躯を砕かれ、粉々になって炸裂する。頭部が電信柱に当たって砕け散った。
龍神貴好:(口……口が、欲しい)
龍神貴好:声が出た。「ざまーみろ……」
龍神貴好:口が、身体の一部分に生えたことを知覚する。
龍神貴好:妙な気分だった。
GM:衝動が訴え掛けて来る。噛んで、咀嚼することができる。その「口」ならば。
龍神貴好:粉々になった怪物を、指の群れで掴んで───大きな口を作る。開く。
龍神貴好:ボリボリと硬質の怪物が吸収されていく。
龍神貴好:………ふと、気づくと。
龍神貴好:人の姿で立っていた。
龍神貴好:(ああ、これ……『偽物のストローマン』か)
龍神貴好:全身が、等しく『指』であることは感じるのに、見た目は人間のように繕われている。
GM:わずかに救急車の音が聞こえる。破壊された自動車と店内警報がひっきりなしに響き続けていた。
龍神貴好:口の奥は繋がっていないし、支えているのも骨ではない何か、だろう。
龍神貴好:「……怜」
荒崎怜:「……」わずかに首を動かす。まだ息はある。
荒崎怜:「たか……くん」
荒崎怜:「まだ……ばけもの、が……」
龍神貴好:しっかりとした足取りで、彼女のそばにしゃがみ込む。
龍神貴好:「だいじょうぶ」
龍神貴好:「だいじょうぶだよ」
GM:――が キュん!!
GM:銃声。きみの背後から、言葉を遮るように放たれた。
”コヴフェイス”:『”コヴフェイス”。偵察ワームを現着させた』
”コヴフェイス”:蛇のような端末が、排水溝から姿を現す。男性の低い、張り詰めた声。
”コヴフェイス”:『最初に聞くぞ。お前、”どっち”だ?』
龍神貴好:「治安、本当に悪いんだ……」
龍神貴好:「”どっち”って、なんですか」
”コヴフェイス”:『質問に答えろ。俺は今どっちを撃つか迷ってる』
”コヴフェイス”:『化け物か、それ以外かだ』
龍神貴好:「僕は、化け物です」
龍神貴好:「さっき、そうなったのを感じました」
”コヴフェイス”:『そうか』ジャカカカカカカ!!!
”コヴフェイス”:機械端末の蛇が、一斉に何かを装填するような音を放つ。
”コヴフェイス”:『なら死んでくれ』
龍神貴好:仕方ないか、と思う。それでも怜の命を守れたのなら、それでいい。
龍神貴好:目を閉じる動作に意味はない。全身に感覚があるから。
”コヴフェイス”:鋭い発砲音。弾丸が雨のように、君だけを狙って飛翔する。
乃木清和:───次の瞬間。割れたライトが照らすアスファルトに、蛇のように長い影が一直線に滑り走った。
乃木清和:影からぐぱりと骸骨の手が伸びる。それが、大量の弾丸を────
乃木清和:掴み、飲み込むように、龍神貴好の眼前から一気に奪い去っていく。
”コヴフェイス”:『……おい。勘違いか? ”バニティ”』
”コヴフェイス”:『お前が今、とんでもなく愚かなことをしたように見えたが』赤熱した機械蛇の銃口が、暗闇に揺れる。
乃木清和:「さあ。これは持論なんだけど」遅れて現れる、長身の女性。ショートヘアで洒脱なパンツスタイル。
乃木清和:「自分は化物だって自覚できてるやつには、相応の理性があると思わない? ”コヴフェイス”」
乃木清和:「ね?」振り返り、龍神くんを見てウインク。
龍神貴好:表情筋に当たる部分を動かして、笑って見せる。
”コヴフェイス”:『俺たちが自我境界について議論をしてる間に、誰かが死ぬ』声色は揺るがない。
”コヴフェイス”:『1分37秒前。「ローンマート」前監視カメラの映像』
”コヴフェイス”:『そいつは指のジャームに変身して、もう一匹のジャームをやった』
”コヴフェイス”:『社会性の高いオーヴァードがジャーム化した時は、人間を装う事例も確認されてる』
”コヴフェイス”:『何かする前にブチ殺す。そこをどけ』
龍神貴好:(……社会性。高いかなあ……)
乃木清和:「だーかーら、決めつけるのは早いって言ってるんだって、もう!頑固なんだから」
乃木清和:「リーダーの命令ちゃんと聞いてた? そもそも偵察っていうのは──」
エマ・カルナデス:かつん。かん、かん。
エマ・カルナデス:「──はいやめ。状況終わり」
エマ・カルナデス:靴底が鋲打ちの鉄を叩く音は、しかし隘路の奥ではなく、上から近付いて来た。
乃木清和:両手を上げ、一歩ひく。
”コヴフェイス”:「”ストローマン”。何も状況は終わってないが」
エマ・カルナデス:「どう見ても戦意ないでしょ、その
龍神貴好:「きみは……」
エマ・カルナデス:きみにとっては聞き覚えのある声。
エマ・カルナデス:場違いなほど落ち着いた、低くやや甘い声音の出処は
エマ・カルナデス:「──だから言ったでしょ。多分……先輩?」
エマ・カルナデス:「この辺、治安悪いって」
龍神貴好:「……そうだった、みたいだ」
龍神貴好:「助けてくれるのか?」
”コヴフェイス”:『……”覚醒”? あれがか? 結晶化タイプのジャームを一撃で砕いたんだぞ』
エマ・カルナデス:ふわりと足を宙に投げ出した身は、羽のような緩やかさで着地する。
”コヴフェイス”:『そいつは強すぎる。脅威だ』
”コヴフェイス”:『お前……まさかまた余計なことを考えてるんじゃないだろうな』
エマ・カルナデス:「だったら私が付いてればいいでしょ。あの火力なら、タフさまで
龍神貴好:「さっきからその声の人、色々言ってくれてるんだけど、その、褒めてくれてる?」
龍神貴好:「社会性があるとか……強すぎるとか……」
”コヴフェイス”:『黙ってろ』端末の銃口が向くが。『……”指揮官命令”か? ”お願い”か?』
エマ・カルナデス:「最悪は私が処理する。……あれを誉め言葉と捉えられるなら、精神はタフかもね」
エマ・カルナデス:「“現場判断”」
”コヴフェイス”:ノイズのかかった舌打ち。
”コヴフェイス”:『……お前が面倒を見ろよ。俺は一切関知しない』
エマ・カルナデス:「いつも助かってるよ、“コヴフェイス”」適当な調子で機械仕掛けの蛇に応えると、青年に振り向く。
龍神貴好:「……ありがとう」
龍神貴好:「助けて、くれたんだよな」
エマ・カルナデス:「どうかな……場合によっては、もっと酷いかも」
エマ・カルナデス:あたりを見回す。さっきのジャームの破片とかは残ってる?
龍神貴好:食い尽くしてはいないと思うので少しは残ってそう
GM:残っています。曇ったガラス片のようなものが散乱していますが、泡のように瞳に似た組織が浮かんだり消えたりしていますね。
GM:本体の絶命に伴い、いずれ失活して無機物として分解されることが予想されます。
柳瀬順吾:「……あれっ? え、なに?」 がぼ、がぼご、ぼごご。掃除機で何かを吸い込むような、異様な音。
柳瀬順吾:「この破片、いる? 部屋に飾るん? 俺は絶対嫌だね」 掌の黒い球体が、ジャームの破片を吸い取っている。
”コヴフェイス”:『”オッドボール”! 何を……何をしてきた!? いや、いい!聞きたくない!黙ってろ!』
柳瀬順吾:放っておくとぜんぶ掃除機のように吸い取ってしまうだろう…
エマ・カルナデス:「逆。一片も残さないでね、せっかく前科ついてない新入りなんだから」
エマ・カルナデス:「……ていうか、遅い。また撮影延長?」
龍神貴好:「あっ!さっきの偽ストローマン撮ってた人!」
龍神貴好:「もしかして世間ってめちゃくちゃ狭いの?」
エマ・カルナデス:「………おい」タイトルを聞いて、腕を組んで新たな闖入者を睨む。
柳瀬順吾:「アイア~イ。”コヴウェイス”、たまには現場出ろよ。エコノミー症候群になっちゃうぜ……と」
柳瀬順吾:「な、なんだよボス! なんか変な映画見た?」
エマ・カルナデス:「はあ……いや、いい。オッドボールの説教は後でいい」
エマ・カルナデス:「とにかく、きみ、名前は?」
龍神貴好:自分を指差すジェスチャーをして
エマ・カルナデス:頷く。
龍神貴好:「僕は、『龍神貴好』」
龍神貴好:「難しい方の龍に神様のジン。とうといのタカで、最後は好きのヨシ」
エマ・カルナデス:「自認も残ってるね。じゃあ、これからよろしく
龍神貴好:「……うん。………うん?」
龍神貴好:「よろしく……?」
エマ・カルナデス:「とりあえず……込み入った話は、アジトでするか。ここの救助とか偽装はよろしく、“コヴフェイス”」
”コヴフェイス”:「おい!世話は自分でやれと言っただろう!お前のそういうところは以前から問題があると思っていた!」
”コヴフェイス”:『よろしくの一言で済むほど公的交通機関がファジーに動いていると思っているのか!? 偽装はともかくとして救助は俺の領分じゃないだろう! 大体お前はいつも――』
GM:華吶新報(8/15) 朝刊 二面見出し記事「ローンマート一番街店で強盗発生か」
GM:8月14日(未明)、『ローンマート』一番町店で強盗事件が発生した。犯人は刃物のようなもので武装しているとみられ、店員一名と買い物中の客二人が死亡。店の近くにいた学生一名が軽傷を負い病院に搬送されたが、現在の容態は安定している。
GM:なお、華吶町警察は近年の治安悪化を受け、より一層治安を強化していくとの声明を打ち出した。しかしながら、頻発する凶悪犯罪に、近隣住民からは不安の声が多く寄せられている。
エマ・カルナデス:1D10+34
DoubleCross : (1D10+34) → 1[1]+34 → 35
龍神貴好:龍神貴好の侵蝕率を1D10(→ 4)増加(32 → 36)
8月14日 21時13分/ビデオショップ『Chill to Shift』
GM:――ここ華吶街で、物珍しいビデオを鑑賞したいとなれば、『Chill to Shift』に足を運ぶのが正解だといわれる。
GM:近年はビデオショップの数自体がめっきり減ったが、サブスク全盛の現代において、VHSデッキの色合いやノイズが逆に「味」として扱われるのはよくある話だ。
GM:モキュメンタリー風ドラマの制作のため、わざわざ映像制作の参考に『Chill to Shift』へ赴く学生やビデオ局員なども少なくない。
GM:そして、何も知らずに店の扉を開けた客の末路は、ごく二通りに分けられる。
GM:すなわち、『説教された』か『無視された』の二つ。
瑛・A・アヴァス:「おい!カルナデス!また妙なビデオを品出ししたのか!?」
瑛・A・アヴァス:「今抱えている不良在庫を捌くのにあと何年かかると思っている!? なぜキョンシーが太極拳を習うビデオが3本もあるんだ!?」
エマ・カルナデス:帽子の鍔を面倒そうに押し上げ、隙間から口うるさい店主役の顔を除く。
エマ・カルナデス:「しょうがないじゃん。勝手に増えるんだから」
瑛・A・アヴァス:「黙れ。増やしているのはお前だ」
瑛・A・アヴァス:「大体俺は店番を引き受けた覚えはない!暇をしている柳瀬か乃木あたりに任せれば……いらっしゃいませッ!!!」
エマ・カルナデス:「新作が入って客も喜んでるし。検品として私もタダで映画が見られる」手を肩の高さまでもっていく。
エマ・カルナデス:「ほら、WIN-WIN。いらっしゃいませー」
気の毒な客:「ヒッ」
気の毒な客:学生らしき少年が、おずおずとドアの向こうから姿を現す。
気の毒な客:「あ、あの……僕、寄咲大学の映画学科に通ってて……」
気の毒な客:「今度授業で、レトロな作品を撮ろうと思ってるんですけど……昭和の生活の空気が解るビデオとか……」
気の毒な客:「ど、同級生は変な連中ばっかりで全然頼りにならないんです!」
気の毒な客:「とくに今、一番街で異常な映画を撮っているやつら! 芸術は自由だけど、あまりにアナーキーすぎる!」
エマ・カルナデス:「だって、
瑛・A・アヴァス:「だから店長じゃない!おい!黙って聞いていればそこの学生!!」
気の毒な客:「が、学生」
瑛・A・アヴァス:「お前の映画にかける志はその程度なのか!? 表層的な部分を見て分かり合えないと決めつけてるんじゃあないのか!?」
瑛・A・アヴァス:「大体今は営業時間外だ! 情熱だけは認めるが、まずは社会のルールを守れ!もう閉店だ!喧嘩を売っているのか!?」
エマ・カルナデス:「……あ、ごめん。営業プレートひっくり返してなかったかも」
瑛・A・アヴァス:「そもそも映像制作の参考には映像しか使えないという固定観念が誤りだろう!学生なら学生らしく文献に当たれ!あらゆる方面からの努力を放棄するな!」もはや学生の方を見ていない。
エマ・カルナデス:「開いてると思って入ってきたら暑苦しい人に激詰めされて怖かったよねー。ごめんねお兄さん」
気の毒な客:「アッ ワッ」
気の毒な客:「お、お邪魔しました……」
気の毒な客:気の毒な学生は去って行った。また口コミに「説教された」と書かれるのかもしれない……
瑛・A・アヴァス:「おいカルナデス。暑苦しいとはなんだ? 俺は客観的に問題点を指摘しているに過ぎない」
瑛・A・アヴァス:「直すべき点が多すぎるお前たちの側に問題がある」
エマ・カルナデス:「客観的に見て暑苦しいってことだよ。そんな熱量で人のことを怒らないの、普通の人は」
エマ・カルナデス:「怒る、っていうか叱る、かな」
瑛・A・アヴァス:「おかしいことをおかしいと言えない人間が多すぎる」眉根を寄せる。瑛・A・アヴァスが誰かを叱る時は、いつもそうする。
エマ・カルナデス:「私達への監督とは違うんだから、適度な所で見て見ぬふりしなよ。はっきり言って、目立つよ?」
瑛・A・アヴァス:「俺が辻説教をするような男に見えるのか? 心外だ」
エマ・カルナデス:「どれどれ……あー、ほら、また口コミ増えてる。これが客観評価。分かる?」ずい、とマップアプリの評価ページを顔に近付ける。
瑛・A・アヴァス:「市役所では定時退勤を守り、職場の方にも礼を失さず接している……」
瑛・A・アヴァス:「……」
瑛・A・アヴァス:おぞましい形に凹凸が形成された評価ページに沈黙する。
エマ・カルナデス:「ハナブサの言う事は正しいけどね。ビデオ屋に正論が欲しくて来る人はいないってこと」
瑛・A・アヴァス:「なら俺以外の人間が接客をしろ! 何故一番忙しい俺が店番をしているんだ!?」
エマ・カルナデス:「別に私がずっとやっててもいいけど」そしたらどうなる?という顔。
瑛・A・アヴァス:「……」
エマ・カルナデス:「ほら」
瑛・A・アヴァス:「……お前の言うことにも一理はある。今後は……顧客の要望に忠実に従おう。なるべく」
エマ・カルナデス:「まあ、ビデオが溢れそうって意見はもっとも。また
瑛・A・アヴァス:眉を顰める。「また用途外のレネゲイド・コントロールを練習しているのか」
瑛・A・アヴァス:「”
エマ・カルナデス:「便利でしょ。今の生活には、五寸釘より必要だよ」
エマ・カルナデス:「…………」
エマ・カルナデス:押し黙る。答えたくない、というよりは答えを持たない間だ。
エマ・カルナデス:「……表の顔をコードネームで呼ぶの、マナー違反だよ」
瑛・A・アヴァス:溜息を吐く。「近日、結晶構造を持つジャームが徘徊しているのはお前も知っているだろう」
エマ・カルナデス:「知ってる。UGNも手が追いついてないのか、まだ捕らえてはないみたいだね」
GM:便宜上、
瑛・A・アヴァス:「ただでさえ、華吶町はUGN勢力の介入が極めて少ない都市だ」
瑛・A・アヴァス:「既存の反社会勢力と折り重なったFHセルが幾重にも折り重なり、半端な調査や強硬手段を許さない」
エマ・カルナデス:「だから私達みたいなものが潜り込む余地がある、訳だけど」
瑛・A・アヴァス:「……今日も行くのか?」
GM:つまり、自警活動に行くのか、と聞いている。
GM:『トラス4』。事故により凍結され、セントラルドグマとの通信を失った実験部隊。
GM:きみたちは数年前から華吶町に拠点を移し、最悪の治安を誇るこの街に対する自警活動を行っていた。
エマ・カルナデス:「そりゃあ、そうでしょ」
エマ・カルナデス:客を迎え入れることに失敗した扉を開け、「OPEN」の札を「CLOSE」へと裏返す。
瑛・A・アヴァス:「言っておくが、俺は一貫して反対だ」
瑛・A・アヴァス:「お前たちが、そんなことをする必要は、ない」
エマ・カルナデス:「じゃあ聞くけどさ、ハナブサ」
エマ・カルナデス:「私達が浪費した人生の数。この数年で、帳尻が合ったと思う?」
瑛・A・アヴァス:「……”浪費した”という言い方は」
瑛・A・アヴァス:「そう思っていないということだろう」
瑛・A・アヴァス:「だが、その帳尻合わせが他人を守ることなのか?」
瑛・A・アヴァス:「俺達は強大な組織力のあるUGNでもないし、まして一般人への被害を躊躇しないFHでもない」
瑛・A・アヴァス:「死ぬぞ。間違いなく」
エマ・カルナデス:「……………少なくとも、まだ死んでない」
エマ・カルナデス:「
瑛・A・アヴァス:「話にならんな」振り返り、自室に入っていく。
瑛・A・アヴァス:「俺が端末を飛ばす」
瑛・A・アヴァス:「監視から外れる範囲での行動は、絶対に、するなよ」
エマ・カルナデス:「……いつも助かってるよ、ハナブサ」
瑛・A・アヴァス:「死体の処理ができるほど俺は万能じゃない。面倒事を増やすな。いいな?」
エマ・カルナデス:「なるべく負担のないようにするよ」
エマ・カルナデス:この後の顛末は、互いに知る由もない。
GM:――その深夜、『トラス4』の面々は、ごく小さな範囲のジャームを掃討した。
GM:既に一般人二名の被害が出ていたことを考えれば、この自警活動には大きな意味があったと言えるだろう。
GM:だが。
8月16日 13時21分/ビデオショップ『Chill to Shift』
GM:『ローンマート』におけるジャーム襲撃事件から二日が経った。
GM:荒崎怜は現在頭部裂傷で短期入院しているが、命に別状はないというのが医者の所見だった。
GM:各種の処理を瑛・A・アヴァスが担当している最中――『トラス4』の目下の議題は、保護した覚醒者。
GM:龍神貴好を、『トラス4』においてどのように扱うか、と言う部分にある。
瑛・A・アヴァス:「おい……俺は言ったよな? 面倒事を起こすなと」
瑛・A・アヴァス:「なんで面倒事が増えてる?」
瑛・A・アヴァス:エプロンを着けたまま、人数分のコーヒーをどん!どん!と散らかった卓上に置く。
龍神貴好:(とても親切だ……)
瑛・A・アヴァス:じろりと龍神くんを睨む。
龍神貴好:「あ……スミマセン」恐縮して見せるがそれほど怖いわけでもない。
エマ・カルナデス:「なんでって言われても……ハナブサが急に撃ち殺そうとするから?」
瑛・A・アヴァス:「正しい判断だったと確信している。レネゲイド・ウイルスの罹患者は7割から8割が即座にジャーム化または死に至る」
柳瀬順吾:「そうそう。瑛クンが狂犬すぎるから、仕方なく保護したんだよね」
柳瀬順吾:「『へへっ。俺は血に飢えた魔獣!今夜の獲物はどいつだ~?』って言ってたし」
龍神貴好:コーヒーをひとくち飲んで、咳き込む。机に戻す。
エマ・カルナデス:「うん、言ってた。『何なら男でも構わねぇ~』って」両手で抱えたマグを傾けつつ。
龍神貴好:胡乱な目で瑛を見ている。
乃木清和:「ウッソやだ~。ケダモノ~」
瑛・A・アヴァス:「おい……今すぐこの店を蜂の巣にしてもいいんだぞ」
瑛・A・アヴァス:きちきち、と背後で機械端末がうなりを上げている。
エマ・カルナデス:「折角色々揃えたんだから、やるなら別の部屋にしてね」
瑛・A・アヴァス:「聞かん! 俺の理性が一秒でも長く保つ内に……そいつをこれからどうするか話し合え」
エマ・カルナデス:
エマ・カルナデス:そもそも入口すら、扉さえない壁が左右に『広がった』としか言いようのない奇怪な様だった。異常を感じるには十分だろう。
柳瀬順吾:「こわ~。……こんな感じだから気を付けようぜ。えーっと、龍神クンだよな?」
龍神貴好:「あ、うん。龍神貴好」
エマ・カルナデス:「とにかく。
エマ・カルナデス:「その後どうするかは、本人の意向次第」
瑛・A・アヴァス:腕を組む。常に人を否定することしかしない人間が何も言わないということは、無言の肯定に等しい。
乃木清和:「あら、そうなんだ。てっきり新しい子犬を拾って飼うのかと思ってた」
龍神貴好:「それは僕も知りたい。あんな化け物が……化け物が、いるのって当たり前なのか?」
龍神貴好:「子犬」
エマ・カルナデス:「本人が望むなら。あまりいい飼育環境とは思えないけど」咳払い。
乃木清和:「子猫の方がよかったかな?」頬杖をついてニコニコしている。
エマ・カルナデス:「そう、化物。私達は、ああいう物が悪さをしないように街を見廻ってる」
柳瀬順吾:「立派な大学生の男子に子犬と子猫なんてね! 泣いちゃうよなあ。どう見てもそんなタマじゃない」
龍神貴好:「泣いたりはしないけど……似合っては、いないよな。多分」
龍神貴好:「そうか……ああいうの、他にもいっぱいいるんだな」
乃木清和:「心配しなくても柳瀬には絶対言わないよ」
柳瀬順吾:「言ってもいいよ。かわいいアザラシちゃんとか」
乃木清和:「謝って。アザラシに」
エマ・カルナデス:「………とまあ、この喧しい連中だけど、こんなのでもあの化物と同じ力を持っている」
エマ・カルナデス:「そして、君も」
龍神貴好:「……うん。あの時見せてもらったの、すごかったもんな」
龍神貴好:「…………はい。ちょっと質問」手を挙げて。
エマ・カルナデス:「どうぞ」
龍神貴好:「僕はすっかり身体ごと化け物になっちまって……まあ、人の皮かぶってる訳なんだけど。それって実は『この中でも』普通ではない……のか?」
瑛・A・アヴァス:「……誰でもいい。”見せて”やったらどうだ」
瑛・A・アヴァス:「お前たち『トラス4』が、どういう存在なのかってことは」
瑛・A・アヴァス:「そうすれば、その体がどれほど取り返しがつかなくなってるかも解るだろう」
エマ・カルナデス:「そうね。百聞は一見に如かず……じゃあ、一人ずつ紹介するから」
柳瀬順吾:「おっ! 能力者のスーパーパワー紹介シーン! 俺、そういうの大好き」
エマ・カルナデス:「なんか面白いことしてね。怪我しない範囲で」
エマ・カルナデス:「まず、私はエマ・カルナデス。一応、この『トラス4』の名目上のリーダー」
エマ・カルナデス:「さっき見た扉は、私が作ったこの空間の入り口。他には……」つい、と指で部屋の中を指す。
エマ・カルナデス:優に100㎏はありそうな、ビデオがたっぷり詰まった棚がひとりでに浮き上がった。
エマ・カルナデス:「手品じゃないよ。重力を消してるだけ」
瑛・A・アヴァス:「……超能力者の能力発現形態には様々な傾向がある。風邪の症状に様々な違いがあるようなものだと覚えろ」
瑛・A・アヴァス:「今すぐ頭に叩き込まなければ殺す」
龍神貴好:「了解です」面倒くささは、きっと大学の教授の方が上だろう。
エマ・カルナデス:「注釈ありがと。そういう意味では、私に近いのはもう一人いる」
柳瀬順吾:「はいはいはいはい! 乃木チャンよりわかりやすいっつったら、俺だよね」
柳瀬順吾:「これ」 一本指を立てる。
柳瀬順吾:「を」 その先端に黒い球体が出現する。
龍神貴好:視覚がそれを追う。
柳瀬順吾:「こう、こう、こう!」 黒い球体でお手玉する――そのお手玉が、カップからコーヒーの液体だけを吸い上げ、消滅させる。
龍神貴好:「多芸だ」
柳瀬順吾:「どーも。跳んで走って喋れるブラックホール、柳瀬順吾です。将来有望な映画監督見習いだ」
エマ・カルナデス:「この茶髪のは
龍神貴好:「本当に多芸だなあ……」
GM:本人は軽い調子で能力を行使しているが、龍神貴好以外のものが見れば――異常に繊細な技術が発揮されたことがわかるだろう。
GM:全てを吸い込み削り取る球体を発現させ、操作した。
GM:にもかかわらず、コーヒーだけが吸い取られ――カップだけは無傷のままだ。
瑛・A・アヴァス:「忠告しておくが、こいつの映画は見るな。何らかの精神偏向作用がある」
エマ・カルナデス:「それと一昨日見た通り、無許可で人を題材にした映画を撮るから。
龍神貴好:「あー……僕だけなら、まあいいけど………」怜を巻き込むのは嫌だな、と思った。
乃木清和:「器用だこと」カップを眺めて呟いている。
柳瀬順吾:「乃木チャンの方が器用だろ?」
柳瀬順吾:「例のやつみたいな~、俺! 乃木チャンのスーパーパワー!」
乃木清和:「え? ありがとう。私はちょっと手数が多いだけだよ」
エマ・カルナデス:「そうね。ノギのはこの中では一番……なんというか、オカルトっぽいから」
乃木清和:「うふ。私っていうか、スミカだけどね」ポケットから安価な口紅を取り出す。
瑛・A・アヴァス:「能力の発現形式は理屈だけが支配する領域ではない。こいつの場合は――」
乃木清和:「おいで」口紅を見つめ、うっとりと呟く。
乃木清和:ぎゅるん。部屋中の影が一瞬で集合。ひと固まりとなり、そこから巨大な影が出現する。
乃木清和:室内を埋め尽くすような真黒い骸骨。
乃木清和:が、龍神くんを覗き込むように見つめ、手を伸ばして龍神くんの頬に触れる。
瑛・A・アヴァス:「――原理不明の、物理的実体の召喚と言う形で表現される」
龍神貴好:「わ、ひゃっ」
龍神貴好:「すご……」
エマ・カルナデス:「……ノギいわく。これは彼女の力ではなく、愛する人の魂らしい」
乃木清和:「スミカだよ。よろしくしてやってね」
龍神貴好:「よろしく、スミカさん」
瑛・A・アヴァス:「……」忌々しいものを見るような目で漆黒の骸骨を睨む。
エマ・カルナデス:「死者と同じ姿、同じ記憶を持った……いわば霊のような存在も、いない事はない」
エマ・カルナデス:(彼女の力がそれにあたるかは……まあ、言わない方がいいか。面倒が増える)
乃木清和:じっと龍神くんを見つめたあと、そのまま影は霧散する。
柳瀬順吾:「超能力なんだ。何でもアリさ」
龍神貴好:「何でもアリか」
瑛・A・アヴァス:「俺をお前たちのようなビックリ箱どもと一緒にするな」
エマ・カルナデス:「最後は、もう知ってると思うけどハナブサ。トラス4の雑務、偵察、情報欺瞞、電子工作、その他雑事担当」
龍神貴好:「ハードワークだな……」
瑛・A・アヴァス:「おい!最後を引き受けた覚えはないぞ!」
瑛・A・アヴァス:目を細め、指を突き出す。机の上に置いてあった龍神貴好の携帯端末と、瑛の私物のデスクトップPCを直線距離でつないだ時の中間点。
瑛・A・アヴァス:かすかに、きみたちの背骨の奥がざわつくような感覚が生まれるだろう。
柳瀬順吾:「コーヒー淹れるのも得意」
瑛・A・アヴァス:同時に龍神くんの端末が発光し、ひとりでにいくつかのアプリがインストールされる。
エマ・カルナデス:「冗談。けど、いつも最後は叱りながら引き受けてくれるのがハナブサのいい所」
エマ・カルナデス:「でも……それ以上に本領が、私達にとってとても重要」
龍神貴好:「えっえっえっ?!なに、ハッキング!?」
乃木清和:「何したの?」
瑛・A・アヴァス:「騒ぐな。必要な電子環境をインストールしただけだ」
瑛・A・アヴァス:「GPSアプリや共用の連絡アプリ、華吶町警のパトロール順路表示アプリ」
龍神貴好:「あっもしかして秘密結社の秘密アプリ……」
龍神貴好:「秘密アプリだ!」
瑛・A・アヴァス:「黙れ。はしゃぐな」
エマ・カルナデス:「そう。私達は、悪の秘密結社からも、正義の秘密結社からも身を隠さなければならない」
瑛・A・アヴァス:「お前がこれからどのような境遇に身をやつすかは知らんが、知らない所で俺たちの名前を出されると面倒なんでな」
柳瀬順吾:「インディーズの超能力者は厳しいんだ。映画業界と同じだな」
エマ・カルナデス:「悪の根城を挫き、正義のお膝元で勝手をやる訳だからね。彼みたいな、隠蔽役がいなきゃ成り立たない」
龍神貴好:「……一応、これ、インストールしただけで端末の中身は見てないよな?」
エマ・カルナデス:「見られて困るものでも?」
龍神貴好:「えっと……メッセージアプリとか」
龍神貴好:「会話、見られるの恥ずいし……」
瑛・A・アヴァス:じろりと龍神くんを睨む。「この状況で気にするのがそれか? 本当に危機感が薄いようだな」
龍神貴好:「いや、なんていうか……」
龍神貴好:「僕のこういう……日常?とのつながりみたいなの、感じてないと」
龍神貴好:「一気に狂っちゃいそうなんで」
柳瀬順吾:「ハハハハハ! 言えてる」
柳瀬順吾:「いいと思うよ、俺は。龍神クンは、俺たちで囲い込むべきだ」
柳瀬順吾:「ちょうどメンバー増強したかったんだよね」
エマ・カルナデス:「別に
エマ・カルナデス:「けど、まぁ……その肌感覚は正しい。精神が安定しないと、私達はころりと化物に落ちるから」
瑛・A・アヴァス:「……俺が何故お前を撃ったか教えてやろう」屈み込む。
龍神貴好:目を合わせる。この辺りかな?
龍神貴好:瞬きは極端に少ない。
瑛・A・アヴァス:「一人の超能力者は、
エマ・カルナデス:「同じ力なんだよ。理性で振るうか、衝動に振り回されるか。私達との違いはそれだけ」
龍神貴好:「瑛さんは……僕が狂ったって思ったんだな」
瑛・A・アヴァス:「今、そうではないと言い切れるか?」
瑛・A・アヴァス:「他の連中は気を許しているようだが、俺は違う。常に見ているぞ」
龍神貴好:「………」目を閉じる動作をする。そして、
龍神貴好:《擬態の仮面》部分解除。右腕がざわりと指の肉の絡まったものに変貌する。
瑛・A・アヴァス:「……乃木! お前の仕業……」
乃木清和:「私じゃないよ。彼の意志」
龍神貴好:「これが、僕です」
龍神貴好:「狂った化け物じゃないかもしれない。でも、もう身体は人間じゃ完全になくなってる」
龍神貴好:「正直、このことを僕だけで抱え込んでやっていけるとは思えない」
龍神貴好:「ここにいる皆に殺されるか、仲間になるか。どっちかだと思う」
乃木清和:「…こういうとこ気に入って、囲いこもうって言ったの?」柳瀬に。
龍神貴好:「コーヒーも、ちゃんと味わえなかった。あの結晶の化け物の方が美味しかった」
エマ・カルナデス:「まあ、そういう身体だよね。此処に入る時、手の感触が違ったから」最初の『入室』には、空間の作成者が手を引いて招く必要がある。
柳瀬順吾:「えっ。これは予想外」
瑛・A・アヴァス:「お前は考えが甘すぎる」
乃木清和:「反射で生きやがって…」
柳瀬順吾:「シルエットがいいんだよ。俺らで並んだ時にしっくりくる。俺と同じ眼鏡ジャージだったら反対してたぜ」
龍神貴好:《擬態の仮面》発動。指の群れはくるりと布の繊維を纏った腕の形に収まる。
エマ・カルナデス:「……
瑛・A・アヴァス:「異食症と身体形質の抜本的な変化だ。狂わない方が難しい」
瑛・A・アヴァス:「勝手におかしくなられても困るんでな。お前がまだ生きていたいと願うんだったら、監視はさせて貰う」
龍神貴好:「……僕は『龍神貴好』」
エマ・カルナデス:「正直に言うと、私はこういう
エマ・カルナデス:「……どう?これから先の人生、彼女と長い時間を一緒に過ごす」
エマ・カルナデス:「
龍神貴好:「自信は全然ないな」
龍神貴好:「……だから、こういうことの専門家のそばにいたい」
エマ・カルナデス:「なら、此処でやり方を学ぶべき。完璧な
龍神貴好:「勿論、彼女とは……まだ、一緒にいたいけど」
瑛・A・アヴァス:どん!と机に拳を叩きつける。
瑛・A・アヴァス:「呆れた楽天家だな。俺はもう知らん」
瑛・A・アヴァス:「お前たちで何とか教育しろ。死なない程度にな」
龍神貴好:「……ありがとうございます」瑛に。
瑛・A・アヴァス:「おい……何故感謝する? 状況が解っているのか?」
龍神貴好:「僕がここで生きるのを許してくれてる」
瑛・A・アヴァス:「勘違いするなよ」
瑛・A・アヴァス:「許可を得て、存在している生命は、ない」
龍神貴好:「それでも僕には………許可が必要だと、思うから」
瑛・A・アヴァス:殴りつける。
龍神貴好:「っ」
龍神貴好:普通に痛い。が、どこを殴られたのか感覚が曖昧だった。
瑛・A・アヴァス:「俺は寝る! 昨日からこいつのお陰でろくに寝られていない!」
エマ・カルナデス:「…………」吐息。
エマ・カルナデス:「お疲れ様、ハナブサ。ゆっくり休んで」
瑛・A・アヴァス:「次会う時までに、もう少しましな生きる理由とやらを考えてこい」
瑛・A・アヴァス:「今度もう一度辛気臭いことを言ったら、本当にブチ殺してやる」
瑛・A・アヴァス:それだけ言い残し、ばたん!と自室の扉を閉める。
龍神貴好:「………」
龍神貴好:「やっぱり、良い人では?」小声で。
エマ・カルナデス:「ああ言ってるけど、ハナブサの物事を見る目は正しい」長話ですっかり冷めた珈琲に口を付ける。
柳瀬順吾:「おっ。早くも気づいちゃったね」
柳瀬順吾:「天才だぜ、龍神クン」
乃木清和:「へこたれてなくて大変よろしい。でも今の訴えていいからね」
龍神貴好:ぎこちなく、にへら、と笑う。
エマ・カルナデス:「ただ、ハナブサは
龍神貴好:「みんなもそれぞれいい人だなって思うよ」
龍神貴好:「はは。うん、そうする」エマさんに
龍神貴好:「これから、お世話になります」
エマ・カルナデス:「よろしく、
エマ・カルナデス:「コードネーム。自警活動で本名を名乗ってちゃ、すぐに足がついちゃう」
龍神貴好:「あ、コードネーム………なるほど」
エマ・カルナデス:「秘密結社に居た頃に付けられたのをそのまま名乗ってたり、自分で考えたり、仲間につけて貰ったり……由来は色々」
龍神貴好:「じゃあ、”指”でどうかな」
エマ・カルナデス:「……そのまますぎない?」
龍神貴好:「うーん……じゃあ何か足す?何がいいかな」
エマ・カルナデス:「本名そのままでなければ、別に名前から少し取ったりしてもいい。……神の指?」
エマ・カルナデス:「……今のはやっぱりなし。なにかしらに障りそう」
柳瀬順吾:「ハハハハ! それ、クリントイーストウッド作品で見たぜ。天才的な泥棒の異名だ」
柳瀬順吾:「逆がいいな。ドラゴンとディアボロ、どっちがいい?」
龍神貴好:「おお、かっこいい……?」
龍神貴好:「それならドラゴンかな。ドラゴンの指?なんか違う気がするんだけど」
乃木清和:「ディアボロはだめ。ややこしくなる」
柳瀬順吾:「そ、そうだった…俺、あいつ嫌いだし…。じゃあ、ドラゴンだ。ドラゴン・フィンガー!」
乃木清和:「ダサくない?」
龍神貴好:「えっと、乃木さんからもアイデア聞きたい」
龍神貴好:「結構いいところまで来てる気はするんだ」
柳瀬順吾:「俺、ダサいタイトル好きなんだけど… じゃあ、乃木チャンなんか言ってよ!」
エマ・カルナデス:「”オッドボール”は別に悪くないと思うけど。……話が逸れた」
乃木清和:「え~、そうだね…ダメダメばっかり言ってアイデアを出さないのはよくない…」
乃木清和:「うー、龍の指……指の龍…」
乃木清和:「あ、
龍神貴好:「…………指龍」
龍神貴好:「いいね。しっくりくる」
龍神貴好:「あの化け物スタイルも龍ってつけたらちょっと気分がマシかも」
エマ・カルナデス:「龍の指一つではなく、全身が指で出来た龍。なるほど、いい名付け」
乃木清和:「よし!よかった~。そうそう、そういう意味合いでね」
龍神貴好:「よし、龍になろう、僕」
柳瀬順吾:「タイトルとか名前ってそういうところあるからね」
柳瀬順吾:「どっちにしても大歓迎だ、”指龍”」
エマ・カルナデス:「とりあえず、
龍神貴好:ロイス取得
リーダー?/エマ・カルナデス/頼れそう:○/不安/ロイス
エマ・カルナデス:『ハナブサ・A・アヴァス』P:信頼☑/N:厭気
GM:柳瀬くんのOPです。登場侵蝕を振り、シーンへの登場をお願いします。
柳瀬順吾:1d10+40
DoubleCross : (1D10+40) → 2[2]+40 → 42
GM:OK!(ズドン)
8月17日 15時12分/華吶町立寄咲大学 カフェテリア
GM:寄咲大学のカフェテリアはオープンスペースを採用しており、学外の人間も自由に出入りできる仕組みとなっている。
GM:カフェテリアそのものが学生のバイト先ともなっており、テラス席が近年改装された影響もあってか、応募の倍率は高い。
GM:テラス席は南仏のリゾート風の内装を基調に、客からもオープンキッチンが見える、開放的な造りになっている。
GM:当然テラス席は人気になるため、優先的に学生が使用するという暗黙の了解が仕上がっていた。
GM:オープンキッチンからは怒号と皿の割れる音が聞こえる。本日三回目だ。
柳瀬順吾:(この大学のカフェは、異様な偏りがある。……具体的には、ドリンクとフードのバランスが完全に崩壊している……)
柳瀬順吾:(激安居酒屋のメニューかってくらい少ないドリンクのバラエティーに対して、フードは町中華かってくらい豊富だ)
柳瀬順吾:(今日のおすすめが渋滞を引き起こし、大量のフードメニューが短冊に書かれ、呪いの館を封印するお札のように貼りまくられている)
GM:アルバイトからメニューを採用する、という学生カフェらしい試みを続けた結果、最初は意欲的な取り組みとして始まったそれが、いつしかオペレーションを崩壊させる呪いとなっていた。
GM:煩雑なオーダーと、怪奇化を極めていく提供形態。並のアルバイトでは対応できない……
柳瀬順吾:(噂によると、このフードメニューを制覇した伝説の先輩が存在するらしいが……真偽は定かではない)
柳瀬順吾:(いずれにせよ俺たち清貧なる学生が注文するべきメニューは、二択。……安定のジャンボチキンカツ丼か、今日のおすすめか……だ)
柳瀬順吾:(俺が選ぶのは――)
柳瀬順吾:「今日のおすすめ一つ、おねがいしゃ~す」
学生アルバイト:「はーい、おすすめですね。承りました。ご一緒にコーヒーは……って、げえッ! こいつ柳瀬だ!映画学科の!」
柳瀬順吾:「ども~。キッチン楽しそうだね。映画にする?」
学生アルバイト:「絶対にやめろ。グロ映画になるぞ」
学生アルバイト:「大体クソ忙しいんだから! お前みたいな暇人入れてる余裕ないの!」
学生アルバイト:ホールのバイトは、伝票を引ったくって帰って行った……
柳瀬順吾:「暇人だなんて、ひでえな! 俺だっていま、画期的な映画のパラダイム的なアレを……ちっ」
西舘雅也:「この街、相変わらず学内のカフェまで治安悪いのかよ……」
西舘雅也:きみの対面に座っていた友人――西舘雅也がぼやく。
西舘雅也:黒のシャツにスラックスを着用している、ホスト崩れのような青年だ。と言うより、実際「そのもの」なのだが……
柳瀬順吾:「治安悪くないよ。平和だよ。いい街、いい人、いい暮らしだよ」
柳瀬順吾:「それとも、駅前の方は治安悪ィ~の?」
西舘雅也:「俺は情報通だからな。バッチリ掴んでるんすよ」とんとん、と耳を指さす。
西舘雅也:「最近行方不明者とか傷害事件が増えてる。こないだの『ローンマート』の事件とかも……被害者、うちの生徒から出たってよ」
柳瀬順吾:「ローンマートのやつも知ってんの? 速ぇな~」
柳瀬順吾:「そういうのってどこで仕入れてんの? テレビガイド?」
西舘雅也:指を振る。「甘いな柳瀬クン。大学の情報交換と言えば喫煙所だぜ」
西舘雅也:「どんな奴でも『ヤニ行く?』の一言で口が軽くなる。試してみるといいよ」
GM:『ローンマート』で発生したジャーム襲撃事件は、表向き「強盗事件」として処理されていた。
GM:だが西舘雅也のように、交友関係が幅広いものであれば、そういった事件が頻発している、という事実にも気付く。
柳瀬順吾:「なるほどアフットインザドアか! よし、試すぞ。『ヤニ行く』? ついでに次の映画に投資しない?」
西舘雅也:「財布の紐は軽くなんねえんだよ! 『偽ストローマン』だって爆死しただろッ」
柳瀬順吾:「あれは俺も反省した。モンスターパニック映画に新しい構造を持ち込むことにしたんだ」
柳瀬順吾:「鮫、ゴリラ、ヘビ、悪魔……色々なモンスターが投入され、もはやレッドオーシャンかと思われたモンスターパニックだが!」
柳瀬順吾:「……次の映画は『恐怖のデスぬりかべ』で行こうと思っている。日本の妖怪というモンスターの一大ブルーオーシャンを、俺は見つけたのだ」
西舘雅也:「あ、でも上映会にめっちゃ可愛い青い髪の子来てたって噂も……え、何? ちょっと気になる話すんなよ」
西舘雅也:「妖怪って言えば、今度合コン来る真原伊の子とかそっち方面にめっちゃ強いらしいぜ」
西舘雅也:「一緒に来ない? 客寄せパンダとして……」
柳瀬順吾:「くそっ、露骨に話をそらしやがる……真原伊大学のアホどもと一緒にされては困るなあ!」
柳瀬順吾:「こっちの法学部の方が偏差値1くらい高かったはずだ! ……あとは知らんけど……」
西舘雅也:「よし。作戦会議を開くぞ……法学部の連中を使うって手は悪くない。後はどれだけ初っ端でかませるか――」
学生アルバイト:見慣れない顔の学生アルバイトが、再びきみたちの席の近くで食器を割る。
学生アルバイト:が しゃん!!
学生アルバイト:「あっ! ごめんなさい、ごめんなさい……!」
西舘雅也:「おいおい、四回目じゃね~か!大丈夫……」
西舘雅也:ばたん、と倒れ込む。
柳瀬順吾:「お?」
学生アルバイト:きみたちの席の近くの人間も、次々に倒れ込む。
柳瀬順吾:「うわ、これ……面倒だな……。見なかったことにして~な~……」
柳瀬順吾:「なんでそんなにおおっぴらに使うかな~……!」
学生アルバイト:「安心しろ。認識をどうにかするやつとも組んでる」
学生アルバイト:首を鳴らし、西舘雅也を踏みつける。
学生アルバイト:――ごく小規模に展開された《ワ―ディング》だ。
学生アルバイト:影響が展開されているのはテラス席だけで、構内のカフェテリアの客は君たちの方にまるで関心を寄せていない。
柳瀬順吾:「どうにかすんなよ、認識をよ! おい、踏むな」
柳瀬順吾:「絶滅危惧の天然記念物だぞ」
柳瀬順吾:「それとも、ここでやるか?」 西舘を踏んだ足を摑む。
学生アルバイト:その中で、何人かの客が、同様に君の方を注視していることが分かった。
学生アルバイト:「捕まえろって言われてる。わりの良い依頼だからな」
学生アルバイト:「反応したってことは、寄咲大学のオーヴァードだよな? 当たりを引けた」
柳瀬順吾:「勘弁しろよ。このカフェテリアで何かあってみろ。UGNのやつら雑だから、『カバーストーリー:ガス爆発』だぞ」
柳瀬順吾:「しばらく営業停止になっちゃ困るんだよな……」
学生アルバイト:「……さっき、俺がグラスを落とした時。グラスじゃなくて、俺の方
学生アルバイト:「そういうことをするから……」
学生アルバイト:ひゅ イン、と空気が裂かれる音。何らかの攻撃が行われている。背後に風を切る感触があった。
学生アルバイト:同時に、何人かの客が立ち上がり、きみに能力を投射しようとしている。
学生アルバイト:これを迎撃してもいいし、避けても構わない。
柳瀬順吾:「誰だって注目する……このカフェテリアは面接厳しいんだよ。お前みたいな不器用なヘボ野郎が働ける場所じゃない」
柳瀬順吾:「お前にここのバイトはもったいない」 避ける気はない。やる気だ。掌に黒い球体が生まれる。
柳瀬順吾:「西舘を踏んづけた分は、後悔してもらわなきゃな。……これができなきゃ、なんでフリーランスやってんだかって話だ!」 黒い球体が、膨張する。臨戦態勢だった。
学生アルバイト:攻撃は三方向あった。影の蛇がのたうつような軌道で放たれる弾丸、背後から迫る不可視の刃。
学生アルバイト:それらを陽動として、床に浸透し、きみに肉薄する不可視の図形。認識できないが、「見てはいけない」と感じさせる――
柳瀬順吾:「速いじゃねーかよ。ただ……」 黒い球体を、足元に叩きつける。
柳瀬順吾:「重力よりは遅い」 黒い球体がインクのように飛び散り、爆ぜる。特大の質量となってばら撒かれ、周囲を見境なく吹き飛ばす。
GM:ば ぐん!!!
GM:重力。三次元上に存在する物質すべてに、鉛直的に作用する力学。
GM:それらを支配するということは、文字通り
柳瀬順吾:「ぶぺっ! 口の中入った!」 ブラックホールを”吐き出す”。その力学上ありえない相互干渉こそが、柳瀬順吾に与えられた能力だった。
学生アルバイト:「――」回避できる距離――もしくは感度は、十分に保っていた。
学生アルバイト:単純な話だ。
学生アルバイト:事象地平線の魔眼に撃たれ、あるいは引き裂かれた。致命的な破壊はいっそ静かに行われ、そして三十秒も経たずにすべては終わった。
柳瀬順吾:「くそーっ、ジャージにもシミできた……。洗濯機じゃ絶対落ちねえんだぞ……」
”ブラック・ブロック”:ぱち、ぱち、ぱち、と拍手。
”ブラック・ブロック”:「流石”オッドボール”。やるね~~」
柳瀬順吾:「うるせ~! 悪役の登場の仕方するな!」
柳瀬順吾:「なんでパチパチしちゃうかな。かっこよく笛とか吹きながら登場しろよ~」
”ブラック・ブロック”:黒いスーツの女だ。きみを狙おうと最後に蠢いた死角の頸椎を踏み砕いた。鈍い音。
”ブラック・ブロック”:「面倒事を処理したげようって言ってんの。これでも平和主義者なんだからさ」
柳瀬順吾:「俺の情報によると、平和主義者は頸椎踏み砕いたりしないんだよね」
柳瀬順吾:「見てたんなら手伝ってよ」
”ブラック・ブロック”:”ブラック・ブロック”。以前から”トラス4”と親交のあるオーヴァードであり――
”ブラック・ブロック”:「必要ないでしょ」
”ブラック・ブロック”:「『トラス4』最強のオーヴァードには」
”ブラック・ブロック”:『ピパ・ソング』。『トラス4』計画に出資していたFHセルに所属する、エージェントでもある。
柳瀬順吾:「必要じゃなくて、優しさ! 俺を最強だと思ってんなら、まあ……それでもいいか……」
柳瀬順吾:「強さ弱さでTier表作るわけでもなし。……ってか何しに来たんだよ」
柳瀬順吾:「単位足りなくなったから大学に登校か?」
”ブラック・ブロック”:「え? そりゃ忠告だよ、少年。お姉さんが見所のある若いツバメに耳寄りな情報を持って来てやったのさ」
柳瀬順吾:「忠告って、だいたいろくなもんじゃねえんだよな」
”ブラック・ブロック”:「あと、大学って歳でもない。解ってて言ってるでしょ、きみ? 舐められてるな~……」
柳瀬順吾:「ンなことねえよ……で、なんだよ、幸福の王子様? この卑しいツバメに宝石とかくれるわけか?」
”ブラック・ブロック”:ぼやきながら、ぞろぞろと――服から染み出すように、”ブラック・ブロックの姿が、”増える”。
”ブラック・ブロック”:シミのようにわき出した肉体は、わいわいと騒ぎながら破壊の跡を片付け、あるいは隠蔽し始めた。
”ブラック・ブロック”:「いやあ。残念だけど、そんないいもんじゃないんだよね……狙われてるよ、きみら」
柳瀬順吾:「いつも何かしらに狙われてる気がするね」 たったいまの襲撃者を一瞥する。
柳瀬順吾:「誰から? なんで?」
”ブラック・ブロック”:「”オッドボール”だけじゃなくて、『トラス4』全体がだよ。ギルド経由で、賞金が掛けられてる」
”ブラック・ブロック”:「『スマイリーの貸金庫』にアクセスできるやつなんて限られてるんだけど……まあいいや。とにかく手当たり次第って感じだ」
柳瀬順吾:「ギルドのアホども~~~~! SOGの次くらいに節操ねえな!」
”ブラック・ブロック”:「だからこういう血気盛んな連中も出てくる。瑛クンから聞いてなかった?」
”ブラック・ブロック”:「この数日カリカリしてるなら、多分その件だね」
柳瀬順吾:「そ、そうだったのか……瑛クンがカリカリしてるのはいつものことすぎて、完全に盲点だった……!」
GM:……きみの覚えでは、瑛・A・アヴァスがその事実を伝えた覚えはない。恐らく、『トラス4』の誰も知らないはずだ。
柳瀬順吾:「くそっ。問い詰めてやる! ……でも、あんたがそうやって忠告しにきたってことは……だ」
柳瀬順吾:「ここは共闘して事態を打開しようぜっていう、敵同士が手を組む激アツ展開ってことだろ?」
”ブラック・ブロック”:「ただでさえ、FHの勢力圏内で片っ端からシノギを荒らすようなバカやってるのにさぁ……お、助かる。話が早いじゃん、少年」
”ブラック・ブロック”:「色々言ってるけど、『ピパ・ソング』はきみらの味方」
GM:『トラス4』の計画凍結時、きみたちは事故に乗じて逃亡した。
GM:ほとんどはその確保に動いたが、ごく一部の出資セルのみは――むしろ、その逃亡を手助けするような動きを見せた。
GM:前者が『確保派』、後者が『脱出派』と呼ばれている。『ピパ・ソング』セルは、『脱出派』の筆頭でもあった。
柳瀬順吾:「そこんところがだいぶ怪しいんだけどね。あんまり信用するなって瑛クンも言ってた気がするし」
”ブラック・ブロック”:「あいつが何かを信用してるところ、見たことある?」
”ブラック・ブロック”:「ずっと怒ってるでしょ」
柳瀬順吾:「現代の科学では、まだその存在は証明されてない」
柳瀬順吾:「まあいいや。みんなに伝えとこ。用事はそれだけか?」
”ブラック・ブロック”:「具体的な案については、後で相談させてね。訓練環境の提供とか、潜入工作ならお手の物だからさ。うーん……あとは」
”ブラック・ブロック”:つか、つか、と歩み寄り、きみの前の席に腰を下ろす。
”ブラック・ブロック”:「私の興味は、どっちかって言うときみの方に向いてるんだよね」
柳瀬順吾:「俺か?」
”ブラック・ブロック”:「『トラス4』は確かに金のかかった計画だけど、その実験体の全てが……予想を上回るような成果は出さなかった」
”ブラック・ブロック”:「エマ・カルナデス。確かに優秀だけど、濃縮体実験の成果としちゃありふれてる方だよね」
”ブラック・ブロック”:「きみだけが
”ブラック・ブロック”:サングラスの奥の青い瞳が、君を見つめた。
柳瀬順吾:「……俺はそうは思わないね。戦うだけのオーヴァードなんて、それこそありふれてる」
”ブラック・ブロック”:「ふふ」笑う。「さっき戦いを見てたけど、むしろ強くなってるよね?」
柳瀬順吾:「成長期なんだよ」
”ブラック・ブロック”:「言い得て妙だ。だって、強くなること
”ブラック・ブロック”:「場所を移さずとも、暴力によって……お友達を巻き込まずに、事態を解決できる自信があった。だからそうした」
”ブラック・ブロック”:「きみみたいな平和主義者は、やっぱりうちに欲しいな」
柳瀬順吾:「……くだらね~。……俺からも一個、重要な話してもいいか?」
”ブラック・ブロック”:「きみのことは何でも知りたい」
”ブラック・ブロック”:上機嫌そうに足を組み替える。
柳瀬順吾:「次の映画の、『恐怖のデスぬりかべ』のヒロイン役やってみない? いま99人に断られてる」
柳瀬順吾:「どうだ?」
”ブラック・ブロック”:「私が、ヒロインになれるって? 思ってたより創造性あるね、きみ」
”ブラック・ブロック”:「いいよ。この事態を解決したら、ご褒美に出てあげる。私はきみの映画のファンなんだ」
柳瀬順吾:「決まりだ。絶対だぜ」 立ち上がる。
”ブラック・ブロック”:「ただし名義は」サングラスを上げる。「
柳瀬順吾:「もちろん」
”ブラック・ブロック”:「なら、私の我儘に付き合ってくれる君は
柳瀬順吾:「そういうこと。……学科の中じゃ、変人扱いでね」
”ブラック・ブロック”:「自分の名前という、最初の創造性を放棄した者同士。仲良くしようじゃないか」
柳瀬順吾:「俺はいつだって仲良くしたいさ」
”ブラック・ブロック”:「知ってるさ」
”ブラック・ブロック”:「私ときみ、似てるもん」
”ブラック・ブロック”:立ち上がる。既に”増えた”ブラック・ブロックは、一人に戻っていた。
柳瀬順吾:「ふっ……はははははははは!」
柳瀬順吾:「今日イチ笑った。やっぱヒロイン向きだよ、あんた」 キッチンが止まっている以上、食事はできない。
柳瀬順吾:水だけ飲んで、歩き出す。
柳瀬順吾:みんなに伝えるべきことがある。それが一番の優先順位だった。
GM:ロイスの取得が可能です。
柳瀬順吾:”ブラック・ブロック” 好意〇/隔意 で取得します!
GM:OK!(ズドン)
GM:乃木さんのオープニングです。登場侵蝕を振り、シーンへの登場をどうぞ!
乃木清和:乃木清和の侵蝕率を1D10(→ 9)増加(36 → 45)
乃木清和:キャッ
GM:エンジョイしている!乃木さんが!
GM:ウオオオ 気合入れていきましょうッ
8月18日 19時37分/ジャズバー・『Club Malebolge』
GM:『Club Malebolge』は、華吶町の喧騒とは程遠い、高所得者向け分譲住宅付近が並び立つエリアの地下に佇んでいる。
GM:主張しすぎない、寒色を基調にした壁看板と、使い込まれたシックな木造の立て看板を目印に、階段を一段ずつ降りると、
GM:夜の闇に寄り添うような、粒立つ
GM:ボリュームのある樫の扉を開けると、燻製のような香りと、上品なアルコール……そして、金管と木の香りがゆったりと漂ってきた。
気の毒な客:「今日も追い返された……なんなんだ、あのいつも怒ってる人……」
気の毒な客:「こんなんで本当に映像作品なんて作れるのか……?」
気の毒な客:「というか、ついヤケになって知らない店に入って来ちゃったけど……」
気の毒な客:「何かオシャレすぎるし帰ろうかな――」店内をきょろきょろと見まわしたところで。
乃木清和:「いらっしゃいませ、お客様」
気の毒な客:「ウワッ アッ エ!?」
乃木清和:「一杯いかがです? なんだか陰りのある顔色をされてますから。少し休んでいかれては?」
乃木清和:白シャツに黒いベスト、黒パンツ。ホールスタッフの制服に身を包んでいる。
気の毒な客:「か、陰り……休んで……」
気の毒な客:明らかにどぎまぎしている。
気の毒な客:乃木清和に接した客がこういう反応を返すのは、ありふれたことだった。
GM:キッチンスタッフやジャズ奏者も特に顔色は変えず、気ままに演奏したり、料理を作る手を休めずにいる。
乃木清和:「大丈夫、このお店はあなたみたいな人を大歓迎。初めてだからって緊張される方も多いですけど…」
乃木清和:「マナーなんてありませんし。もし分からないことがあれば、私でよければなんでもお伝えできますよ?」
気の毒な客:「あっ好き……」
気の毒な客:「……じゃ、じゃない! えっと……それじゃあ、適当に何か注文しますね!えっと……」
気の毒な客:『えっと』を三回くらい言っている。
乃木清和:「よく言われます。ゆっくりどうぞ?」席に案内している。
気の毒な客:「あっ、そ、そうです!お店の雰囲気が好きです!いいですねここ!」
気の毒な客:「じゃ、じゃあ、おススメのおつまみとかありますか?」
気の毒な客:「ちょっと……いや、かなり怖い人に連続で怒られて……ゆっくり飲みたいなって……」
乃木清和:「それは大変。そうだな…」
乃木清和:「良いチーズが入って、それの燻製盛り合わせが今日はおすすめ…って話なんですけど」
乃木清和:「個人的には…デザートのガトーショコラが好き」
気の毒な客:「ハワ……」
気の毒な客:「100個頼みます」
気の毒な客:「あっ、すみません。夢……? とりあえず、燻製盛り合わせと……ガトーショコラを食後に……」
気の毒な客:様子も落ち着いてきたようだ。現実感がなさすぎて、逆に冷静になっているのかも知れない。
乃木清和:「あはは! ありがとうございます。少しお待ちくださいね」
気の毒な客:キツツキのように頷いている。
乃木清和:楽しげに店内を闊歩し、注文をキッチンへ伝える。
マスター:「あっ。また常連増やしたな~、このこの」
マスター:キッチンにいる女性の店主が、きみに声をかける。
乃木清和:「ふふふ。給料上乗せ、いつでもお待ちしてますけど」
マスター:「乃木ちゃん入ってくれてる時、売り上げ良いからさ……考えちゃおっかな~~」
乃木清和:「本当ですか? やった。私の天職かも、この仕事」
マスター:「うちの弟も、帆毬市で店やってるんだけどさ。『キャロル』って店」
マスター:「やっぱ……人を呼ぶには飯より顔!ってぼやいてたわ」
マスター:「乃木ちゃんの場合は接客も良いけどね」
乃木清和:「いや~。私、裏切るときは裏切りますよ?」
マスター:「急に怖いよ。どしたの」
マスター:軽やかな手さばきで燻製を盛り合わせ、胡椒を軽く絞り、バージンオイルを散らす。
乃木清和:「なんとなく…わっ、美味しそ」
マスター:「始めて来てくれたお客さんだからね。気合入れちった」
マスター:「それ持ってったら、今日上がりでいいよ。あと何かさ……お店に乃木ちゃん宛の連絡入ってた」
乃木清和:「この仕事が楽しい理由の大きなひとつに、美味しいまかないにありつけるっていうのがありまして…。…連絡?」
乃木清和:「なんだろう」とすっとぼけて、皿を受け取る。
マスター:「すっごい渋い声でさ~~!!『”20時に「BIZオフィスかとつ」の3番PCで”』だって」
GM:「BIZオフィスかとつ」とは、華吶町に複数存在するコワーキング・スペースのひとつだ。
GM:清潔な外装と安価な料金で人気を博している――その中の「3番PC」は、UGNが保有する秘匿回線の一つだった。
マスター:「いつもの付きまとい客って感じでもなかったし……」
マスター:「何か本人は”ご依頼されていた件でお話があります”って言ってたけど」
マスター:「……あっ。わかった!探偵さんじゃない!?」
乃木清和:「ああ…。それですそれです、元カレがしつこくって」
マスター:「店に来たらぶったたいたげる」フライパンをこんこんと叩く。
マスター:「今度またホールの皆で飲み行こうね。話聞くからサ」
乃木清和:「助かります。マスターなら大丈夫だと思いますけど…これ内緒にしておいてもらえます? もう一つのバイト先にも迷惑かかるといけないし」
マスター:しーっと口許に指を当てる。
乃木清和:「ふふふ。それじゃ、お疲れ様です」同じように口許に指を当てて微笑み、キッチンを抜ける。
GM:そうして、『Club Malebolge』の夜は更けていった。飾り気などない、常通りの日常のように。
GM:だが、コインの表があれば、裏があるように。
GM:その日常を保つ何者かが存在することを、誰も知らない。
8月18日 21時2分/コワーキング・スペース『BIZオフィスかとつ』
GM:「任務」で何度も利用している秘匿回線へは、アクセスもスムーズだった。
GM:PCを立ち上げ、数時間ごとに更新されるパスコードを、検索タブに偽装した回線システムに打ち込む。
GM:単純交換鍵によって構築される通信は、暗号管理が煩雑だが、その分秘匿性も強い。
GM:瑛・A・アヴァスのような電子戦能力者を擁する組織へ潜入する以上、こういったアナログな手段はむしろ有効に働いた。
GM:ほどなくして、画面の前に通信が構築され、一人の壮年男性の顔が表示される。
坂城只人:「8月18日、2102、定時報告を開始」
坂城只人:「”リセ”より”バニティ”への喚問を実施する。……二か月ぶりですね」
乃木清和:「個人携帯に連絡入れたらアシがつきかねないから避けたって事情はお察ししますけど」
坂城只人:「待った! 通信してそうそう、文句はやめてください」
乃木清和:「あの店にもこわ~いお姉さんが時々来てるんだからね? 部下の安全を優先するなら連絡はおすすめしないな~」
乃木清和:「文句じゃないです~」
坂城只人:「『ピパ・ソング』を気にしているなら、問題ありません。彼らはそういった種類の無茶はしない」
坂城只人:「彼らが我々と対立するとしたら、もっと速やかで、致命的な種類の対決を行います」
GM:『Club Malbolge』は実のところ、権力の真空地帯でもあった。
GM:十数か月ほど以前、「偶発的に発生した」オーヴァード同士のいさかいに、「運悪く」巻き込まれ――
GM:「たまたま」居合わせた乃木清和が「トラス4」に発見される契機となった場所でもあり、
GM:そしてその騒動を隠蔽した『ピパ・ソング』が実質的に管理する店でもある。
GM:例えば雇用されているジャズ奏者の一人が、楽器の中に直視してはいけない”なにか”を飼っていることを、きみだけが知っていた。
GM:つまり、『Club MAlbolge』は『トラス4』、『ピパ・ソング』が交差する地点であり。
GM:同時に――
坂城只人:「潜入任務の経過はどうですか。UGNエージェント、”
GM:UGN
乃木清和:「うまくやってるよ? 『Club Malbolge』じゃすっかり看板娘だし。あそこ、客層も良いし」
乃木清和:「トラス4はね。どうだろうなあ。あ、この間新入りが入ったよ」
坂城只人:「また新たな”アナーキー”が?」
GM:「アナーキー」。UGNが確認できていないイリーガルのうち、更に独自の理念を持って組織化し、無政府的に活動するものたちを指す。
GM:龍神貴好がこれからそうなるかは、まだ確定していない事実でもあった。
乃木清和:「覚醒したばっかりのニュービー。その子がどうこうじゃなくて、拾われた先がトラス4だったってだけ……まあ」
乃木清和:「UGNで気に入られるような子かはちょっと疑問かな…。ひとまず静観しようと思ってる」
坂城只人:「ふむ……あまり好ましい事態ではありませんね」
乃木清和:「そう?」
坂城只人:「UGNの認識しないオーヴァードは、それ自体が潜在的なリスクであると考えるべきです」
坂城只人:「存在しないものに対処はできないでしょう」
乃木清和:「だから私が送られたんじゃない。認識し、対処を考えるために」
坂城只人:「正しい理解です。
乃木清和:「褒められてる気がしない言葉だな~。なにかあったの?」
坂城只人:「少し例え話をしましょう。品種改良のために、白いバラを何十本も育てることにします」
乃木清和:(似合うね~)と目の前の男が薔薇を育てている様子を妄想している。
坂城只人:「実験によってバラは成長し、職員たちは希望を持ちます。”これ”は、求めていた花かも知れないと」
坂城只人:「バラは、人の心を受け取る不思議な力を持っていました。絆を結ぶ力です」
乃木清和:「美しい話だね」
坂城只人:「ええ。ここまでは」
坂城只人:「そうしてすくすくと育ち、大輪の花を咲かすかに見えたバラは」
坂城只人:「ある日、自分の力を出し切って、突然枯れてしまいました」
坂城只人:「誰かのために、という想いが、この結果を招いたのです」
坂城只人:「私の言いたいことがわかりますか? ”バニティ”」
乃木清和:「う~ん」
乃木清和:「満開になったら、枯れちゃうから…」
乃木清和:「八分咲きくらいで止めてあげられたら、ずっと綺麗な花でいられる」
坂城只人:「……花のことをよくわかっていますね」微笑む。
乃木清和:「ロマンチック例え話男……」
坂城只人:「華吶町は、UGNが積極的に介入していない区域です。
坂城只人:「この仕事に就いている人間は、多かれ少なかれロマンチストですよ」さらりと流す。「ですが、現実を見なければいけないこともある」
坂城只人:「我々の最終的な目標は、オーヴァードと一般人の保護です」
坂城只人:「つまり、華吶町に存在するFHセル、及びイリーガル勢力には、潰し合って……あるいは、体制側について貰う必要がある」
乃木清和:「今のいたちごっこみたいな状況が続いてくなら、逆に問題ないって話でしょ?」
坂城只人:頷く。「君は後者のための潜入捜査官です。華吶町が混乱に巻き込まれた時、速やかに『トラス4』とUGNを接続させるための」
坂城只人:「”潰し合わせる”ための人材は、既に先行させています」
乃木清和:「え、私が知ってる人?」
坂城只人:「きみと接触することは作戦の構造上考えられないでしょうし、必要もないので教えません」
坂城只人:少し口角が上がっている。からかっているのだ。
乃木清和:「あ、出た。秘密主義」
乃木清和:素直にムッとした顔で見つめ返す。
坂城只人:「”お互いを知って連携を”という考えが通じるほど、『トラス4』が甘い組織ではないのは」
坂城只人:「きみが一番分かっているでしょう。……安心してください。その時が来たら、きちんと協働させますよ」
坂城只人:「びっくりするような人物ですから。楽しみにしておいてください」
坂城只人:坂城只人。”リセ”。七咲市の支部長にして、未確認オーヴァードの追跡と補足を職掌として与えられたオーヴァード。
坂城只人:つまり、持ちうる手駒は……”リセ”自身が市外に存在しながらも、調査エリアの全域に及ぶのだ。
乃木清和:「“リセ”がそう言うってことは……私とは相性悪い人間っぽいけどな~……。はいはい、楽しみにしておきますよっと」
坂城只人:「困りましたね。きみに嫌われては悲しい」
GM:数年前は実直な人物だったが……保護していたイリーガルの一人を失って以来、こうした飄々とした言動と、悪辣な作戦を見せるようになったのだという。
乃木清和:「私は花たちが咲きすぎないよう、うまく誘導しろってんでしょ」
坂城只人:「ええ。きみは庭師です」
坂城只人:「美しいものを美しいままに保つ。害虫が庭を荒らせば剪定する」
坂城只人:経過観察、現状維持。そして、”トラス4”の現況を大きく変え得る不穏分子の排除。
坂城只人:「きみと――」
坂城只人:「きみの
乃木清和:「さあ」
乃木清和:「あんまり期待されると、裏切っちゃうかもしれないからさ」
乃木清和:「それには何も答えないでおくよ。ありがと」
GM:優秀な能力と、破綻した性情。
GM:”バニティ”は潜入捜査官として特筆すべき資質と異常を同時に抱えている。
GM:だが、その事実が……彼女の内面においては、矛盾のない性質だったとすれば?
坂城只人:(その花に
坂城只人:(狂気だ)
坂城只人:通信が途切れる。
乃木清和:ブラックアウトした画面を見て、姿勢を崩して己の左手を眺める。
乃木清和:薬指。アルバイト中は着用していない指輪が、照明を浴びて薄ら輝く。
乃木清和:「誰かのためにって自分の力を出し切ったら、満開に咲いて枯れちゃうからいけないんだって」
乃木清和:「安寧に、8分咲きで生きていくのが、トラス4の選ぶべき道だって──」
乃木清和:「なんて、みんなはどう思うかな?」
GM:指輪は答えない。夢見るような囁きだけが虚ろに溶けていく。
GM:ロイスの取得が可能です。
乃木清和:シナリオロイスの坂城只人さんに~ 信頼/〇:不誠実
乃木清和:これでいきますッ
GM:不誠実!最高の感情を……!ありがとうございます!
電海オワリ:「こんばんディ~プ! 世界の終わりからやってきた!
電海オワリ:「『相変わらず平成すぎて草』『今って令和だったっけ?』……いや~、そういう”浅い”コメントはいいんだよね……」
電海オワリ:「力抜けよ……オワリの配信初めてか?」
GM:電海オワリは、登録者数7000人ほどの、華吶町を(非公認)拠点とするバーチャル配信者である。
GM:配信内容は、確信に乏しい風説の流布。つまり、デマのばらまきによりインプレッションを稼ごうとする典型的な倫理に欠けた配信者だった。
GM:しかし。
電海オワリ:「『またデマだろいい加減に引退しろよこの底辺』……治安悪すぎ!マネちゃん!配信見てたらモデレーター早く雇ってくださ~い!」
電海オワリ:「荒らしはムシムシ。今日はとっておきの特ダネ持って来てるのだ。なんと……」
電海オワリ:しばらくして、チープなヴェイパーウェイヴ風の配信画面に粗い画質の動画が映り始める。
GM:緑と黄色の看板が目立つ、箱のような建物。華吶町に住むものならば、一番街店の『ローンマート』だと誰もが一目でわかるだろう。
GM:突如、轟音を立てて店のガラスが砕ける。絶叫、悲鳴。
GM:そして、二体の異形が対峙する。硝子のような質感を反射する人影と、指のように見える怪物。
GM:次の瞬間。硝子の人影が、指に打擲され砕けた。
GM:次いで銃声。マズルフラッシュのような閃光が瞬いた。四人の人影が闇夜に映る。
GM:背の高い男性らしき人影が三つ、背の低い女性らしき人影が一つ。
GM:カメラが自動的にピントを合わせようとした瞬間、再び閃光が走る。
GM:画面は砂嵐に包まれた。動画が終わる。
電海オワリ:「いんや~……ヤバいもん見ちゃったね。視聴者の皆、これどう思う? コメントで意見聞かせて……うわっ、同接スゴ!!」
電海オワリ:「これ、先週の『ローンマート』一番街店の強盗事件映像を独自ルートで入手したやつね!」
電海オワリ:「『絶対捏造で草』『AI』? 違うって! 陰謀でしょ、これ!」
電海オワリ:「こういう奴らって、裏の社会だと『アナーキー』って呼ばれてるらしいよ。マネちゃんが言ってた」
電海オワリ:「いうなればコイツら……『華吶町のアナーキー』?」
電海オワリ:「次、情報入ったら絶対また枠取って配信するから! 皆も情報あったらバンバンコメントとかおたよりフォームに書き込んで!」
電海オワリ:「あ、チャンネル登録と高評価ボタン、通知登録もよろしく――」
電海オワリ:[この配信は終了しました]
GM:合流シーンです。PC全員は、登場侵蝕をどうぞ。
龍神貴好:龍神貴好の侵蝕率を1D10(→ 9)増加(36 → 45)
柳瀬順吾:1d10+42
DoubleCross : (1D10+42) → 3[3]+42 → 45
乃木清和:乃木清和の侵蝕率を1D10(→ 10)増加(45 → 55)
エマ・カルナデス:1D10+35
DoubleCross : (1D10+35) → 6[6]+35 → 41
GM:事件から一週間弱が経ち、短期入院していた荒崎怜が退院した。
GM:現在『トラス4』の各員は、「善意の通報者」を装って荒崎怜の見舞いに行くようにと瑛・A・アヴァスから通達されている。
GM:ビデオショップ『Chill to Shift』の仲のいい常連客が、たまたま強盗事件を目撃し、荒崎怜と龍神貴好を保護した。そういう筋書きだった。
荒崎怜:「お世話になりました」スポーツバッグを肩にかけた荒崎怜が、軽い足取りで待合室へ歩いて来る。
荒崎怜:「お見舞い、ありがとうございます。……ここまでしていただかなくてもいいのに」
瑛・A・アヴァス:「いえ。一介の市民として、最後まで責任を持って事態を見届ける義務がありますから」にこやかに応対している。
瑛・A・アヴァス:その背中から、無言の圧力を感じるのは気のせいだろうか……
柳瀬順吾:「そうそう。善良な一市民としてね! にじみ出ただけ! 善良さが!」
乃木清和:「ちょっと怜ちゃんにアピールしないの~。彼氏がいるんだから~」
エマ・カルナデス:「いいから、そういうの。……まあ、何かあったときはお互い様なんで気にしないでいいですよ、ほんとに」
龍神貴好:緊張した面持ちで、そわそわと横の隅に立っている。
柳瀬順吾:「そういやそうだ。彼氏、退院おめでとうの言葉をどうぞ~」
龍神貴好:「あ、うん。はい」
龍神貴好:「怜、退院おめでとう。無事でほんとに……本当に良かった」
荒崎怜:「……」胡乱なものを見るような目つきだったが。溜息を吐く。
荒崎怜:「タカくんもね」
龍神貴好:「ああ、ううん。僕はほら。運が良かったから」
荒崎怜:「……『Chill to Shift』の店主さんと、お客さんたちでしたっけ」
荒崎怜:「タカくんのことも、今まで色々面倒見てくれてたって聞きました。ありがとうございます」
荒崎怜:「何でそこまでしてくれたんですか? お金とかなら、また後日……」
柳瀬順吾:「そ~だよ~。俺たちゃ常連客! ってか、なんでそこまでって……」 エマを振り返る。
エマ・カルナデス:「面倒というほどの事でもないですよ。言ったでしょう、お互い様だって」
柳瀬順吾:「そう、それ。俺、監督コメンタリーとか苦手だから、いい感じのこと言ってくれて助かる~」
瑛・A・アヴァス:「ええ。彼らの言う通り、市民としての義務を果たしたまでですよ。私、市役所務めなもので」
瑛・A・アヴァス:「どうにも見て見ぬ振りというのは苦手なんです。ははは……職業病ってやつですかね?」
エマ・カルナデス:「荒崎先輩が釣り合いが取れていないと思うなら、また店にでも寄ってください」
エマ・カルナデス:「
荒崎怜:「……気を利かせてくれてありがとう。お言葉に甘えます」
荒崎怜:「あんまり、映画とか解らないから……随分タカくんに詳しいんですね?」
荒崎怜:特段、口調に変わった様子はない。世間話の延長と言わんばかりの問いかけだ。
エマ・カルナデス:「………」ぱちくり。
柳瀬順吾:(乃木チャン。俺、なんか急に帰りたくなってきた)
乃木清和:(えっでも面白くない? リーダーの恋バナなんて聞いたことないじゃん)
瑛・A・アヴァス:「いやあ、この一週間、龍神くんが『荒崎さんに会えなくて退屈だ』と言っていたものでね」
エマ・カルナデス:「ああ……そうそう。なので、どちらかというと彼より荒崎先輩についての方が、詳しいと思います」
瑛・A・アヴァス:「エマくんや常連の皆と一緒に、おすすめの映画を紹介し合っていたんですよ。後で一緒に見るものの選定も兼ねて」龍神くんの足をめちゃくちゃ踏んでいる。
瑛・A・アヴァス:(話 を)(あ わ せ ろ)
龍神貴好:(そこは、いた、くはないけどっ……わか、わかってるって)
龍神貴好:「うん……いや、瑛さんが言うほど惚気てはなかったと思うけど」
柳瀬順吾:(ホッ)
乃木清和:(チェッ)
エマ・カルナデス:(何の牽制だったんだろ、いまの……)彼女の方がよほど詳しいだろうと思うが。首を傾げつつ、とりあえず話を合わせる。
龍神貴好:「だから、映画とか、見たりしよう。変なのはない……と思う。多分」
荒崎怜:「うん。楽しみにしてる……すみません、変な空気にさせてしまって」ようやく、わずかに表情が緩む。
荒崎怜:「今度、メンバーカードを作りに来ます。困ったことがあれば、相談してください」
荒崎怜:財布から名刺を渡す。
荒崎怜:【KSCネッツ関東 一番街エリアセキュリティマネージャー 荒崎怜】
GM:
GM:荒崎怜はその画像データをチェック、管理するマネージャーとして、インターンの身でありながら既に企業での正社員相当の勤務をこなしていた。
柳瀬順吾:「うおっ。すごっ。就活始めてる人だ! 名刺がまぶしいぜ」
エマ・カルナデス:「これはご丁寧に……ハナブサ、うちって名刺とかあったっけ」
瑛・A・アヴァス:「ええ。エマくんの店長名刺なら」何でお前が持ってないんだ?と言外に聞いている。
エマ・カルナデス:「…………」
エマ・カルナデス:「まあ、名刺よりこっちの方が値引きあるので、どうぞ」クーポン券を兼ねたDMの用紙を取り出し、渡しておく。
瑛・A・アヴァス:にこやかな笑みを貼り付け、名刺も掌にねじ込む。
柳瀬順吾:「あ、こっちは俺の名刺! 世界的C級映画監督、ジュンゴ・アイアンボルトです」
柳瀬順吾:「あっ、『志望』つけるの忘れてた…まあいいや…」
エマ・カルナデス:「ありました。どうぞ」
荒崎怜:「ご丁寧にどうも。アイアンボルトの名刺は……」「……」
荒崎怜:「拝領致します」頭を下げ、装飾過多の名刺を財布にしまう。
乃木清和:「ねね、私も渡す! 普段は『Club Malebolge』にいるから、彼氏と遊びに来てね」
荒崎怜:「ああ、あそこで働いてらっしゃるんですか。……以前、実家に帰省した時……」
荒崎怜:「父が好きだと言っていました。良い店ですよね」
龍神貴好:「へえ」
龍神貴好:「それなら今度行こう。ジャズバー……なんだっけ」
荒崎怜:「今度連れて行ってあげる」龍神くんの袖を引く。「読み方もその時に教えるから」
荒崎怜:「それでは、申し訳ありませんが……業務が溜まっているので、私はこれで。またご連絡します」
龍神貴好:「あっ」『袖』を引かれて多少焦る。
荒崎怜:「? ごめん、傷に障った……?」
荒崎怜:「……少し太った?」
荒崎怜:「重い気がする……まあ、運動する暇なんてなかったでしょうし」
龍神貴好:「えっと……なんていうか」
龍神貴好:「傷もだけど、後遺症?でさ。うん」
龍神貴好:「リハビリとか……するよ。今はあんまり触られると、その」
龍神貴好:「痛いし、恥ずかしい」
荒崎怜:「そう。……荷物、タカくんの家に送っておいたから」
荒崎怜:「家事、やるから。必要なら言って」
荒崎怜:「必要じゃなくても」
荒崎怜:吶吶と言い残した後、少し恥ずかし気に目を伏せ、荒崎怜は去って行った。
龍神貴好:「ありがと……あ」
瑛・A・アヴァス:「……」
瑛・A・アヴァス:「疲れた」
瑛・A・アヴァス:どっかりと待合室のソファに腰掛ける。
乃木清和:「ほぉぉ~~」訳知り顔でニヤニヤしている。「あれはなかなか…なかなかじゃない?」
瑛・A・アヴァス:「黙れ。何も面白くない……」説教もいつもよりキレがない。
エマ・カルナデス:「最後、危なかったけどちゃんと誤魔化せた。偉い」
龍神貴好:「誤魔化せてたかなあ」
柳瀬順吾:「さすが、演技も一流! ま、大丈夫だろ」
柳瀬順吾:「……たぶん」
エマ・カルナデス:「今後はそれが日常になる。慣れなくても、やって」
龍神貴好:「……うん。あいつには知られたくないしな」
乃木清和:「彼女、ちょっと変化に気付いたらしつこいと思うよ~」
エマ・カルナデス:「初めはしんどいと思うけど、ここの5人は同じ秘密を抱えてる」
エマ・カルナデス:「身内への嘘に疲れたら、私達も頼るといい。そういうもの」
龍神貴好:「確かにしつこそうだけど……頑張るよ」
龍神貴好:「うん。ありがとう」
龍神貴好:「やっぱり僕、怜のことが大事だから」
瑛・A・アヴァス:「秘密か」仏頂面で言う。「悪いが、危うい状況になりつつあるぞ」
龍神貴好:「危うい?」
瑛・A・アヴァス:端末の画面を見せる。『電海オワリのディープシーラジオ』という動画チャンネルが表示されている。
瑛・A・アヴァス:「『ローンマート』襲撃事件の映像の一部が、何故かこの動画チャンネルでバラまかれてる」
エマ・カルナデス:「………」配信を視聴し終えたあと、眉間を揉む。
柳瀬順吾:「おお~。いい画角じゃん! いかにもモンスターパニック! モンスターたちがろくに映ってないところが特にイイ」
龍神貴好:「うわっ恥ずかしい」
乃木清和:「えっ、私達も映ってるの? ヤバ……」
瑛・A・アヴァス:「俺が改竄する”前”の映像だ。……下手を打った。謝罪する」
エマ・カルナデス:「ただの監視カメラの映像なら、ハナブサなら何とでもなる筈。それが流出したのは、一体どういう理由?」
エマ・カルナデス:「……というか、男三人?」
GM:画質の荒さと、画面切断の迅速さから、個人が特定できるような形では映っていない。
GM:だが、瑛・A・アヴァスの改ざんを潜り抜け、一介の動画配信者にデータが流出しているという事態が、そもそも異常だった。
瑛・A・アヴァス:「手掛かりはある」エマの方を向く。
瑛・A・アヴァス:「この動画をどうこうした連中は、今の俺たちのことをさほど知らないということだ。乃木を男だと見間違えている」
柳瀬順吾:「それと、たぶんUGNの仕事じゃない。わざわざバラまかね~もん」
龍神貴好:「UGNは……こういうの隠蔽する組織……だっけ?」
瑛・A・アヴァス:「隠す側だ。俺なんぞよりよほど優秀な電子戦能力者や工作員を多数擁している」
瑛・A・アヴァス:「『ホワイトハンズ』と呼ばれる、専門の記憶焼却部隊まで抱えている始末だ」
乃木清和:喜べばいいのか文句を言えばいいのかの複雑な顔をしている。
エマ・カルナデス:「そう。既に拡散された場合は欺瞞工作として、柳瀬が作る映画みたいな『作り物』の映像だったことにするようなケースもあるけど……」
エマ・カルナデス:「よっぽどの事態でなければ、基本的には彼等は隠蔽の方に動く」
柳瀬順吾:「と、すると、ギルドかもね」
柳瀬順吾:「なんか俺たちに懸賞金出てるらしいよ。ブラック・ブロックが言ってたし」
龍神貴好:「ギルド」
龍神貴好:「冒険者?」
エマ・カルナデス:「……犯罪組織。どちらかと言えば商業組合の意味合いが近い」
龍神貴好:「商人ギルドか」
乃木清和:「ちょっと待ってよ。なんで柳瀬がそれを知ってるの?」
柳瀬順吾:「そんな感じ。シグマ・フォースって映画見たことある? ちょうどあんな感じで……え、俺?」
瑛・A・アヴァス:「……お前……まさか」
GM:この数日で、『トラス4』の面々は、龍神貴好に一通りのレネゲイドの知識は与えていた。だが、一つだけ教えられないことがある。
GM:すなわち、戦いが
柳瀬順吾:「大学の食堂で襲われてさ~。ブラック・ブロックのやつも手伝えばいいのに、ボケーッと鑑賞してやがって」
龍神貴好:「えっ大学の!?」
柳瀬順吾:「そうそう。……やつの話によると、どうも俺ら、高い賞金かけられてるみたい。面倒くさいよね」
エマ・カルナデス:「…………それ、いつの事?」
龍神貴好:「確か柳瀬くんて僕と同じ大学だよね。あの食堂で……?」
GM:華吶町立寄咲大学カフェテリアで発生した襲撃事件は8月17日の15時32分。つまり、つい最近のことだ。
柳瀬順吾:「えっ。3日前くらい……かな」
柳瀬順吾:「そーだよ、あの食堂で! 休業にならなくて、ホントよかったよ」
瑛・A・アヴァス:「おい……何故黙って……いや……この件に関しては、俺にも責任がある……」
エマ・カルナデス:「報告!連絡!相談!」
エマ・カルナデス:「……はあ。とりあえず、真っ先に狙われたのがヤナセでよかった」
GM:龍神くんは気付いてもいい。
GM:『トラス4』の誰も、柳瀬順吾自身の心配はしていなかったことに。
柳瀬順吾:「ほうれんそうができるくらいなら、単位も落としてないんだな、これが」
龍神貴好:「えってか……それで大丈夫だったのか?襲われてって……」
瑛・A・アヴァス:「龍神。……柳瀬のことに関しては、心配するだけ無駄だ」
龍神貴好:「え」
瑛・A・アヴァス:「お前は月とか星がすぐ落ちてくるかも、みたいな心配をするのか?」
龍神貴好:「………杞憂、ってこと」
柳瀬順吾:「大丈夫じゃないよ! ランチタイムは潰れるし、あのあとパチスロで4万円負けたんだからな!」
瑛・A・アヴァス:「口を閉じろ!俺が憂慮しているとすれば、その途方もない頭の悪さだけだ!」
柳瀬順吾:「そんな! これから対策会議するんだろ? 俺ら、面倒なことに巻き込まれそうじゃん!」
瑛・A・アヴァス:「なぜ胴元が最終的に勝利することが科学的に実証されている集金装置にわざわざ耽溺する!?貯金と投資をしろ!稼得活動を増やせ!」
エマ・カルナデス:「前も言ったけど、私は名目上のリーダー。ヤナセは素行がアレだけど、
龍神貴好:「そうなんだ……」イメージと結びつかない。
柳瀬順吾:「すげー不幸な目にあったら、その揺り戻しで幸運が来るはずなんだよ! これがカガク! それに、ギルドはUGNより面倒くさいから、作戦が必要だろ!」
エマ・カルナデス:「……まあ、本人はそれに価値を置いていないようだけど。とにかく、襲撃されるのがヤナセだけなら放っておけばいい、でも」
エマ・カルナデス:「私達全員が懸賞金を掛けられているならそうもいかない。特に、戦闘向きじゃないハナブサ、新入りの
龍神貴好:「えっ?僕にも?」
龍神貴好:当事者意識が薄い。
瑛・A・アヴァス:「『トラス4』全員だ。例外はない」
エマ・カルナデス:「流出した映像には
エマ・カルナデス:「あれが契機なら、含められている方が自然」
龍神貴好:「ううう……あの映像見られてると思うとすごく……すごく恥ずかしい……」
柳瀬順吾:「おお~、大物だな! 恥ずかしさの方が先とは!」
柳瀬順吾:「役者の素質がある!」
瑛・A・アヴァス:「恥ずかしがっている場合か! ただの懸賞金ならば、俺が改竄する余地はいくらでもあった」
瑛・A・アヴァス:「データを表示するプラットフォームの方を破壊し続ければいいだけの話だからな。だが……」
瑛・A・アヴァス:「柳瀬。ギルドが噛んでいるかも、と言ったな? 恐らく、『スマイリーの貸金庫』を経由してるはずだ」
瑛・A・アヴァス:「あそこに預け入れた資金は、ギルドの戦力と隠蔽能力によって確実に保護される」
柳瀬順吾:「まあ、懸賞金かけるっつったら、そこだよね~」
瑛・A・アヴァス:「つまり、『貸金庫』に懸賞金を預け入れれば……それを邪魔されるのは、ギルドの面子にも関わる」
瑛・A・アヴァス:「連中は全力で俺たちの懸賞金を担保しにくるだろう。当分逃げられないぞ」
龍神貴好:「つまりメチャクチャ襲われる」
龍神貴好:「って理解でいいのかな」
瑛・A・アヴァス:「まずはその認識でいい」
エマ・カルナデス:「……それにしても。私達に、わざわざ懸賞金を掛けるというのは不可解」
瑛・A・アヴァス:「考えられるとすれば、『確保派』の残党だ」
エマ・カルナデス:「…………しつこい人達」苦虫を噛み潰すような表情。
GM:『確保派』。かつて、『トラス4』脱走時に……彼女たちを最後まで捕らえ、実験対象として利用しようとした出資セルの総称だ。
GM:”ブラック・ブロック”の所属していた『ピパ・ソング』に代表される『脱出派』とは、真逆の立ち位置にあると言ってよい。
柳瀬順吾:「いい加減、コスパ悪いってことを理解してほしいんだけどな~……」
エマ・カルナデス:「私達…ハナブサやヤナセは、元々ある秘密結社にいた。正義か悪かで言えば、まあ悪い方」
龍神貴好:「秘密結社……」
エマ・カルナデス:「その頃の親玉が、その営業所が潰れた後も私達を使おうと捕まえにきている。とりあえず、そう言う認識で構わない」
瑛・A・アヴァス:「乃木。龍神。お前たちとはある意味、関係のない因縁だ」
乃木清和:「私も後から入った野良組なの」龍神くんに。
龍神貴好:「あ、そうなんだ……すっかり馴染んでるから、意外かも」
瑛・A・アヴァス:「保護を求めるなら、然るべき伝手に連絡することも」「ことも……」めちゃくちゃイヤそうな顔をしている「できる」
乃木清和:「龍神もすぐに馴染むよ~。 あはは、そうだね。このトラス4にこのまま残るならね」
瑛・A・アヴァス:「最善の道は、このまま真っ直ぐ華吶町から出て、最寄りの”正義の秘密結社”に助けを求めることだ」
柳瀬順吾:「そうだな。無理にフリーでいる必要もないからな」
瑛・A・アヴァス:「ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワークと呼ばれている」
エマ・カルナデス:「……ごめんなさい。此処で学べばいいなんて大口を叩いて、早々に巻き込んで」
エマ・カルナデス:眉を下げた表情。
龍神貴好:「あ、さっき言ってた……」
乃木清和:「UGNね。ちゃんとしたトコ」
柳瀬順吾:「ちゃんとしてるかな~……」
龍神貴好:「えと。エマさんがそんな申し訳なく思うことは、ないんじゃないかな」
龍神貴好:「少なくとも僕は助かってる」
瑛・A・アヴァス:「……だが、連中は正義であっても、正しくはない」
瑛・A・アヴァス:「異能者の存在を隠蔽し、一般人の保護に努めると言えば聞こえはいいが」
瑛・A・アヴァス:「……実際の、『トラス4』のような実験被害者に対しては、問題を先送りしているにすぎない」
龍神貴好:「あー……そうか。一般人が優先なんだ」
龍神貴好:「一般人の平和な暮らしを守るけど」
龍神貴好:「一般人じゃなくなってしまった人たちは……隠蔽によって割を食う人たちは」
龍神貴好:「守ってもらえないんだな……」
瑛・A・アヴァス:「そうだ。隠蔽している”から”、『トラス4』のような実験が起こる」
瑛・A・アヴァス:「出資していたセルの中には、UGNに関与しているやつだっていた」
瑛・A・アヴァス:「……その事実も踏まえて、龍神と乃木。お前たちが決めろ」
エマ・カルナデス:「私達は私達で何とかする。FHと関わりのない二人まで、ギルドを敵に回す事はない」
乃木清和:「え、私も?」
龍神貴好:「それは、UGNに助けを求めるかどうか、ってことだよな」
瑛・A・アヴァス:「そうだ。お前は中々真面目に人の話を聞くやつだな……」
瑛・A・アヴァス:「それに比べて乃木!!!!!!!!!!!」
乃木清和:「ぎゃっ」
瑛・A・アヴァス:「お前はなんだ!!!!話を聞いていなかったのか!?!?!」
龍神貴好:(声でか)
乃木清和:「うるさ!」
柳瀬順吾:「音量がデカい」
乃木清和:「だって~、ひどいじゃん。私はもうすっかり皆の仲間だと思ってたのに~」
瑛・A・アヴァス:「『仲間』みたいな軽薄な価値観で自らの人生を棒に振るな!!部活動じゃあないんだぞッ」
瑛・A・アヴァス:「頭にきた!話にならん!カルナデス!俺は意見を聞いたぞ!お前の判断に任せる!」
乃木清和:「私は私でやりたいことがあるから、いいの。いまさらUGNにいく気もないし…」
エマ・カルナデス:「……この状況を町外への脱出以外で切り抜けようとするなら、とても困難な方法になる」
エマ・カルナデス:「確実な身の安全を考えるなら、UGNに保護を求める方がいい。……それでも?」
瑛・A・アヴァス:貧乏ゆすりしながら事の次第を見守っている。
乃木清和:「身の安全を優先するような人間なら、そもそもフリーランスなんてやらないし」ひらひら手を振る。「私だってUGNに思うところがあるってこと」
乃木清和:「こっちは大丈夫。龍神と話してあげて」
瑛・A・アヴァス:「最もらしいことを……」
エマ・カルナデス:「ん。……ありがとう、ノギ」
エマ・カルナデス:新入りの方へ向き直る。
龍神貴好:「………」
エマ・カルナデス:「改めて。……荒崎先輩のこともあるし、きみはまだ右も左も分からない
エマ・カルナデス:「私としては、彼女や身内の保護を含めた町外への脱出を勧める」
エマ・カルナデス:「
龍神貴好:「話を聞いてて、多分、そう。勧められたようにするのがいいんだろうなって思うよ」
龍神貴好:「そうなんだけどさ」
龍神貴好:「……怜は、変わったことのない、自分を大切にする生き方をするべきだって言うのに」
龍神貴好:「この町に……華吶町に戻ってきて、ここで働こうって決めてるんだよ」
龍神貴好:「確かにUGNに頼った方が安全に生きられるよ、僕も、怜も」
龍神貴好:「でも、そういう決意は……きっと、駄目になっちゃうんだろうなって」
龍神貴好:「なんだっけ。記憶を弄ることもできるんだっけ。なら、その気持ちを変えてしまうこともできるんだろうな」
龍神貴好:「………それは、いやだ」
瑛・A・アヴァス:「…………」
瑛・A・アヴァス:「まさか」
瑛・A・アヴァス:「ここまで愚かだとはな」
瑛・A・アヴァス:無意味に脛を蹴る。
龍神貴好:「大学生ってそうなんだtあいった!」
瑛・A・アヴァス:「今、お前が言ったことの、意味を、本当に、わかって、いるんだろうな、おい」
龍神貴好:「瑛さん僕のことサンドバッグか何かだと思ってない?!」
龍神貴好:「ヤバいことになる。ってことだろ」
瑛・A・アヴァス:「わかってるならいい」
瑛・A・アヴァス:「生きる理由があるんじゃないか。もったいぶらずに最初に言え」
瑛・A・アヴァス:「気付くのが遅い!!!!!!!他人の時間を奪っていると自覚しろ!!!!!!」
柳瀬順吾:「声がデカっ」
瑛・A・アヴァス:「五分前行動!!!!!!」
龍神貴好:「声でか!!」
エマ・カルナデス:「……己の意地を折りたくない、折れた事さえ忘れることはしたくない」
エマ・カルナデス:「だから此処に留まれるよう、自らの力を尽くす」僅かに笑み、肩を竦める。
龍神貴好:頷く。
エマ・カルナデス:「お手上げ。私達より、よっぽど”アナーキー”」
龍神貴好:「やってみようと思う。僕は、『龍神貴好』」
龍神貴好:「龍は」
龍神貴好:「飛び立つものだから」
龍神貴好:なんて、な。と肩をすくめる。
瑛・A・アヴァス:「乃木。お前も同罪だ」
瑛・A・アヴァス:「軽薄な物言いが伝染している。何を教育した?」
瑛・A・アヴァス:「責任を取って付き合ってもらうぞ」
乃木清和:「うわ、巻き込まれたな~。巻き込まれにいってるけどね」
瑛・A・アヴァス:「自分から志願したのならば嫌そうなそぶりを見せるんじゃない!作戦を立てるぞ!」
エマ・カルナデス:「オーケー。2人がその気なら、もう3人だけなんて薄情なことは言わない」
エマ・カルナデス:「私達5人で、
エマ・カルナデス:「嫌だって言っても道連れだから、覚悟しておいて」
瑛・A・アヴァス:端末を弄っている。表示されているのはこの街の地図だ。
瑛・A・アヴァス:クラブ・マレボルージュ、華吶町一番街、寄咲大学。
瑛・A・アヴァス:「俺たちの強みは一つある」
瑛・A・アヴァス:「どんな勢力の助けも借りられるということだ。
柳瀬順吾:「明白な味方もいなけりゃ、敵もいない!」
柳瀬順吾:「ゲゲゲの妖怪みたいだろ」
瑛・A・アヴァス:「ファルスハーツ。警察。一般人。オールド崩れ」
エマ・カルナデス:「取引相手はごまんといる。まずは、そこから情報を得る」
瑛・A・アヴァス:「助けになりそうなコネクションを片っ端からリストアップした。……この街は、俺たちの味方だ」
瑛・A・アヴァス:「多分な」
INFO:【INFO】特殊ルール「アライアンス」について
INFO:「トラス4」はまだ支部機能を持ちません。
正規のUGN支部やFHセルに比べ、街に蔓延る雑多な情報を整理し、絞り込む能力に欠けています。
装備や設備についても同様の状況です。そのため華吶町の人々と協力し、あるいは取引が欠かせません。
「トラス4」を狙う敵について知り、装備や能力を強化し、街の平和を守る必要があるでしょう。
幸いにして、”アナーキー”である「トラス4」には、明確な味方も敵も存在せず、築ける繋がりは街の至る所に存在します。
以下、華吶町の人々の人々と「トラス4」が築く繋がりを、「アライアンス」と呼びます。
「アライアンス」を築くと、プレイヤーには様々なメリットがあります。
INFO:【INFO】「アライアンス」でできること
INFO:①「絆」を深める
・「アライアンス」は、華吶町の人々と「トラス4」の間に築かれる繋がりです。
NPCごとに「アライアンス」が設定されており、任意の技能に成功することで「絆」を深め、
「アライアンス」のレベルを上昇させることができます。
「アライアンス」のレベルを上昇させると、”アイテムの値引き”や、
”エフェクトレベルの上昇”など様々なメリットがあるので、積極的に活用していきましょう。
「絆」レベルは「アライアンス」ごとに異なり、最大「3」まで上昇させることが可能です。
複数人で判定を成功させれば、成功回数分「絆」レベルも上昇します。
アライアンスの解放条件は様々で、特定のアイテムの購入がキーになっているものや、
他のアライアンスを進行させないといけないものなどがあります。
INFO:②「ウワサ」を集める(※自動入手)
・華吶町には色々な「ウワサ」が流れています。一つ一つは根も葉もない情報に過ぎませんが、
繋ぎ合わせることで思いもよらない全貌が見えて来るかも知れません。
「アライアンス」を進行させると、様々な「ウワサ」が手に入ります。
「ウワサ」は情報の性質ごとに「色分け」されており、
「アライアンス」の「絆」を深めるたび自動で入手されていきます。
INFO:③「日常生活」を送る
侵蝕を「1」だけ支払い、シーンに登場することができます。
この場合、そのキャラクターはアライアンスのレベルを上昇させることはできません。
シーンに登場して会話をしたい場合は、このコマンドを使用することを推奨します。
GM:ということで、全く新しいペル画期的な情報収集システムを採用しましたソナが
GM:何か質問などあれば遠慮なく仰ってください。
GM:大丈夫そうなら、早速現在交流可能なアライアンスを確認していきましょう。
龍神貴好:うい、今のところ大丈夫!
乃木清和:大丈夫!やりながら聞くね~
GM:では皆の好きなペルソナを叫びつつ進めましょう。
柳瀬順吾:はい!
柳瀬順吾:イヌガミ!
龍神貴好:■■■イザナギ!
エマ・カルナデス:メルキセデク!
乃木清和:ジャックフロスト!
GM:現在交流可能なアライアンスは、こちら!
GM:[LOCK]は特定の条件で解放されるアライアンスです。現在実行可能なのは、トラス4オペレータ―、怪しい商店主、大学の先輩、俳優志望の同級生のみ。
GM:ちなみに最初のGMのおすすめは、「トラス4オペレータ―」です。
乃木清和:これって~
乃木清和:結局… 各1キャラにたいし全員でいくべきなの?
GM:全員で判定を成功させれば、その分アライアンスのレベルの上昇は当然早くなります。
GM:一方で、アライアンスの「絆」の上限は何をどうやっても上がらないので、ある程度人数を散らさなければ侵蝕1d10によって得られる行動権が無駄になってしまうでしょう。
柳瀬順吾:手分けしましょう!
エマ・カルナデス:なら、最初は2-2になるように手配するのがよさそう。
GM:もちろん、侵蝕1だけを払って、他の人のアライアンスシーンに会話だけ登場することは可能です。これはいつでも何度でも実行OK。
GM:補足説明ですが、行動はダブルクロスの情報収集に準拠するとお考え下さい。1シーンで原則的にアライアンスを上げられるのは一回までです。
柳瀬順吾:ならばトラス4オペレータ―と接触するチームと、未知の商店主に接触するチームに分かれる作戦があります
柳瀬順吾:龍神くんは大学の先輩に会いに行くのもいいと思う!
GM:完璧なPLAN
龍神貴好:いいですね
エマ・カルナデス:その完璧なプラン……まさかプランナー
乃木清和:わたし~もしよければ…未知の商店主いきたい! 苦手がりたくて…
柳瀬順吾:じゃあ柳瀬はトラス4オペレータ―に会いにいこうかな
龍神貴好:大学のパイセンに会うか……
GM:OK!メモも更新しました
エマ・カルナデス:1-1-1になったかも ならハナブサの所に行こうかな
GM:話が出た所の難易度がこうですね。
乃木清和:ひとまず柳瀬&エマ組にトラス4オペレーターのところ行ってもらいますか
柳瀬順吾:おす!
エマ・カルナデス:完全にいつもの面子。
GM:OK!では、侵蝕1d10を振り、判定をどうぞ。
柳瀬順吾:1d10+45
DoubleCross : (1D10+45) → 1[1]+45 → 46
エマ・カルナデス:1D10+41
DoubleCross : (1D10+41) → 4[4]+41 → 45
GM:完全にリラックスしきっている 舐められている
龍神貴好:龍神貴好の侵蝕率を1D10(→ 4)増加(45 → 49)
乃木清和:あ、もう全員判定する?
龍神貴好:あ、先出とこうと思ったけど
龍神貴好:早かったかな…
GM:そうですね。ここに関しては一回やって貰った方が理解も早いでしょう。
乃木清和:じゃあ私も出るね~
乃木清和:乃木清和の侵蝕率を1D10(→ 10)増加(55 → 65)
GM:ギャッ の 乃木さん
乃木清和:どうなっちゃうんだ
GM:では…それぞれ担当アライアンスの判定をどうぞ。
乃木清和:怪しい商店主(☆☆)【感覚】難易度5 判定します~
乃木清和:4dx>=5
DoubleCross : (4DX10>=5) → 10[1,2,4,10]+1[1] → 11 → 成功
乃木清和:よ~し
GM:ゲッチュー!
エマ・カルナデス:情報:トラス4……は持っていないので、素振り。
エマ・カルナデス:4DX>=7
DoubleCross : (4DX10>=7) → 5[2,3,4,5] → 5 → 失敗
龍神貴好:大学の先輩、情報裏社会で、なんと2!
瑛・A・アヴァス:おい!!何だその体たらくは!!!!
エマ・カルナデス:財産ポイントを2点切っておく。ちなみにハナブサ、まけてくれたりしない?
瑛・A・アヴァス:仮にもリーダーという身分で自覚が足りないんじゃないのか!?
瑛・A・アヴァス:何故身内にセールをするんだ!意味不明すぎる!
龍神貴好:2dx>=2
DoubleCross : (2DX10>=2) → 9[9,9] → 9 → 成功
龍神貴好:(むん)
柳瀬順吾:こちらも素振り
エマ・カルナデス:まあまあ。この後ヤナセがもっと華麗にやってくれるから……
柳瀬順吾:1dx>=7
DoubleCross : (1DX10>=7) → 9[9] → 9 → 成功
柳瀬順吾:ワハハハ
エマ・カルナデス:ほら、けっかおーらい。
瑛・A・アヴァス:な……何故こいつが……
柳瀬順吾:これがトラス4の秘密兵器のじつりょくよ
GM:ということで全員成功!進行度を表示します!
GM:では、次回ロールと情報開示をやっていきましょう。
8月21日 17:16/ビデオショップ『Chill to shift』
GM:『Chill to Shift』には、エマ・カルナデスの能力により隠蔽された、『管制室』がある。
GM:雑多な通信機器類や瑛・A・アヴァスのドローンが揃う、まさに『トラス4』の心臓部でもあった。
瑛・A・アヴァス:「敵が『確保組』だと仮定すれば」不機嫌な表情で、メイン・コンソールを弄っている。
瑛・A・アヴァス:「お前たち『トラス4』の内情をある程度知っている人物ということになる」
柳瀬順吾:「ま~、そうだろうね~。俺らも皆殺しにして出てきたわけじゃなし……」
柳瀬順吾:「どっかに痕跡残ってるだろうし、心当たりありすぎてわかんないね」
エマ・カルナデス:「上の、更にスポンサーとなると流石に全容は分からない。向こうからはそれぞれの経歴は押さえてるかもしれないけど」
瑛・A・アヴァス:「『トラス4』は、お前たちが思っているより大規模な計画だった」
柳瀬順吾:「ホントかよ。第二のキャプテン・アメリカを作るやつみたいな?」
瑛・A・アヴァス:「UGN肝入りの『アダムカドモン』レベルじゃないが……一方で、時間をどうこうしたり、因果律を捻じ曲げるタイプの話でもない」
エマ・カルナデス:「セル名の由来すら、詳しくは知らないしね。支柱の末端からは、塔の全容は見えない。当然」
柳瀬順吾:「さすがにな。FHの超人専門学校を作ろうなんて話じゃない」
瑛・A・アヴァス:「”プランナー”が関わっていたというアレか? 相変わらず与太話を真に受けやすいやつだ」
エマ・カルナデス:「そんな物があるなら、出身者がそこら中に居ておかしくない。ただの眉唾」呆れ顔。
瑛・A・アヴァス:「話を戻すぞ。『トラス4』は、ある程度の冗長性と実現性を見込まれた、れっきとした”事業”だ」
瑛・A・アヴァス:「計画コンセプトは、『既存の侵蝕エントロピーの構造掌握』」
瑛・A・アヴァス:「何を言ってるのか分かるか?」
柳瀬順吾:「あっ、ちょっと会話飛んだ? 巻き戻していい?」
柳瀬順吾:「5分くらい寝てたかも」
エマ・カルナデス:「時間をどうこうする計画じゃないって言われたでしょ」
柳瀬順吾:「だよね。……そこんところ、もうちょいやさしく!」
エマ・カルナデス:「エフェクトの効率化の下限を知るとか、そういうこと?」
瑛・A・アヴァス:「本当に教練過程を終了したのか、お前は!? エントロピーのエの字くらい覚えろ!!!」
柳瀬順吾:「へっへっへ……エントロピーがなんですって?」
瑛・A・アヴァス:「カルナデスの意見も正確ではない。……もういい。面倒だが、一から説明する」
瑛・A・アヴァス:「エントロピーとは、一般的には物理学における『ものごとの散乱の度合い』を指す概念だ」
エマ・カルナデス:「うん。それで、侵蝕エントロピーって?」
瑛・A・アヴァス:「秩序ある状態ほどエントロピーは”低く”、散乱している状態ほどエントロピーは”高い”」
瑛・A・アヴァス:「放置されれば、高まったエントロピーは低くなっていくが、基本的な傾向として、世界のエントロピーの総量は少しずつ増大していく」
瑛・A・アヴァス:「なぜなら、ほとんどの物体は常に運動しているからだ。これは自然に考えれば理解できるな?」
エマ・カルナデス:「ふむふむ。ランダム性の高い出来事は"エントロピーが高い"、ほぼ決まっている出来事は”エントロピーが低い”」
エマ・カルナデス:「それで、そのエントロピーがFHの計画にどうかかわって来るの?」
瑛・A・アヴァス:「侵蝕率の増減にも、エントロピー理論を適用できると考えた科学者がいた」
柳瀬順吾:「そうそう。侵蝕ってそういう…トロピー的なもんなの?」
瑛・A・アヴァス:「考えてみろ。オーヴァードは心の生物だ」
瑛・A・アヴァス:「理性を保てば、人間としての機能を保持することができる」
瑛・A・アヴァス:「一方で、衝動に身を任せることで、オーヴァードとしての機能は増大するよな」
エマ・カルナデス:「時には、暴走を意図的に起こして本領を発揮する者さえいる。納得」頷く。
瑛・A・アヴァス:「理性を”エントロピーが低い”状態、衝動を”エントロピーが高い”状態の関数として定義する」
瑛・A・アヴァス:「侵蝕率が時間の経過で少しずつ低減されていくのも、熱力学的な法則に当てはまる」
柳瀬順吾:「あんまり自覚してないけど、そういうもんかな」
瑛・A・アヴァス:「これは実証された理論じゃないからな。真偽は不明だ」
瑛・A・アヴァス:「あくまで、そう言う風に考えているやつがいて……その理論を証明するための構造が、お前たちだった」
瑛・A・アヴァス:「ここからが本題だ。侵蝕構造を理論化できれば、ジャーム化という不可逆の変化までも掌握できる」
瑛・A・アヴァス:「茹で卵を生卵に戻すようなものだ。不可能とも思えるだろうが……」
柳瀬順吾:「それな~。全オーヴァードがやろうとして、まだ実現してないだろ?」
柳瀬順吾:「どう考えても永久機関作ろうとしてるだけに見えるね」
エマ・カルナデス:「
瑛・A・アヴァス:「『カステリアノ1』。『リャメン3』。データが閲覧できない連中もいたが……」
瑛・A・アヴァス:「夥しい数の実験部隊を使い潰して、ようやく実働に至ったのがお前たち『トラス4』だったと聞いている」
柳瀬順吾:「トロピー掌握してるとは思えないけどね」
瑛・A・アヴァス:「そのふざけた略をやめろ」
エマ・カルナデス:「どう?ヤナセ。ジャームになったら戻れそう?」
柳瀬順吾:「戻れそうって答えたらジャーム認定されそ~」
柳瀬順吾:「無理じゃない? リーダーは?」
エマ・カルナデス:「そんな便利な能力があるなら、地道に自警活動していない」
瑛・A・アヴァス:「恐らく計画の本旨はお前たちではない」
エマ・カルナデス:「つまり……残る一人は…………」ハナブサを見る。
瑛・A・アヴァス:「俺は研究員だ!!」
柳瀬順吾:「瑛クンに秘められた悲しき過去……は、なかったか」
GM:瑛・A・アヴァスは、『トラス4』計画の研究員だった。現在『トラス4』に接触している、唯一の計画関係者でもあった。
瑛・A・アヴァス:「ここからは俺の想像になるが、恐らく柳瀬。お前はフェイルセーフだ」
瑛・A・アヴァス:「情報そのものを消去してしまえる機構。上手くいかなかったときのために、そういう運用をできるオーヴァードが必要だった」
柳瀬順吾:「まあ、そうだよね。俺、そういうの得意だし……」
瑛・A・アヴァス:「そうでなければ、俺たちがお前のようなふざけた人間を生み出すことは、ない」
エマ・カルナデス:「実際、今も助かっている。戦闘より便利」
柳瀬順吾:「ンなことないだろ! 情報処理要員とかあるでしょ!」
柳瀬順吾:「リーダー、今日も輝いてるよ!」
瑛・A・アヴァス:「カルナデスに関しては……『死者の存在を背負う』という心理状態そのものが、侵蝕エントロピーに与える影響を観察したかったんだろう」
瑛・A・アヴァス:「事実、数々の戦いの中で、お前は生き残った」
瑛・A・アヴァス:「濃縮体実験を経た個体は、有意な生存性の向上が確認される。その事実をエントロピー理論から解釈したのが、エマ・カルナデスだと俺は推測している」
エマ・カルナデス:「悪趣味。生き残る
柳瀬順吾:「やってることがデスゲームのカス運営なんだよな~」
エマ・カルナデス:「……じゃあ、今追われているのも、数年生存した個体のデータを取る為?」
瑛・A・アヴァス:「それを知るために、打って出る必要がある」
瑛・A・アヴァス:「しばらく休止していたが……今日から俺も自警活動をサポートする」
瑛・A・アヴァス:「
瑛・A・アヴァス:ぎりぎりと歯ぎしりをしている。本当にイヤそうな顔だ……
柳瀬順吾:「おっ。瑛クンがシフトに入るなら、だいぶ楽になるな~」
瑛・A・アヴァス:「追手を誘導し、逆に叩きのめす。あるいはこちらから追跡する。情報収集だけでは不可能だからな」
瑛・A・アヴァス:「何より俺の家族にナメた真似をした連中だ」ごきり、と指を鳴らす。
瑛・A・アヴァス:「不本意だが、最悪な目に遭って貰わなきゃ気が済まん」
エマ・カルナデス:「いつも苦労を掛ける。店のシフトは代わっておく」
柳瀬順吾:「へっへっへ。そうだなあ……次から次に刺客が来たら、こんどこそ卒業できなくなりそうだ」
柳瀬順吾:「なんか仕掛けなきゃね。俺も賛成」
瑛・A・アヴァス:「カルナデス。お前はどうだ」
エマ・カルナデス:「私?」
瑛・A・アヴァス:「ぼうっとするな。『トラス4』の指揮官はお前だろう」
瑛・A・アヴァス:「”教育”されたいのか?」
瑛・A・アヴァス:※”教育”:管制室で瑛に説教されることをさす。大抵の場合、日をまたぐことが多い。
柳瀬順吾:「そうそう。俺らはアイデア出ししたからさ」
柳瀬順吾:「決めるのはリーダーの仕事だ」
エマ・カルナデス:「……あまり軽い神輿を持ち上げないで欲しい。でも、反撃は大いに望むところ」
エマ・カルナデス:「『トラス4』現指揮官として各員に通達」
エマ・カルナデス:「家族の報いを受けさせること」
エマ・カルナデス:「各位、返事は?」
柳瀬順吾:「へへへ……」
柳瀬順吾:「了解」
瑛・A・アヴァス:「了解。家族の……」
瑛・A・アヴァス:「……」頭を抑える。
瑛・A・アヴァス:「……カルナデス。少しいいか」
エマ・カルナデス:「?」
瑛・A・アヴァス:「『記憶探索者』の特筆性を持った実験体について、覚えているか?」
GM:記憶探索者。FHでは、他者の記憶を抽象化し、人間性の確保に必要な部分を保護できる能力者を総称していた。
GM:だが、エマ・カルナデスの中に……『トラス4』に、『記憶探索者』の
エマ・カルナデス:「……?」首を傾げる。
GM:記憶の処理技術は、『ホワイトハンズ』に代表されるようなUGNの占有領域だ。
GM:テロ組織のファルスハーツがそもそも考える必要のない分野でもあり、ゆえにそのノウハウは未だに確立されていない。
GM:FH内でも、特段高い評価を得ることはなかった特性のはずだ。だが。
エマ・カルナデス:「ごめんなさい。あの頃は必死だったから……私には、いたかどうか分からない。ヤナセは?」目配せを送る。
柳瀬順吾:「えっ。ぜんぜん知らない」
柳瀬順吾:「記憶操作を確立してるのって、UGNとニンテンドーだけじゃないの?」
GM:柳瀬くんも、やはり覚えがないだろう。”オッドボール”の専門は、ジャーム化した部隊員の「処理」だった。
瑛・A・アヴァス:「……『トラス4』の基礎理論は、『記憶探索者』の特筆性から始まった」
瑛・A・アヴァス:「なぜ、こんなことを今思い出した?」
瑛・A・アヴァス:瑛・A・アヴァス自体が、本気でその事実に混乱しているように見えた。
瑛・A・アヴァス:まるで、消された記憶を思い出したかのような。
エマ・カルナデス:「…………ぞっとしない話。話題からすれば、記憶処置を受けていたのでは?」
瑛・A・アヴァス:「……とにかく方針は変わらん。龍神と乃木にも通達しておけ」
柳瀬順吾:「……『記憶探索者』が実在するなら」
柳瀬順吾:「そいつが自分のために能力を使えば、どうにでもなるさ」
柳瀬順吾:「……警戒はしておくよ」
エマ・カルナデス:(もしハナブサが処置を受けていたとすれば、セルとして実体があった数年前。それが今になって解ける理由は……?)
エマ・カルナデス:「分かった。気を付けて」
瑛・A・アヴァス:首を振り、無言で管制室から出ていく。
柳瀬順吾:「リーダー」
エマ・カルナデス:管制室の中に残された、ヤナセと顔を見合わせる。
柳瀬順吾:「あんまり一人で行動しない方がいいかもよ」
エマ・カルナデス:「……皆に、それも含めて伝えることにする」
柳瀬順吾:「みんないなくなったら、寂しいからね」 手を振って、その場の椅子に深くもたれかかる。
INFO:瑛・A・アヴァスのアライアンスlvが「2」へと上昇しました(上限)。
INFO:→「■自警活動」が可能になりました(★☆)。
INFO:→「コネ:情報収集チーム」を獲得しました(★☆)。
INFO:→「総力支援管制」が発動しました。(★★)
GM:ゲットした噂をインフォプロットテーブル(青)に追加しました。ここからいつでも、ウワサを参照することができます。
GM:インフォプロットテーブル(青)には、「トラス4」関連の情報が分類・整理されます。
GM:また、「自警活動」の説明も行います。
INFO:【INFO】瑛・A・アヴァスの許可が出たため、「■自警活動」が可能になります。
「■自警活動」シーンでは、侵蝕を1d10上昇させ、華吶町の様々なスポットを警邏することが可能です。
対象は「アライアンス」が進行するごとに追加されていきます。
「■自警活動」シーンを進めることで、戦闘や判定が発生し、シナリオが大きく展開します。
情報収集に行き詰まったと思ったら、積極的に「■自警活動」を行いましょう。
また、「■推理」シーンから新たな「■自警活動」項目が派生することもあります。
シーンは何人からでも登場可能ですが、夜の華吶町には様々な脅威がひしめいています。可能な限り、全員での登場を推奨します。
INFO:次のアライアンスシーンから、「■自警活動」が可能になります。
8月21日 13:21/華吶町立寄咲大学 PCルーム
GM:寄咲大学のPCルームは、レンタル式の時間申告制だ。
GM:学生課に事前に使用時間と人数の申請をすることで、時間内での利用が許可される。
GM:荒崎怜は、いつも二人分の利用時間を申告していた。
GM:たとえ、ずっと一人きりでも。
荒崎怜:「タカくんは」PCルームに、自分のラップトップを持ち込んでいる。「卒業したらどうするの」
龍神貴好:「んー」
龍神貴好:あまりPCに触っていない。タイピングがうまく行かないのだ。
龍神貴好:(一人の時に練習しといた方がいいな……)
龍神貴好:「正直まだ何にも考えてないけど、怜と一緒にはいたいから」
龍神貴好:「この町で働き口見つけたいなーって思ってる」
荒崎怜:「……愚の骨頂。交際相手と一緒にいたいから、という理由で進路を選ぶべきじゃない」
荒崎怜:「タカくんの人生なんだよ。もう少し真面目に考えたほうがいい」
荒崎怜:「危機感が足りない。相変わらず」
龍神貴好:「うーん」危機感が足りないことはこの間、痛感したが。
荒崎怜:「それに、生活の都合上引っ越しが必要になったら、私の方がついていくから」
荒崎怜:「タカくんはそんなことを考える必要はない。わかった?」
龍神貴好:「そしたら怜がやりたいこと諦めることになるじゃん」
荒崎怜:「……私の、やりたいこと?」
龍神貴好:「もう就活も結構……進んでるし」
荒崎怜:「何それ」声が低くなる。「呆れた……」
龍神貴好:「この町」
龍神貴好:「ここで、働いて……生きてみたいんじゃないのか」
荒崎怜:「どうでもいい。
龍神貴好:「……?」
荒崎怜:「ちゃんと私自身考えて、答えは見つけてるから」
龍神貴好:「どんな答え」
荒崎怜:「この街で就職したのも、消去法的に、一番安定していてQOLも高そうなところを選んだから……」
荒崎怜:「……」
荒崎怜:目を逸らす。あまり動かない、きみの指を見る。
荒崎怜:「タカくんには教えない」
龍神貴好:「ええっ」
荒崎怜:「それより。課題。全然進んでないでしょう」
荒崎怜:「タイピングが遅い」
荒崎怜:「貸して」
龍神貴好:「あっ」
龍神貴好:完全にペースを奪われている。
荒崎怜:きみの座席に椅子を持ってくる。ミントやラベンダーのような、清涼感のある香りが少しだけ咲いた。
龍神貴好:体全体で知覚する。
龍神貴好:感覚が鋭くなったわけではないが、五感が体全体にあると、まるで香りの中に浸かっているようだ。
荒崎怜:私物のラップトップときみのPCのUSBを接続し、何かを打ち込む。
荒崎怜:瞬く間にレポートの文章が自動生成され、要点を簡潔に纏めたノートが記述される。
龍神貴好:「わっ、何これ」
荒崎怜:「会社で業務効率化のために私的にコーディングしたLLM」
荒崎怜:「講義ごとにチューンアップして、学部の配っているレジュメとスライドから要点を抽出できるようにしてる」
龍神貴好:「い、いいの?これ。僕何にもやってない気がするけど」
荒崎怜:「は? 誰が全部やるって言ったの」
龍神貴好:「え」
荒崎怜:「作ったのは文章の雛形だけ。パラグラフは組んであるから、内容はきちんとタカくんが打ち込むこと」
龍神貴好:「あ、ああ……なんだ。それならいいか……」
龍神貴好:「楽になるよ。ありがとう、怜」
荒崎怜:「あと、ネットから自動でトピックに合致したサイトを検索する仮想エンジンも組み込んでおいた」
龍神貴好:「すごい」素朴な反応。
荒崎怜:「さっさと終わらせて。この後、『Chill to Shift』に遊びに行く約束でしょう」
龍神貴好:「……うん。わかった」
荒崎怜:「あなたがぼうっとしている分、私との時間が減るの。……わかればいい」
荒崎怜:「タカくん」
龍神貴好:「はい」
荒崎怜:「……ごめんね」
龍神貴好:「……何で?」
荒崎怜:「本当に解らない?」
龍神貴好:生やした指を、少しずつ動かしている。
荒崎怜:「かわいくないでしょう」
龍神貴好:「……怜は、ツンケンしてるところもあるけど」
龍神貴好:「なんか。ちゃんとこう。僕のこと心配してくれたり。一緒の時間過ごしてくれたり」
荒崎怜:「……」ローラー椅子の背もたれに、少しずつ顔をうずめていく。
龍神貴好:「そういうの、すごく可愛いと思ってる」
荒崎怜:「やめて」
荒崎怜:「公共の場で」
荒崎怜:「その」
荒崎怜:「言わないで。そういう……そういうことを」
荒崎怜:「だって…………」
龍神貴好:「……だって?」
荒崎怜:椅子に完全に突っ伏す。「わかるでしょう!貴好!」
龍神貴好:辺りを見回す。
龍神貴好:「……見られてるって?」
荒崎怜:「仕事柄、監視カメラは意識しちゃうの……」
荒崎怜:「というか、そうでなくても。その。馬鹿げてると、思うかも知れないというか」
荒崎怜:「私自身が、一番、わかってるけど」
荒崎怜:「見られたくないんじゃなくて。本当は」
荒崎怜:「二人だけのものにしておきたい」
荒崎怜:「だけだから」
龍神貴好:「…………怜、さあ」
龍神貴好:「それこそ、僕だけのものにしておきたいよ、今の」
荒崎怜:がっ、と椅子を蹴って自分の席に戻る。
荒崎怜:「そんなこと言って! き……昨日も……」
荒崎怜:「……」
龍神貴好:「昨日も?」
GM:……先日、退院した荒崎怜は。家事をすると言い張って、きみの家に泊まり込んだ。
GM:彼女の母親からも連絡があった――しばらくは通い詰める気なのだという。
荒崎怜:「……課題終わらせておいて」
龍神貴好:「わかったよ」
荒崎怜:すくっと立ち上がる。「先にビデオ屋さんに向かってるから。一緒にぞろぞろ行くのは時間の無駄」
龍神貴好:「うん。すぐ終わらせて行くから」
龍神貴好:「待ってて」
荒崎怜:「それじゃあ――」着信音が鳴る。きみと始めて見に行った、ホラー映画のテーマソングだ。
荒崎怜:「ん」電話を耳に当てる。「はい、荒崎」
荒崎怜:「ええ。はい……『KSCネッツ関東』です。お世話になっております。……先週の一番街に似た事件ですか? 警察から?」
荒崎怜:「はい。はい。承知致しました。一旦こちらの方で、映像の洗い出しをさせていただきます。類似の事件がないかも……ええ……」
龍神貴好:耳ならぬ、身をそばだてて聞いていた。
龍神貴好:(……大丈夫かな、瑛さん)
荒崎怜:電話を切る。
荒崎怜:「……ごめん、タカくん。ちょっと仕事が入っちゃった」
龍神貴好:「そうみたいだな……」
荒崎怜:「最近、行方不明事件も一番街で増えているみたいなの」
荒崎怜:「ホストクラブとか、コンセプトカフェに出入りする……”イチバン”って呼ばれる、若者たちの集団ね」
荒崎怜:「特定の店舗がどう、って話じゃないみたいだけれど。このところ物騒だから」
龍神貴好:「……うん。物騒だ。本当に」
荒崎怜:「華吶町警とも連携して、今から監視カメラの映像のチェックに立ち会って来る」
GM:『KSCネッツ関東』は、きみが思うよりもはるかに、警察と近い箇所にいる。
GM:それはすなわち、荒崎怜がきみの正体――ひいては『トラス4』の正体に気付く可能性も、決して低くはないということだ。
龍神貴好:「わかった。怜も気をつけて」
龍神貴好:「いざって時は自分のことだけ考えろよ?」
荒崎怜:「タカくんだけには言われたくない」
荒崎怜:「……指。まだ悪い?」
荒崎怜:「仕事が終わったらすぐに帰るから」
荒崎怜:「エマさんにも、伝えておいて。ごめんなさいって」
龍神貴好:「うん。ちょっと、感覚がね。麻痺してて」
龍神貴好:「わかったよ。エマさんに伝えとく」
荒崎怜:「……うん。私の都合で、タカくんの予定も狂ったわけだし」
荒崎怜:「じゃあ」
龍神貴好:「じゃあ」
荒崎怜:学生証をセキュリティ認証にタッチし、そのままPCルームを出ていく。
龍神貴好:「はー……」どっと疲れた。そのことに少し自己嫌悪する。
龍神貴好:「ていうかさ」
龍神貴好:「『答え』ってなんだよ……なんか、この町に残るのにあれだけかっこつけたの」
龍神貴好:「恥ずかしくなってきた………」
龍神貴好:今更、変わんないけどさ。
龍神貴好:息をもうひとつ吐いて。学生の本分を果たすべく、PCに向かった。
INFO:荒崎怜のアライアンスlvが「1」に上昇しました。
INFO:→「コネ:ハッカー」を獲得(★☆☆)しました。
INFO: →「調べ物は得意だから」が発動しました。/「インクリボン・自動巡回ソフト」を獲得(★☆☆)。
GM:これは龍神くんの所持品として、自動的に追加されます。受け渡しも可能です。
GM:→「ウワサ:ご主人様は行方不明(緑)」(★☆☆)を入手しました。
GM:ウワサ(緑)は、『ローンマート』襲撃事件や華吶町の住民の間で流れている噂話が主に分類・整理されます。
8月21日 20:33/華吶町一番街 古物商『狐市』
GM:『狐市』は、曰く「力のある」だとか、「呪われている」品を扱う、ということで有名な店だ。
GM:瑛・A・アヴァスが乃木清和に任せたのは、「装備の調達」だった。
瑛・A・アヴァス:『――あそこの扱ってる物品は本物だ。どんな手品を使ってるかはどうでもいいがな』
瑛・A・アヴァス:『だが、店のルールで……”美人以外の一見さんには商売しない”とかほざいてる』
瑛・A・アヴァス:『ぶん殴るかひっぱたくかして、装備を調達してこい』
乃木清和:「えっ。知らなかった……」
乃木清和:「ハナちゃんって私のことそういう目で見てるんだ……」
瑛・A・アヴァス:『(放送禁止)(悪口雑言)(自主規制)!!!!!!!』
乃木清和:「あっはっはっは」ほぼ無視して通信を切る。
GM:古風な『狐市』と書かれたのれんを潜ると、まるで異世界のような品ぞろえがきみを出迎えた。
GM:竹を模した棚に並んだ剣、刀、弓、盾、鎧、書物、その他もろもろのがらくた。
コシローさん:「あら。えらい美人さんやねえ」
乃木清和:「ど~も~~。こんにちは」
コシローさん:「こんな辺鄙な店にどない用?」
乃木清和:「そりゃもう、戦うための武器を買いに。『トラス4』ってご存知?」
コシローさん:「別嬪にはお値段まけるって噂、聞い……」「……ちょっと、あんたはん」
乃木清和:飾られた杖などを眺めていた視線を店主に移す。
コシローさん:手に持った、竹筒のような管を掲げる。狐のような金色の影がさっと動き、扉を閉めた。
コシローさん:「えらい面倒事持ち込みはるね」
コシローさん:籐で編まれた木椅子を差し出す。
乃木清和:「話が早くてありがたいよ。そんな面倒なことは言ってないじゃない…私はただの客」
コシローさん:「とりあえず座ってや。その長い脚だとずっと立つんもおまへん」
乃木清和:「お兄さんは商品を売ってくれればいい。それだけ…」「あら、ありがとう」
乃木清和:木椅子に腰かけ、まんざらでもなさそうに足を組む。
コシローさん:「あたしが面倒事言うたのは、何もけったいな逃げ出しもんの寄り合いのことだけやあらしまへん」
コシローさん:「あんたはん、呪われとるよ」
乃木清和:「え~~?」
コシローさん:あなたの背後――”何もない”はずの虚空に目をやる。
コシローさん:「この街で、一応長年こんな因果な商売やっとります。見たらいけんもん、感じたらいけんもんくらいは、わかりますわ」
乃木清和:「心当たりはないけどなあ。神様みたいに思ってる人はいるけど」
コシローさん:「神様のほうはどう思うてはるんやろね。……難儀やわ~」
コシローさん:「別嬪さんやから粉かけたろと思ったのに」
乃木清和:「やだ~困りますぅ~」
コシローさん:「はあ……うちのボロ暖簾でも、もうちょい手ごたえありますわ」
コシローさん:「ほんなら、商いの話しましょか」
乃木清和:「はいはい」姿勢を正す。その際、薬指にはめられた安価な指輪が意味ありげに光をはらむ。
コシローさん:「何が欲しいん? 言うとくけど、むちゃくちゃやれるような品とかはないで」
乃木清和:「逆に聞くけど……」
乃木清和:「どこから手に入れてるの? こういう品。いかにもエセっぽいけど…」
コシローさん:「はっはっは」
コシローさん:「実家のスネかじりやわ」
コシローさん:「知っとる? 蛇目堂とかいう、ふる~いお家」
コシローさん:「あたし、そこの分家の出なん。追っ払われもんやけど」
コシローさん:「だから出ていくとき、蔵からたんまり曰くありげな品をかっぱらって……」
乃木清和:「うぇぇ~……? あそこの血筋で、よくもまあ五体満足で家から離れられたもんだよ」
コシローさん:はぁ~~~~と溜息を吐く。「嫌なこと思い出させんでや」
コシローさん:「あんたはん、あたしの”中身”どうなってるか見えんやろ。年二回は透析必要な体なってはったわ」
乃木清和:「コワ…」
コシローさん:「困るわぁ~~ほんと。こういう仕事してると保険も高いし……」
コシローさん:「せやさかい、あんまりうちの品大っぴらに振り回さんどいてや」
コシローさん:「それさえ守れれば、力は貸したげるわ」口許に指を当てる。
乃木清和:「…オッケーオッケー。私はね。私は」しっしっと手ではらう。
コシローさん:「ほな、取引成立言うことで。……逆にあたしも一つ聞きたいことあるさかい」
コシローさん:「あんたはんら、
乃木清和:「うん?」特に否定もせずコシローさんを見ます。
コシローさん:硝子のような破片を、二つ差し出す。
コシローさん:結晶のように大きいものと破片のように小さいもの。
乃木清和:きょとんと見ている。
コシローさん:「破片」の方はただのガラス同然だが――
GM:〈知覚〉5で判定をどうぞ。
乃木清和:4dx+1>=5 とう!
DoubleCross : (4DX10+1>=5) → 3[2,2,3,3]+1 → 4 → 失敗
乃木清和:ア~~!!
GM:では、何も感じない。
コシローさん:「あんたはん、こっちに”やられ”んかったん」
コシローさん:結晶の方を持ち上げる。
コシローさん:「ああ……何か、よっぽど後悔してることが他にあるんやね」
乃木清和:「えぇ…それ、何…? 絶対気付いた方がいいものだと思うんだけど…」
GM:だが、オーヴァードが一般的に持つ性能として……かすかな、レネゲイドの気配を感じ取ることはできる。
コシローさん:「最近この街に蔓延ってる
コシローさん:「こっちの破片はガラクタ同然のゴミカスやけど」
コシローさん:「こっちの『結晶』は……よくないもん憑いてはるわ」
乃木清和:「あ、あぁ!なるほど…。うわ、ヤバすぎ。いま全然ピンとこなかったのヤバすぎる」
コシローさん:「あんたはん、名づけの
コシローさん:「存在は名前に引っ張られる。名前は存在に引っ張られる」
コシローさん:「これは
コシローさん:きらりと光る結晶をきみに見せる。磨かれ輝く断面は、静かにきみの指輪を映している。
乃木清和:「それは……呪術屋としてのあなたの見立て?」
コシローさん:「別嬪さんへのお節介」
コシローさん:「避けられるか知らんけど、近寄らん方がええで。ほんまに」
乃木清和:「……。……だから」
乃木清和:「苦手なんだよな~、そういう…古いオカルトでレネゲイド語ってくる界隈……」
コシローさん:「は? オカルト言うた今?」
コシローさん:「えらい進んどるんやねえ」
乃木清和:「アハハいえいえ私なんてここ数十年の科学知識をちょこっとかじっただけのド素人ですから」
GM:店の空気が何だか淀んでいる……
コシローさん:「はあ……お客さんやさかい、言い合いはなしにしとくわ。とりあえず、勝手に見てってや」
コシローさん:「あ。右から三番目の棚の本は読んだらあかんで。文字を認識するのがあかん」
乃木清和:「コワ……」
乃木清和:「せっかくなら普通に占いとかしてよ~。恋占いとか! 金運でもいい!」
コシローさん:「卦法は落第寸前やったのになあ」
コシローさん:ぶつぶつと呟きながら、茶器の上に水を貼り、手に持つ管をごそごそと弄る。
コシローさん:取り出した金色に輝く毛を、水の上に浮かべる。ぴり、と電気が走るような感覚がきみを襲う。
コシローさん:「……あ」
コシローさん:「あかんわこれ。ナシナシ」
乃木清和:「おっ……、え~?」
コシローさん:毛を取り出す。べっとりと腐り、汚汁が垂れていた。
コシローさん:「”勝手に見るな”言うとる。怖いわあ~~」
コシローさん:がしゃん!と茶器を割る。恐らくは、そうしなければならなかった。
コシローさん:「悪いこと言わんからぼったくりの手相占いとかにしときや」
コシローさん:「ごめんなあ。あたしが嫉妬させるくらい優秀すぎて……」
乃木清和:「なんなんだか…。まったく」
乃木清和:「私に取り憑くような相手はもういないんだけどなあ」
INFO:コシローさんのアライアンスlvが「1」に上昇しました。
INFO:→「コネ:手配師」を獲得しました(★☆)。
INFO:→「古物商の大サービス」が発動しました(★☆)。
GM:『狐市』とコンタクトを取ったため、購入判定が可能となりました。
GM:アライアンスのシーンが全員分終了したため、ロイスの取得と購入判定が可能です。
龍神貴好:購入〜〜!
柳瀬順吾:買うぞ…UGNボディアーマー!
エマ・カルナデス:ヤナセ:P連帯感☑/N憤懣☐
GM:コシローさんのアライアンス効果で、現在目標値が-3されてるぞ。
龍神貴好:ロック開けるためのアイテム、どこまでイベントで手に入るかわかんないんだよな
乃木清和:ありがとう! 古参マウントオカルトマン!
柳瀬順吾:1dx>=9
DoubleCross : (1DX10>=9) → 8[8] → 8 → 失敗
柳瀬順吾:財産点1使って成功!
柳瀬順吾:財産 2→1
乃木清和:私もUGNボディーアーマーを買おう
コシローさん:UGNには偉い元気な子が多いんやねえ
乃木清和:3dx+1>=9
DoubleCross : (3DX10+1>=9) → 8[1,7,8]+1 → 9 → 成功
柳瀬順吾:ロイスは、ここは保留!
乃木清和:オッホッホ 若くてぴちぴちですから…
柳瀬順吾:以上です!
乃木清和:私もロイスは保留にしておこうかな 以上です~
エマ・カルナデス:購入は~、まあUGNボディアーマーかな。
龍神貴好:傷薬、もとい応急キット買っときます
エマ・カルナデス:4DX>=9
DoubleCross : (4DX10>=9) → 10[2,4,6,10]+2[2] → 12 → 成功
龍神貴好:あ、いや高性能医療キットにしよう
エマ・カルナデス:成功。装備しておく。
乃木清和:あ!GMすみません!
GM:アイヤー!
乃木清和:自分の武器に《水晶の剣》つかっちゃっていいですか?
龍神貴好:(2+0+0)dx+1+0>=9
DoubleCross : (2DX10+1>=9) → 2[2,2]+1 → 3 → 失敗
GM:もちろんアルね
GM:GM嘘つかないアルよ
龍神貴好:うわ低っ!
龍神貴好:ロイスは保留で、以上です。
荒崎怜:タカくん……
乃木清和:サンキュー!では侵蝕率4上昇させ、クライベイビーに《水晶の剣》します
乃木清和:乃木清和の侵蝕率を4増加(65 → 69)
乃木清和:改めて以上!
龍神貴好:怜に見られた!恥ずかしい!
龍神貴好:以上です。
GM:ゲッチュー!!
GM:現在進行可能なアライアンス・実行可能な項目はこちらです。以上を元に、アライアンス進行の宣言をどうぞ。
乃木清和:すみません 侵蝕ダイスが大暴れしているので、一回休みます
柳瀬順吾:俳優志望の同級生、かな…!
龍神貴好:私も俳優志望の同級生行きたいな
GM:OK!「③日常生活を送る」でシーンには侵蝕1で出れるぜ!
柳瀬順吾:情報:噂話で6 なら、やれるかも!
龍神貴好:3人でダベるのたのしそ
GM:柳瀬・龍神で、俳優志望の同級生に来る!!
柳瀬順吾:龍神くんと3人で男子大学生の日常を送るチャンス…!見せてやるっ まずは侵食率上昇
GM:各アライアンスで手に入れたコネも、適宜活用するのじゃ ふぉっふぉっふぉ
柳瀬順吾:1d10+46
DoubleCross : (1D10+46) → 9[9]+46 → 55
エマ・カルナデス:んん……一人で自警活動はちょっとリスキーかな
龍神貴好:龍神貴好の侵蝕率を1D10(→ 9)増加(49 → 58)
龍神貴好:高め推移!
エマ・カルナデス:なら、狐市の人に会いに行こうか。
柳瀬順吾:さっそく使わせてもらおう。コネ:情報収集チーム
GM:ウオオオオ!!!
柳瀬順吾:侵蝕率9を支払って、成果なしを避けたいですからね!
柳瀬順吾:1dx+2>=6
DoubleCross : (1DX10+2>=6) → 1[1]+2 → 0 (ファンブル) → 失敗
エマ・カルナデス:1D10+45
DoubleCross : (1D10+45) → 1[1]+45 → 46
柳瀬順吾:駄目でした~
龍神貴好:や、柳瀬ーっ!!
柳瀬順吾:侵蝕率9を支払って、成果なし!
GM:柳瀬ッッ
乃木清和:柳瀬~~ッ!
柳瀬順吾:さっきがちょっとおかしかったんですよね
乃木清和:1dxだもんね
柳瀬順吾:龍神くん…あとは任せた!
エマ・カルナデス:ふ、ファンブルはどうしようもない……
龍神貴好:これ、コネは共用ですかね
GM:どうしようかな~と思ったんですが
GM:個人が獲得したコネをチームが使えるというのが
GM:ヴィジランテチームのいい所だと思うので
GM:ゲーム性の表現も兼ね、アライアンスで獲得したコネは共用にしましょう。
龍神貴好:やったー!
柳瀬順吾:やれる!
龍神貴好:じゃあ情報収集チーム使いましょう。2回目。
龍神貴好:2dx+2>=6 噂話!
DoubleCross : (2DX10+2>=6) → 9[3,9]+2 → 11 → 成功
柳瀬順吾:ウォォ~ッ
龍神貴好:オーバーキルだったが、よし!
GM:OK!(ズドン)
エマ・カルナデス:優秀。じゃあ、こっちは【肉体】で難易度5の判定。
エマ・カルナデス:2DX>=5
DoubleCross : (2DX10>=5) → 10[5,10]+6[6] → 16 → 成功
GM:肉体がでかすぎる!!!
柳瀬順吾:白兵でできる情報収集ないかなあ
GM:拷問
乃木清和:コワ…
エマ・カルナデス:インタビュー。
龍神貴好:インタビューじゃん
GM:では、俳優志望の同級生のアライアンスlvが1に、コシローさんのlvが2に上昇します。
GM:では次回、アライアンスのボーナスと、情報をロールで開示していきましょう。
8月23日 14:38/華吶町立寄咲大学 喫煙所
GM:寄咲大学の喫煙所は室内に存在する。近年の猛暑や、学内の喫煙者人口の多さから、教授会で室内への移設が推進された。
GM:つまり、それだけ多くの人間がのんべんだらりと集まる場所でもあり、一種の社交空間と認識することもできる。
GM:西舘雅也は喫煙所に入り浸ることで、いつの間にか学内・学外の事情通のような地位を築いているらしい。
GM:龍神貴好・柳瀬順吾が「町の異変を探る」という現状の目標を考えた時、真っ先に思い浮かぶ顔も、また一つだった。
西舘雅也:「……で、最近華吶町で起こってる変なことを教えて欲しいって?」
柳瀬順吾:「そういうこと!」
龍神貴好:「うん」
西舘雅也:「……なんで?」
西舘雅也:「タカまでいるし」
西舘雅也:「柳瀬。お前タカとつるむようなやつだったっけ? コミュニティ違わねえ……?」
龍神貴好:「こないだの強盗事件でちょっとお世話になって……」
柳瀬順吾:「よく行くビデオ屋の常連仲間になったってわけ」
柳瀬順吾:「ビデオ屋はコミュニティだぜ、大宇宙だ」
西舘雅也:「あっ!こないだの『ローンマート』の被害者と……救助者!お前らかよ!」
西舘雅也:ひそひそと叫ぶという器用なことをやっている。
柳瀬順吾:「そうだよ。せっかくだから、この勢いで二人で映画撮りてえな~って思ってる」
柳瀬順吾:「俺が」
柳瀬順吾:「一方的に」
龍神貴好:「初耳な気がするんだよな」
柳瀬順吾:「龍神クンの意見はまだ聞いてない」
龍神貴好:「気のせいじゃなかったっぽいな」
柳瀬順吾:「新情報を得られたね!」
西舘雅也:「やめといた方が良いと思うけどな~~……」
柳瀬順吾:情報:噂話 柳瀬順吾LV1 《次に撮影する映画のプラン》
龍神貴好:アライアンスレベルが上がったな〜!
GM:アライアンスを乗っ取るな
柳瀬順吾:「まあ、そんなわけで……」
柳瀬順吾:「乗り掛かった舟だし、被害者の一人として龍神クンが事件を追跡するモキュメンタリー風をやりたいんだよね」
柳瀬順吾:「で、むしろ危険に近づくんじゃなくて、遠ざかるために情報が必要というわけだ。余計なことに首突っ込まないようにね」
西舘雅也:「何か、最近流行ってるよな……ウチの映画学科のやつも、ほら。お前らがよく言ってるビデオ屋行ってるらしいよ」
西舘雅也:「モキュメンタリーの資料探したいって。それで何か……怒鳴られて帰って来たらしいけど……」
龍神貴好:「ああ……」納得顔
柳瀬順吾:「あり得るね。厳しい店員いるからね」
西舘雅也:「じゃあ、とっておきのヤバそうなネタがあるな。耳貸せよ」
柳瀬順吾:「ひそひそ話だ! 龍神クン、こいつめちゃ煙たいけど、こっち!」
GM:喫煙所内は煙で覆われている。非喫煙者にとっては地獄のような環境だ……
西舘雅也:重めの煙草を吸い、これ見よがしに煙を吐き出している。「わっはっは」
西舘雅也:「ゲホッ」
龍神貴好:「けほけほ」と咳マネをしながら近づく。
西舘雅也:「き、きちぃ~……ホストクラブだと吸えないと話になんねぇ~んだよな」
西舘雅也:西舘雅也は、華吶町一番街のホストクラブに勤務している。
西舘雅也:生活費のために、一発で大きく稼げるバイトに目をつけたようだが……営業成績はと言うと、悲惨なものだ。
柳瀬順吾:「電子タバコがむしろNGな世界だね」
西舘雅也:「でも、これやってると逆に姫が優しくしてくれるんだよな。なんでだろうね?」
西舘雅也:「ただ、最近姫の様子もおかしくてさあ~……」
龍神貴好:「姫?お客さんのこと?」
西舘雅也:「タカは一番街とかあんま行かねーか」
柳瀬順吾:「この人たちは全員姫って呼んでるんだよな。ドン・キホーテだよな」
西舘雅也:「一人一人に本気なんだよ!」
龍神貴好:「全員お姫様なのか」
龍神貴好:「大変そうだ」
西舘雅也:「そのつもりだったんだけど……何か最近、ウチに来なくなる人たちが多くてさ」
西舘雅也:「最初は俺らの接客マズったべ?って思ったんだけど」
西舘雅也:「どうも……変なコンカフェとかクラブで働かされて、そのまま飛んだって話が多くてさ……」
柳瀬順吾:「ガチで? どっかに連れて行かれたんじゃねえよな」
西舘雅也:「……」きょろきょろと辺りを見回す。
西舘雅也:「お前ら、『かとつの軒先』って知ってる?」
龍神貴好:「その話、僕も聞いたことある。行方不明が増えてるって」
龍神貴好:「でも、かとつの…軒先、は、今初めて聞いた」
柳瀬順吾:「ぜんぜんわかんない。秘密組織か~?」
西舘雅也:「いや……何か、表向きはよくあるNPO法人らしいんだよ」
龍神貴好:「秘密組織って大体表向きの顔ある感じだよな」
西舘雅也:「何か実感籠ってね?」
龍神貴好:「そういう本、最近読んでるだけだよ」
西舘雅也:「怖ェ~~よ!彼女の影響か!?この勝ち組がよォ~~~ッ」
西舘雅也:「いや……こっちの噂の方がもっと怖いわ」急にトーンダウンする。
龍神貴好:「彼女ができたからって勝ち組になれるわけじゃないだろ」
龍神貴好:「……む」
柳瀬順吾:「ちゃんと彼女を作りたいならホストはよくないよね。……まあ、それはともかく」
西舘雅也:「一応、最初は『イチバン』にたむろするガキンチョの支援とかしてたらしいんだけどさ……」
柳瀬順吾:「へ~。普通じゃん」
龍神貴好:「でもそのガキンチョどもだよな?今いなくなってるのって」
西舘雅也:「そこで見た顔が、数か月後には……クソみたいな接客させられる店で見かけたりすんだよ」
龍神貴好:「うわ」
西舘雅也:「で、最後には」龍神くんの方を向く。「いなくなる」
西舘雅也:「俺、一回声かけたことあんだよ。そいつらにさ」
龍神貴好:「……それで?」
西舘雅也:「あんなクソ胡散臭い所通報して、ちゃんとしたトコ頼れって。バカなりに頑張って調べて、生活科の電話番号とかも渡したの」
西舘雅也:「でもさ」煙を蒸かす。「無理だって」
柳瀬順吾:「そっちの方が丸いだろ? 無理って?」
西舘雅也:「法人の代表が、”超能力”が使えるとかなんとかで……」
龍神貴好:「うわ、カルト臭出てきたな」
柳瀬順吾:「ハハハハハ! ……いや~、ごめん。笑いごとじゃないけど、本人たちはガチで信じてる感じなんだ?」
西舘雅也:「逃げようとしたら他の連中も連帯責任でやるって、脅されてるらしくてさあ」
西舘雅也:「スピってるよな?」
西舘雅也:「ありゃマジだね。噂の洗脳みたいな?」
柳瀬順吾:「あ~……まあ、超能力みたいなことは、やろうと思えばできなくもないよね」
柳瀬順吾:「盗聴器仕掛けとくだけでもいいし」
西舘雅也:「お前、時々妙に治安悪い考え方するよな……」
西舘雅也:「とにかく、『かとつの軒先』はヤバそうだって話だよ。声かけられても、絶対近寄んな!」
柳瀬順吾:「学校が貸してる撮影用の小道具、GPS仕掛けられててびっくりした。忍者衣装を返すの忘れてたら追跡されたもん」
龍神貴好:「まあでも、そういう『証拠』作り上げて……」
龍神貴好:「洗脳環境さえ整えれば簡単そう」
西舘雅也:「お前ら、本当にビデオ屋の集まりなの……?」
龍神貴好:「だってさ」
龍神貴好:「映画にはそういうフィクション、つきものだろ」
柳瀬順吾:「そうだよ。陰謀論はフィクションだと楽しいからね」
西舘雅也:「あっ確かに」ぽんと手を打つ。「リアル調の……モキュメンタリー?なら、そういうことも勉強するか」
西舘雅也:「俺の単位がヤバいのも陰謀かな?」
柳瀬順吾:「それは自業自得。お前のカルマじゃよ」
龍神貴好:「……」ノート貸すよ、と言いかけてやめる。
柳瀬順吾:「俺の単位がヤバいのは悪夢」
柳瀬順吾:「目が覚めたら評価Bがいっぱい並んでるんだ…」
西舘雅也:「ウワッやめろ!留年費なんて払ったら、今度こそ演劇ワークショップ行けなくなる!」
龍神貴好:「……講義とレポートサボりすぎなければなんとかなるよ」
龍神貴好:「だからまあ……がんばれ」
西舘雅也:「マジィ~~?? サンキュー、タカ」
西舘雅也:「あっ、そうだ。映画撮るなら、俺も付き合わせてくれねえ?」
西舘雅也:「何でもやるぜ。最初に死ぬ役でもいいし……」
柳瀬順吾:「お。興味あるか~? それならちょっと待ってな!」
柳瀬順吾:「この龍神クンを旗頭にしたPV撮ってるから」
柳瀬順吾:「それが撮影がうまくいったら、俺の名声が広まって卒制(卒業制作)もトントン拍子! スタッフもこぞって集まる予定なのだ!」
西舘雅也:「おおお……普段のお前の映画は正直、全然わかんなかったが」
西舘雅也:「タカが出てるなら話は別だ!」
西舘雅也:「こいつには、何かやってくれそうな雰囲気がある。そう前から思ってた」
龍神貴好:「えっ、僕そんなにお前の中での評価高いの」
西舘雅也:「怜ピもいったしな」
龍神貴好:「怜ピ……」
西舘雅也:「とにかく、お前らの撮影には全面的に協力してやる!まずはとっておきの話術を伝授してやろう」
西舘雅也:「現役ホスト直伝の技だ。これを覚えれば、お持ち帰り大成功間違いなし」
柳瀬順吾:「ホントに使えるか、それ~?」
西舘雅也:「エキストラとか演者を口説き落としたい時に使え。ホッホッホ」
龍神貴好:(こいつのホストクラブでの成績って……)
龍神貴好:「まあ……聞いとくよ」
GM:……西舘から、クラブ『Ichiban star』接客虎の巻(※社外秘!!姫の気持ちに寄り添うこと!と書いてある)の特訓を受けた。
GM:少しだけ、女心がつかめた気がする……
INFO:西舘雅也のアライアンスlvが「1」に上昇しました。
INFO:→「コネ:噂好きの友人」を獲得しました。
INFO:→「ホストの爆・お持ち帰り術」が発動しました。
GM:「黒」のウワサには、『トラス4』以外のFHセルや反社会的勢力の情報が分類・整理されます。
8月23日 12:56/華吶町一番街 古物商『狐市』
GM:乃木清和の交渉により、EXレネゲイド業者『狐市』との交流が確立された。
GM:彼女は「副業」の方が忙しいらしく、しばらく『Chill to shift』に姿を見せていないが……
GM:ビデオ屋に電話がかかって来たのは、そんな折だった。
コシローさん:『あ、もしもし? トラスだかトラヴィスとか何だか知らんけど……ここで合うとります?』
コシローさん:『一番街、「狐市」ちゅうお店で商いさせてもろてます、コシローいうもんです』
エマ・カルナデス:『ノギから話は聞いてる。こちらは代表のエマ』
GM:その日は平日で、瑛・A・アヴァスは市役所へと勤務へ出ていた。よって、応対をするのはきみしかいない。
エマ・カルナデス:『一応、店名は『Chill to shift』だけど。電話で済む要件?』
コシローさん:『いえ。直々にお伝えしたいことがおわします』
コシローさん:『その声……あんたはんもきっと別嬪さんやね。良ければ、お店に一度遊びにお越しやす』
エマ・カルナデス:『よく言われる。じゃあ、少ししたら出るのでよろしく』
GM:乃木清和から、極めて軽薄な人物ということは聞かされているかも知れない。瑛・A・アヴァスは、気絶しそうなほど怒り狂っていたが……
GM:きみの返答を聞き届けたのか、電話は切れる。『狐市』へは、同じ一番街の店同士……歩いて十五分ほどだ。
エマ・カルナデス:(まあ、注意が必要な相手ならノギからもう少し言葉があるはず。警戒しすぎても、向こうに悪印象があるかもしれない)
エマ・カルナデス:電話口の印象と先に聞いていた所感に納得を覚えつつ、店の施錠をしてから足を運ぶ。
GM:もはや夏という季節の切れ目がなくなって久しい。8月の後半でも、うだるような真夏の日差しが容赦なくきみの白い肌を焼いた。
エマ・カルナデス:目を細め、キャスケット帽を深めに被り直す。余人より死に辛いと言っても、暑いものは暑いのだ。
エマ・カルナデス:(そろそろまた、花を買う時期か)
エマ・カルナデス:物思いに耽りつつ街並みを通り過ぎ、目当ての場所に辿り着いた。
コシローさん:ちりん、と軒先の風鈴が鳴る。狐と朝顔の図柄が目に涼しい。
エマ・カルナデス:「お邪魔する。コシローさん、いる?」
GM:のれんを上げると、冷房も効いていないのに、どことなく冷えた空気が淀んでいる。
コシローさん:「あんたがエマはんね。話は聞いとるよ」
コシローさん:「お盆も終わった言うに、まだまだ暑いねえ」ぽりぽりときゅうりとナスの浅漬けを食べている。
コシローさん:「……食べはる? 別に京都弁とかやないで」
エマ・カルナデス:「……?まあ、今はお腹はすいてないので。ありがとう」恐らく何かのスラングだと思うが、分からなかったので素直に答える。
コシローさん:「最近はようけ京言葉に詳しい人が増えて困ってはるわ。ははは」
コシローさん:「ああ……箱入りさんね。やっぱり噂通り、期待通りの別嬪さんや」
エマ・カルナデス:「よく分からないけど、確かにノギとは気が合わなさそう」
コシローさん:「エマはんとはどう?」
コシローさん:「これからの話次第、とか思うてはる?」
エマ・カルナデス:「貴方が私を気に入るかは分からない。でもノギから話を聞いて、個人的に興味はあった」
コシローさん:来客用だろうか、籐編みの椅子を引く。
コシローさん:「あの子もえらい奇麗な子やったねえ。まあ……ちょっとばかし、古いもんへの敬意が足らんけど」
コシローさん:「ちょっとばかしな」
エマ・カルナデス:一礼して腰掛け、話を続ける。
エマ・カルナデス:「まあ、あの子の言葉はリーダーの私の責任でもある。気に障ったなら、その内何かで返す」
エマ・カルナデス:「それより……霊的な解釈でレネゲイドを見るオールドの家系。そう言った人には、今まで会う縁がなかった」
コシローさん:「ああ、ええ、ええ。そんな細っこい肩にそれ以上荷物背負わせたら、申し訳のうて狂い死ぬわ」
コシローさん:「その言い方もほんま色気あらへんねえ~~~」
エマ・カルナデス:「……ふむ。"私達より古くから霊的存在に触れて来たノウハウを持つ人たち"の方がいい?」
コシローさん:「おっ。中々ええ線行っとるやない」
コシローさん:「飴ちゃん食べはる?」
コシローさん:巾着袋から飴玉を取り出している。あずき味だ。
エマ・カルナデス:「2回断るのは流石に失礼。ありがとう」
コシローさん:「で、そのノウハウ持っとる人たちから、ちょっとした忠告なんやけどね」
エマ・カルナデス:飴を口の中で転がしながら傾聴する。
コシローさん:「あんたはんら、何やえろうけったいな連中に探されてはるよ」
コシローさん:「『かとつの軒先』言うたかな……」
エマ・カルナデス:「ギルドの懸賞金の話なら把握してい……」
エマ・カルナデス:「『かとつの軒先』。それは、初耳」
コシローさん:「最近『イチバン』言って騒いどる、アホんだらの、ジャリどもおるやろ?」
エマ・カルナデス:「ああ……近所で屯すのはやめてほしい。この辺も?」
コシローさん:「そいつらがどうなろうと関係あらへんけど……時々、”見える”奴がおるんよね」
エマ・カルナデス:「…それはノギのように、何か憑いているのが見えるという意味?」
コシローさん:「いや。文字通り、あたしらの力が見えるやつら」
エマ・カルナデス:「
コシローさん:「何か、妙な……薬臭いニオイしたわ」鼻をつまむ。「急ごしらえの術師ちゃう?」
エマ・カルナデス:「…………」溜息。覚えがない、と言うには古巣の匂いがきつすぎる。
エマ・カルナデス:「オーヴァ……術師に強制的に覚醒させる薬剤。心当たりはないこともない」
コシローさん:「で、本題や。『かとつの軒先』の奴からも、薬臭いニオイすんねん。そいつらと同じ!」
コシローさん:「えっと……赤髪の地っ味~な嬢ちゃんと、えらい恰幅のいいおっさんの二人組やったかなあ」
エマ・カルナデス:「それを扱ってる連中というなら、私達を探してるのもまあ納得。背格好の情報は皆に共有しておく」
コシローさん:「嬢ちゃんの方はなんや”なり立て”の感じしとったけど」
コシローさん:「おっさんの方は……多分アレ相当やっとるね」
コシローさん:「赤ちゃんとか子供の泣き声が聞こえんねん。こう、店の前でぎょうさん行列作っとる感じで」
コシローさん:「で、『トラス4』を知っとるか?とか言うて。ほんま胸糞悪かったから、塩撒いて追い返しといたけど」
コシローさん:「まあ、この店ん中なら負ける気せーへんし。流石にあっちも無茶してこんやろね」
エマ・カルナデス:「……あなたの知覚でそう見えたという事は、ノギみたいな愛する人でなくても付いてくるんだ」
エマ・カルナデス:「うん。私達の事、売らないでくれてありがと、コシローさん」
コシローさん:「お得意様無下にするほど儲かっとらへん」ひらひらと手を振る。
コシローさん:「別に、愛とか、憎悪とか、そういうのはあんま関係あらへんと思うよ」
エマ・カルナデス:「……そうなの?」
コシローさん:「あんたはんの後ろにも見えるもん」
コシローさん:にこにこしながら、一つ、二つ、三つ……指をさす。
コシローさん:ちょうど、『トラス4』戦没者の人数で、その指は止まった。
コシローさん:「……ん? あれ、気持ち悪いな」
コシローさん:「なんか一人足らへん気がする。まあいいか……」
エマ・カルナデス:「そっか」頷く。
エマ・カルナデス:「……正直、ノギの話を聞いても懐疑的だった。けど、その人数を言い当てるのは当てずっぽうでは無理」
エマ・カルナデス:「皆が
エマ・カルナデス:「一人分は…………色々確かめられたら、また話のネタに教える」
コシローさん:「う~~ん……普通はお客さんにこんなこと言わへんけどね」
コシローさん:「
コシローさん:「謝る? 怒る? 喜ぶ? 泣く?」
エマ・カルナデス:「…何が?」虚を突かれ、返答がつかえる。
コシローさん:「『知りたかった』『信じたかった』って」
コシローさん:「そもそも、その先を決めとらん子の台詞やない?」
コシローさん:「霊魂の実在とか、そういう話やなしにね」
コシローさん:「いるとかいないとか関係なしに、死んだもんに何かしたいと思ってる子は、
コシローさん:「お墓参りとかだってそうやろ? そこにいるとかいないとか気にしへんやろ。本当は。あれ、納得のための手続きやしね」
エマ・カルナデス:「その先……」考えもしなかった言葉。もとい、考えないようにしていた言葉が、思考の空白に滑り込む。
コシローさん:「実在の有無で態度を変えるなら」
コシローさん:「受け身ってことちゃうの。それは」
エマ・カルナデス:「ッ……違う!」思わず激し、音を立てて椅子から立ち上がる。
コシローさん:眼鏡の奥の瞳が細まる。「何や。ちゃんと怒れるやないの」
コシローさん:「今のあんたはん……全然”自由”に見えへんし」
コシローさん:「もうちょい自分のことも考えた方が、皆喜ぶと思うで。お仲間はんと話してみ」
エマ・カルナデス:「……ただ……ただ、私は………皆が全部消えたんじゃないって……」
コシローさん:「聞こえへ~~~~~ん。そういう独り言は~~~~」
コシローさん:耳を塞いでふるふると首を振る。
エマ・カルナデス:「……無駄じゃないって……いや…………違う……」自分でも合っているのか分からない答えを探して、言葉を選ぼうとした。
エマ・カルナデス:ぎっと睨む。
コシローさん:「あたしは自分のことしか考えてへんよ! 分家の道具、あらかた持ち逃げしはったからね。金のため!」
エマ・カルナデス:「………最初の質問。答えが出たと思う」
エマ・カルナデス:「私、コシローのこと、多分嫌い」
コシローさん:「えっ。き……傷つくわあ」
コシローさん:「ほな、こうしましょ。うちのとっておきの呪い、あんたらの武器に掛けたげるわ。格安で!」
コシローさん:「詫びや詫び。弾避けの呪いでも壊れずの呪いでも何でもええから」
GM:さりげなく商売の話に持って行こうとしている。最も、この店の物品を見てわかる通り……コシローの腕自体は、確かなものだろう。
エマ・カルナデス:「……私を案じてくれたのに、こっちも言葉が過ぎた。申し訳ない」
エマ・カルナデス:眼はまだ納得がいっていない様子だが、非礼を詫びる。
エマ・カルナデス:「……皆には」
エマ・カルナデス:「タイミングがあったら、話してみる……みます」
GM:未だオーヴァードの力であっても実在が確認されていない、霊魂の存在。それは真にコシローが感じているものだろうか?
GM:彼がエマ・カルナデス自身の後悔と贖罪意識こそを、見ているのだとすれば。
GM:罪を償うために向き合わなければならないのは、きみ自身の過去なのかもしれない。
コシローさん:「毎度おおきに」
コシローさん:「季節過ぎてはるけど、あげるわ。これ」段ボールに入っていた、供え物用の落雁セットをごそごそと持ち出してくる。
エマ・カルナデス:「ありがとう。…………古物屋で……?」品揃えに首を傾げ、一瞬素に戻るのだった。
INFO:コシローさんのアライアンスlvが「2」に上昇しました(上限)。
INFO:→「古物商の出血大サービス」が発動しました(★★)。
GM:アライアンスシーンが終了しました。柳瀬くん・エマさん・龍神くんの三人は、ロイスの取得、購入判定が可能です。
龍神貴好:ロイスどうしよっかなー!
龍神貴好:取るか〜
柳瀬順吾:ロイスは龍神くん。 友情〇/脅威
GM:N脅威なの良すぎる
龍神貴好:トラス4/柳瀬順吾/信頼:○/巻き込むな/ロイス
龍神貴好:撮影のことです
柳瀬順吾:巻き込むよ~
GM:あ!すみません コシローからレネゲイドチェッカー渡すの忘れてました
龍神貴好:あ〜
龍神貴好:お!
龍神貴好:これであいつに会えるじゃん〜
GM:水見式みたいな占い盤です ここがフラグだった
柳瀬順吾:ネコちゃん
エマ・カルナデス:コシロー P☐誠意/N☑嫌い
コシローさん:そんな……
龍神貴好:買い物するぞ!エンチャントを狙う!
柳瀬順吾:そして買い物は、このサイバーアームを…エンチャントすること!
エマ・カルナデス:整理が付いたら、ポジティブに変えなくもない。
コシローさん:毎度あり~~~♡
柳瀬順吾:1dx>=10 ヤーッ!
DoubleCross : (1DX10>=10) → 5[5] → 5 → 失敗
柳瀬順吾:はい
コシローさん:おい!!
龍神貴好:2dx+1>=10
DoubleCross : (2DX10+1>=10) → 10[9,10]+8[8]+1 → 19 → 成功
龍神貴好:回ったあ!
柳瀬順吾:龍神と柳瀬 どこで経済力に差がついたのか 貯蓄…
柳瀬順吾:以上です
エマ・カルナデス:……ヤナセの腕こっちからカスタマイズしたりできる?私、武器使わないし。
龍神貴好:指定エフェクトは《伸縮腕》、改造アイテムは骨の剣!
GM:いいでしょう!エマさんはRC型だからね。
柳瀬順吾:リーダーッ!
柳瀬順吾:この腕をシックなモノクロームフレームでデコりたいんですよ~
エマ・カルナデス:そんな事言ったらデコを買うよ。
柳瀬順吾:カーボンの方がメンテナンス性いいし、動きもいいし~
エマ・カルナデス:じゃあ、ヤナセのサイバーアームをエンチャントで購入判定。
エマ・カルナデス:4DX>=10
DoubleCross : (4DX10>=10) → 9[2,8,9,9] → 9 → 失敗
エマ・カルナデス:1ポイント使用、購入成功。コシロー、お願い。ヤナセはエフェクト指定してね。
柳瀬順吾:ああっ!財布を開けてまで…ありがとうございますリーダー!
コシローさん:毎度あり~~~
コシローさん:いや~~~ほんまええお得意さん持ったわ
柳瀬順吾:エフェクトは当然瞬速の刃を指定!
柳瀬順吾:ありがたく…エンチャント!
GM:OK!(ズドン)
GM:では、次のアライアンスシーンに参りましょう!
GM:現在解放可能なアライアンスシーンはこちら。
GM:Take your Time……
GM:結構一番街方面がスッキリしましたね。
GM:西舘アライアンス、荒崎アライアンス、そして……猫!!
GM:他には自警活動もあるぞ
GM:では、各自アライアンスでの行動を選ぶのじゃ
龍神貴好:猫番長開いたので難易度知りたいですねとりあえず
龍神貴好:あ、開いたというか開くというか
龍神貴好:リーダーアイテムあげますよー
GM:忘れていた!〈知覚〉か、〈知識:探偵業〉で8です!
エマ・カルナデス:こっちもレネゲイドチェッカーを場に出す。これで解放。
龍神貴好:ありがとうございます!
龍神貴好:自警活動もそろそろ行きたいんだよな
柳瀬順吾:社会振るより知識の方がずっとマシだから、猫チャン行こうかな
GM:ネコー
乃木清和:自警活動ってPC全員で挑まなくても大丈夫な難易度なの~?
龍神貴好:というより多分
GM:できれば、PC全員で挑むことを最初は推奨します!
GM:何が起こるかもわからないからね。
乃木清和:そうだよねえ
龍神貴好:あ、他の行動してたらできない奴?
GM:ダンジョンに行った日はコミュを進められないですからね
龍神貴好:なるほど!
エマ・カルナデス:まあ、今回は全員アライアンスに回ったら丁度いい空き数かも。
柳瀬順吾:もう一手、アライアンスを回してから行きませんか? 有利になる要素が解放されていっているので
GM:全員アライアンスに行き、次のシーンで自警活動をCHECK……
龍神貴好:それで行きましょう
乃木清和:OKです!私どこ行こうかな
GM:この順序がベストだと思います リプレイ:アナーキー完全攻略Wiki!
西舘雅也:美人が来てくれると嬉しいんだけどなあ~~ッ
エマ・カルナデス:じゃあ荒崎先輩の所へは
荒崎怜:ムッ
乃木清和:じゃあ私ホストのとこ行く~
乃木清和:リーダー彼女の様子見てきてよ
柳瀬順吾:危険な組み合わせだ
龍神貴好:バッチバチの予感
柳瀬順吾:しかし虎穴に入らずんば虎子を得ずともいう
エマ・カルナデス:そうね。退院したとはいえ、経過は見ておいた方がいい。
荒崎怜:TRASS4 ADVANTAGE!!!(チャンスエンカウントBGM)
柳瀬順吾:作戦プラン、タイガーチャイルド! GO!
龍神貴好:じゃ、早速振って行きますか、彼女を
GM:では、判定コスト侵蝕1d10を振り、判定をどうぞ!!
龍神貴好:違う、振るのは判定ダイスね
柳瀬順吾:1d10+55
DoubleCross : (1D10+55) → 1[1]+55 → 56
龍神貴好:龍神貴好の侵蝕率を1D10(→ 10)増加(58 → 68)
乃木清和:マジで……マジで頑張れよ………
龍神貴好:へんな言い間違えするからー!
荒崎怜:振る? 彼女を?
柳瀬順吾:あぶない
乃木清和:乃木清和の侵蝕率を1D10(→ 2)増加(69 → 71)
柳瀬順吾:猫署長を《知識:探偵業》で振ります。目標値8
龍神貴好:ちがうんだよー
乃木清和:よしっっっ
エマ・カルナデス:1D10+46
DoubleCross : (1D10+46) → 2[2]+46 → 48
荒崎怜:イエス!!
柳瀬順吾:3dx>=8
DoubleCross : (3DX10>=8) → 9[2,6,9] → 9 → 成功
荒崎怜:リーダーは落ち着きすぎ
柳瀬順吾:OK!
龍神貴好:3dx>=2
DoubleCross : (3DX10>=2) → 10[2,9,10]+6[6] → 16 → 成功
柳瀬順吾:説明しよう。このチームの中だと、柳瀬はかなり精神が高い方なのだ。
エマ・カルナデス:振るか、彼女を
エマ・カルナデス:4DX>=7
DoubleCross : (4DX10>=7) → 10[1,1,6,10]+7[7] → 17 → 成功
荒崎怜:彼氏より知られてる??
GM:乃木さんも侵蝕2だ!やったぜ
乃木清和:ホストを《情報:噂話》。素振りで
乃木清和:3dx>=6
DoubleCross : (3DX10>=6) → 7[1,3,7] → 7 → 成功
乃木清和:ヨカッタ!
GM:シャア!!
エマ・カルナデス:順調!!
GM:では、猫署長、西舘、荒崎アライアンスがMAXになります。
GM:では、早速ロールで情報開示と効果開示をしていきましょう。
GM:最初は西舘アライアンスと乃木さんからかな。
乃木清和:は~い!
8月25日 19:34/ 華吶町立寄咲大学 喫煙所前
GM:『Club malbolge』から『Chill to Shift』までへの帰り道は、寄咲大学を経由する。
GM:地下鉄で大学近くの路線まで乗り換え、そこから徒歩で坂を上って一番街に行く、というのが最寄りのルートだ。
GM:瑛・A・アヴァスから『トラス4』の「訓練」の呼び出しを受けたきみは、何ともなしにビデオ屋への道を歩いていた。
GM:「訓練」とは『トラス4』で行われている、ちょっとした能力開発のようなものだ。どの組織にも所属しないきみたちは、自身で自身のレネゲイド技術を洗練させる必要があった。
GM:最も、乃木清和に関して言えば、それらは無用な試みであったが――
GM:とにかく、きみがちょうど寄咲大学の前を歩いていたときだ。
GM:「……!」「……!?」
GM:何やら、言い争いをする男女の声が聞こえる。
乃木清和:「ん」視線だけ僅か動かしてそちらを見る。
乃木清和:なにか警戒心を煽られたとか、そういうわけではない。シンプルな野次馬精神である。
フリフリの格好をした女:「ねえッ 良いじゃん!! 大学なんてやめて私と暮らそうよォ~~~~ッ!!」
西舘雅也:「よ……良くねえって、姫! あんた先輩の担当でしょ!?」
西舘雅也:「俺とおしゃべりしたことあったっけ!?」
フリフリの格好をした女:「誰でも良いんだよ!! どうせあいつ私のこと金づるとしか思ってないんだからさァ!!!」
西舘雅也:「え、ええ~……」
フリフリの格好をした女:「だってあんた、キョータに可愛がられてたじゃん!!」
西舘雅也:「いや……その感じはまずいって。一回、警察とか、病院とか行こうぜ」
西舘雅也:「俺も付き合ってあげるし、キョータさんにも話しとくからさ。な?」
乃木清和:「お~…」
フリフリの格好をした女:「いいじゃん~~~!! それとも何!?彼女でもいんの!?」
西舘雅也:「エッ」
西舘雅也:「アッ……あ!!」
西舘雅也:「お~~~い!!」
西舘雅也:野次馬に向かって手を振る。
乃木清和:「キョータにバレたら一発アウトだぞ~……ん?」
西舘雅也:別に誰かを狙ったわけでもないが、誰かしらが名乗り出てくれないかな~……とその目が訴えかけているような気がする……
乃木清和:「ヤな予感。逃げよう」
フリフリの格好をした女:「はあ~~??? 何? ……あ!!」
乃木清和:迷いなく通り過ぎようとする。
フリフリの格好をした女:がっと目線がきみの方に向く!!
フリフリの格好をした女:「やっぱこういうタイプが良いんだ!!!」
フリフリの格好をした女:何かのコンプレックスに触れてしまったようだ……
フリフリの格好をした女:「西舘ァ!!どういうことだコラァ!!」
乃木清和:「人違いです~………」誰にも聞かれない呟きが空に消える…。
フリフリの格好をした女:「そこの女も!!」ガンを飛ばして、野次馬から歩み出てくる。
西舘雅也:「やっ、やべ~~~~……よし!!」
西舘雅也:「逃げましょう!!! こっち!!!」
西舘雅也:バッと野次馬を突っ切って走り出す。
乃木清和:「何も言ってないって~~~」「あぁ~~~~」引きずられて行く。
フリフリの格好をした女:「待てゴルァ~~~~~!!!今度『狐市』のおっさんに頼んで呪ったるァ~~~~~~ッ!!!!」
GM:……………………
GM:……………
GM:………
8月25日 19:58/ 華吶町立寄咲大学 喫煙所
西舘雅也:「はあはあはあはあ」
西舘雅也:「撒いてから、構内に逃げ込んだ……」
西舘雅也:「流石にここなら入って来れないだろ。守衛もいるし……」
乃木清和:「そっすか…」
乃木清和:「帰っていい?」
西舘雅也:「はい……本当にすみません……」
西舘雅也:「一応、俺……西舘って言います。西舘雅也」
乃木清和:「ふぅん……」「うん?」
GM:西舘。西舘雅也。龍神貴好や柳瀬順吾がたびたび口にしている、噂好きの友人の名前だ。
乃木清和:二度見。「西舘? 映画学科に知り合いいる?」
西舘雅也:「えっ。ま、まさか」
西舘雅也:「……………『戦うな! 偽ストローマン!!』」
乃木清和:「それそれそれ」
西舘雅也:「うわうわうわ!柳瀬の知り合いっスか!?」
乃木清和:「ん~…まあ…知り合いの知り合いみたいな…? 仲間ではないです」
西舘雅也:「知り合いってか、フツーにめっちゃ友達スけど。昨日龍神……ああ、同じ大学の友達と一緒にラーメン食い行ったし」
西舘雅也:「でもあいつ、あんま食ってなかったな……大丈夫かな……?」
西舘雅也:「あ、すみません。話それました」
乃木清和:「……あなた、街の噂に詳しいって聞いてる」
西舘雅也:「え? いや、まあ……詳しいっちゃ詳しいすけど……」
西舘雅也:「うちのホストクラブ、色々な客来ますし……」
乃木清和:「いいじゃない。私、『Club Malebolge』ってところで働いててさ。お客さんとの会話のネタになるから…」
西舘雅也:「え!?『マレボルージュ』の!?」
乃木清和:店のカードを取り出す。「柳瀬からあなたの話聞いて、私も喋ってみたいなって思ってたの」
乃木清和:「そうだよ~。はいこれ、あげちゃう」
西舘雅也:「あそこ、最近めちゃくちゃかっこよくて美人な店員さん入ったらしいって聞いてたんすけど」
西舘雅也:「おお……今度絶対行きます」
西舘雅也:「あっ!これ、逆ナンってやつっすか!?やった~~~!!!見たか龍神!!」
西舘雅也:カードを受け取ってガッツポーズする。
乃木清和:「……」ニコ……ってする。
西舘雅也:実態は、西舘雅也が勝手にきみを引きずり回していただけなのだが……
西舘雅也:「何でも喋っちゃいますよ~。最近の客層から街中の治安まで」
西舘雅也:「えっと……」店のカードを読む。「ノギ……乃木さんっすね!名前かっこよ!」
乃木清和:「かっこよくて美人な店員さん」
乃木清和:「私かもよ?」
西舘雅也:「ハワ……」膝から崩れ落ちる。
西舘雅也:「し」「師匠って呼ばせて貰ってもいいっすか」
乃木清和:「えっヤダ」
西舘雅也:「なんか、こないだ演劇のワークショップの人に言われたんすけど」
西舘雅也:「カリスマ!カリスマです!」
西舘雅也:「そういうのがどうしても足りないらしくてッ」土下座する。
西舘雅也:「師匠と接すれば、何かを掴めるような気がする……!」
乃木清和:「西舘くんホストなんだから、足りなくちゃダメじゃん。こういうことのプロはそっちでしょ」
西舘雅也:「いや……向いてないってよく言われるんすよ」
西舘雅也:「一発どかんと稼ごうと思って始めたんすけど」
西舘雅也:「成績ドベで、ずっとまかないだけ食いに行ってるみたいな感じで……」
西舘雅也:「何が足りないと思います?」
西舘雅也:西舘は本気で困っているようだ……
乃木清和:「え~………」
乃木清和:「女を財布として扱う精神とか…」
西舘雅也:「え……なんで? こわ……」
乃木清和:「なりふり構わず利用する姿勢とか…?」
西舘雅也:「言ってることずっとやばいすよ」
西舘雅也:「ハァ~~……」ぐったりとスタンド式の灰皿に凭れかかる。「やっぱ、そうだよな……」
西舘雅也:「やめるか、ホスト……」
乃木清和:「まあ……」
乃木清和:「さっきのことでキョータ先輩は怒り心頭だろうし…」
西舘雅也:「薄々解ってたんすよ。さっきみたいな子が生まれるの、普通によくないし……」
西舘雅也:「でも、店の人が可愛がってくれるから、ずるずると……」
西舘雅也:「あっ!!!!!」
乃木清和:「なになに」
西舘雅也:跳ね起きて携帯の着信を確認する。
西舘雅也:「や、やばいやばいやばい」「鬼電着て……うわ!?」
西舘雅也:うっかり着信ボタンを押してしまう。
乃木清和:「あ~あ」
乃木清和:「出ない方がいいよ~」一応そっと言う。
キョータ:『おいマサヤァ!!!!てめェ~~~~人のカモに手出すの何考えてんだコラァ~~~~~!!!』
キョータ:『今どこにいんだッ おいッ!! ふざけてっとお前マジ飛ばすからな!!!』
西舘雅也:「お……」
西舘雅也:逆に乃木さんの声を聞き、冷静になったようだ。
西舘雅也:「いや……すみません。今のでちょっと、目覚めました。俺、最低だったんで」
西舘雅也:「今日でやめます。さっきの女の人、もう警察に相談しといたんで。じゃあ!!」
西舘雅也:ぶちっと電話を切る。
乃木清和:「私………」
乃木清和:「他人のこんな大事な場面に居合わせていいのか……?」
西舘雅也:「いやいやいや」
乃木清和:「なんで龍神くんじゃないの~~」「あ、終わった?」
西舘雅也:「師匠がいてくれたから冷静になれたんすよ」
西舘雅也:「目が覚めました。これからは俳優一本でやってきます」
乃木清和:「それがいいと思うよ…。………」
乃木清和:「はい」手を出す。
西舘雅也:「え? 何すかこれ」言われるがままに手を差し出し返す。
乃木清和:「握手じゃないよ。お代に決まってるでしょ」
西舘雅也:「は!?!?」
乃木清和:「は~?!?!」
西舘雅也:「今何かめちゃくちゃ良い流れになる所だったじゃないすかッ」
西舘雅也:「こないだラーメン食ったばっかで、全然持ち合わせないんすけど」
西舘雅也:※柳瀬・龍神と行ったラーメン屋、『悪魔の端麗』。濃口塩ラーメンチャーシュー煮卵トッピング 1780円
乃木清和:「どう考えたって私の巻き込まれ損じゃんっ。別にお金じゃなくていいし………」
西舘雅也:「ええ~……何か……情報とかでもいいっすか?」
乃木清和:「情報~? どうかな~」横目で見てみる。
西舘雅也:「じゃあ、とっておきのいきますよ」
乃木清和:「そんなこと言って、たいした情報じゃないんじゃな~い?」
西舘雅也:「そんなことない! 結構すごいんすよ、俺の情報網は!」
西舘雅也:「いや嘘っす。何か……皆、俺相手になるとペラペラ話してくれるんすよね、なんか……何でだろう?」
西舘雅也:「っつーか、最近一番街ガチで治安悪いじゃないすか」
乃木清和:(そういう意味ではホスト向きなんだろうな……)
乃木清和:「うん、うん」
西舘雅也:「でも最近、『シャブくん』の名前出すと、悪党が逃げてくらしいっすよ」
GM:全く聞き覚えのない名前だ。恐らく何かの略称だろう。
乃木清和:「シャブくん? クスリ?」
西舘雅也:「いや……一応、愛称らしいっす。本人は偽名?みたいなの使ってるみたいなんすけど、どうも長くて……」
西舘雅也:「あ、あー。思い出した。”シャブダ・ベディ”だ」
西舘雅也:「そういう名前の……ちょっと陰のあるイケメン? みたいな奴が……」
乃木清和:「うわ~、うさんくさい名前…。うんうん」
西舘雅也:「何か、『イチバン』のガキを町から逃がしたり、守ったりしてるらしくて」
西舘雅也:「ほら、最近ちょっとヤバいって噂の『かとつの軒先』ってNPOあるじゃないすか」
西舘雅也:「あそこからも何人かもう逃がしてるらしいっすよ」
乃木清和:「へえ~……」
西舘雅也:「でも、肝心の『シャブくん』の顔とか本名、誰も知らないらしいんすよね」
西舘雅也:「何か秘密結社とか関わってたりして……」
西舘雅也:「って、そんなわけないか。アハハハハ!!」
乃木清和:「あはは、何それ面白~い」(笑)
西舘雅也:「柳瀬と喋るとこっちまで陰謀論っぽくなっちゃうな……」
西舘雅也:「とにかく、一番街でヤバそうな目に遭ったら『シャブくん』を頼るのが良いッスよ。おまじないみたいな感じ!」
乃木清和:「…なるほど。『シャブくん』のこと知ってるんだぞってアピールできるのはいいね」
西舘雅也:「そうそう。めちゃくちゃ強いらしいっすよ」
乃木清和:「ありがと。その噂、うまく使うことにするよ」
西舘雅也:「柄の悪い連中が、手も触れずにばたばた気絶してって……乃木さんしっかりしてそうだから、あんま心配なさそうっすけどね」
西舘雅也:「でも、今回はマジで世話なったんで。俺にできることなら何でもします!」
西舘雅也:「結構顔広いんで。お店の宣伝とかしたかったら言ってください!」
乃木清和:「…じゃあひとつだけ」
乃木清和:「龍神くんと荒崎ちゃんって、最近うまくやれてるの?」
西舘雅也:「え?」
西舘雅也:「……いや、友達のプライベート喋るのは流石に……」
西舘雅也:「まあ、これは勘っすけど」
西舘雅也:「タカ、こないだ強盗遭ってからなんか変じゃないっすか?」
乃木清和:「……そう」
乃木清和:「なにか悩んでるのかなって、私も気になっちゃって」
西舘雅也:「悪い方向にって感じじゃないっすけど」
西舘雅也:「なーんか思い詰めてるっつーか……考え込んでるっつーか……」
西舘雅也:「あ、そうそう。一刻も早く答えを出さないといけない試験問題がある、みたいな感じ」
西舘雅也:「これからなんだから、そう生き急ぐことないと思うんすけどね~~」
西舘雅也:「荒パイは全然わかんないッス。あの人……壊滅的に人付き合い悪いらしいんで……」
西舘雅也:「でも、タカはいいやつですよ」
西舘雅也:「そのタカが付き合ってるんだから、悪い人じゃないって思いたいでしょ」
西舘雅也:「乃木さんこそ、やっぱ面倒見いいんすね」
乃木清和:「やめてやめて。ただのゴシップ収集かもしれないよ?」
乃木清和:「まあ……」
乃木清和:「どうするんだろ、うちのリーダーは」
西舘雅也:「リーダー?」
西舘雅也:「やっぱ…………まさか」
西舘雅也:「映画撮ってるんすか!?柳瀬と一緒に!?」
西舘雅也:「そうか~……あいつがリーダーかァ~~……」
西舘雅也:一人で勝手に納得している。
乃木清和:「………」ニコ…とする。
西舘雅也:「や、やっぱり……!解ってくれるやつは解ってくれるんだ!あいつの映画の良さ!!」
西舘雅也:「俺は、本当に、全く、一ミリも、解らなかったけど……」
乃木清和:「違うっての! 同類みたいな目で見るな!」
西舘雅也:「あ、そこは嫌なんだ」
西舘雅也:「師匠、何かちょっと演技っぽい時とそうじゃない時が一瞬わかんなくなるんで」
西舘雅也:「安心しました」
西舘雅也:「あ……とりあえず、これから店に”西舘討伐隊”が組まれると思うんで、俺はそろそろ行きます」
西舘雅也:「生きてたらまた、稽古つけて下さい。それじゃあ……」
乃木清和:「はいはい…さっきの女にも気をつけるんだよ」見送る。
GM:喫煙室には、きみ一人だけが残された。
乃木清和:「は~……」
GM:”シャブダ・ベディ”。誰もが顔と名前を憶えていない……オーヴァード。
GM:記憶処理は、ほとんどの場合――ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワークの占有する領域でもある。
乃木清和:「……リセが送り出した、もう一人の人材ねえ。シンプルに繋ぎ合わせるには」
乃木清和:「ずいぶん目立つ行動してるみたいだけど…」ちょきちょき、と指でハサミのポーズ。
GM:蛍光灯が点滅する。一瞬の停電。
GM:口紅のように、闇に煙草の燃えさしが灯った。それもやがて消える。
INFO:→「西舘雅也」のアライアンスlvが「2」に上昇しました(上限)。
INFO:「ホストの超・盛り上げ術」が発動しました。
GM:「赤」のウワサには、市外・市内に存在するUGN勢力の動向や情報が整理・分類されます。